■ 観客動員数の減少といくつかの要因 |
◆ これまでのシリーズ ◆
サッカー日本代表、近代史 (回想録)
さよなら、日本代表1
さよなら、日本代表2
ドイツW杯での惨敗以降、A代表、五輪代表(以下、代表)の人気の下降が取り沙汰された時期があった。代表の試合の結果と同じように観客動員数などもちらほらと報道され、サッカーファンやこういうブログを書く人々が話題に上げていた。
その頃、「観客動員数の減少」に関して、いくつかの原因が挙げられた。
1.Jリーグへの移行(My Clubという感覚)
2.海外サッカー視聴の拡大
3.サッカーを見る目がこえてきた
4.代表バブルの崩壊
他にもあるかもしれないが、主な理由としてこのような事が挙げられていたと思う。
実は、これらはそれぞれが単独したものではなく、ある種、前回・前々回書いた内容との因果関係があると思われる。
本来であれば、各項目に対してもう少し突っ込んだ内容にすべきだし、当ブログ売りの一つである?データを挙げればいいんでしょうけど・・・経験上「異常な長さになる」という予想を立てて、突っ込んだ内容にするのは、自ら却下しました(笑)
1.Jリーグへの移行(My Club)
これは、これまで日本代表ファンが純粋に特定のクラブ(My Club)のサポーターになった。単純に「My Club>日本代表」となった人もいるのではないかと思うのです。勿論、特定のクラブのサポーターであっても代表の試合は見に行くかもしれません。
しかし、チケット代もばかにならないので、水曜に代表、週末にクラブってなった場合は、後者を選択する可能性もあるかもしれません。(それぞれの試合の位置付け・重要性によりその人自身の判断はあるでしょうけど)
要は、一昔前のように猫も杓子も日本代表という時代ではなくなった。
むしろ特定のクラブのサポーターであることに喜びと誇りを感じる人が出て来たと思うのです。じゃなきゃ、先日行われた、東アジア選手権のような大会で『自分のクラブから代表へ招集された選手が怪我させられたらたまったもんじゃない!』って声をサポーターが上げなかったでしょうし、少なくとも10年前にはこのような大きな声としてサッカーファンの間に広がっていませんでした。
理由は簡単「日本代表>My Club」だったから。
2.海外サッカー視聴の拡大 / 3.サッカーを見る目がこえてきた
実は、この2つに関しては、隣り合わせのようなことだと思われます。スカパーなどで海外サッカーが見れるようになり、欧州を中心とした最新のサッカーを見ることが出来る、よってサッカーファンの見る目がこえてきた。また、インターネットの普及によりサッカーファン同士の情報交換や交流なども広がった。そうすれば、必然的に情報が増え、スポーツ紙のように各紙横並びの記事なんかどうでも良くなくなる。
もう一方で、過去10年近く代表を見てきた人々にとって、例えば北京五輪アジア3次予選の試合はさほど重要ではなくなった。(経験により)ある程度見れば日本代表とアジアの力関係は推し量れるようになったとも思うのです。これは前々回書いた「アジアの壁」という問題との多少関連性もあると思われる。また、極端な話、五輪代表が本大会を逃した所で大きなショックを受けたり憤りを感じる人も少ないのではないかと思う。
しかし、「欧州などでは五輪なんて重要視していないから日本もそれでいいんだ。」みたいな意見を言う人がいるが、それはちょっと違うと思う。少なくとも現在の日本サッカー界のおかれた状況を考慮すれば、各年代別の国際大会に出場することは大きな経験となる。明確な目標はチームを強くする。ただ、その代表に関する背景に関しては改善の余地は大いにあるが・・・
つまり、単純に日本における「サッカー」というものの位置付けが、昔のような「代表」オンリーから、「Jリーグ」、「海外サッカー」などなど選択肢が広がり、それそれのサッカーファンが自由に選んで楽む環境に変わったのだと思うのです。
4.代表バブルの崩壊
