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厚生労働省は2010年1月20日にスイスの製薬会社「ノバルティス・ファーマ株式会社」が製造するH1N1新型インフルエンザワクチン、「乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチンH1N1「ノバルティス」筋注用」(海外での製品名は“Celtura”)とイギリスの製薬会社「グラクソ・スミスクライン株式会社」の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン「アレパンリックス(H1N1)筋注」(海外での製品名は“Arepanrix”)を日本で製造販売することを「特例承認」すると発表しました。特例承認は、薬事法の審査手続きを簡略化して承認するもので、今回が初の適用となります。
「薬事法」の「第4章 医薬品等の製造販売業及び製造業」の第14条の3には「第14条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品又は医療機器として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第2項、第5項、第6項及び第8項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る同条の承認を与えることができる。」とあります。
これが特例承認で、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品又は医療機器であり、かつ、当該医薬品又は医療機器の使用以外に適当な方法がないこと。」などを要件とします。
厚生労働省は2009年10月6日、欧州の製薬大手、イギリスのグラクソ・スミスクライン社(GlaxoSmithKline、GSK)とスイスのノバルティス・ファーマ社(Novartis Pharma)の2社とおよそ5,000万人分(2回接種の場合で、1回接種となった現在ではおよそ9,900万人分に相当する)の新型インフルエンザワクチンについて、購入契約を締結しました。グラクソ・スミスクライン社のワクチンは従来の鶏卵を用いるワクチン(製品名:Arepanrix)であり、ノバルティス社のワクチン(製品名:Celtura)は、細胞培養法によるワクチンです。
この輸入ワクチンの初回の出荷はノバルティス社が2月3日に234万回分、GSK社が2月5日に240万回分が可能なのだそうですが、厚生労働省は1月22日に、輸入ワクチンについて、現時点で配分を希望したのは全都道府県のうち山梨県1県にとどまったと発表しています。山梨県は「4医療機関が『需要があった場合に備えて』と最小単位の50回分ずつ希望した」結果、その配分希望数量は200回分(GSK社製ワクチン)のみだったようです。初回出荷の供給可能量474万回分を大幅に、本当に大幅に下回ったことになります。
今月1月29日に9回目の出荷が予定されている国産ワクチンも、供給可能な649万回分に対し、引き合いはその8割ほどの520万回分になっているようです。国産ワクチンもだぶつき気味になっているのです。しかし、子供たちの冬休みが明けて3週間ほど経ち、第2の流行のピークが用意されている可能性もあります。
厚生労働省は感染症サーベランス事業により、全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診したインフルエンザ患者数を週毎に把握しています。過去の患者発生状況をもとに基準値を設け、保健所ごとにその基準値を超えると注意報や警報が発生する仕組みになっています。
大きな流行の発生・継続が疑われるときには、「警報」が発せられ、警報レベルを超えている保健所数の割合が70%以上のときは、赤色系3段階で「赤」が表示されます。2010年第2週ではいまだ「愛媛県」と「静岡県」が「赤」の段階です。一方で、「注意報」も解除された県は東北地方を中心に8県あります。「注意報」は、流行の発生前であれば今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを、流行発生後であればその流行がまだ終わっていない可能性があることを示しています。これによると新型インフルエンザの流行はまだ終結してはいないのです。
1990年から2008年までの「インフルエンザによる死者数」の統計によれば、平均で年640人ほどが死亡しています。1995年、1999年、2003年、2005年には、年間のインフルエンザ死者数が1,000人を超えています。
1990年・・・・・・448人
1991年・・・・・・100人
1992年・・・・・・177人
1993年・・・・・・519人
1994年・・・・・・・65人
1995年・・・・1,244人
1996年・・・・・・166人
1997年・・・・・・815人
1998年・・・・・・528人
1999年・・・・1,382人
2000年・・・・・・575人
2001年・・・・・・214人
2002年・・・・・・358人
2003年・・・・1,171人
2004年・・・・・・694人
2005年・・・・1,818人
2006年・・・・・・865人
2007年・・・・・・696人
2008年・・・・・・272人
