めいしょうさ~ん、ジーステのめいしょう、あ、チョイもーしーほーで。
タイトルドン!マーロー人でんれつ、グ~ラカ~リー。
というわけで今回はローマ帝国第三代皇帝、カリグラ。最近、夙川アトム最高じゃないですか?
ほんと何度も繰り返しますがこのローマ人列伝は僕の個人的な趣味で書いているものですから歴史的間違いはご容赦ください。(ご指摘はありがたくいただきます)
本名はガイウス・ユリウス・ゲルマニクス。ガイウス・ユリウス・カエサルと名前の前の方が一緒。とは言えこんなの忘れてください。カリグラ、あるいはカッちゃんで大丈夫。
家系図はこんな感じ。
うわーぐちゃぐちゃー。面倒な方は飛ばしてもいいです。このあたりは「カエサルの血」を求めたおっくん(アウグストゥス)により家系がかなり入り組んできていますから。なんとなく、「おっくんの孫かなー」くらいでOKです。
一応ちゃんと言っとくと、初代皇帝アウグストゥスの娘とアグリッパの間に生まれた大アグリッピーナの息子、ということになります。だから正式に言うとアウグストゥスのひ孫。母はアウグストゥスの孫で、父は第二代皇帝ティベリウスの弟の子、父方も母方も皇帝の血が入っているわけで血統的には素晴らしいものがあります。
更にカッちゃんの父は血統だけでなく実績も優れていました。父の名はゲルマニクス。名前はとおり当時のゲルマニア(現在のドイツ)を征服し、また蛮族を平定したことで「ゲルマニアを制覇したもの」という意味です。
ちょうど父のゲルマニア遠征はカッちゃん2歳のばぶーの頃。幼いカッちゃんも父と母に連れられ幼児期をゲルマニアで過ごします。ずいぶんと可愛らしい赤ん坊だったようで兵士からも軍隊のマスコットとして可愛がられます。兵士たちは暇なときに軍装である短衣を小さく仕立て、カッちゃんに着せていたそうです。そんなことしてないで働けよ、って感じですが。ここからカッちゃんの名、「カリグラ」が生まれます。軍装サンダルのカリガの小さいの、「子供用カリガ」という意味です。
(カリガ)
成人して以降、カッちゃんは自身の「カリグラ」という仇名を実は嫌っていたようですが。そりゃそうです。「カリガちゃ~ん」みたいなもんですから。
※ここでひとつ、ゲルマニクス軍にカシウス・ケレアというたたき上げの軍人がいたことだけ覚えといてください。平民の生まれながら献身的な彼は百人隊長、今で言えば大隊長くらいまで出世しました。これだけちょっと頭に入れて置いていただけると最後楽しめます。
勇猛な武将ゲルマニクス、そしてその愛らしい子カリグラ。
こんなエピソードがあります。当時の皇帝アウグストゥスの死を聞いた兵士たち、ここまでの不満とこれからの待遇への不安が爆発し司令官への反乱を起こします。妻と子の身を案じたゲルマニクスはひとまず彼らを安全な場所に避難させます。それを見ていた反乱兵士たち、自分たちが自分の子のように、あるいは年の離れた弟のように可愛がっていたカリグラが軍を離れていくのを見て大変な寂しさを覚えます。そして口々に叫びます。
「俺たちが悪かった!カリグラを他の場所に連れて行かないでくれ!」
どうにも当時のローマ兵というのは戦場では勇壮な割に涙もろいところがあります。つーか働けよ。
世の中には「いつの時も誰からも愛される人」というのがいます。天真爛漫天衣無縫森さんお酒が大好きで~好きで~好きで~大好きで~、誰からも愛され、またその本人もその愛を受けることを当然と思っているかのような人。「愛してくれ」などと口にするまでもなく、まるで降り注ぐ太陽のように愛を注がれることが日常である人。カリグラもそんな人間でした。
父ゲルマニクスの死後、母や兄弟の追放という悲しい事件が起こり、結果カリグラは当時の皇帝ティベリウスに引き取られカプリ島で住むことになります。一説には彼の母や兄弟の追放は皇位を望んだティベリウスの策略によるもの、という説もありますが真相は分かりません。
ただしはっきりとしているのはティベリウスはカッちゃんを思いのほか可愛がった、ということです。
老境を迎えた皇帝ティベリウスは孫であるゲメッルスとカリグラを自身の後継者と考えます。しかし愛されることが当然のカリグラにはそれが許せなかったのでしょう。愛されるのは自分ひとりでいいのです。ティベリウスの死後、自身の暗殺を企てたという理由にゲメッルスを処刑します。
そしてここに第三代皇帝カリグラが誕生します。
名門に生まれ、あのユリウス・カエサルとアウグストゥスの血を引く24歳の青年(一応、ティベリウスの家系でもありますが当時ティー坊は嫌われていましたからこのことに言及する人はいませんでした)。
