なあむ

やどかり和尚の考えたこと

三ちゃんのサンデーサンサンラジオ96

2017年02月26日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

今日は2月26日、2月最後の日曜日です。

金曜日、訃報が入りました。
シャンティ国際ボランティア会の名誉会長、松永然道老師の遷化です。
老師と初めてお会いしたのは1980年、タイのバンコクでした。
私が、曹洞宗教団が設立した団体のボランティアとしてカンボジア難民支援に現地にいた時、バンコク事務所長として着任されたのが老師でした。
長年海外開教師として南米、ハワイ、北米に赴任されていた老師が、ようやく帰国されたのを待っていたかのように、事務所長に要請されたのでした。
老師を説得したのは、先に遷化された有馬実成老師で、その誘いの言葉が有名です。
「ボランティアなどというものは社会の底辺でうごめくウジ虫みたいな存在ですよ。松永さん、私と一緒にウジ虫になりませんか」。
その誘いを意気に感じてバンコクに行くことにしたと、松永老師は語っていました。

背の高い、見栄えのいい和尚さんという第一印象でした。どこか洋行帰りの臭いがしました。
穏やかで優しいお人柄が、若いボランティアたちを温かく包んでくれました。
その後、曹洞宗ボランティア会、後のシャンティ国際ボランティア会の初代会長となり、多くのスタッフや会員の心の支えとして先頭に立ってくださいました。ずっとその背中を見てきました。
老師はよく「我々は、この会がなくなるためにやっているんだ」と語られました。
つまり、この世界にボランティアなどの存在が必要ないような社会を造るために活動しているという、けだし名言でした。
一緒に難民キャンプ、カンボジア、ラオスにも行きました。
側にいるだけで心が解けていくような安心感を感じました。
一方、指で鼻の頭を掻きながら少し上目遣いで相手を見つめるときは、本性を見透かされているような怖さも感じました。

また、私が講師として永平寺に上山した時には、既に国際部長としてお勤めでしたので、こちらでも大変お世話になりました。
毎日のように国際部を訪ねては、慈悲の衣の袖にすがっていました。
永平寺を下りてからも、気の合う役寮仲間で集まって、毎年楽しい時間を過ごしたりもしました。
そんなご縁が重なって、父親のように慕い、敬愛してやまない、私の人生にとってとても大きな存在でした。

病気をされてから、記憶が不確かになり、晩年は施設で生活をされていました。
最後にお会いしたのは、一昨年、施設にお邪魔したときでした。
「記憶があいまいですよ」と伺っていましたが、私の顔は覚えてくれていて、うれしそうにニコニコしてくださいました。
年末に肺炎に罹って入退院を繰り返し、一昨日2月24日、静かに息を引き取られたそうです。
昨年秋には奥様に先立たれ、老師も追いかけるように旅立たれました。寂しい限りです。
昨日は、静岡の寺に駆け付けてきました。
痩せておられましたが、穏やかな表情はそのままに、美しい尊顔でした。

山形は雪かきをしてから出かけたのですが、静岡は春のように暖かく、何という品種か知りませんが、2月というのに桜の花びらが散りかけていました。
 散るを定めの花なれば はらはら散りてすべもなし

60歳はいい年だと思ってましたが、お世話になった人たちとの別れの年代であると言えなくもありません。
これからも寂しい思いが続くのでしょうか。耐えていくしかありませんね。
みんなお元気で。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。


三ちゃんのサンデーサンサンラジオ95

2017年02月19日 05時00分08秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

今日は2月19日、日曜日です。

当地、今年の雪は落ち着いたのですかね。
鳥取など西日本では大きな被害が出ているようです。
いつも降らないところにどっと降ると、その困難さは降りなれている雪国とは比べものにならないだろうと想像されます。

さて、先週お知らせしましたキリバスの環境講演会について、報告しておきたいと思います。
急な計画、ご案内にも関わらず、会場の長表公民館には50名ほどが集まってくれました。
講師のケンタロ・オノさんは、先週も少しご紹介したように、15歳で高校を中退して単身キリバスに渡ったのですが、そのきっかけは、テレビで「兼高かおる世界の旅」を見たことだったとか。あの伝説の長寿番組ですよね。
ケンタロさんは現在39歳ですが、その子どものころにまだ番組があったんですね。
小さいころから海外に関心があって、欧米などへ行く選択もありましたが、年取ってからも行ける所よりも若いうちにしか行けない所にしようと考えたときに思い浮かんだのが、テレビで見たキリバスだったのです。

東京にあった領事館を訪ねると、興味をもってくれ、旅費を出してあげるから行きなさいということになったのだそうです。
「それはもう、運命のようなものですね」とケンタロさんはおっしゃいました。
そのまま現地の高校に入り卒業し、仕事も見つけ、現地の方と結婚をして、キリバス国籍をとったのでした。
そうしている間に地球温暖化が進み、国が存亡の危機に瀕するような状況になってきました。
これまでに来たことがなかった台風が襲来したり、海岸線が侵食されたり、サンゴが白化したり、地下水の塩分濃度が濃くなってきています。
政府の指導者は、最悪のシナリオとしてフィジーへの移住も考えています。

