先日、駅などにあるフリーペーパーで、近く「クリムト」という映画が、ジョン・マルコヴィッチ主演で公開されるということを知った。
何故今クリムトなのかはわからないけれど、先日
seedsbookさんのブログでクノップフの話題などが出ていたので、印象に残った。
僕は、クノップフなどのベルギー象徴派の展覧会に出かけたとき、クノップフの風景画はいいなと思ったものの、他の作家の作品があまりに少女趣味に見えて、肩透かしをくらったのだが、ことさらそう感じたのは、多分、ベルギー象徴派に、クリムトのレベルを期待していたせいだと思う。クリムトは、それほど強烈だった。
クリムトの絵の実物を初めて観たのは、クリムトとシーレを中心としたフランス世紀末絵画の展覧会だったのだが、その時、僕は本当はシーレの作品が目的で足を運んだのだ。だが、実際に展覧会を見て、強烈な印象を残したのは、クリムトの方だった。
勿論、クリムトの絵は、印刷物で何度も目にしている。だが、実物の迫力は全く次元が違った。
まずサイズに驚いたし、何より、画面の後ろにある何かが、透けて見えてくるようで、恐ろしかった。ただ耽美と言ってしまうには言葉が足りないような、何と言うか、薄気味悪さと、女性の体臭まで漂ってくるようなリアリティに、言葉が無かった。一言で言えば、得体が知れなかった。
僕はクリムトの生涯について、殆ど何も知らない。だけど、こんな絵を描くのだから、多分、目の前のものを全て飲み込まずにはいられない人だったのだろうということは見当がつく。映画、観てみたいと思う。