頑固爺の言いたい放題

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会社ぐるみの「法令遵守」無視

2015-08-22 13:21:57 | メモ帳

この論考は7月11日にアップした≪「法令遵守」無視のマンション管理会社≫の続編である。まず、前回の論考の要点をおさらいしておこう。

●私が住むマンションの管理費は、管理会社である大成有楽不動産(以下、大成)が管理している他のマンションの水準よりも約3割(私の場合で年額78,000円)高い。

●大成に「管理費を他のマンション並みに下げるにはどうしたらいいか、提案して頂きたい」と管理組合総会の席上で要請したところ、「よそが安すぎるのだ」「守秘義務がある」等々の理由で拒否された。一方、組合は現行管理費の維持を可決した。

●「マンション管理適正化法」によれば、マンション管理士とは、「管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする者をいう」と定義されており、大成の担当者N氏はマンション管理士である。私の要請は組合のサポートを得られなかったものの、下線部分によって、N氏は私の要請を拒否することはできない。

●「大成建設グループの行動指針」第3章には「適切なる情報開示」という項目があり、私の要請はこれに該当する。そして、特定の管理組合の情報開示を求めたものではないので、「守秘義務」とは無関係。なお、大成グループは社内ルールも含めた「法令遵守」を掲げており、「法令遵守」より幅広い概念を従業員の行動指針としている。

●大成が管理するマンションの中で、管理費が突出して高いのは、当マンションと同じ町内(担当者も同じ)にある「オーベルM」だけであり、他のマンションの管理費はほぼ平準化している。したがって、当マンションの高い管理費は、大成担当者の独走・暴走によるものと判断する。

ここからが今回の話である。

私は赤字部分の判断が正しいか否かを確認するために、大成有楽不動産の横浜支店長に配達証明付きの書面を送付して、これまでの経緯を説明しつつ「御社担当者の言動をどう評価しますか」と質問した。

しかし、残念ながら回答はなかった。無回答は、≪大成は当該マンションの異常に高い管理費を見直す意思はなく、「法令遵守」無視は会社ぐるみである≫ことの表明と受け取っていいだろう。すなわち、「担当者の独走・暴走」という私の判断は間違っていた。

一般論として、マンションの管理費はその販売広告に記載されているから、条件が同じようなマンションの販売広告を調べれば、その標準的金額を知ることができる。しかし、自分のマンションの管理費が高いと思っても、なぜ高いのかを知ることはできない。その情報を持っているのは管理会社である。

食品・家電製品などの一般商品なら、値段が高いと思えば、他店にいけばすむことだ。しかし、マンションの管理サービスには継続性・一貫性が求められるから、組合は簡単に管理会社を替えるわけにはいかない。取引関係は固定的であり、管理会社は節度ある料金設定をすることで、組合との信頼関係を構築しなくてはならない。

どうしても妥協点に至ることができないなら、組合は管理会社を変えることになるが、それには臨時総会を開催して組合員に事情を説明する必要があり、時間がかかる。

私が作成したデータによって、当マンションの管理費は大成が管理する他のマンションより3割高いことが実証されている。したがって、大成の経営戦略という観点では、私が作成したデータは無視し、現行管理費をできるだけ長く維持する策を選択するのがベストである。ましてや当組合は私の主張を退け、現行管理費の維持を可決したのだから、大成にとっては誠に都合がいい状況にある。

≪法令遵守≫もなんのその、恥も外聞もなく、ひたすら利益確保を優先するかぎり、担当者も上司もダンマリを決め込むのは当然である。

「大成グループの行動指針」には≪お客様満足の追求≫という項目もあるが、これは単なる建前に過ぎないらしい。

さて、このブログを見ている人は結構いる。7月11日付の≪「法令遵守」無視のマンション管理会社≫後編の最後の右下にある「コメント」欄に数件の投稿があり、なかには大成の名誉にかかわるものもある。大成の関係者は目先の僅かな利益にとらわれ、企業のそして大成グループの、信用を損なっていることに気付かないのだろうか。

