文藝春秋・2004.11.10
田村小夜子は3歳の娘を持つ専業主婦。公園に遊びに行っても誰とも馴染むことができないのは小夜子も娘も同じだった。今の自分を変えるためにと、小夜子は子供を保育園に預けて働こうと決心するが、夫も姑も不満気だった。そして採用になったのは、小夜子と同年齢の楢橋葵が経営するベンチャー企業の新規部門である掃除の仕事だった。
葵は中学時代いじめが原因で一家で都会から田舎へ引っ越した経験をもち、そこで出会ったナナコという少女と友達になった。同じクラスにいながらも学校では知らぬふりをし、校外ではさまざまな話をしていた。お互いにたったひとりの友達。そのナナコとの関係がある事件をきっかけに一変してしまう。
小夜子の現在の苦悩と葵の過去が交互に綴られていく。第132回直木賞受賞作品。
角田さんとは相性が良くないと思っていたのだが、この作品には惹きつけられた。30代の立場のまったく違う女性たちが主人公だが、既婚も未婚も、経営者も社員も関係なく、ひとりの女性、ひとりの人間としてのつながりが気持ちよく描かれていた。高校時代の葵の「なんのために私たちは大人になるの? 大人になれば自分で何かを選べるようになるの?」という叫び、現在の小夜子の「なぜ私たちは年齢を重ねるのか」という苦しい思い。そのほかのどの言葉も、私もかつて感じてきたこと・・・。読みながら、涙を堪えていた。小夜子が出した結論が、これからの私に力を与えてくれたと思う。(05/01/31)
田村小夜子は3歳の娘を持つ専業主婦。公園に遊びに行っても誰とも馴染むことができないのは小夜子も娘も同じだった。今の自分を変えるためにと、小夜子は子供を保育園に預けて働こうと決心するが、夫も姑も不満気だった。そして採用になったのは、小夜子と同年齢の楢橋葵が経営するベンチャー企業の新規部門である掃除の仕事だった。
葵は中学時代いじめが原因で一家で都会から田舎へ引っ越した経験をもち、そこで出会ったナナコという少女と友達になった。同じクラスにいながらも学校では知らぬふりをし、校外ではさまざまな話をしていた。お互いにたったひとりの友達。そのナナコとの関係がある事件をきっかけに一変してしまう。
小夜子の現在の苦悩と葵の過去が交互に綴られていく。第132回直木賞受賞作品。
角田さんとは相性が良くないと思っていたのだが、この作品には惹きつけられた。30代の立場のまったく違う女性たちが主人公だが、既婚も未婚も、経営者も社員も関係なく、ひとりの女性、ひとりの人間としてのつながりが気持ちよく描かれていた。高校時代の葵の「なんのために私たちは大人になるの? 大人になれば自分で何かを選べるようになるの?」という叫び、現在の小夜子の「なぜ私たちは年齢を重ねるのか」という苦しい思い。そのほかのどの言葉も、私もかつて感じてきたこと・・・。読みながら、涙を堪えていた。小夜子が出した結論が、これからの私に力を与えてくれたと思う。(05/01/31)