ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 132京都議定書 京都につく、ムッとした空気があふれ出してきた。 肌が焦げる感じさえする。 しかし、それはオーバーな表現なのだろうと思うが、そんな感じ。 博士は京都議定書のことを思いだした。 ここで、京都議定書はつくられた。 つくられた地名をつけたのだから、ここで作られたことをその名においても伝えている。 環境のことをどう思っているのか、僕は良心のある科学者になりたいから、興味があると思った。 今の科学者は、良心をうって大金や名誉を手に入れている者たちもいる。 勉にそのことを話した。ホテルの会議室で、勉はビデオを見せてくれるという。 ここに集まった宇宙船「地球」号のメンバーたちと共にこのことを話しあいたいと思ったのだ。 「一九九七年の温暖化防止京都会議で、メンバーの国は向こう十五年間のCO2削減目標を決めました。その中で先進国最高の二十一%の目標を掲げたドイツでは、自家用車の排ガスを抑えるため、バス運賃の割引や、専用信号を設けて自転車利用を促すなどの施策を、自治体が進めています」 さすが環境先進国である。その国に生まれ育った博士が、環境についてよく理解していることも自然なことだろう。 「自転車が一番クリーンだよ。僕も自転車だよ」と勇気。 「歩く方が上に決まっているでしょう」とミス・ホームズ。 「あっ、そうか。歩くこともあるよね。えへへ……」 ビデオのナレーションが続く。 「しかし、同会議で「排出権取引」が認められ、二酸化炭素の削減を目標値以上に達成した国は、余った分を他国に売れることにしました。このため、株のように排出権を転売し、利ざやを稼ぐトレーダーまで現れました。百年後には海面が百メートル上昇するかもしれないという地球温暖化。その危機を前に、パソコンにかじりついて、取引に躍起になるトレーダーの姿はひどいブラックジョークのようです。富や便利さと地球環境保護の、どちらを優先させるのか。我々一人ひとりに出された問題です」 画面はハワイ島にあるマウナロア観測所を映している。 「この観測所では、二酸化炭素量四十年間記禄してきました。濃度はいっかんして、上昇してきています。大気の異変が地球温暖化を進めているのです」 と、ナレーションが語る。 「地球の温度があがれば、南極の氷が溶けて、海面はあがるそうよ」と、李。 「国土がなくなってしまう国もあるそうだよ」 立派な建物を画面は映している。 「資金量三兆円のミュンヘン再保険会社は投資会社の見直しをはじめました。環境を破壊する産業にもこれまで投資をしてきました。これから積極的に投資するのは地球温暖化の防止に貢献する産業ですというのです。方針を変えた原因は、ミュンヘン再保険会社調べの世界の気象災害による被害額によるという。予想をうわまわる被害で保険会社が潰れたのです。独自の気象研究チームをつくったが、温暖化を予想することはとても困難なことです。しかし、大きく予想して二十一世紀にはもっと多くの温暖化により被害がでることでしょう」 と、ナレーションは語る。
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