精悍な体と愛くるしい笑顔、しかし実績は何一つありません。軍を指揮したことも政治を行ったことも。しかし元老院とローマ市民は大喝采でこの皇帝を迎えます。ローマ史上これだけ歓迎された皇帝もいないのではないでしょうか。その理由は前皇帝ティベリウスの不人気の裏返しでもあります。カエサル、アウグストゥスの血も引かず、ローマから離れたカプリ島に引きこもり恐怖政治を行ったティベリウス、その次を継ぐものが「カエサルの血」を継ぎ、また英雄ゲルマニクスの実子。民衆に異存は一切ありません。
愛された男カリグラは民衆の心をつかむ方法であれば誰に教えられるとなく知っていました。
就任挨拶の第一声は「私はティベリウスと反対のことをやる」でした。熱狂する民衆。更に「ローマを居とすること」「減税」「ティベリウスが行わなかった剣闘大会の開催」などとにかく民衆の欲しがっている政策を声高々に発表します。
愛されること、愛を更に増やすことにかけては天性のものがありました。
しかし残念ながら彼にはその愛を継続させるためのプランは何一つありませんでした。
カリグラの政策でただひとつ評価されていることがティベリウスが築き上げた属州支配システムを一切いじらなかったことです。ティベリウスが長年にわたり築いたそのシステムは見事なもので一切のトラブルが起こりませんでした。カリグラはそのシステムを何一つ変えることがなかったのです。
しかし裏を返せばいじるプランもいじるつもりもカリグラにはなかったのです。属州の司令官を変えたところで民衆はそんなの気にしないからです。愛されるためには何でもする、しかし愛されないことは何もしない、これがカリグラの政治です。
たびたびカリグラは古代ギリシャ風の格好や古代の英雄ヘラクレスを真似て獅子の毛皮をかぶった扮装をしていたそうです。コスプレです。うるさ型の元老院は眉をひそめますがローマの若者には大人気。
民衆の愛を得るための減税と華やかな剣闘大会を頻繁に開催。剣闘大会どころか戦車レースも開催します。
当然のことながら国家の財政は破綻します。しかし、そのことに気づくものは当時のローマには誰もいませんでした。
民衆にとって耳障りの良いことだけを言い、そしてそれを実行する若き皇帝。その彼を病が襲います。
…to be continued...
タイトルドン!マーロー人でんれつ、グ~ラカ~リー。
というわけで今回はローマ帝国第三代皇帝、カリグラ。最近、夙川アトム最高じゃないですか?
ほんと何度も繰り返しますがこのローマ人列伝は僕の個人的な趣味で書いているものですから歴史的間違いはご容赦ください。(ご指摘はありがたくいただきます)
本名はガイウス・ユリウス・ゲルマニクス。ガイウス・ユリウス・カエサルと名前の前の方が一緒。とは言えこんなの忘れてください。カリグラ、あるいはカッちゃんで大丈夫。
家系図はこんな感じ。
うわーぐちゃぐちゃー。面倒な方は飛ばしてもいいです。このあたりは「カエサルの血」を求めたおっくん(アウグストゥス)により家系がかなり入り組んできていますから。なんとなく、「おっくんの孫かなー」くらいでOKです。
一応ちゃんと言っとくと、初代皇帝アウグストゥスの娘とアグリッパの間に生まれた大アグリッピーナの息子、ということになります。だから正式に言うとアウグストゥスのひ孫。母はアウグストゥスの孫で、父は第二代皇帝ティベリウスの弟の子、父方も母方も皇帝の血が入っているわけで血統的には素晴らしいものがあります。
更にカッちゃんの父は血統だけでなく実績も優れていました。父の名はゲルマニクス。名前はとおり当時のゲルマニア(現在のドイツ)を征服し、また蛮族を平定したことで「ゲルマニアを制覇したもの」という意味です。
ちょうど父のゲルマニア遠征はカッちゃん2歳のばぶーの頃。幼いカッちゃんも父と母に連れられ幼児期をゲルマニアで過ごします。ずいぶんと可愛らしい赤ん坊だったようで兵士からも軍隊のマスコットとして可愛がられます。兵士たちは暇なときに軍装である短衣を小さく仕立て、カッちゃんに着せていたそうです。そんなことしてないで働けよ、って感じですが。ここからカッちゃんの名、「カリグラ」が生まれます。軍装サンダルのカリガの小さいの、「子供用カリガ」という意味です。
(カリガ)
成人して以降、カッちゃんは自身の「カリグラ」という仇名を実は嫌っていたようですが。そりゃそうです。「カリガちゃ~ん」みたいなもんですから。
※ここでひとつ、ゲルマニクス軍にカシウス・ケレアというたたき上げの軍人がいたことだけ覚えといてください。平民の生まれながら献身的な彼は百人隊長、今で言えば大隊長くらいまで出世しました。これだけちょっと頭に入れて置いていただけると最後楽しめます。
