つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

螺旋はめぐる

2005-06-15 17:58:05 | ミステリ
さて、ちょこっと変わり種の第197回は、

タイトル:小説スパイラル~推理の絆~(4)
著者:城平京
出版社:スクウェア・エニックス

であります。

漫画『スパイラル~推理の絆』の小説版。
これ、ガンガンNETに一部掲載されているんですが、小説版オリジナルのキャラクター小日向くるみの話がこっちで完結しているということで、買ってきました。

小日向グループ総裁、小日向紋十朗の孫娘、小日向くるみには悩みがあった。
紋十朗の陰謀で、警視庁の警部、鳴海清隆と推理勝負して勝たなければ彼と結婚しなくてはならない状況に追い込まれたのだ。
清隆は仕事をさぼって部下の羽丘まどかをからかうような道楽刑事だが、事件が起こるとさも始めから犯人が解っていたかのように解決してみせる嫌な野郎。
はっきり言って好みの範疇外、というか顔を合わせたくない手合いである。

表向きは破談に協力するようなことを言っているくせに、いざという時にいいところだけもっていく清隆。
へっぽこ上司にイライラをつのらせながら、惚れているのが誰の目にも明らかなまどか。
二人に挟まれたくるみは見事勝利して灰色の青春から脱出できるのか?
それはまた、別のお話であるのだが……と言いたいが、人生そうもいかない。

というわけで、現在も連載中の漫画『スパイラル』の外伝です。
十一巻でミステリではなくファンタジー色が濃くなり、賛否両論な原作ですが、私は特に気にしてないです。
もともと推理物というよりは心理戦を楽しむ漫画だったので、神がどーの悪魔がどーのと言おうが、主人公二人は飽くまで計算とバクチの両天秤で乗り切ってくれると思うので。

で、この小説版完結編、非常に素直(?)な推理物になってます。
くるみと漫画の主人公鳴瀬歩(清隆の弟)が一緒に捜査を進めるのが見所。
あと、ファンとして嬉しいのは歩君とまどかの出会いが描かれていることかな。

ラスト、くるみと清隆の関係は決着を見ます。
また、それまでの清隆の思惑も明かされます。
二人の決別の会話で、くるみの男前っぷりが炸裂してるのでファンなら読むべし。

メディアミックス小説読んだの久々だなぁ。
漫画が会話主体の作品だし、原作者本人が書いてるってことで、はずしはしないだろうと思ったからかも知れない。