文藝春秋
二十歳で家を飛び出し、勝手に結婚し子どもを産んで離婚し実家へ帰った著者は、親とも和解し地に足を下ろした生活を始めた。ところが、そのわずか1年後、母親が脳血栓で倒れ、体と言葉の自由を奪われた。そこから父親と一緒に長い介護生活に入っていく。10年間という長い期間を自宅で介護したが、介護する側にも生活があるし、老いも始まる。著者は以前から取材先であった老人ホームに母親を入居させ、自分たちもその近くへ引っ越すという介護方法に辿り着く。父親との確執、離れて住んでいる兄姉との距離、手をかけられなかった一人息子、自分の仕事、悩み続けながら生きていく。
自宅で10年、ホームで2年半、長い介護生活を最後までやりぬいた著者は、本当に気持ちの熱い人だと思う。これから超高齢化社会に突入していく日本だから、とても他人事とは言っていられない。誰の身にも介護するとき、されるときが必ずやってくるという、そんな緊張感を持って読んだ。幸いホームの園長、ヘルパーさんたち、そこに入居している方が、みんな明るく前向きで力強かったので、方向は見えたかもしれない。しっかり生きろと背中を押された感じがする。(02/01/29)
二十歳で家を飛び出し、勝手に結婚し子どもを産んで離婚し実家へ帰った著者は、親とも和解し地に足を下ろした生活を始めた。ところが、そのわずか1年後、母親が脳血栓で倒れ、体と言葉の自由を奪われた。そこから父親と一緒に長い介護生活に入っていく。10年間という長い期間を自宅で介護したが、介護する側にも生活があるし、老いも始まる。著者は以前から取材先であった老人ホームに母親を入居させ、自分たちもその近くへ引っ越すという介護方法に辿り着く。父親との確執、離れて住んでいる兄姉との距離、手をかけられなかった一人息子、自分の仕事、悩み続けながら生きていく。
自宅で10年、ホームで2年半、長い介護生活を最後までやりぬいた著者は、本当に気持ちの熱い人だと思う。これから超高齢化社会に突入していく日本だから、とても他人事とは言っていられない。誰の身にも介護するとき、されるときが必ずやってくるという、そんな緊張感を持って読んだ。幸いホームの園長、ヘルパーさんたち、そこに入居している方が、みんな明るく前向きで力強かったので、方向は見えたかもしれない。しっかり生きろと背中を押された感じがする。(02/01/29)