旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

(10)赤くないスパゲッティ。なのじゃ。

2010年09月25日 02時45分20秒 | 4章-スターウォーズと夏の日の恋(仮)
目 次
〈1 章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2 章-D線の切れる音〉の最初から
〈3 章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
〈4章-スターウォーズと夏の日の恋〉の最初から


「おい、チハル。今、車内で俺の事が分からないと言ったな!」

「えっ?はい、そう言いましたね。それが何か?」

何か先輩の気に障るような事を言ってしまったのか?

内心ビクビクしていると、福田先輩は胸ポケットの生徒手帳を取り出し、
付属の小さな鉛筆で何やらメモリ出すではないか。

そこで、いったい何をメモるのじゃ?
と思っていると、独り言のような福田先輩の呟き。

「…事前に服装を伝える…いや…目立つように何か持つべきか?…」

おいおいおい、あんたは今、既にワシと会っているではないか!

手帳に何やら書き込んだ後、先輩は別なページをめくり、
メモを見ながら映画の後の予定を語りだした。

「それからなチハル。
映画を見た後にスガナミ楽器へ寄ってギターを見よう」

スガナミ楽器とは福山で一番大きな楽器屋である。

「そこで時間をつぶして、
昼になったら『チャーリー』っていう店に行くからな」

「チャーリー?ですか」

店の名前がポンポン出てきた。
前に聞いた予定より、かなり具体的になっているではないか。

「ああ、昼飯を食いに行くんだ」

「昼飯ですか!?」

これは、計算に入ってなかった。持ってきた金額では絶対に足りない。
というより、電車賃以外は持ってきてないに等しい。

「あの…先輩。ワシ昼飯代までは持ってきては……」

皆まで言わせず、先輩がセリフを被せた。

「昼飯も奢るから心配するな」

「ええっ?!お昼もご馳走してくれるんですか!」

「チャーリーっていう店は、映画館の近くにある軽食喫茶で、
そこのボンゴレとかいうスパゲッティを食うんだ。
アサリの入った赤くないスパゲッティって事らしい」

ワシはケチャップ味の赤いスパゲティ以外、食った事がない。
あまり気が進まなかったが、とりあえず、お金の心配がなくなってホッとした。

というか、赤くないスパゲッティの存在自体、初耳なのじゃ。

「姉ちゃんが友達とよく行く店で、そこのゴンボレが女の子に人気だそうだ」

さっきは、ボンゴレと言ったような気がしたが…。

「へぇー、女の子に人気なんですか…」

適当に返事をしていたら、脳細胞が何かにつながった。

…女の子に人気?!

ワシは、このキーワードを聞いて、
やっと、福田先輩が今、何をしているのかに気付いたのじゃ。

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