2009~2010年シーズンの新型インフルエンザによる死者数は、現在(2010年1月26日)までのところ、180人。180人目は、かわいそうに、愛知県名古屋市の4歳の基礎疾患のない男の子でした(名古屋市では8人目)。1月23日に発熱し、38℃台。嘔吐もします。1月24日も発熱が続きます。夕方にはいびき様の呼吸が出現し、心肺停止状態となります。緊急搬送され、蘇生が試みられますが、午後7時23分に死亡が確認されます。死因は、症状などからインフルエンザ脳症や心筋炎が疑われますが、現在のところ不明です。新型インフルエンザ感染は、1月26日に名古屋市衛生研究所で、PCR検査によって確認されています。
新型インフルエンザによる年間の死者数は現在までのところ、季節性のインフルエンザの年間の死者数の平均値を超えるとは考えられませんが、それでもインフルエンザが若年者や高齢者、それに基礎疾患のある人たちにとっては死亡リスクの高い感染症です。このリスクを低減させるように個人も社会も行動しなければなりません。
この死亡リスクの高くなる人たちを守るには、本人とその周辺の人たちがインフルエンザに対して十分な知識を身に付けることと重篤化を防ぐためにワクチンの接種を受けることが必要だといえます。子供たちに対しては学校教育において感染症対策の知識を保護者を含めてより一層普及させるべきでしょう。感染しない・させない、感染しても重篤化させない、ということです。
重篤化を防ぐには、「ワクチン接種」という手段がありますが、その安全性と有効性が確実なものでないことが悩ましいところです。安全性とは、「副反応」の出現と関係します。ワクチン接種は「免疫の獲得」という生体反応を期待して行うのですが、それ以外の反応が「副反応」です。一般的には副反応を「副作用」と呼んでいます。「生ワクチン(弱毒化したウイルスを使う)」であれば、ときにウイルス感染に伴って症状が出現する場合があります。しかし、日本のインフルエンザワクチンは「不活化ワクチン(化学処理などによって殺したウイルスを使う)」です。
不活化ワクチンで起る副反応は、ワクチンに含まれるウイルスの構成成分、免疫賦活剤(アジュバント、Adjuvant)、不純物(発育鶏卵培養法で作られたワクチンには卵の成分がごく微量残ることがあり、重度の卵アレルギーがあれば、アナフィラキシー・ショックを起こす可能性がある。細胞培養法で作られたワクチンにも培養細胞の断片が残る可能性はある)などに対する免疫反応が原因となって副反応が起ることもあります。
副反応(副作用)の中で重篤な症状を顕わすものは、アナフィラキシー、ギランバレー症候群(GBS、Guillain‐Barre syndrome) 、急性散在性脳脊髄炎(ADEM、Acute disseminated encephalomyelitis)です。アナフィラキシー(anaphylaxis)とは 特定の起因物質により生じた急性で全身性のアレルギー反応です。
アナフィラキシーは起因物質との遭遇(摂取、接触、注射、吸入など)で症状が始まります。すぐに始まる場合と数分から数十分後に始まる場合があります。初期には、口内や唇の痺れ、喉や胸部の狭窄感、眩暈、動悸、耳鳴、腹痛などの自覚症状があり、皮膚の紅潮、蕁麻疹、浮腫、喘鳴、冷汗などの他覚症状も現われます。血圧低下、意識障害、呼吸困難などを伴うこともあり、死亡リスクもあります。気道狭窄による窒息も生じます。
厚生労働省が1月29日に発表したところによると、新潟県の高血圧症、心臓弁膜症などの基礎疾患があった80歳代の女性が新型インフルエンザワクチン接種後に死亡しました(厚生労働省「新型インフルエンザワクチンの接種後副反応報告」116例め)。新型インフルエンザワクチンの接種後に死亡した例は1月27日までに117例あります。その多くが「関連無し」や「評価不能」と報告医から評価されています。その中で、報告医がワクチン接種と死亡との間に「関連あり」としたのは初めてです。使用されたワクチンは、「デンカ生研」の「S5-A」。
女性は1月26日に新型インフルエンザワクチンの接種を受けたといいます。接種後30分間は副反応が見られませんでしたが、接種約40分後、帰宅途中で路上に倒れたそうです。救急車で医療機関に搬送されましたが、死亡が確認されたそうです。死因は基礎疾患が原因であることも考えられるそうですが、アナフィラキシーショックも考えられ、報告医は「関連あり」と評価したようです。
109例めには「ギランバレー症候群」の副反応の否定できないケースがあります。基礎疾患のない70歳代の男性は、ワクチン接種10日後頃より、表在覚(触覚・痛覚・温冷覚)に障害が現われ、進行したといいます。ワクチン接種20日後には、両下肢の筋力が低下したようです。顔面筋の筋力の低下も現われます。ワクチン接種24日後、入院します。検査所見からギランバレー症候群が強く疑われています。使用されたワクチンは「化血研」の「SL03B」。
1月28日、下の息子「健人」(11歳)の新型インフルエンザワクチンの2回めの接種を受けてきました。使用されたワクチンは「北研」の「NB003B」でした。上記から見れば、まだ我が子は「ギランバレー症候群」発症の観察期間中ですが、JR東日本の「土・日きっぷ」(「土・日きっぷ」は2010年3月28日までの利用期間をもって終了)を昨日小遣いで買ってきて、きょう(土曜日)朝早く起きて1人で(私のお下がりの「デジカメ Cyber-shot」を持って、「マスク」をして)出かけて行きました。できれば、新幹線に乗って仙台に行きたいそうです。妻と誰が「鉄ちゃん」に育ててしまったのか、議論をしています。
(この項 健人のパパ)
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きのう(1月21日)、新型インフルエンザの予防接種に妻とともに行ってきました。新型インフルエンザワクチンの優先接種者以外、つまり一般人への接種が2010年1月19日から私たちの県では始まっていました。厚生労働省のページにある記述です。
Q3.