「しかし、そんなことはキリバスの子どもたちに言えないんです。近い将来君たちの住む国がなくなるんだよ、などと、子どもたちの目をまっすぐ見て言えますか?言えません。言いたくないです。」
もし移住しなければならなくなったとしても、環境難民にはなりたくありません。
「尊厳ある移民をしたいのです。」
尊厳ある移民とは何か、それは、周囲の人に負担をかけない、役に立つ隣人として移住することだと、ケンタロさんは言いました。
キリバスの国旗には3本の青い波が描かれています。
それは、3つの諸島を表すとともに、「健康」「平和」「名誉」を表現しているとのこと。
なるほど、名誉・誇りを重んじる国民であることがケンタロさんのお話を聞いて分かりました。
先進国の人々の排出した温室効果ガスによって温暖化が進み、真っ先にその影響を受ける南の島国。
しかし、キリバスの人々は先進国の人々を責めてもいないし攻撃もしていない。反発によっては何も生まれない。
そうではなくて、同じ地球に住む仲間として、共に生きていこうとしているのです、とおっしゃいました。
それこそが「名誉」だと思いました。
2000年ほど前からここに住みキリバス語を話すキリバス人。
長い歴史の中で、厳しい環境を生き延びてきた自負が誇りとなっているのでしょう。
大戦時この国を占領していた日本人に対して「それは昔のことです。あなたがやったことではないでしょ」と、いたって寛容に受け止めてくれているようです。

キリバスの子どもたちが、少しでも長く自分たちの国土で生きることができるために私たちは何をすればいいのでしょうか。
講演の最後にケンタロさんは次のように話を締めくくりました。
「私は皆さんに感謝をしたいと思ってここにやって来ました。少しでも環境問題、温暖化に関心がある皆さんのお陰でキリバスの国民はまだ何とか自分の国で生きることができています。
皆さんが関心を持ってくれなければ、もしかしたら今頃もうキリバスは住めない国になっていたかも知れません。
これからも関心を持ち続けていただきたい。全世界の一人ひとりが少しずつ関心を持つことによって、キリバス人は自分の国に住み続けることがでいるかも知れません。希望は捨てていません」と。

是非多くの方に、キリバスの現状を生の声として聴いていただきたいですね。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。


三ちゃんのサンデーサンサンラジオ94

2017年02月12日 04時55分04秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

今日は2月12日の日曜日です。

今日は、河北町で河北町環境を考える会主催の環境講演会があります。
講師は、キリバス共和国の名誉領事兼大使顧問である、ケンタロ・オノ氏。
オノ氏は、1977年仙台市の生まれで、15歳の時単身キリバスに渡り、現地の高校を卒業後キリバスに帰化しました。
そして現在は、キリバス名誉領事として、日本とキリバスの相互交流を促進しておられる他、地球温暖化の講演を数多く行っておられます。
東日本大震災以後、日本に戻り、キリバス人として仙台に住んでいらっしゃいます。
今回は、当会メンバーのたっての願いにより講演会が開催されることになりました。
とても楽しみにしています。

キリバス共和国という国がどこにあるかご存知でしょうか。
それは、赤道直下、太平洋のど真ん中に位置し、33のサンゴの環礁からなる島国です。1979年にイギリスから独立した若い国です。
1999年12月までは、国の中を日付変更線が走り、一つの国の中に日付が二つあるという珍しい国でした。
2000年を機に、日付変更線を国の東の国境に移し、それ以来、地球上で一番早く一日が始まる国となりました。
国土は33の島を合わせても佐渡島程の面積しかありませんが、排他的経済水域は世界3番目の広さになっています。
そこに約10万人が暮らし、椰子油の原料や、観賞用魚、海草などがわずかな品目を輸出し、食料、燃料など生活のほとんどの物資は輸入に頼っています。

日本との関係も深く、明治時代には貿易も始まっていたようです。
第二次世界大戦下では日本に占領され、アメリカ軍との激戦地にもなりました。
その後、日本のODAにより多くの支援も受けており、いわば親日の国民だと言われています。

そんなキリバスが今、危機を迎えています。
地球温暖化により気候変動が起こり、海面上昇によって、海抜2メートルの国土は消滅が予測されているのです。
このままいけば、2050年には人が住めなくなり、国そのものがなくなると言われています。
現在も、幹線道路や学校が冠水したり、飲み水としている地下水に海水が混じり始めていたり、サンゴの白化により魚が獲れなくなってきたり、国土の消滅以前に人が住めなくなる可能性が目の前に迫っているのです。

原因のほとんどは、人間による二酸化炭素排出からくる地球温暖化ですが、それはいわば先進国から排出されたものです。
人口10万人のつつましいキリバス人の生活が原因ではないはずです。
それなのに、最も早く温暖化の影響を受けてしまうのは、このようなキリバスやツバルやマーシャル諸島の人々なのです。
もしかしたら、南極大陸の氷河が溶けて大きな塊が海に落ちれば津波が発生すると言われていますが、海抜2メートルの諸島は、一瞬のうちに住民が消滅してしまうかも知れません。
まるで、国が余命宣告を受けているような状態なのですね。

