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供給過多で、消費者天国の国ニッポン

2022年11月12日 08時27分43秒 | 経済
2週間程前に、日本の経済・金融政策の問題点を記載した。経済学者や評論家は、物価の上昇圧力が弱い理由は需給GAPでであり、このマイナスの受給GAPが日本経済の低迷の原因と云っていて、景気の刺激策が必要だと連呼している。しかし、根本にある日本の市場の問題点は、慢性的な供給過多であり、この慢性的な供給過多を是正しないと、日本の経済の停滞は治らない事を述べた。そしてこの過当競争の所為で値段が上がらず、自ずと賃金が上がっていない原因の一つになっている事も前回及び8月頃に指摘した。それで今回はこの”供給過多”にフォーカスを当てて、考えていきたい。

供給過多の分かりやすい例として、下記の業界を取り上げてみたい。
①コンビニ
②ドラッグストア
③美容院
④ラーメン屋
⑤パン屋
⑥住宅

コンビニが日本全国に存在しているが、どの位店舗があるかご存じだろうか?約5.8万店舗存在している。5.8万店舗といってもピンと来ないだろうが、例として、自分の地元の例を挙げたい。

駅から自宅まで約15分の道のりなのだが、その間にちょっとした寄り道を含めると、15店舗以上のコンビニが存在し(セブンとファミマが6店舗、ローソンが3店舗)、この内12店舗が約400x200mの範囲内にひしめき合っている。半分以下、又は三分の一でも十分である。

消費者に取ってはコンビニが沢山有っても支障はないし、コンビニの本部に取っても売上が上がるので、殆ど支障はない。しかし店舗のオーナーとしては、競合が少ない方が売上が上がるので助かるハズである。

このコンビニと同じ様な状況になりつつあるのが、ドラッグストアである。ドラッグストアは約2万店あり、此方も半分程度で十分であろう。因みに、地元の駅近辺には9店舗程存在する。

これらの業界は、低賃金の労働者を前提とした多店舗展開である。有るべき姿は店舗数の半減以下に抑え、賃金を大幅に上げ、値段も多少上げる事が必要である。

美容院も供給過多の典型であろう。美容院の店舗数は約25万店で、こちらも増え続けている。最寄りの駅から家の方角には美容院数はもはや計測不能で、30~40店舗以上有りそうである。最寄りの駅近辺で計測すると、恐らく50店舗以上がある様である。

ラーメン屋も同様に沢山あり、全国では2.6万店程有る様である。パン屋も沢山あり、全国で1.2~1.3万店舗程有る様である。因みに前出のコンビニと比較すると、最寄りの駅近辺にはラーメン屋は20店舗以上、パン屋は11店舗程存在する。食べ物系は、消費者に取っては沢山あればそれだけ選択肢が増え、違った味を楽しめるので良い事ではあるが、沢山有りすぎる感がする。特に、これらは個人経営が多くあるのだが、この個人経営の多さが日本の特徴であろう。どうしても一国一城の主に成りたいがために、店舗が増えすぎているのであろう。

これらの個人消費者向けの店舗は、消費者にとって多くて困る事は無い。各店が切磋琢磨を行う事で、良いモノを得られるメリットははかり知れない。しかし、潰れる店舗も多く、また店舗の従業員に取っては、安い賃金で働く事が求められ、良い事は殆どないし、従業員の給料がもっと高ければ、独立を志す人も減るだろう。またビジネスを行う際に、もっと利益を得る事を考えれば、供給過多の業界に独立して飛び込む人も減るだろう。

ここまで読まれた方の中には、供給過多の何が一体悪いのかと思われる人も居るだろう。それで次に考えたいのが住宅である。
空き家の数をご存じだろうか?2018年の時点で800万戸を超え、現在は900万戸に迫り、14%だった空き家率が20%に迫ろうとしている。そして2033年頃には3戸に1戸が空き家になると見込まれている。一方新築住宅の供給量は、10年程前迄は100万戸を超えていて、近年は80~100万戸の間で推移している。この新築の中で、どれ程が既存の家の建替えなのかの数値情報はないが、家の取壊し数より遥かに多くの住宅が建てられている事には間違いはない。

空き家が多い事で、”住宅”と云う不動産を持つ人にとって、資産価値が下がってしまう事になる。国の無策の所為で住宅が供給過多になっており、そのため資産を減らされていると云う事になる。これは本来であれば、国民が怒るべき事柄である。


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