佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダーの条件93――成功モデルの提示は戦略遂行の要

2008-07-10 09:12:55 | 戦略眼
サミットの結果がどうあろうと、原油高騰とその余波で食糧危機に悩む国は多い。

日本だって食糧自給率39%なんだから、その余波が押し寄せ、すでに食品価格の値上げが相次いでいる。

政府はまだ余裕のある顔をしているが、穀物輸入が十分に保証できなくなる事態だって将来ないとはいえない。

そのサミットが閉幕しました。地球温暖化ガス排出量を2050年までに半減する長期目標を世界全体で共有することで合意したらしい。

“らしい”と言うのは、サミット首脳宣言では、この長期目標を合意したと明記していないからです。「なんとなくよさそうなことだから、そうしましょうよ」という感じなんでしょうかね。

福田さんがお好きな“全員参加型の全員賛成”――サミットではとりあずこれで格好をつけたわけでしょうが、それが効果があるとは正直なところあまり思えません。

こういうのは、日本人の理念チックな人のおかす間違いでしょう。賛成すれば、あるいは宣言すれば、あるいは約束を明言すれば、みなそのように活動すると思っているらしい。

言葉を重視しているからなんでしょうが、自分の言葉を平気で反故にする人はいくらでもおります。だから、言葉は何の意味もない。実も蓋もない言い方でしょうか。

そういう人間が跋扈する世界に、温暖化や環境対策をいかに広めるのか。答えは一つしかありません。それは、日本が成功モデルを示すことです。

成功モデルこそ最も雄弁なPR手段です。たとえば、太陽光発電については、いまドイツが最も成功している。ドイツは電力会社が太陽光発電でつくった電気を3倍の値段で買い上げているそうです。それが需要拡大の要因になっています。

日本でも2001年ごろ、自民党の政治家がたちがそういうことをしようとしたそうです。ところが、電力会社が反対してこの案はつぶれたとか。

このとき総理大臣がもっと熱意があれば、なんとかなっていたかもしれませんがねえ。

見通しがきかないから、先のことについては自信をもって言えないんだろうなあ。2000年ごろって誰が総理大臣でしたっけ?

いま、こういう環境になると、ドイツ方式を日本の産業界や役所も見直さざるをえないでしょう。

それにしても、日本のトップは見通しが悪い。よその成功モデルを見て、それを真似するのはとても得意なのですがねえ。サラリーマン社長や二代目政治家じゃだめなんでしょうか。

人の批判はいいでしょう。それよりも成功例を提示することです。そうすれば、我も我もと真似をしたがるようになる。勉強させてくれ、と教えを請いにくる。

国際コンセンサスも糞もありゃあしない。失礼、言葉がすべった。

「百聞は一見にしかず」とか「論より証拠」と申します。成功例の提示は、我が『伝動戦略』および『暗示型戦略』において、特に重視する要素です。

戦略遂行において、初期段階で効果的な成功モデルや成功事例を提示することが、戦略ゴールの達成には欠かせません。詳しいことは本をお読みください。

まとまらない論議を見かけ上まとめるためにカネと時間をかけ、食料不足で苦しむ国をよそ目に大パーティーを催し豪勢な食事をだす――このうえないばかばかしさです。

そんなことよりも、日本の指導者は、説得力ある成功事例の提示を目指すべきです。本気でそれを見せることができるような体制をつくり、社会を引っ張っていくべきです。

これは政治の話だけではありません。まっとうな意見がとおるような成功モデルや事例を、みなが提示しようではありませんか。生活者個々のレベルから企業・団体組織のレベルまで。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はんなり社長)
2008-07-10 11:26:28
>まっとうな意見がとおるような成功モデルや事例を、みなが提示しようではありませんか
これって本当に重要な事ですよね。
できるかできないかで、日本の将来は大きく違いますから。
Unknown (佐藤直曉)
2008-07-10 11:52:54
はんなり社長さま、
コメントいつも有難うございます!
ほんとに、成功モデルを示してもらわないと。
時代の分岐点だと思います。
ここでなんとかしないと……。

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