 


安倍内閣の支持率

2015-08-16 09:59:15 | メモ帳

安倍内閣の支持率が落ち込んでいる。憲法学者がこぞって「集団的自衛権の容認は違憲」との見解を表明したことが大きく響いたと思われる。

私は、「安倍首相には言いたくても言えないことがあるために、集団的自衛権の限定容認に関する説明が歯切れ悪くなり、国民の共感を得られない」と推測している。

その言えないこととは

(1)  米国が世界の警察官の役割を放棄した。これによって、日本の有事の際にも、米国がどこまで本気になって助けてくれるか疑問がでてきた。しかし、これはあくまで懸念であって、安倍首相としては口にするわけにはいかない。

(2)  「米国は日本を助けるが、日本は憲法によって米国を助けることはできない」という現在の変則的軍事同盟では、米国政府としては国民(具体的には米軍兵士)を納得させることが難しくなった。そこで、米国はせめて集団的自衛権の限定容認に踏み切るよう日本に要請しているのだろう。安倍首相の立場から見れば、日米軍事同盟のタガが緩んでいるので、これを引き締める意味でも、集団的自衛権の限定容認を議会で可決したいということになる。しかし、これを正直に言うわけにはいかない。

(3) 米国の弱腰を見透かすかのように、 中国は南シナ海でやりたい放題。東シナ海でも日本との境界線のすぐそばで堂々とガス田を採掘し始めて、その拠点が軍事目的に使われる懸念がある。安倍首相としては、憲法解釈を変更する理由として中国の脅威を強調したいところだが、安保法制と中国をあからさまに結びつけると、中国から抗議されるから言えない。

日本はこれまで国連憲章で保持を認められている集団的自衛権を行使しないことにしてきたが、(1)(2)(3)のごとく国際状勢が変化したので、今後は限定的に行使できるようにしたいというのが安倍政権の立場である(こんなことは私ごとき素人が言わずとも、わかっている人はわかっているはずだ)。安倍首相としては「言えないけど、わかって頂戴」ということだろう。

なお、国際法は国内法に優先するから、集団的自衛権の限定容認が合憲か違憲かという議論は意味をなさない。

念のために、集団的自衛権が国連憲章第51条でどのように記述しているか確認しておこう。

国連憲章 51

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない

Charter of the United Nations, Article 51

Nothing in the present Charter shall impair the inherent right of individual or collective self-defence if an armed attack occurs against a Member of the United Nations, until the Security Council has taken measures necessary to maintain international peace and security.


マンション管理の問題点:≪自分の資産は自分で守る≫

2015-08-05 13:10:04 | メモ帳

≪自分の資産は自分で守る≫は、古今東西を問わず不変の社会原理である。しかし、この基本原理が機能していない世界がある。それはマンションの管理組合。どういうことかというと、管理組合の活動に参加せず、自分の資産の管理を人様に押し付けて平然としている組合員が多いことである。

当マンションの場合は極端なのかもしれないが、管理組合の総会の出席者は、役員を除くと、組合員の2割にも満たない。知人に聞いてみると、程度の差こそあれ、ほかのマンションでも大同小異らしい。自分でやるべきことを人様に押し付けるのは、道義的にも許されることではないが、欠席容認はマンション居住者の一般的通念となった感がある(私は役員ではないが、2年半にわたり、総会に欠席したことはない)。

以前、私はロサンゼルス郊外のマリナデルレイで100戸ほどの中規模コンドミニアム(日本でいうマンション)を所有し、居住していたことがあるが、その管理組合総会の出席率はほとんど100%。100人ほどの出席者が競い合って発言し、その熱気に圧倒されたものである。

