つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

解説ってのはいらないな

2005-06-05 16:43:30 | 小説全般
さて、気付いたら昨日で開設してから半年だったの第187回は、

タイトル:エンジェル エンジェル エンジェル
著者:梨木香歩
出版社:新潮文庫

であります。

なぜか「家守奇譚」でも「裏庭」でもなく、「エンジェル エンジェル エンジェル」が次になってしまった(^^;
いや、「裏庭」も一緒に買ってあるので、次はこれにしようと思ってるけど。

さて、この本は150ページあまりの短い作品で、ふたりが主人公。
現代ではコウコと言う少女が中心で、認知症の祖母とのやりとりが主体。

もうひとりは、祖母……ばあちゃんだけど、その少女時代の「さわちゃん」

現代のコウコの話と、昔のさわちゃんの話が、1章ごとに切り替わって、文章も現代の文字と、旧字体とを使い分けている。
文章的にはこの使い分けが気になるかならないか、ってとこはあるかもしれないけど、私は気にならなかった。

もちろん、引っかかるところがないわけではないけれど、「西の魔女が死んだ」のときのような欠点とまでは言えない。

で、雰囲気は、ひたひたと、這い上がってくるような不気味さ、と言うか、怖さ、と言うようなものがあった。

コウコの側では熱帯魚のエンジェルフィッシュ、さわちゃんの側では聖書の中の天使。
また、コウコの側の悪魔と、さわちゃんの側の悪魔。

さわちゃんが友達になりたかった公子、コウコをコウちゃんと呼ぶ祖母。
ばあちゃんなのに、さわちゃんとまるで友達のように熱帯魚を飼っている水槽での出来事を中心に会話を交わすコウコ。

現代のコウコと過去のさわちゃん。
過去の公子と現代のさわちゃん。
天使と、悪魔と、神様と、愛情と、憎悪と……。

作品世界が現在と過去が交互に語られる、と言うだけでなく、複合的に絡み合って、離れた時間が重なり合っているような、そんな不思議な空気がある。

「西の魔女が死んだ」のほうはとても優しい物語だったけど、これを読んだあとだとすごいギャップがある。

けれど、なんだろう。
雰囲気はかなり違うんだけど、結局のところ、梨木さんの書いた話だ、と言う気がする。

怖い、と言うのもホラーとかミステリーとか、どぎつい感じとか、どろどろした感じじゃなくて、けれど日本的な怪談話のような冷たさがあるような感じじゃない。
……てか、このひとの作品の雰囲気はとても表現しにくい……。

で、読み終わったあとにどっかの精神科医の解説があったんだけど、なんか、こういう他人の解説ってのは、はっきり言って、いらない。
分析してくれたり、褒めるのはいいけど、自分の感覚と違ったりすることがほとんどなので、その読後感と言うか、味わっていた雰囲気ってのを壊された感じがする。

どっか別のところであーだこーだ言ってくれるにはかまわないけど、本の最後に載せてほしくはないね。
そのままの流れで読んでしまって、後悔するから(笑)