HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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BAT CHAIN PULLER

2012-03-10 10:12:43 | ROCK

       

ニール・ヤングの「CHROME DREAMS」、ザ・フーの「LIFE HOUSE」、ビーチ・ボーイズの「SMILE」と続けて
書けば、それらは発売を予定しながら、予定通りの内容やスケジュールで発表されなかったアルバム・タイトル
であると、すぐわかるだろう。
例に挙げた大物達のタイトルほど名は知られていないかもしれないが、キャプテン・ビーフハートが
76年に発表を予定していた「BAT CHAIN PULLER」も、そんな1枚。

バンド・メンバーに去られ、更には金銭的に困窮していた75年当時のビーフハートの窮地を救ったのは
FZであったが、ライブでのお互いの考え方の違いが二人の関係を悪化させる。FZはビーフハートのことを
ハーブ・コーエンに任せるのだが、本作制作中の金銭トラブルのため(FZが稼いだ金をコーエン側が使い込んだ
とされる)アルバムはお蔵入りとなった。また、リリース前に音源が流出したことがトラブルの一因であるとも
言われている。

「BAT CHAIN PULLER」に収録された12曲中10曲は、再録音され後に出た3枚のアルバムに分散して
収録されるが、オリジナル録音の発売を熱望する声は昔から多くあり、様々なブートレグも世に出た。
掲載写真右は02年に出た「DUST SUCKER」と題されたアルバム。ビーフハートのレア音源を数多く発売する
レーベルからの発売だったこと、ビーフハート側のマスターを使用したという触れ込み等から、一応の決定版かなと
思っていたのだが、アルバムの後半に素姓のわからない音質今ひとつのライブ音源を収録していたのが
よくわからないところだった。

正真正銘のマスター・テープはFZが所持しているのは明白だったのだが、今年になってFZサイドから遂に
「BAT CHAIN PULLER」がリリースされた。ビーフハート存命時なら、おそらくリリースはなかっただろうが
本作はビーフハートの思い出に捧げられている旨のクレジットがブックレットの最後に記されている。

オリジナルの12曲の演奏に関しては細かいミックスの違いを検証しなければ、内容自体は「DUST SUCKER」と
同じといっていいだろう。ただ、音質は全く違う。当然だが今回リリースされた「BAT・・・」の方が音質が良い。
更に、オリジナル「BAT・・・」に未収録でビーフハートの「SHINY BEAST」に収録された『CANDIE MAMBO』の
76年バージョンの格好良さといったら、どうだろう。この1曲のために、過去何種も出た怪しい盤を買った方も
今回の「BAT・・・」を買う価値があるといっては、言い過ぎか。

何れにしろ、今回の発売で胸をなでおろした人が多いのは間違いないのだ。


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