健康成人は、いつから接種できるのですか?
A3.
すべての優先接種対象者グループ(高齢者まで)への接種が開始されている都道府県においては、1月29日に出荷される国産ワクチンから優先接種対象者以外の方々(健康成人など)への接種を開始できます。また、具体的な開始時期は、都道府県の判断により、さらに前倒しとすることも可能です。
新型インフルエンザワクチンの接種スケジュールについては、各都道府県が、接種状況などを踏まえて設定することとしています。各都道府県で開始時期等に差異が生じる場合もありますが、都道府県ごとに状況は異なるため、全国一律にはならないことにご理解ください。
(参考) 「新型インフルエンザワクチンの接種開始の時期が早まるのか。」
2010年1月18日配信の「毎日新聞」からです。
東京都は1月18日、19~64歳の健康成人向けの新型インフルエンザワクチンの接種を約半月前倒しして同日から開始すると発表した。この日から希望者全員が接種を受けられる。
厚生労働省のスケジュールでは健康成人向けの接種開始は2月上旬から中旬になる見込みだったが、都は既に供給量が十分あるなどとして前倒しすることにした。
2010年1月21日配信の「毎日新聞」からです。
厚生労働省は1月20日、新型インフルエンザワクチンの優先接種対象以外の健康な19~64歳への接種について、35都道府県が今月中からの開始を決めたと発表した。茨城、埼玉、東京、山梨、滋賀、京都、鳥取、岡山、広島、福岡、沖縄の11都府県では1月19日までに接種が始まっており、大阪、北海道など24道府県も今月中に始める。2月開始は8県、時期未定が4県。
現在流通しているのは国産ワクチンで、厚労省が1月15日、優先接種対象の各グループへの接種がすべて始まっていることを前提に、健康成人への接種前倒しを認めていた。20日に正式承認された海外2社の輸入ワクチンは、2月上旬から医療機関への供給が始まる。
私の母は民舞の先生をしていて健康なのですが、高齢です。また、私の下の息子「健人」は気管支が丈夫でなく、風邪をひきやすい体質です。新型インフルエンザが通常の季節性のインフルエンザと比べて、重篤化するリスクが高いものではないことが判明してもこの2人をインフルエンザ感染から守らなくてはなりません。
理想から言うと、人体の免疫システムを人工的に操作する「ワクチン」の接種という手段を用いるよりは、自然感染して自然治癒するのがいいのですが、感染しても重症化しないという自信もありません(十数年前にインフルエンザに感染して2日ほど寝込んだ。病院には行かなかった。いまその体力があるか疑問だ)し、家族に子供や高齢者がいると感染させてしまうリスクも高い。
免疫を獲得するには、自然感染して自然治癒するのがいいというのは、ワクチン接種により獲得した免疫は6か月程度しか持たず、翌年の流行期の前に再度接種しなくてはならないのに対し、自然感染して獲得した免疫は半永久的であること、また、ワクチン接種により獲得した免疫には感染防止の効果はないこと(インフルエンザのウイルスは通常鼻腔内で繁殖しますが、その時点では免疫機構が働かない)からです。
新型インフルエンザワクチンは、財団法人化学及血清療法研究所(熊本市、「化血研」)と財団法人阪大微生物病研究会(大阪府吹田市、「微研会」)、学校法人北里研究所生物製剤研究所(埼玉県北本市、「北研」)、デンカ生研株式会社(東京都中央区、「デンカ」)が国内生産をしています。その製造メーカーのひとつ「学校法人北里研究所生物製剤研究所」のホームページに次の記述があります。
インフルエンザワクチンは現在不活化HAワクチンの皮下接種が行われています。インフルエンザ感染発症の予防には気道分泌型IgA抗体と下気道からのIgG抗体が重要です。全身のウイルス感染の抑制には、血中のIgG抗体が重要な役割を果たしているものと考えられています。現在使われている皮下接種ワクチンでは血中IgG-HI抗体が作られ、重症化防止には効果がみられますが、感染防止には問題があります。この問題を改善するために不活化ワクチンの鼻腔内接種や生ワクチンが開発されています。
