浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

ローマ人列伝:カリグラ伝2

2008-04-03 00:08:53 | ローマ人列伝
カリグラを襲った病がなんだったのかは分かりませんが、生死の境をさまよう大きな病でした。

当時、首都ローマはもちろん属州のガリアやエジプトでさえも民衆は口々に言ったそうです。「やぁ、こんにちは、ところでローマの皇帝は大丈夫だろうかね?」と。

もしここで彼が死んでいれば、「ローマ帝国一愛された皇帝」という称号のまま死んだかも知れません。しかし彼は回復します。

生死の病をさまよったカリグラ、どれだけ愛されていても人はいつか死ぬ、という当たり前のことを悟ります。「だったら好きなように生きるぜ!」とダメなロックンローラーみたいな感じになっていきます。

政治は適当、やることは酒とセックス。そばで見ている元老院は眉をひそめますが公邸内部のことなど何も知らないローマ市民、未だにカリグラのことは愛しています。相変わらず税金は安いし剣闘大会は頻繁に開催されていますから。

当たり前ですが、財政は破綻。

さすがのローマ市民もカリグラの政治を疑い始めます。

愛されることが得意な人間は愛を失うことに敏感です。カリグラはすぐに気づきます。「あでー??おかしーなー、みんな愛してくれなくなったよ」

愛され上手で愛されていないと満足できないカリグラ、誰からも愛される方法を思いつきます。

当時の市民から愛された皇帝の代表といえば既に死んでいる神将カエサルと神君アウグストゥス。自分の血のルーツである2人のことを思い出したカリグラはこう思います。「そうだ、神になればいいんじゃん!」

皆さん当然突っ込みたくなると思いますがカエサルもアウグストゥスも「神だから愛された」のではなく「愛されたから神になった」のです。それを若きカリグラ(20代前半)はわかっていません。彼は全ローマ市民に宣言します、「俺は神だ!」

神を自称するカリグラは更にやりたい放題、セックス、ドラッグ&戦車レース。「だって俺、神だもーん」

政治的なことで言えば公共事業を行いましたがそれも競技場や戦車レース場、自らを祭る神殿を作っただけ。


財政難、元老院からの非難、市民の不満。それらは結果としてひとつの形を成します。


紀元前四十一年一月二十四日。

ローマ、パラティーノの丘では神君アウグストゥスに捧げる祭事が開催されていました。祭の五日目であるこの日は演劇大会の日。ローマの俳優たちが舞台を演じます。こういうイベント事に顔を出し市民に挨拶することが皇帝としてのいや、市民から愛されるための重要な責務と考えていたカリグラはきちんと出席します。このときカリグラ28歳。



午前の部が終わり、昼食に向かおうとしたカリグラ。彼の身の回りを固めるのは屈強な近衛軍団。何人たりともこの若き皇帝に触れることは出来ません。

そう、近衛軍団兵以外は。

突然、カリグラの背中が血に染まります。


…to be continued...

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (よね3)
2008-04-03 13:07:33
( ゜Д゜)<コラ! マタイイトコロデ!!
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Unknown (ドッピオ)
2008-04-03 21:42:44
ベタだけど第一声は「なんじゃこりゃ~!」なんだろうな。
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Unknown (show)
2008-04-03 23:13:42
>よね3

このへんのつなぎが一番神経使うところなんですよね~。

>ドッピオ

ちょっとそのパターン考えたけど止めた。もっとかっこよくしたかったから。
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