旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

(02)ワシは物理的な利益に弱い。のじゃ。

2010年07月29日 00時58分09秒 | 4章-スターウォーズと夏の日の恋(仮)
目 次
〈1 章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2 章-D線の切れる音〉の最初から
〈3 章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
〈4章-スターウォーズと夏の日の恋〉の最初から


(・_・)目が点である。

一瞬の思考停止状態を脱したのち、すぐ断ることにした。
当然である。
練習ならともかくプライベートまで、この先輩と一緒にいたいとは思わない。

福田先輩の気を悪くしないような口実を考えていると、
なかなか返事を返さないワシに焦(じ)れたのか、再び先輩の口が開いた。

「福山駅前のピカデリー劇場で、スター・ウォーズって云う映画がやってるだろう。
知ってるか?」

「スター・ウォーズ!?ですか?」

『スター・ウォーズ』といえば、
大阪大会に向かう途中の電車の中で、
棗田先輩と福田先輩が話題にしていた映画である。


ワシもテレビの番組宣伝などで知っていて、
気にはなっていた映画だ。

できれば、観に行きたい!

しかし一ヶ月2千円の小遣いのワシにとって
『スター・ウォーズ』に限らず、
映画など簡単に行けるわけがなかった。

ワシたちは田舎に住んでいるので、福山駅までの往復の電車代でさえ、かなり高い。

電車代と映画代。
それから映画館内でコーラとポップコーンでも買ってしまえば、
わずか2千円の小遣いなど一日でふっとんでしまうのだ。

『スター・ウォーズ』と聞いて少し気持がぐらついたが、
やはり断る事にしよう。

ワシの脳内では既に、断りの文句と口実が10以上出来上がっていたので、
その中から二、三みつくろって発射ボタンを押すのみであった。

すると福田先輩が『おおそうだ、忘れていた!』とでも言うような口調で、

「映画代は、奢るぞ」と、こう言うではないか。

以前も言ったと思うが、ワシは物理的な利益に弱い。

「僕も観に行きたいと思っていた映画なんです!」

ワシは発射ボタンを瞬時に切り替えた。
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