サッカー日本代表、近代史 (回想録)で書いたように、W杯を目指す日本代表、そしてJリーグの発足など、ここ10年ちょっとの間に日本のサッカーは急激に発展・進化を遂げた。その異常な右肩上がりの状態が単に落ち着いただけに過ぎない。
日本人は元来新しいもの好きであったり、流行に乗りやすい傾向が強い。実際に、Jリーグ発足当時、今思うと信じられない話だがJリーグの試合のチケットがほとんど入手困難な時期もあった。
その時代を知っている川淵会長(初代Jリーグチェアマン)などは、昨今の代表の観客動員数が少ないことに危惧しているようだが、実際には、現在の状況が普通なのかもしれない。
勿論、日本サッカー協会としてもJリーグとしても、観客動員数アップに努力しなければならないと思うし、各クラブも頑張らないと思う。当然ビジネス面での問題もあるだろうが、純粋にサッカーファンを増やすという努力をしなければならないと思う。
■ 関連記事 『代表バブルがはじけた結果』(昔、同じようなこと書いていましたわ)
その他、諸問題(思いつき)
ありきたりな話ではあるが、少子化が進みスポーツをする子供の絶対数も減少してくる。その中で、昨今のプロ野球選手のメジャーリーグ移籍に伴う活躍などは、子供達にとっては輝いて見える。今は、中村俊輔が欧州リーグで頑張っているが、そういう状況をもっと作っていく必要があるだろうし、単純にTVでのサッカーの扱いの向上にも頑張って欲しい。スポンサーを取って収益アップだけがサッカー界を支えるものではなく、根本的な問題に目を向ける必要があると思う。子供達に夢を与え、次のスター選手が生まれてくる環境を作ることも大切だと思う。
サッカー人口の裾野を広げるのと同時にそれに伴う環境の整備も必要になってくる。
これは何もクラブ数を全国に増やしたり芝のグランドを増やすことだけではなく、マンパワー、指導者の育成・充実が最も必要だと思う。そして、この部分がしっかりと強化されれば、第二、第三の中村俊輔、中田英寿などはおのずと出て来る。
■ 川淵さん、あなたが想い描いていたサッカーを取り巻く姿は、どんなものでしたか? |
◆ 代表至上主義の終焉
Jリーグの発足前後を境にして日本サッカーは、代表中心に回り、ある意味代表チームが牽引してきたある。そして、現在の日本のサッカーを取り巻く状況は、川淵会長がJリーグ発足当初に思い描いていたであろう「日本中にサッカーを広める」的なイメージが現実的に形となりつつある段階に来ているような気がする。
これまで通り代表チームを海外まで応援しに行く楽しみ、特定のクラブのサポーターになり週末応援しに行く喜び、海外リーグのサッカーを毎週見る楽しみ、実際にフットサルをプレーする楽しみ、サッカーに関わるあらゆる楽しみが増え人々のライフスタイルの一部となっている。
しかし、皮肉なことに、これら様々な要因で「代表至上主義」が終焉した。結果、観客動員数が減少した、という側面はあると思う。
◆ Jリーグとその格差
Jリーグの各クラブも非常にオリジナリティ溢れる努力をしていると思うし、昨年のACL王者となった浦和はフロントと選手だけの力ではなく、サポーターの力も大きく勝利に貢献したと思う。まさにクラブにとってのアジアナンバー1だったとも言える。Jリーグの試合でスタンドを映す映像に子供から年配の方まで一緒に応援する姿は、セリエAなどではお目にかかれない。あそこは暗黒街のような気さえする(笑)
先に書いた通り、観客動員数の減少に関しては、少しでも多くのサッカーファンがスタジアムに足を運んでもらえる状況を作る努力は、これからも当然必要だと思う。やはりTVで見るのとスタジアムでは全然違うのでね。少しずつでもリピーターを増やす努力は継続していくべきだと思う。
また、一方でJリーグの試合(J1・J2)の試合を観れない地域に住んでいる人もいることを忘れてはならない。
つまり、My Clubを持てない人々も数多くいる。
例えば、そういう地域のことを考慮して公式戦をその地域でするなどの方法もありだと思う。この場合、ホーム&アウェイという図式が崩れる懸念があるが、この辺は、各クラブ関係者・サポーターの考え次第だと思う。(少し前プレミア・リーグが国外で試合を行うと計画したそれとは異なる)
