
このブログでも何度も言っているが、90年代はメタルにとって正に暗黒の時代だった。
それはJUDAS PRIESTやIRON MAIDENという、正にヘヴィ・メタルの象徴とも言えるバンドにとっても同じだった。
オマケにその時期は微妙にズレるものの、奇しくも“バンドの顔”とも呼べる偉大なシンガーが両バンド共に脱退し、新たなシンガーを迎えてのバンドの再生に動いていた。
JUDAS PRIESTにはティム“リッパー”オーエンズが、そしてIRON MAIDENにはブレイズ・ベイリーが加入していた。

そして両バンドを比較して、多くのメタル・ファンは皮肉を言った。
JUDAS PRIESTには相応しいシンガーが加入したのに、バンドはファンが期待する音楽性から離れてしまった。
でも、IRON MAIDENはファンが望む音楽性を維持したが、それに相応しいシンガーが加入しなかったと。
しかし、それが本当に正しいのだろうか?!
天の邪鬼な僕は、敢えて言うが両バンド共に良いシンガーが加入したが、バンドの音楽的方向性は完全に迷走していた。
JUDAS PRIESTとIRON MAIDENは、それぞれ新シンガーを迎えた2枚目のアルバムにおいて、大幅な音楽的方向修正をはかったのは事実だ。
前回に続いて、ファンが「黒歴史」として封印している、ブレイズ・ベイリーを迎えたIRON MAIDENの2枚目(バンドとしては通算11枚目)のスタジオ・アルバム『Virtual XI』。
前作『The X Factor』の迷走ぶりが嘘のように、ブレイズ・ベイリーというシンガーに相応しい素晴らしいアルバムが誕生する。
本作はIRON MAIDENという長く輝かしいキャリアを誇るバンドにあっても、そのキャリアにあって「傑作」と呼んで良い素晴らしいアルバムだと個人的には思っている。
何故、本作が傑作なのか?
答えは簡単だ、バンドがブレイズと言うシンガーに相応しい楽曲を作っているからだろう。
ブルース“ゴリさん”ディッキソン脱退後、完全に自らの支配下にバンドをおいたスティーヴ・ハリス(B)。

バンドはブレイズの加入前に、スティーヴの中では既に『The X Factor』というアルバムの構想がある程度固まっていたのは間違いない。
それがブレイズという超個性派のシンガーを迎えた事により、スティーヴやバンドの描いた構想から離れたアルバムに変貌してしまった。
それが結果的に、ブレイズを迎えたバンドやアルバムに対する、ファンやマスコミからの猛烈な拒絶反応につながった…と分析したのだろう。
スティーヴとバンドは、ブレイズというシンガーに合わせた曲作りに集中した。
それが結果的にプラスに作用し、バンドは似たり寄ったりの楽曲ばかりだった前作と違い、疾走感溢れるスピード・ナンバーから、英国らしいノリの良いハード・ロック・ナンバーから、「これぞIRON MAIDEN!」と言えるメタル然としながらプログレッシヴで劇的な展開で聴かせる大作まで。
実にバラエティー豊かな楽曲が揃った、新たな傑作アルバムを生み出す事に成功する。
勿論、ブレイズ自身の大きな努力と成長もあっただろう。

WOLFSBANEの頃とは全く異なる、世界規模でのハードなツアーはブレイズをより強靭なシンガーとして成長させた。
バンドがブレイズに合わせた楽曲を作った事により、前作以上に力強く安定した「歌」を聴かせてくれるのが特筆に値する。
これまでブレイズを下手・音痴だと、見下していたメタル・ファンにこそ彼の「歌」を聴いて欲しい。
あと、ディヴ・マーレイとヤニック・ガーズによる、ツイン・リード・ギターが素晴らしい。

