さて、児童文学ではない第307回は、
タイトル:鏡のなかの鏡―迷宮
著者:ミヒャエル・エンデ
出版社:岩波書店
であります。
『モモ』、『はてしない物語』で知られるエンデの連作短編。
世界も人も全く異なる30の短編を収録。
非常に奇妙な作品。
一つの一つの短編は、それだけで一つの話として独立しています。
数頁に渡るものもあれば、たった2頁のものもあり、内容も千差万別。
ただし、前後で全くつながりがないわけではありません。
前の話で出た小さな要素が次の話で出てきます、本当に微妙だけど。
無理して深読みしようとすると、本当に迷宮にはまります。
それでは、と個々の短編の解釈を試みるのですが、これがまた難解。
エンデが自分の哲学を盛り込んでいるためか、理屈と皮肉を混ぜ合わせた奇妙な会話のオンパレード。
オチがなかったりするのは当たり前、最悪の場合、物語にすらなってないと思える話まであります。
あと、この作品をさらに特異なものにしているのが挿絵。
エンデの父にしてシュールレアリズム画家のエトガー・エンデが描いているのですが……正直、気色悪い。
好きな絵もないではないんですが(傘がいっぱい並んでる絵とか)、基本的には歪んだ景色ばかりだと感じました。
お気に入りは21番目の短編『山のうえの売春宮殿は、今夜』かな。
女王と乞食の舌戦は秀逸、二人の過去を想像するのも面白いです。
『ここは部屋である、と同時に』は素直過ぎて逆に面白くなかった。
エンデを児童文学作家だと思っている方にオススメ。
全体的にブラックな雰囲気が漂っているので、彼の別の面を見るには最適です。
(『はてしない物語』もある意味ホラーだけど……)
タイトル:鏡のなかの鏡―迷宮
著者:ミヒャエル・エンデ
出版社:岩波書店
であります。
『モモ』、『はてしない物語』で知られるエンデの連作短編。
世界も人も全く異なる30の短編を収録。
非常に奇妙な作品。
一つの一つの短編は、それだけで一つの話として独立しています。
数頁に渡るものもあれば、たった2頁のものもあり、内容も千差万別。
ただし、前後で全くつながりがないわけではありません。
前の話で出た小さな要素が次の話で出てきます、本当に微妙だけど。
無理して深読みしようとすると、本当に迷宮にはまります。
それでは、と個々の短編の解釈を試みるのですが、これがまた難解。
エンデが自分の哲学を盛り込んでいるためか、理屈と皮肉を混ぜ合わせた奇妙な会話のオンパレード。
オチがなかったりするのは当たり前、最悪の場合、物語にすらなってないと思える話まであります。
あと、この作品をさらに特異なものにしているのが挿絵。
エンデの父にしてシュールレアリズム画家のエトガー・エンデが描いているのですが……正直、気色悪い。
好きな絵もないではないんですが(傘がいっぱい並んでる絵とか)、基本的には歪んだ景色ばかりだと感じました。
お気に入りは21番目の短編『山のうえの売春宮殿は、今夜』かな。
女王と乞食の舌戦は秀逸、二人の過去を想像するのも面白いです。
『ここは部屋である、と同時に』は素直過ぎて逆に面白くなかった。
エンデを児童文学作家だと思っている方にオススメ。
全体的にブラックな雰囲気が漂っているので、彼の別の面を見るには最適です。
(『はてしない物語』もある意味ホラーだけど……)