来年2月、“リゾートマンションの価値向上のための民泊”と銘打ったセミナーが開催される。趣旨は、リゾートマンションを外国人旅行者の宿泊-いわゆる民泊―に活用しませんか、である。なお、主催する株式会社エンゼルは、リゾートマンション専門の管理会社。
http://www.angel-r.com/resort-seminar2017/
リゾートマンショは、熱海・伊東・熱川・箱根・新潟県湯沢などに多く存在し、セカンドハウスとして利用されることが多い。だから、所有者は自分が利用しない日は外国人観光客に貸すことにより、予定外の収入が得られるというメリットがある。
さらに、中古リゾートマンションが大幅に値崩れしているという事情もある。10万円というタダ同然の物件は極端な例としても、専有面積50平米、プール・温泉大浴場つきで200-300万円という物件はゴロゴロあり、需給のバランスが完全に崩れている。
買い手が見つからないなら、売却を断念し賃貸に出したらよさそうなものだが、それでは自分が利用できなくなるし、テナントが入っていると購入希望者に物件を見せることができず売りにくい、という事情がある。
こうした諸般の状況を勘案すると、リゾートマンションを民泊に活用するのは名案のように思える。しかし、話はそう簡単ではない。それは、定住者と非定住者の利害が完全に対立すること。
ほとんどのリゾートマンションには、温泉大浴場があり定住者の憩いの場になっている。特に女性の場合は、顔見知りの人たちとおしゃべりを楽しむ場である。だから、そこにドヤドヤと外国人が入ってくることは、到底受け入れられないのだ。
区分所有者全員による多数決なら、多数派である非居住者の主張が通るだろうが、管理組合の理事はほとんどが居住者である。したがって、民泊案は理事会の段階で否決され、総会の議案とはならないだろう。
妥協案として、宿泊料のなにがしかを管理組合の取り分とすることが考えられるが、それがあまり多くては、貸し手の取り分が少なくなる。さらに、シーツの取り換えに人件費がかかるということもあるし、室内に置いてある食器や台所器具、調度品が紛失するのではないか、という懸念もあるだろう。
要するに、リゾートマンションの管理組合が民泊を受け入れるには、数々の難題が控えているのだ。そうかといって、管理組合を通さない運営企業と貸し手の個別交渉は、合法であっても運営企業としては効率が悪い。
結論として、リゾートマンションを民泊に活用する案はかなり難航すると予測する。