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習近平がトランプに与えたお土産の怪しさ

2017-11-12 16:11:35 | メモ帳

トランプ大統領の訪中に合わせて、習近平国家主席は総額2,500億ドルの対米投資や商取引で合意したと発表した。2016年度の対米貿易黒字は2500億ドルで、今回の合意はその昨年の黒字額にほぼ等しい。しかし、その商談は覚書程度のもので、契約ではないから拘束力はなく、実際に実現されるかは不透明 ―― とは新聞が報じたこと。

ここで私の昔話におつきあいいただく。

1970年代のこと、通産省はハンガリーとチェコスロバキア(当時)に輸入促進調査団を派遣することを決め、民間企業の参加を呼び掛けた。そして、私が勤務していた商社の食品本部長は私にその調査団に参加するよう命じた。

調査団はハンガリーとチェコスロバキア二国で合計1週間程度滞在し、両国政府の輸出促進部門の担当者の案内で、目ぼしいメーカーを何社か訪問し、将来の両国からの輸入目標を数字的に作成することを使命としていた。全部で100人ほどの大部隊で、農産物・繊維製品・化学製品など各分野に分かれ、団長は通産省OBの前中小企業庁長官だった。

私が所属したのは農産物班で、団員は商社の農産物部門の担当者、デパート・スーパーの買い付け担当者である。そして、団員の互選で私がそのリーダーということになった。

団員はそれぞれの企業の立場から、買い付けできる品目を調査したが、お互いに競争相手でもあり、正直に見解を述べることはなかった。そもそも、新たに輸入できるような品目が2-3日の滞在で見つかるはずもないし、実際問題として、特に買い付けたいと思うような商品は見つからなかった。

結局、農産物班としては、それまでの輸入実績に多少色を付ける程度の輸入目標を団長に提出した。ところが、団長は「そんな数字では困る。もっと意欲的な目標にしてもらいたい」という。そこで、私は数字を適当に水増しして最終目標とした。無責任といえば無責任だが、それ以上なにもできない。幸い、団長はその数字に満足して、そのまま通産省に提出したはずである。

さて、本題の中国の輸入拡大に話を戻す。トランプ大統領が来るからということで、中国政府が各企業に要請しても、即座に新しい事案が浮上するとは思えない。トランプが来ようが来まいが、日常の商取引が粛々と進行するだけのことである。

中国がトランプにお土産として提出した数字は、私が作成した輸入目標ほどではないにしても、似たようなものではなかろうか。トランプ自身もある程度その怪しさをわきまえた上で、聞き置いたと思う。要するに、あのお土産とは単なる政治ショウだったのではないか。

 

 

 

 

 



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