両者の個性がしっかりと発揮され、彼らのスリリングなギター・バトルが、楽曲を更にエモーショナルかつドラマチックに盛り上げている。
『Virtual XI』リリース後、状況が改善するかと思われたが…結局何も変わらなかった。
アルバム・セールス、コンサートの集客力の著しい低下により、マネージメントはスティーヴとバンドにブレイズの解雇、そしてブルースの復帰を強く要請する。
IRON MAIDENという偉大な名前、そしてブランドが失墜する事を危惧したマネージメントからの提案だった。
当初、ブルースの復帰に関してスティーヴを除く他のメンバーは前向きだったそうだ。
しかし、肝心のスティーヴは最後までブレイズの起用に拘ったと言う。
マネージメントとバンドの他のメンバーからの説得もあり、スティーヴは遂にブレイズの解雇とブルースの復帰に了承したと言う。
一体、マネージメントとブルース、そしてスティーヴとバンドの間でどんな交渉が行われたか不明だ。
しかし、「この件に関しては、今後他言無用」という契約書(勿論それに伴う多額の金額が明記されていた)にブレイズがサインし、結果的には「ブレイズの脱退、ブルースの復帰」というシナリオ通りの公式声明が発表される。
そして、時代の変化に伴いIRON MAIDENは再び世界的な大ブレイクを果たす事になる。

ブレイズ擁護派としては、正直あまりスッキリしない展開に複雑な思いも抱いている。
確かにブルースは素晴らしいシンガーであり、彼こそがIRON MAIDENというバンドに最も相応しい人物であるのは間違いない。
ただ、ブレイズを一方的に悪くいう風潮には納得出来ない。
実際に『Virtual XI』という傑作アルバムをリリースしているのだ。
アレから10年以上の歳月が流れた。
もう、そろそろブレイズが在籍していたIRON MAIDEN、そして『Virtual XI』という傑作を冷静に再評価しても良いのでは?!
ファンの思い入れは理解出来るが、そのせいで正当な評価を受けれないなんて…あまりに惨い。
若いメタル・ファンには、もっと寛大になって欲しい。
こんな素晴らしいアルバムがリリースされていた事実が、一方的な偏見で歴史の闇に葬り去られるのは勿体無い。
今、一度だけ。
冷静かつ客観的に、ブレイズと、彼が在籍した頃のIRON MAIDEN、そして『Virtual XI』という傑作を再評価して欲しいと心から願う。
それはJUDAS PRIESTやIRON MAIDENという、正にヘヴィ・メタルの象徴とも言えるバンドにとっても同じだった。
オマケにその時期は微妙にズレるものの、奇しくも“バンドの顔”とも呼べる偉大なシンガーが両バンド共に脱退し、新たなシンガーを迎えてのバンドの再生に動いていた。
JUDAS PRIESTにはティム“リッパー”オーエンズが、そしてIRON MAIDENにはブレイズ・ベイリーが加入していた。

そして両バンドを比較して、多くのメタル・ファンは皮肉を言った。
JUDAS PRIESTには相応しいシンガーが加入したのに、バンドはファンが期待する音楽性から離れてしまった。
でも、IRON MAIDENはファンが望む音楽性を維持したが、それに相応しいシンガーが加入しなかったと。
しかし、それが本当に正しいのだろうか?!
天の邪鬼な僕は、敢えて言うが両バンド共に良いシンガーが加入したが、バンドの音楽的方向性は完全に迷走していた。
JUDAS PRIESTとIRON MAIDENは、それぞれ新シンガーを迎えた2枚目のアルバムにおいて、大幅な音楽的方向修正をはかったのは事実だ。
前回に続いて、ファンが「黒歴史」として封印している、ブレイズ・ベイリーを迎えたIRON MAIDENの2枚目(バンドとしては通算11枚目)のスタジオ・アルバム『Virtual XI』。
前作『The X Factor』の迷走ぶりが嘘のように、ブレイズ・ベイリーというシンガーに相応しい素晴らしいアルバムが誕生する。
本作はIRON MAIDENという長く輝かしいキャリアを誇るバンドにあっても、そのキャリアにあって「傑作」と呼んで良い素晴らしいアルバムだと個人的には思っている。
何故、本作が傑作なのか?
答えは簡単だ、バンドがブレイズと言うシンガーに相応しい楽曲を作っているからだろう。
ブルース“ゴリさん”ディッキソン脱退後、完全に自らの支配下にバンドをおいたスティーヴ・ハリス(B)。

