石井信平の 『オラが春』

古都鎌倉でコトにつけて記す酒・女・ブンガクのあれこれ。
「28歳、年の差結婚」が生み出す悲喜劇を軽いノリで語る。

逝きし人々の無念

2008-09-04 09:58:05 | メディア
朝日新聞出版から、10月7日、次の本が文庫版で復刊される。

萩元晴彦・村木良彦・今野勉著
『お前はただの現在にすぎない』(副題・テレビに何が可能か)。

オラは、それの「まえがき」を執筆し、きょう編集部に送った。

執筆途中「ネット・サーフィン」をしていたら、今年の1月亡くなった村木良彦さんのコメントに出会った。

グラフィック・アート業界のサイト上で、彼は「これからメディアはどうなるか」というテーマでインタビューを受けていた。

「もしかすると、これからの数年はメディアにとって一番おもしろく変わるときかもしれません」。村木さんのコメントは、心にしみた。

思えば、彼が「メディア・ワークショップ」の塾長をやり、急変する情況に対応する人材育成に着手したのは20年以上前のことだ。

デジタル発信でローカル・ニュース局を作ろうと、彼が「東京MXテレビ」を立ち上げたのは1995年のことだった。

今や、ネット広告が遂に雑誌広告を追い抜いた。新聞とテレビのビジネスモデルは、破綻が近いと言われている。村木さんは、どれほどこの情況を見続けたかったことだろう!

原稿に、オラは村木さんのこと次のように書いた。


「村木良彦氏は日本の『テレビ労働市場』を変えた男である。TBSからのたった一人の退社のはずが、思わぬ多数の同調者を得て「テレビマンユニオン」を立ち上げた。

その後、陸続とつづいた制作会社を束ねる『全日本テレビ番組制作社連盟』(ATP)を組織し、理事長に就任した。

『地方の時代映像祭』を長期事業にし、出自はエリートでありながら、視座は常に『辺境』に、行動原理は『越境』だった。

その諸活動をすべて『僕のテレビジョン』と呼んだ。2008年1月永眠した」


この世は、あの世に行った沢山の人々の「無念」が残された空間だ。
そう思いながら、オラは暮れなずむ鎌倉の海岸を眺めていた。

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