ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

海底軍艦

2009-11-12 21:41:23 | 映画
『海底軍艦』を観ました。

まず、この「東宝特撮映画DVDコレクション」と言うのは、文字通りDVDには本編しか収録されていません(笑)。

特典付きの通常版のDVDは五千円もする事を思うと、本編のみで二千円と言うのは洋画の特典無しの廉価版と同じではあります。
まぁ~邦画やアニメのDVDソフトは、洋画と比較したら、やはり「高い」と言う事実が浮き彫りになったのも事実ですね(苦笑)。

さて、久々に観た『海底軍艦』ですが、やはり理屈抜きにして面白かったです。

正にコレぞ、古き良き日本映画ならではの架空戦記モノの要素が強い「SF映画」だと思います。
しかし、今こうして改めて観直すと、今現在の日本の社会情勢を思うと、結構「危ない」要素と思想が満載されている事を再確認しました。

物語の舞台は、終戦から20年経過した日本。
この「戦後(敗戦)から20年」、又は「たった20年」しか経っていないと言うのが、非常に重い意味を持ち合わせます。

決して戦争の記憶も色褪せる事が無い記憶ながらも、それを過去のものにしたい。
そして「未来」を見つめたい、と言う微妙な空気の漂う時代の流れ…。

高島忠夫の演じる主人公のカメラマンから、本作の「真の主人公」といえる神宮寺大佐は「戦争キチガイ」と呼ばれ憤怒します。

確かに、神宮寺大佐は狂っています(でも、そこがカッコ良いのですが:爆)。



本編でもあまり詳細は語られないですが、神宮寺大佐は日本の敗戦が色濃くなった時。
軍部内で反乱を起こして、日本から同じ志を持った兵士達と共に脱出します。
そして、優秀な軍人であり技術者であった神宮寺大佐は、南海の孤島にて20年もの歳月を費やして究極の戦艦である海底軍艦こと“轟天号”を完成させます。
しかし、今世界は“ムー帝国”と言う新たな脅威からの侵略をうけ、かつての上官にして恩師から世界の危機を救う為に、轟天号で出撃して欲しいと言う要請も神宮寺大佐はあっさりと拒否します。

轟天号と言う超破壊兵器は、再び大日本帝国が世界の覇権を奪取する為だけに作り出したもの。
彼の目指すのは大日本帝国の復興であり、ムー帝国の侵略や世界平和等には全く眼中には無いのです。
彼はハッキリと言い切ります、「我々は未だ降伏せず!」と…。
そう、神宮寺大佐の中では、まだあの戦争は終わってはいないのです。

それを更に象徴するのがムー帝国、そしてムー帝国皇帝(妖艶で美しい!)の存在。



かつての滅亡の危機から逃れ、その生きる世界を地下に求めたムー帝国。
地上人より遥かに高度な科学力を持ち、地上人を見下して「奴隷」と呼び、圧倒的な武力で世界を支配しようと企みます。
しかし、彼らはどれだけ科学が進んでも、地下に逃れた事により種としては退化し、再び目前に迫った滅亡の危機を前に脆弱な文明と人類であるのを曝け出した事は変わりありません。

神宮寺大佐と轟天号も、皇帝が率いるムー帝国も、どれだけ強大な力を持っていても、所詮世界と歴史の流れの中にあっては“過去の遺物”でしかなく、滅び行く存在でしかない…と言う皮肉な対比が実に印象的です。

あの深い憐れみと、哀しみが漂う結末が全てを物語っています…。

表面的には明快なSF映画ではありますが、根底にあるものは「敗戦国・日本」という暗く重苦しい事実があります。

物語のヘヴィーさは別として、やはり観ていて「轟天号」のあまりのカッコ良さと無敵ぶりには惚れ惚れします(笑)。



圧倒的な火力、絶対零度の冷凍光線、おまけに電子砲まで装備。
大空を音速で自由に飛び回り、深海まで潜行可能な潜水機能、動く要塞の如く地上を縦横無尽に稼働、地中すら船首に搭載されたドリルにより突き進む事が出来る轟天号。
確かに、こんな無敵の超兵器・轟天号さえがあれば、神宮寺大佐ではないが日本は戦争に負けなかったと思います。
そして、コレさえあればムー帝国の様に、世界を征服出来るとも思いますね(苦笑)。

今、日本映画に一番足りないのは、本作の様な良くも悪くも“極端な要素”だと痛感しました。

実に、硬派で重厚なSF戦争映画の傑作です!!


「轟天号は只今より、ムー帝国殲滅の為に出撃します!」



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2 コメント

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神宮寺コスプレ (J.Priller)
2010-04-04 21:23:18
昔コミケに大日本帝国海軍の夏服(正式には第2種という)を着て行って「轟天号艦長の神宮寺大佐だ」と言ったら「艦長ならもっと立派な服を着ているだろう」と言われた。
まあスタジオ某のメカしか知らない似非ミリタリーマニア(メカフェチとか言うらしい)はその辺が限界だろう。
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某国へ出撃せよ! (鉢巻治夫)
2013-12-26 20:08:42
昔から、妄想するのですが、この作品って、韓国語、チャイナ語にしてDVD化すると面白いのになあ、と…。
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