その昔、巨人全盛期の時代、日本中津々浦々ジャンアンツファンが存在した。そういう状況を作ることも悪くはないではないか?別に埼玉や浦和周辺に住んでいなくとも、浦和サポーターです!という人がいてもなんらおかしくはない。イタリアやスペインのような民族性や都市国家の歴史が現在では希薄な日本では可能だと思う(この辺の詳細は、今回は割愛)
今回「さよなら、日本代表」という一連の記事を書いたが、結局これは、我々の世代が経験してきた約10年ちょっとの日本代表を中心とした日本サッカー界に対する気持ちの整理の為の一つの記事でしか過ぎない、超個人的な記事だと思う。ただ、僅かでも私の記事に共感出来た人がいれば嬉しいし、こういう時代をタイムリーで経験してきた方々は、少しは感じ取ることが出来たと思う。
そして、これからが本当の日本サッカー界にとって重要な時代へと突入するような気がする。協会、選手、関係者、関係団体、すべてのサッカーファンは、さらに進化、成長しなければならない。そうしなければ、日本サッカーが強くなることも、真のスポーツ文化として根付くこともないであろう。この約10年の総括と共に、それによる学んできたことを生かす時期なのだと思う。つまり、もう一度、Jリーグ発足時のような「前へ進む」必要があるのかもしれない。
そして、これから日本サッカーを支える人こそが真のサポーターなのかもしれない・・・
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意外と「携帯電話の普及」も代表人気の減退の一因かもしれませんね。コミック・雑誌・音楽CDと再生機・ゲームソフト等携帯の出現以来、そのワリを食わされた業界は数知れずです。
4年に一度の大会より、毎週試合のある身近なマイチームの動向や結果でさえも携帯で済んでしまう時代になりました。
代表より欧州CL
W杯に日本が出るのが当たり前になってから生まれた子どもたちにとって、感動を与えてくれるわけでもない日本代表に愛着が湧かないのも当然かもしれません。
Jリーグの方が熾烈な優勝争いがあり、降格昇格にまつわる様々なドラマがあり、心に訴えてくるものがありますからね。
W杯出場のアジア枠を2に戻した方が、アジアのレベルアップと代表人気を取り戻すにはいいかもしれないと思います。
↑こういう適当なことを言っている人がいる限り日本はダメですね。欧州でも五輪は凄く重要視されていますよ。フランスもイタリアもU-21代表はクラブでレギュラーとって頑張っていますしね。
あと、選手は国内に民族問題を抱えるスペインを除いては「代表>欧州CL」です。代表は名誉職なので、選ばれることを彼らは誇りに思っています。逆にクラブでの活躍を代表で出来ないときのバッシングは凄いですよ。金のためだけにプレーしている非常識人と思われます。
欧州の選手は金だけでなく、名誉も重要視しているんですよ。だから、日本に帰ってきてギャップにビックリしました。選手もマスコミにもね・・・
こんにちは。
私もシャンクさんのコメントに爆笑しました。
「なんで、ビーチボーイズ」なんやねん!ってね^^
動画、ビーチボーイズにすればよかったかな?(笑)
ただ、これからは代表に限らず、日本サッカーのゆっくりと着実な成長が必要なのかもしれませんね。
こんばんは、はじめまして。
アジア枠2は、危険・・・(苦笑)
多分、その頃を知っている人達は、本気でW杯逃すって感じているでしょうけど、おっしゃる通り、W杯初出場後の世代の人にはピンとこない話かもしれません。
ぜひ、ワールドクラスの選手を育てて下さい!
こんにちは、はじめまして。
なるほど、代表にたいする誇りみたいなのが希薄になって来た感はあるかもしれませんね。
別に、根性論とか精神論ではないですけど、例えば、欧州クラブに移籍した選手の方が、逆に代表の誇りみたいなのを再度感じているかもしれませんし・・・
次回はHNで書いていただければと思います。