■ イタリア人指導者が見る、日本サッカーの問題点1 |
◆ 若年層の育成が最優先事項
日本のサッカーが強くなる為には、(若年層の)選手を育成する段階での指導者のレベルアップが最も必要だと思うのです。今の選手に多くのことを期待するのは難しく、それならば、将来の可能性が無限大にある子供達に日本サッカー界の夢を委ねるべきです。
昔、ちょっと書いたことがありますが、多分、私が生きている内に日本がW杯で優勝ってのは、無理な夢かもしれません。まだ、CL決勝の舞台に日本人選手が立っている方が可能性があると思うのです。そんな日本サッカー界の将来について、次のコラムを読んでみてください。
――日本の子どもたちの長所と短所を挙げていただけますか ファビオ 例えば、こんなシーンをよく見掛けます。相手を抜いて、完ぺきに抜いたのに、もう一回抜いて、さらにもう一回抜いて、その後もう一回抜こうとする。イタリアの子どもだったら、相手を抜いたらすぐにゴールを意識するのですが……。つまり、日本の子どもは技術はあるのに、試合に勝つためではなくて、テクニックを磨くために練習をしている傾向があるのでは。 ルカ ボールを持っているプレーヤーだけが、サッカーをやっていて、オフ・ザ・ボールの意識が少ないように思います。日本の子どもたちは、まるでフェンシングか柔道のように、サッカーを1対1のスポーツととらえているのではないでしょうか。 「いかに自分で考え、解決できるか」「ACミランジュニアキャンプ ジャパン2007」リポート |
まさに、日本代表の決定力不足がこの年代(小学1~6年生)から出ているみたいですね。2人のコーチ、ルカさん(45)とファビオさん(41)は、ミランのアカデミーで指導している、指導者としてもベテランの人の意見です。場合によっては、現在ミランでプレーしている選手も指導していたのかも・・・また、『日本の子どもたちのテクニックは、イタリアのそれと比べて非常に高い。』こんなことも言っています。そして、この年代の問題は、日本人指導者によって改善されぬまま高校生くらいになった場合は、次のようなことになります。
■ イタリア人指導者が見る、日本サッカーの問題点2 |
続いてこちらのコラム「日本の高校生」内容自体は、2000年頃の話ですが、現在に通じる所があり非常に興味深い内容です。概要は、静岡の名門高校がイタリアで合宿をした際に、イタリア人監督(コーチ)が感じた日本人高校生の「長所と短所」を的確に指摘しています。このコラムで書かれてある内容を抜粋してみますと下記のようにになります。
◆ 長所
1.組織的な守備(DFラインの上下動、プレッシングのポジショニング)が出来る。 イタリアのプロクラブの同年代のチームでもここまで出来ているのは少ない。 2.吸収力の早さ。イタリア人なら5~6回やらせないといけないのを1回で吸収して、次からは言われなくてもきちんと実行出来る。 |
◆ 短所
問題はこちらがボールを持ったときだ。最大の欠陥は、最もベーシックな基礎技術が徹底していないことにある。 |
1.最もベーシックな基礎技術が徹底していないこと a.ボールを受けるときに軸足で軽くジャンプしてショックをやわらげると共に体の向きをコントロールすること。 b.ヘディングの時に両肘を高く張って飛び上がり頭を強く振り下げること。 c.どんなときにも常に細かく足踏みをして、決して両足を揃えて立ち止まらないこと。 d.スタートを切る一歩目を後ろに踏まず、細かいステップで走り出すこと。 e.後ろから相手をマークするときに両腕を広げて胸で相手に密着すること。 f.マークを背負うときには相手に前に回られないよう両肘を強く張ってブロックすること。 g.ボールの位置とゴールの位置に合わせて正しい体の向きでボールを受けること。 h.次に走り出す一歩目と逆の足でボールを止めること。 i.足でボールを撫でるようにしながら一歩毎にボールにタッチしてドリブルすること。 |