バンドはブレイズの加入前に、スティーヴの中では既に『The X Factor』というアルバムの構想がある程度固まっていたのは間違いない。
それがブレイズという超個性派のシンガーを迎えた事により、スティーヴやバンドの描いた構想から離れたアルバムに変貌してしまった。
それが結果的に、ブレイズを迎えたバンドやアルバムに対する、ファンやマスコミからの猛烈な拒絶反応につながった…と分析したのだろう。
スティーヴとバンドは、ブレイズというシンガーに合わせた曲作りに集中した。
それが結果的にプラスに作用し、バンドは似たり寄ったりの楽曲ばかりだった前作と違い、疾走感溢れるスピード・ナンバーから、英国らしいノリの良いハード・ロック・ナンバーから、「これぞIRON MAIDEN!」と言えるメタル然としながらプログレッシヴで劇的な展開で聴かせる大作まで。
実にバラエティー豊かな楽曲が揃った、新たな傑作アルバムを生み出す事に成功する。
勿論、ブレイズ自身の大きな努力と成長もあっただろう。

WOLFSBANEの頃とは全く異なる、世界規模でのハードなツアーはブレイズをより強靭なシンガーとして成長させた。
バンドがブレイズに合わせた楽曲を作った事により、前作以上に力強く安定した「歌」を聴かせてくれるのが特筆に値する。
これまでブレイズを下手・音痴だと、見下していたメタル・ファンにこそ彼の「歌」を聴いて欲しい。
あと、ディヴ・マーレイとヤニック・ガーズによる、ツイン・リード・ギターが素晴らしい。

両者の個性がしっかりと発揮され、彼らのスリリングなギター・バトルが、楽曲を更にエモーショナルかつドラマチックに盛り上げている。
『Virtual XI』リリース後、状況が改善するかと思われたが…結局何も変わらなかった。
アルバム・セールス、コンサートの集客力の著しい低下により、マネージメントはスティーヴとバンドにブレイズの解雇、そしてブルースの復帰を強く要請する。
IRON MAIDENという偉大な名前、そしてブランドが失墜する事を危惧したマネージメントからの提案だった。
当初、ブルースの復帰に関してスティーヴを除く他のメンバーは前向きだったそうだ。
しかし、肝心のスティーヴは最後までブレイズの起用に拘ったと言う。
マネージメントとバンドの他のメンバーからの説得もあり、スティーヴは遂にブレイズの解雇とブルースの復帰に了承したと言う。
一体、マネージメントとブルース、そしてスティーヴとバンドの間でどんな交渉が行われたか不明だ。
しかし、「この件に関しては、今後他言無用」という契約書(勿論それに伴う多額の金額が明記されていた)にブレイズがサインし、結果的には「ブレイズの脱退、ブルースの復帰」というシナリオ通りの公式声明が発表される。
そして、時代の変化に伴いIRON MAIDENは再び世界的な大ブレイクを果たす事になる。

ブレイズ擁護派としては、正直あまりスッキリしない展開に複雑な思いも抱いている。
確かにブルースは素晴らしいシンガーであり、彼こそがIRON MAIDENというバンドに最も相応しい人物であるのは間違いない。
ただ、ブレイズを一方的に悪くいう風潮には納得出来ない。
実際に『Virtual XI』という傑作アルバムをリリースしているのだ。
アレから10年以上の歳月が流れた。
もう、そろそろブレイズが在籍していたIRON MAIDEN、そして『Virtual XI』という傑作を冷静に再評価しても良いのでは?!
ファンの思い入れは理解出来るが、そのせいで正当な評価を受けれないなんて…あまりに惨い。
若いメタル・ファンには、もっと寛大になって欲しい。
こんな素晴らしいアルバムがリリースされていた事実が、一方的な偏見で歴史の闇に葬り去られるのは勿体無い。
今、一度だけ。
冷静かつ客観的に、ブレイズと、彼が在籍した頃のIRON MAIDEN、そして『Virtual XI』という傑作を再評価して欲しいと心から願う。
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