弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(商標)】ラブライバー

2022年09月21日 08時54分46秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
急に空気が秋めいてすこし肌寒いくらいの@湘南地方です。
こっち(鎌倉)では今シーズン初の長袖です。

さて、今日はこんな記事

(auoneより引用)
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「ラブライブ!」ファン困惑、無関係の第三者が「ラブライバー」商標出願…「ゆっくり茶番劇」騒動の再来

アニメや映画などで人気の「ラブライブ!」のファンの間で困惑が広がっている。「ラブライブ!」のファンを表す言葉「ラブライバー」の商標出願が、無関係の第三者によっておこなわれたことが8月、判明したためだ。
ネットでは、ラブライバーたちから「ラブライバーを名乗るとお金を取られる?」という不安が上がっているほか、ネットで親しまれてきた言葉だけに出願に対して批判も強まっている。
(以下略)
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(引用終わり)

J-Platpatではまだ公報データが集積されていないことから、巷のサイト(商標ウォッチ)から拝借。
(※ちなみに有料DBであるJP-NETでは出願番号から当該出願情報にあたることが可能だった)

こういう騒動が起きるたびに、
“○○という言葉が二度と使えなくなる!?”
的な言説を振りまく人がいるけど、迷惑。

商標登録がされることの効果は、「商標の使用」を商標権者/使用権者のみが独占排他的に行うことができる、ということに留まる。
「言葉狩り」じゃない。
「商標の使用」という概念が一筋縄ではないから巷での混乱が生じる、のだとは思うけど、
要は商売上の出所識別標識としてそのマーク(ここでは「ラブライバー」)を使うのでなければ侵害ではない。
だから、例えば日常の会話で言葉として使う分には何ら問題ないし、商売上の標識として使用するのでなければ基本何の制約も受けない。

ただまあ、出願人がどういう関係の人なのかは判らない個人の方の様子。
代理人もついている状態での出願で、何かしら「本家」の関係者なのかもしれないし
情報が不十分な中では本件出願の意味・見通しを語ることは難しい。

なお当職としては、
本家本元と関係ない主体が、その名称等が広く知られていることに着目して
"タダ乗り"的に出願する、というのは、ご商売としてはあまりうまくいかないんじゃないかなぁ…と思う。

その反面、本家本元もある程度事前の対策をしておくことも必要になってきているとも。
具体的には、周知著名な商品/サービスの本家本元が、その近接する表示については
「ここまでは自分のところで出願してきっちり保護する」
「ここからここまでは、混同可能性(15号)で蹴ることができることを期待して、コストをかけてまで出願はしない」
「ここから先は、なんとなく関連性を連想させるかもしれないけど、事業上バッティングするようなことをやってきたら不正競争防止法で対応」
のように戦略的に線引きをしておく、
ということがブランド保護の観点からは重要ではないかと。

そのあたりも、提案スライドにまとめてみますかね。
そんなわけで今日も一日頑張ります。
コメント
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