これらは、イタリアでは12歳くらいまでに身体に叩き込むべき基礎中の基礎だ。 (中略) 基礎技術ができていないから、ボールを持ったときに困難に陥る。まず何よりも、味方の長いゴールキックをマイボールにできたことは一度もなかった。これはヘディングの基本が全くできていないからだ。目測を誤ってボールを落としてしまうことが大半。競り合っても、相手の背中に両手を当てるからファウルを取られてしまう。 ボールをもって攻めようとしたときにも、止めようとしたボールが身体から離れすぎてしまったり、ボールタッチがひとつふたつ多くなって相手に詰められてしまったり、パスが不正確で相手にボールを奪われてしまったり。実際、点を取られたのは全部こっちのミスからだっただろ。相手ボールの時の方が安全なんだから、これはちょっとまずい。 攻撃というのは、ひとつひとつのプレーの正確さが基盤だ。いくら意図があっても、それを実現できなければ何の意味もない。戦術の不足は技術でカバーできるが、技術の不足を戦術でカバーすることは絶対にできないんだよ。 おそらく、日本の指導は、その優先順位のつけ方が出発点から間違っているのではないだろうか。イタリアでは、プロになっても毎日必ず基礎技術の練習をする。そのくらい大事なことなんだ。 攻撃ですぐに行き詰まる原因がもうひとつある。技術の基本だけでなく、個人戦術の基本も徹底されていない。要するに、プレーを選ぶときの優先順位が明確じゃないんだ。 |
2.個人戦術の基本も徹底されていないこと 1.相手のDFラインの裏にボールを通すこと 2.前線の選手が引いてきて楔のパスを入れそこから次の展開を図ること 3.サイドチェンジすること 4.後ろに戻してボール・ポゼッションを確保すること 5.ボールをタッチラインの外に蹴り出すこと |
攻撃の最終的な目的は、もちろんゴールを決めることだが、そのためにはシュートを打たなければならない。だから、ボールを持ったときのすべてのプレーは、できるだけ早くシュートまでたどり着くという目的を達成するために行われなければならない。 |
「日本の選手に欠けているのは、こういう基礎中の基礎の部分だ。確かに戦術的には非常に進んでいるが、土台がしっかりしていないところに立派な家を建てようとしても、すぐに崩れてしまう。しかし、彼らはイタリアの子供にはない素晴らしい吸収力を持っている。教える側さえきちんとしていれば、これからももっともっと伸びるはずだ。これだけ吸収が早い選手たちを教えるのは、本当にやり甲斐のある仕事だった。機会があれば、またいつでもやってみたいね。 見ただろ。2軍の連中がボローニャのアッリエーヴィ(16歳以下)とやった試合。相手がボールを持った瞬間に2-3人で囲んで、まったくプレーさせないんだから、あれはもう最大級のスペクタクルだったね。その後観に行ったミラン―ユヴェントスなんかとは比較にならないくらい楽しませてもらった。ボールさえ持っていなければ連中は完璧だよ。」 |
■ もう一度、育成・指導を考える時 |
こんな風に言われたら、日本の指導者にも多少問題があるのかもしれません。
日本の指導者も勉強して頑張っていると思います。しかし、現実問題として、イタリア人指導者には、日本人良い点と悪い点が明確に見えている。
このような問題をおざなりにしておくのではなく、日本サッカー協会が主体となって、指導者の交流、もしくは、イタリアなどから指導者を10年くらい長期的に招集して日本サッカーの裾野から基本的な技術・戦術を植え付けてもらうという方法も必要だと思うのです。
企業などでは、日本の優秀なエンジニアなどが海外へ指導にいったりということがあるようですが、逆に、日本のサッカー界で足りない部分は、組織(協会)がバックアップすべきではないでしょうか?10年くらいの長期計画であれば、選手も指導者も育つでしょうし、その規模は初めは大きいものにして、その内、日本の指導者のレベルがある一定の水準を越えたら、今度は育成・指導の方向性ややり方を変えていけば良いと思うのです。こういう交流をクラブ、また地域レベルなどでやるのではなく、一大プロジェクトとしてやってこそ意味があるような気がするんですよね。
今年に入って、日本サッカーは、世界やアジアでの試合が多かったと思います。
A代表は、アジアカップ。五輪代表は、北京五輪の予選、U-20、17は年代ごとのW杯。
しかし、そのいずれの大会においても、我々が望んでいたような結果は伴いませんでした。U-20W杯(旧ワールドユース)ナイジェリア大会で準優勝をした小野伸二を筆頭にゴールデン・エイジと呼ばれる世代は、やはり、個々の選手の能力(スキル)が高かったのだと思うのです。勿論、チーム力、選手間の結束力などもありますが、ベースとなる部分のレベルが高かったからこその結果だったのかな?と思います。
