HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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KING OF ROCK AND ROLL

2014-10-10 21:10:58 | ROCK

       

リトル・ルチャードというと、どうしても50年代のスペシャルティ・レーベルでの強烈な
楽曲の数々を思い浮かべる。チャック・ベリーといえばチェス時代を想起するのと同じである。

しかし、時々考える。チャックもリトル・リチャードも70年代をサバイブして今も生存している
文字通りサバイバーである。流石に近年はニュー・レコーディングなんて話は聞かないが
両者とも70年代はまだまだ精力的にアルバムを発表していた。70年代の彼らはどんな
音を出していたのか。

ところが、その時代の盤を取り上げたディスコグラフィー本やバイヤーズ・ガイドなんてのには
出くわさなかったし、CD化は進まないしで聴く機会がなかったのだが、09年に2枚の
盤がCD化された。70年の「THE RILL THING」、72年の「THE SECOND COMING」は
ともに汗まみれのリトル・リチャードがジャケットから食み出んばかりの迫力で描かれ或いは
写っている。この2枚、即ジャケ買いである。(笑)

昔ながらのロックンロールを、70年代の流行に色目を使いながら演じるところが男前。
インスト曲があるのも面白く、ジェームス・ブラウンの70年代のアルバムにあるような
半ばやっつけ仕事感があるものの、聴く者をねじ伏せる迫力と猥雑な感じは流石である。
もっとも聴き手の体力が万全でないと、暑苦しくて最後まで聴きとおせないかも。(笑)
このトゥー・マッチなところが如何にもリトル・リチャード然としていて私は好きだ。

70年代の盤で何か1枚ならコレだろう。

    71年リリースの、その名も「KING OF
ROCK AND ROLL」。キングはエルヴィスではなく、この俺様だというのがジャケット写真や
タイトル曲に顕著で、これはこれで清々しい。(笑)ジャケ写はもっと派手でもよかったが
実はスワンプ・ロックの裏番長的にとらえることも可能なこの盤には、丁度良いのかもしれない。

スリー・ドッグ・ナイトやクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、果てはモータウンの
ヒット曲までもが泥臭くアレンジされ、ここに美しくもサザン・ソウルとロックンロールの邂逅と
相成る。極めつけはストーンズ・カバーの『BROWN SUGAR』だろう。
ストーンズ自身のリリースも71年であるから、いち早くカバーしたことになる。

下世話な女性コーラスと、幾分もったりしたリズムが妙にマッチしていて、ストーンズのような
キレはないのだが、これはこれで面白い。この1曲中、リチャードが「イエー」とか「アゥー」とか
叫ぶ回数は20回に到達しようかというほどで、リチャードの歌唱に関しては相当にキレて
いる。(笑)

原盤というか、米盤に歌詞カードがあったのかどうか知らないが、日本盤CDにおける
『BROWN SUGAR』の歌詞は、リチャードがストーンズの原曲と同じ歌詞を歌っている
にも拘わらず冒頭の一節が違う言葉に変えられている。

GOLD COAST SLAVE SHIPS BOUND FOR COTTON FIELDS と歌われているのが
GIRLS COMES , SAYS SHE FOUND A COTTON FIELD と記されているのだ。
これがオリジナル盤に準拠しての歌詞掲載であるなら、リチャードさんの購買層に対する
配慮か、或いはかつて牧師だったことを急に思いだしたか、何て想像するのも楽しい。
ま、いずれにせよ、とんでもない歌詞の曲をフル・コーラス歌っていることに変わりないが。(笑)

リトル・リチャードの70年代録音盤をもっと聴きたいと思うと同時に、オリジネーターの
一人でありながら、今なお新譜を出し続けるジェリー・リー・ルイスのタフネスに思いを馳せる
今宵である。

 


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