さて、その事実を知った私たち日本人はどうすればいいのでしょうか。
いやいや、日本人というよりも、私たちは、私はどうすればいいのでしょうか。
そのあたりの話をじっくり聞いてこようと思います。

関心のあるお近くの方は、今日12日のことですが、午後1時30分より、河北町谷地長表(ながおもて)公民館にて開催しますのでお越しください。
入場は無料です。お問い合わせは、電話0237-72-2251、公民館長の青木さんまで。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。



三ちゃんのサンデーサンサンラジオ93

2017年02月05日 05時00分50秒 | サンサンラジオ
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

今日は2月5日の日曜日です。

先週「今季吹雪がない」などとつぶやいたせいで、先日猛吹雪に遭ってしまいました。
東京の会議からの帰り、いつものように古川駅で陸羽東線に乗り換え、さらに鳴子温泉駅で新庄行に乗り換えたまでは順調でした。
雪が風に舞ってはいましたが、吹雪というほどではありませんでした。
しかし、最上町では地吹雪が発生していたようです。
鳴子駅を出発した列車は中山平駅を無事通過。
県境を越えて山形県へ。最初の駅境田駅に着きました。
もちろん降りる人も乗る人もいません。
出発…。出発…。え、動かない。
ディーゼルエンジンが唸っていますが動く気配なし。
どうも雪に突っ込んで動けなくなったようです。
雪をかき分けながら峠を登ってきたのですが、一旦止まってしまったら、雪が固まってそれ以上動けなくなってしまったみたいでした。
車内アナウンスで「これから除雪します」と。
私は、隣の赤倉温泉駅まで連れ合いが迎えに来ることになっていたので、境田まで来てもらうことにして下車。
しばらくして、連絡を受けたJR保線区の2名が車でやってきて、列車の救出にかかったようでした。
きっと、そんなことを想定して待機していたのかもしれません。
いやー、なめてはいけないですね。やっぱり雪国です。安心してると痛い目に遭います。

さて、今日のお話は、呼吸について考えました。
呼吸は、心臓の動きと同じように、生まれた時から意識しないでしているものです。
でも時折感じるのです。
呼吸が浅くなっているなと。
例えば、朝起きて歯を磨いて顔を洗ったりする時、腹に緊張感があるような感じで呼吸が浅いと感じます。
そんな些細なストレスや緊張感に、呼吸は敏感に連動してしまうことに気づきます。
そんな時私は、意識的に腹式呼吸にして緊張をほぐします。
きっと、呼吸と精神状態には密接な関わりがあり、悩んだり、ストレスを感じたり、緊張したりしているとき、呼吸は浅くなっているはずです。
そんな時効果的なのが腹式呼吸です。
意識的に腹を引っ込めたり膨らませたりすることで、いつでも腹式呼吸はできます。
ですから、ストレスや緊張感で呼吸が浅くなっているのだとしたら、その時こそ、意識的に腹式呼吸をすればいいんだと思うのです。

仰向けに寝ている人を横から見るとき、お腹が上下することがあります。
これは睡眠時に自然に腹式呼吸しているという証拠です。
元々人間は、寝ているとき、無意識に腹式呼吸をしているのではないでしょうか。
それが何らかの影響で胸式呼吸になっているために、睡眠時に深い呼吸ができなくなって、眠りが浅く、目覚めが悪く、神経が休まらない状態になるのではないかと思います。
私は、睡眠時無呼吸症候群になって、CPAPという治療器具を使い始めてから、呼吸が深く、脳内に酸素が取り込まれるために、車の運転中に眠気がさすという状態はずいぶん軽減されました。

坐禅も腹式呼吸です。
背骨をまっすぐにして重心を下げると呼吸が楽になります。
逆に、坐禅中考え事したり悩んだりしていると、姿勢は前かがみになり、腹式呼吸ができていません。
ヨガの基本も腹式呼吸にあるようですが、きっと坐禅の始まりも、どうやったら深い呼吸ができて、頭を軽くして、脳に多くの酸素を送るかという方法論から生まれたのかもしれません。

この地球上に生きるものにとって最も大事な呼吸。
心臓の動きを自分の意識で早めたり遅くしたりはできませんが、呼吸はできます。
特に、ストレスによって呼吸が浅くなることがあるならば、腹式呼吸で深呼吸することによってストレスを軽減することもできるのではないか。いやできるはずと思います。

私なんか、それでお腹を膨らませているのですよ。肉ではありません。ウソです。

人が死ぬときに「息を引き取る」と言います。
吸い込んで吐けなくなったら人は死ぬのでしょう。
そう、人は自分のものを増やすためにではなく、他に与えるために生きているのかもしれません。
吸い込み過ぎた過呼吸の苦しみから解放されて、吐くことに意識しましょう。
頭も心も軽くなります。
吐いた力で空気は自然に入ってきます。
「呼吸」はまず「呼」<吐く>が最初なのですから。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。


©遠藤浩信(エンドーフォト)