生ワクチンはすでに米国で実用化されております。経鼻接種型不活化ワクチン、あるいは免疫賦活剤(アジュバント)添加経鼻接種型ワクチンは開発が進んでおります。それらのワクチンの実用化が期待されています。
厚生労働省は、「新型インフルエンザワクチンの接種後副反応報告及び推定接種者数について」という報告を公開しています(平成22年1月20日の報告が最新)。それには新型インフルエンザのワクチン接種から一定の期間内に死亡し、接種との関連を評価する必要のあるものを報告しています。報告されたものの半数弱が「関連無し」で、「評価不能」が半数を超えます。死亡例の報告数は115例になっています。死亡例は基礎疾患を持つ、主として高齢者が多数を占めます。各例には用いられたワクチンの製造メーカーが記載され、「化血研(ロット番号はSLで始まる)」のものが多い。次いで「微研会(HP)」、「デンカ(S)」、「北研(NB)」と続きます。
「北研」のワクチンでの報告例は知る限りでは1例だけになります(ロット番号:NB002B)。112例めに挙げられています。幼稚園児の女の子がいました。2009年11月と12月に季節性インフルエンザワクチンの接種を受けましたが異常はありませんでした。定期予防接種でも異常反応は一度もなかったといいます。2010年1月4日に新型インフルエンザワクチンの接種を受けます。接種後に全く異常はみられませんでした。1月8日に保育園に登園します。登園時は特に変わりなかったそうですが、うつ伏せの状態で死亡していたところを発見されることになります。報告医は、一連の経過から、ワクチンとの関連性はないと考えているそうです。司法解剖が行われましたが、原因が特定されず、SIDS(sudden infant death syndrome、乳幼児突然死症候群)と診断されたといいます。
下の息子は1月7日にかかりつけの小児科で1回目の新型インフルエンザワクチンの接種を受けました。「化血研」のものでした。今回、私たち2人はかかりつけの総合病院での接種です。小児科では予約制だったのですが、この総合病院では妻が電話で確認すると予約は必要ないとのこと。妻にワクチンの製造メーカーを尋ねるように頼むと「キタザトです。」と返事されたとのこと。
国産のインフルエンザワクチンにだぶつきがあるいまならば、製造メーカーも選択できて、「免疫賦活剤(アジュバント)添加」の輸入ワクチンであることもありません。次は、「健人」の2度めのワクチン接種が小児科であります。「新型インフルエンザ」に振り回された半年がようやく終わりを告げます。
(参考) グラクソ・スミスクライン社のワクチンでアナフィラキシーショック多発
(この項 健人のパパ)
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新型インフルエンザワクチンの第8回約700万回投与分の出荷が2010年1月15日(金)に予定されています。この出荷分は高齢者(65歳以上)を主な対象として想定しています。
国産の新型インフルエンザワクチンは、大手製薬メーカーではなく、比較的小規模の4団体のみが製造しています。その4団体とは、財団法人化学及血清療法研究所(熊本市、「化血研」)と財団法人阪大微生物病研究会(大阪府吹田市、「微研会」)、学校法人北里研究所生物製剤研究所(埼玉県北本市、「北研」)、デンカ生研株式会社(東京都中央区、「デンカ」)です。
2010年の初回の出荷分は、その39.6%を「北里」が製造し、「北里薬品」と「第一三共」が販売元で、32.1%を「阪大」が製造し、「田辺三菱」が販売元で、16.5%を「デンカ生研」が製造し、「アステラス」と「武田薬品」が販売元で、11.8%を「化血研」が製造し、「化血研」と「アステラス」が販売元になります。
武田薬品工業(2008年売上高1億3,700億円ほど)、第一三共(9,700億円ほど)、アステラス製薬(8,800億円ほど)は国内の「3強」の製薬メーカーですが、自前ではインフルエンザワクチンを製造していません。「財団法人化学及血清療法研究所」、「財団法人阪大微生物病研究会」、「学校法人北里研究所生物製剤研究所」、「デンカ生研株式会社(売上高140億円ほど)」の製造したものを販売しているにすぎません。