一方、日本では出席者が少ないだけでなく、発言がきわめて少ない。だから、総会は形骸化し、理事会の決定事項(実は管理会社案)を追認するだけの場になっている。それどころか、理事会案に異をとなえようものなら、役員はじめ出席者に白い眼で見られる。つまり、日本では意思決定の主役は管理会社なのである(上記ロサンゼルスの例では、意思決定の主役が組合であることは言うまでもない)。国民性の違いとはいえ、あまりの落差に呆然とする。

さて、欠席常習者に欠席の理由を尋ねたことはないが、次のようであることは容易に想像できる。

①    「役員と管理会社に任せておけば間違いないだろう」

この考えは正しいことが多いが、そうではないことも多々ある。

●管理会社に良識と節度が欠けていると、管理費が不当に高く設定される(このブログ7月11日投稿の≪「法令遵守」無視のマンション管理会社≫参照)。

●組合員の利害は必ずしも共通ではない。例えば、駐車場使用料を値上げすべきであっても、役員が駐車場利用者だと値上げが見送られることがあり、駐車場を利用しない組合員との間に不公平が生じる。

そもそも、欠席者が多いと、多数決原理が働かなくなるという弊害を生む。その理由は、欠席者の白紙委任状は議長(理事長)の票に加算されるので、白紙委任数が多いと議決は出席者の意向に関係なく、議長の意向に委ねられるからである。

②   「総会に出席して顔が売れると、次の役員に担ぎ出されるかもしれぬ」

役員の選出には立候補制と輪番制の併用しかない。しかし、いずれの場合でも、総会の常連出席者であることが前提となる。総会に出たこともない人に、輪番制だからと言って役員を押し付けてもうまくいかないだろう。やる気がない人に無理やり役員就任を強制して、ろくに仕事してくれなかったら、組合員が迷惑する。どこの組合でも役員のなり手がなくて困っているようだが、まず欠席常習者をなくすことから始めるべきである。

さて、① に話を戻す。たとえ役員と管理会社に任せて間違いがおきていなくとも、それでよしとして総会に出席しないのは間違いである。自分の資産の保全状況を確認するためにも、そして役員のボランティア活動に感謝する礼儀としても、総会には出席すべきである。

では、「欠席常習者」をなくすにはどうしたらいいか。それには「欠席者は組合にペナルティーを支払う」か「組合は出席者に謝礼を支払う」のどちらかしかない。前者は組合予算にプラスになるメリットがあるが、考え方が後ろ向きであり、情緒的反対者が多いことが予想される。

一方、後者の場合は予算化しなくてはならないが、「仕事をしてくれる出席者への謝礼」という大義名分に対し、欠席常習者がこの議題の総会にだけ出席し、「謝礼」案に反対論を述べることは論理的に不可能(笑い)。したがって、「謝礼」案は出席者と白紙委任状の合計による多数決で可決されるはずである。謝礼の金額は多すぎず、少なすぎずという観点で、5千円が適切だろう。理想は、全員が出席して謝礼が無意味になることであり、そうなれば謝礼制度を廃止したらいい。

さらに、総会出席者への謝礼を予算化するのであれば、役員に対する謝礼も同時に予算化すべきである。理由もなく欠席し、自分の資産管理を人様に押しつけている欠席常習者と、総会のみならず理事会にも必ず出席し組合員のために無償で尽力する役員とでは、あまりにも差がありすぎ理不尽だからである。

役員に対する謝礼を総会の議題にすることは、役員が自分たちの便宜を計らうことなので、言いだしにくいだろう。ついては、一般組合員が謝礼の金額も提示した提案をする形にして解決すべきである。

規則で縛る社会は性悪説に立脚するものであり、好ましい姿ではない。できれば、緩めの規範でホンワカと組合を運営したいものだ。しかし、私の住むマンションではそんなホンワカムードではやっていける状況ではない。他のマンションでも同じような状況にあるところは多いのではないか。

≪自分の資産は自分で守る≫という基本的社会原理が機能しない以上、金銭的に解決するしかないのである。