そして、現在、日本サッカー界は、これまでのように「アジアの壁を突破して世界と戦うという」単純な世界へ挑戦するという気持ちではなく、もう一度、腰を据えて具体的に強化・育成をすべき時代に突入しているような気がします。
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◆ リバプール 07/08シーズン◆ 1.アストン・ビラ 戦 2.チェルシー 戦 3.サンダーランド 戦 |
で、思ったのは、日本の指導者にはサッカーに限らず選手は自分たちを見て成長するという意識が欠けているじゃないかなと。コーチに考える力がないのに選手が身につけられるはずがない。よっぽど力がないと。そういった思考力をオートマチック幻想で固めてしまうのが日本の指導者の最大の課題じゃないでしょうか。
根底の認識を疑うところから始めないと、大きな変化は望めないように思います。
どゆこと?こんなん知らなかったですww
今週のフットサルの練習でやってみます☆
ふむふむ。
U-17を見てて思ったのは、彼らは止める、蹴るといったボール扱いは非常に巧いと思いました。ただ、それを引き出す判断力という面ではまだまだだと感じました。
コーチを招聘するのもいいけれど、自分たちの側から飛び出すことも大事なんでしょうね。ヴァレンシアでやっておられる日本人女性の方もいらっしゃいますし。
こんばんは。お久し振りです。
ジーコの本、機会があれば読んでみます。
>自分たちを見て成長するという意識が欠けている
この辺は、サッカーに限らず主観と客観の切り変え?みたいな部分でしょうかね?
こんばんは。
>ボールを受けるときに軸足で軽くジャンプしてショックをやわらげると共に体の向きをコントロールすること
これは、トラップの話だと思います。
一応、ヘディングであったり飛んできたボールに対する応対のことについて書いてあったのでネ。
要は、DFを背中に背負ってトラップと同時に反転してとか、体勢を変えて次への一連のアクションについてだと思われます。
こんばんは。
自分から飛び出すのは、現実的には困難なケースが多いかもしれません。だからこそ、招聘した方が日本人的には楽(笑)
ただ、一大プロジェクトとして敢行すべきだと思いますけどね、勿論、中長期的なビジョンが必要でしょうけど。あと、なかなか世界との指針ってのが指導者の中には見つけづらいのかな?って思いますね。
つまり、世界を知らないと世界との距離(指針)が定まらない。指導者の方々は、それぞれ頑張っていると思いますけど、いかんせん、もう一殻破らないと日本のサッカーは、現在頭打ちになっている気もしますね。
私も小学生の時に、このイタリア人監督と同じような事をイギリス人(ウェールズ人?)コーチに言われた事があります。
特に一歩目の出足は、ウォーミングアップのランニングの際から、その場で駆け足から飛び出す際に一歩目が前に出れなければやり直しと、徹底させられた記憶があります。
トラップに関しては、簡単に言うと止まってボールを受けず、完璧に勢いを殺すための方法だと思います。
後、南米では腕や手の使い方を教えられると聞いたことがありますが、日本ではあまり聞かないですよね。
イタリアから見た日本のサッカーのイメージは、九九を飛ばして数学をしている感じなのでしょうか。
個人的なスキルの違いはあるはずですが、それ以前にサッカーで必要とされる基礎、思考は幅広くありそうですね。
サッカー強国において基礎といわれるものの指導方法が確立されることが日本全体の強化につながりそうですね。
こんばんは。
腕や手の使い方も日本人は下手というか、守備に関しては、ゾーンで追い込む形が多く、ボールを自ら奪うという意識が低い感じはしますね。スペインやイタリアなんかは結構個々がガンガンいくイメージがありますが・・・
組織は大事ですけど、結局、個人が本当はもっと大事であってそれをどう向上させるか?が今の日本に課せられたテーマのような気がします。
「人とボールが動くサッカー」それはそれでいいのですが、その“人”が軽視されているというか、すりかえられているというか、“組織”で頑張ろうよ!って風潮がなんか恐いんですよね。
そんなメッセージの内容だったんですけどね。
こんばんは、はじめまして。
組織の部分は良い。だったら、足りない部分ももっと改善しようよってなって欲しいものです。なぜなら、いつも行き着く先は、同じような気がしているからです。