勇猛な武将ゲルマニクス、そしてその愛らしい子カリグラ。
こんなエピソードがあります。当時の皇帝アウグストゥスの死を聞いた兵士たち、ここまでの不満とこれからの待遇への不安が爆発し司令官への反乱を起こします。妻と子の身を案じたゲルマニクスはひとまず彼らを安全な場所に避難させます。それを見ていた反乱兵士たち、自分たちが自分の子のように、あるいは年の離れた弟のように可愛がっていたカリグラが軍を離れていくのを見て大変な寂しさを覚えます。そして口々に叫びます。
「俺たちが悪かった!カリグラを他の場所に連れて行かないでくれ!」
どうにも当時のローマ兵というのは戦場では勇壮な割に涙もろいところがあります。つーか働けよ。
世の中には「いつの時も誰からも愛される人」というのがいます。天真爛漫天衣無縫森さんお酒が大好きで~好きで~好きで~大好きで~、誰からも愛され、またその本人もその愛を受けることを当然と思っているかのような人。「愛してくれ」などと口にするまでもなく、まるで降り注ぐ太陽のように愛を注がれることが日常である人。カリグラもそんな人間でした。
父ゲルマニクスの死後、母や兄弟の追放という悲しい事件が起こり、結果カリグラは当時の皇帝ティベリウスに引き取られカプリ島で住むことになります。一説には彼の母や兄弟の追放は皇位を望んだティベリウスの策略によるもの、という説もありますが真相は分かりません。
ただしはっきりとしているのはティベリウスはカッちゃんを思いのほか可愛がった、ということです。
老境を迎えた皇帝ティベリウスは孫であるゲメッルスとカリグラを自身の後継者と考えます。しかし愛されることが当然のカリグラにはそれが許せなかったのでしょう。愛されるのは自分ひとりでいいのです。ティベリウスの死後、自身の暗殺を企てたという理由にゲメッルスを処刑します。
そしてここに第三代皇帝カリグラが誕生します。
名門に生まれ、あのユリウス・カエサルとアウグストゥスの血を引く24歳の青年(一応、ティベリウスの家系でもありますが当時ティー坊は嫌われていましたからこのことに言及する人はいませんでした)。
精悍な体と愛くるしい笑顔、しかし実績は何一つありません。軍を指揮したことも政治を行ったことも。しかし元老院とローマ市民は大喝采でこの皇帝を迎えます。ローマ史上これだけ歓迎された皇帝もいないのではないでしょうか。その理由は前皇帝ティベリウスの不人気の裏返しでもあります。カエサル、アウグストゥスの血も引かず、ローマから離れたカプリ島に引きこもり恐怖政治を行ったティベリウス、その次を継ぐものが「カエサルの血」を継ぎ、また英雄ゲルマニクスの実子。民衆に異存は一切ありません。
愛された男カリグラは民衆の心をつかむ方法であれば誰に教えられるとなく知っていました。
就任挨拶の第一声は「私はティベリウスと反対のことをやる」でした。熱狂する民衆。更に「ローマを居とすること」「減税」「ティベリウスが行わなかった剣闘大会の開催」などとにかく民衆の欲しがっている政策を声高々に発表します。
愛されること、愛を更に増やすことにかけては天性のものがありました。
しかし残念ながら彼にはその愛を継続させるためのプランは何一つありませんでした。
カリグラの政策でただひとつ評価されていることがティベリウスが築き上げた属州支配システムを一切いじらなかったことです。ティベリウスが長年にわたり築いたそのシステムは見事なもので一切のトラブルが起こりませんでした。カリグラはそのシステムを何一つ変えることがなかったのです。
しかし裏を返せばいじるプランもいじるつもりもカリグラにはなかったのです。属州の司令官を変えたところで民衆はそんなの気にしないからです。愛されるためには何でもする、しかし愛されないことは何もしない、これがカリグラの政治です。
たびたびカリグラは古代ギリシャ風の格好や古代の英雄ヘラクレスを真似て獅子の毛皮をかぶった扮装をしていたそうです。コスプレです。うるさ型の元老院は眉をひそめますがローマの若者には大人気。
民衆の愛を得るための減税と華やかな剣闘大会を頻繁に開催。剣闘大会どころか戦車レースも開催します。
当然のことながら国家の財政は破綻します。しかし、そのことに気づくものは当時のローマには誰もいませんでした。
民衆にとって耳障りの良いことだけを言い、そしてそれを実行する若き皇帝。その彼を病が襲います。
…to be continued...
おもっさーい
久しぶりに言いますよ
( ゜д゜)< ツヅキー!!
基本的にこのシリーズは「月一、毎日更新」を考えてます。だから次の更新は明日未明の予定です。おたのすみに~。