センスプロデュース研究所!

ヒトの五感と脳の関係、ヒトの五感の重要性の提唱、研究を行っている者です。

ヒトの脳の発達過程、(胎児~思春期)、

2006-03-30 22:14:55 | 感覚
父親の遺伝子を持つ精子と、母親の遺伝子を持つ卵子との出会いから私達の一生が始まる。心を生み出す脳も、両親から受け継いだ遺伝子のプログラムに基づいて形成される。
脳の発生は、卵子が受精して3週間経つと、長さ2mmほどの「神経管」が、胚(はい)の中に出来る。この神経管が脳の起源である。
「受精後7週」、身長2cmの胎児は、脊椎の神経細胞はすべて完成し、首や体の屈曲、手足の屈伸運動が現れる。大脳では神経細胞が分化し始める。
「10週目」、身長7cmに胎児は成長し、神経細胞が手足の末端まで伸び、胎児は子宮内で活発に運動するようになる。大脳、中脳、小脳、延髄に脳は分かれ始める。
「20週目」、脳幹や脊髄を中心に、神経細胞の軸策に「髄鞘」(ずいしょう)が出来はじめる。脳機能の整備が始まる。
「30週目」、身長45cmに達した胎児は、視神経や脳幹、脊髄から大脳に向かう軸策にも髄鞘化が始まる。中耳が出来上がり、外界の音が聞こえる(聴覚)の体制が出来上がる。
光が脳に伝えられるようになる。
「37週目」、身長50cmとなり、大脳皮質の皺が増えて、大脳内部の軸策(ニューロン)
にも、髄鞘化が始まる。やがて脳の活動も一時的に抑制され、出産を待つのである。
いよいよ、ヒトが外界にデビューである。
生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、「約400g」あり、成人の約4分の1である。
これが1歳で900gとなり、3歳で1000gとなり、成人の80%程度まで発達する。
140億個とされている、脳細胞の数は我々成人とほぼ同じである。
但し、脳細胞の数は成人とほぼ同じでありながら、成人と同じ行動や活動が出来ないのは、神経細胞の発達が未熟で、十分な学習や体験などされないというものがある。
また、五感の発達も未熟で、脳に刺激情報が記憶や伝達も不足しているので我々成人とは細胞の数が同じでも、行動となると大違いなのです。
次に、赤ちゃんから思春期までの、神経と脳の発達について説明致します。
※(新生児から3ヶ月頃まで)、延髄~橋の神経発達、
母親の乳首を探し、乳を飲むなどの反応がみられる。生まれたばかりの赤ちゃんの神経発達は延髄や橋の一部で、反射的な行動が主である。新生児にだけみられる反射を「原始反射」という、例えば赤ちゃんが空腹になると乳首を探し乳を飲むのは、この反射行為である。
※(4ヶ月頃から2~5歳頃まで)、中脳の神経発達、
寝返り、四つん這い、お座りが可能になる。
神経発達が中脳レベルに達すると、「原始反射」は徐々に消え、「立ち直り反射」が出てくる。7~12ヶ月頃に顕著にみられる。2歳~5歳にかけて消えていく。神経発達が中脳レベルに達すると、「寝返り」「四つん這い」「お座り」手を伸ばして掴むことができる。また、母親の顔が分かるようになる。
※(6ヶ月頃~成人)、大脳の神経発達、つかまり立ち、歩行、複雑な行動や活動が可能になる。
大脳皮質の神経発達が始まり、体のバランスをとって姿勢を保つ「平衡感覚」の能力が養われる。つかまり立ち、伝い歩き、歩行、さらに複雑な行動もできるようになって行く。人間の基本的動作に関係する部位の髄鞘化は、3歳頃までに完成する。
6歳頃までに基本的動作が出来るようになり、大脳の髄鞘化は20歳頃まで進行する。
※乳児期
「笑う」「泣く」などの感情表現は、順に追って発達として行く。
「笑う」行為は、「快」の感情表現で、生後間もない赤ちゃんは、母親が見つめると、じっと見返し、話しかけると口を開いたり、あくびをしたりする。
生後2週間ぐらいまでに微笑みが始まる。
また、「泣く」という行為は、「不快」の感情表現で、悲しいというよりは、不快感(空腹)やさびしさの表現手段である。
生後1ヶ月以内の赤ちゃんが泣くときには、涙を流すことはない。
※幼児期
3歳ぐらいまでに成人の80%位まで完成したヒトの脳は、言語中枢の発達により、女児ではとくに顕著に言葉の発達が表れる。
また、男女の脳の違いがはっきりしてくる、遊びの質も変化し始める、男の子は、動く物に興味を持ち、車や飛行機、ロケットなどスピード感のあるものに興味を持つようになる。逆に女の子は、室内遊びでの「ままごと」や「人形遊び」お医者さんごっこなどを好むのである。
私が、幼稚園で男女10名に「好きな物」を絵に描いて貰った実験では、男の子は、やはり、ロケットや漫画のキャラクター、自動車などスピード感のある絵を描き、あまり人物は登場しない。また、単色使いが多い特徴がある。逆に女の子は、自分やお友達を中心に、お花畑、樹木やペットが居て、雲や太陽などあり、色彩的に豊かである。平面的(2次元)的な絵を描くのである。男の子は「立体的」なものを描く傾向にあるのです。
