ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 133地球温暖化 博士は説明する。 「その原因は、世界は石油と石炭を消費することで豊かになってきたからで。そのことにより、大気のバランスを崩してきたのさ。そして、それだけじゃない。二酸化炭素は温室効果をもたらす。増えれば、地球温暖化を起こす」 テレビ画面では、北極を映している。 「温度は上がり、氷が解け出す。海面上昇。最高で一メートル上昇。干ばつ、大雨の増加、食料にも影響。熱帯地帯が増え、感染症も増えます。ある学者は、今の半分にしなければならない。一九六○年代の水準にしなければならないと力説します」 「この原因も、世界一の米国が貢献してくださっています」 と、ミス・ホームズは皮肉をこめている。 無視するマイク。 京都タワーがテレビ画面に出て、その上に文字がでる。 「温暖化防止京都会議(一九九七年十二月)」 アナウンサーが登場し、 「世界最大の排出国はアメリカである。ゼロ%を主張、EUは十五%を主張した。京都議定書が採択されました。削減目標、日本六%、アメリカ七%EUは八%です。なかでもドイツは二十一%を目標としました。東ドイツの効率の悪い暖房などを壊して、新たなものにすると計画したのです」と話す。 博士は「ドイツでは他国とちがって危機感があるのさ」と、きびしい表情。 それだけではないだろう。 その理性と教養による科学的思考とそのテクノロジーの高さも影響するだろう。 「ドイツ、神話の故郷、シュバルツバルトの森、一九七〇年代、酸性雨で破壊されました。一九八六年四月には、チェルノブイリ原発事故、ドイツ国内もパニックになりました。大気に国境はない。そしてドイツの政治がかわっていったのです」 とアナウンサーは話した。 ドイツのミュンスターは人口二十八万の都市である。 今積極的に環境問題に取り組んでいる都市である。 自転車専用の交通信号があるのは、自動車より優先されているからである。 この十年で二倍に自転車が増えたという。 バスもマイカーより優先され、料金が安くされ、学生二千六百円で半年間乗り放題であるという。 公共施設でも暖房温度が二度さげられたという話しです。 電力会社の経営が揺らぎはじめたという、その理由は省エネによって電力料金があがったからだそうだ。 だが、四月電力事業が自由化され、安い電力を買うことができるようになったという。 空港拡張も、開発か環境かという問題として捉えている。ミュンスターの失業率は他の地域よりも高いので、経済発展を捨てることはできないともいう。 画面は変わり、宇宙の画面になっている。あの東京で見たプラネタリウムを思いだした。宇宙船「地球」号にしかすぎないと思う、そして今はここに住むしかない。好むと好まざると、この地球に住むしかできないのである。 ナレーターが話す。 「金星の表面温度は摂氏五百度、灼熱である。気圧が高く、大気はほとんど二酸化炭素で、強い温室効果があるという。対照的な火星はマイナス二十度、氷の世界、気圧が低く、二酸化炭素は土や氷にとじこめられており、太陽からとどいた熱はそのまま宇宙に発散されてしまうという」 「地球は現在、生物が生きていくのに、適しているけど、いつまでもこれが維持されるかは疑問があるなあー」 と行者が心配そうに話す。 「もし、金星みたいになれば、暑くて住めないだろうし、火星のように寒くても生きていけないだろうなあー」 と勇気が、考えながら話した。 「本当にね、地球はおよそ十五度だという。二酸化炭素がなければ、マイナス十五度以下に下がるだろう。微妙な二酸化炭素の量が温度をつくっているわけだね」 画面に「二酸化炭素の量」と出る。
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