この好みの違いは、脳梁という、右脳と左脳をジョイントしている脳部に関係しているのです。男性より、女性の方がこの脳梁の細胞が1.5倍ほど多く、左脳と右脳の両方を使って言葉を使い、感情を表現するので、女性の方がおしゃべりで、コミュニケーションに優れている。男性は、空間認知に優れており、理論的である。
※思春期、
思春期になると、休止状態にあった精巣や卵巣が活発に働き、性ホルモンの分泌により、男性は精巣から男性ホルモン「アンドロゲン」が分泌され、女性では、卵巣から女性ホルモンの「エストロゲン」が分泌されます。
これらのホルモンの影響によって、男性は体毛の発生や声変わり、女性では乳房が大きく成り、体の性別化を促す。性ホルモンは、身体だけでなく、「脳と心」の働きまでも、子供の頃とは違ってくる。だから、この思春期時に心の変化が表れ、「反抗期」などと表現される時期なのです。所謂、生物界で言われる、大人への脱皮の時期と言えるでしょう。
思春期の性ホルモンが作用する脳の場所は「大脳辺縁系」と「視床下部」と呼ばれる部分にあるのです。胎児期の脳は、すべて女性型であるが、男性では胎児期のある時期に、自己の精巣から分泌されるアンドロゲンが、大脳辺縁系-視床下部の一部を男性型に変化させるのである。
思春期にみられる男性の攻撃性は、大脳辺縁系の「扁桃体」感情を司るや「視床下部」の腹内側部などを男性ホルモンのアンドロゲンが刺激されることと関係している。攻撃性は扁桃体や視床下部が「恐れ」や「怒り」を造る「ノルアドレナリン」の脳内物質によって生み出される動機に繋がるのである。
最近では、子供達が取っ組み合いのケンカをしないし、遊び方も変化してきている。室内遊びのゲームの行う時間も多く、上手く、怒りの感情をコントロールすることが出来ない子供達が急増している。だから、大脳辺縁系、視床下部のコントロールしている「前頭葉」の発達が不足しているし、遅延しているのである。
前頭連合野の発達の不足から「キレやすく」「怒り」をコントロールすることが出来ず、キレて、多くの事件や強迫事件を起こす中学生が圧倒的に男性が多いのは、前頭連合野を鍛錬する実体験不足から来ていると私は提唱している。
女性の脳は元々女性型である。精巣を持たない女性の脳は、胎児期に大脳辺縁系、視床下部での神経回路の変化は起きず、女性型になる。女性特有の働きを示す、例えば、視床下部に直接作用して少食になり、体脂肪から「レプチン」という摂食抑制ホルモンを分泌することによっても、食欲を低下させると考えられている。
また、性ホルモンが活発に分泌される時期なので、夏場汗をかいて、顔を不潔にしていると「ニキビや吹き出物」も出やすい時期でもあるのです。これらの症状も性ホルモンによる影響からです。
このように、大人と子供の丁度、中間的な時期である「思春期」は、身体の健康維持と健康脳に重要な時期でもあります。また、心の傷や心のゆがみも起こりやすい時期でもあるのです。
心の傷やゆがみは、酷い痛み、恐怖や不安が繰り返されるとヒトの脳では、心の傷となります。そして不安定な愛着や脳の発達の歪みが生じるのです。その最たるものが「虐待」です。幼児期から虐待された脳では、驚き、怒り、絶望感、無力感などに襲われ、トラウマに成ってしまいます。緊張や不安などの極限状態の情動反応を起こすのです。
この長期の緊張や不安の情動反応は「コルチゾール」という、ストレスホルモンの分泌を促し、脳の構造や機能(心)の発達に悪影響を与えるのです。
つまり、子供を持つ親は、自分の子供に対して、「愛情」と「愛着」を持ち、優しい言葉で話しかけることです。特に乳児期には、抱っこ「触覚的」刺激によって、情緒が安定し、脳の発達を促すのです。このように当たり前と考えられている行為が、最近の母親では不足している傾向になります。このような体験の不足は、乳児が成長し、思春期に成長した子供達の脳に深く記憶されているのです。
幼児期には、野外に連れ出し、興味の有る物に触れさせ、見せ、聞かせ、触らせ、嗅がせ、時には味わせという、五感体験がヒトの脳を安定させ、発達を促し、ヒトの脳が発達して行くのです。これらの体験が何れ色々な能力として発揮されることに繋がるのです。この能力こそ「潜在能力」なのです。
ぜひ、お子様の居られる方々にこの文書を読んで頂くことをお勧め致します。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦、
参考文書、文献(ニュートン)脳と心のしくみ、





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