体内でインフルエンザウイルスが増殖するには、感染細胞からインフルエンザウイルスが外部に放出されることが必要ですが、それにはウイルスの細胞膜表面にある「ノイラミニダーゼ(Neuraminidase、NA)」という酵素が関係します。そのノイラミニダーゼを抑制することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制できることが知られています。
ノイラミニダーゼを阻害する抗ウイルス薬を「ノイラミニダーゼ阻害薬(Neuraminidase inhibitors)」といいますが、それにはオセルタミビル(商品名「タミフル(Tamiflu)」、経口薬)、ザナミビル(商品名「リレンザ(Relenza)」、吸入薬)、ペラミビル(承認申請中、点滴注射薬、日本における臨床試験は「塩野義製薬(2,100億円ほど)」が行う)。「タミフル」は、日本ではスイスの製薬会社「ロシュ」グループ傘下の「中外製薬(3,400億円)」が製造輸入販売元となっています。「リレンザ」は、グラクソ・スミスクライン社(日本法人がある。その売上高2,000億円ほど)が製造輸入販売元となっています。抗ウイルス薬のいずれにも「3強」は関係していません。
(追記)2009年1月13日の医療介護CBニュースからです。
塩野義製薬は1月13日、インフルエンザ治療薬ラピアクタ点滴用バッグ300mgと同バイアル150mg(一般名=ペラミビル)の製造販売承認を取得したと発表した。ペラミビルの正式な承認取得は世界初。
米バイオクリスト社から導入した塩野義製薬が国内で開発。成人のインフルエンザ感染での1回投与と、糖尿病などハイリスク因子を有する患者での1回または複数回投与について承認を取得した。小児への適応についても既に臨床試験が終了しており、年度内の追加申請に向けて準備を進めている。
既存のタミフル(中外製薬)が1日2回、5日間の経口投与、リレンザ(グラクソ・スミスクライン)が1日2回、5日間の吸入なのに対し、1回の投与で済む。厚生労働省から優先審査品目に指定され、昨年10月後半の申請から約2か月で承認に至った。
アメリカではFDA(米国食品医薬品局)の新型インフルエンザ流行に伴う緊急処置(EUA、Emergency Use Authorization)で「ペラミビル水和物」が使用されていますが、まだ正式な承認を取得していません。(追記終わり)
2007~2008年シーズンの後半から、ノイラミニダーゼ蛋白の275番目のアミノ酸がヒスチジンからチロシン(H275Y)に置換していて、オセルタミビルに対して耐性を持っている(「タミフルが効かない」)季節性のA/H1N1亜型ウイルスが、世界各地で検出されることが非常に多くなっていました。この耐性を新型インフルエンザウイルスの中にも持つものが出てきています。
(参考) 「新型の「インフルエンザA」はタミフル耐性を獲得しはしないか。」
厚生労働省は、インフルエンザの流行動向を把握するため、医療機関の協力を得て、インフルエンザ患者から採取した検体について、ウイルスが「新型」か「季節性」かの型を確認する「ウイルスサーベイランス」を実施しています。山梨県衛生公害研究所では、7月~12月の間にPCR検査で新型インフルエンザが確認された552検体のうち46検体を抽出し、タミフル耐性の検査を行ってきました。その中で、2009年12月9日に採取された検体からタミフル耐性の遺伝子変異が認められた(オセルタミビル耐性マーカーH275Yが認められた)そうです。
山梨県衛生公害研究所は、国立感染症研究所ヘ分離ウイルス株を送付し、感受性試験を依頼したところ、国立感染症研究所は「タミフル耐性」を確認しました。しかし、「リレンザ」に対しては、感受性があったそうです。山梨県では初めて確認されましたが、全国では、タミフル耐性を示す新型インフルエンザウイルスが31例確認されています。
山梨県の3歳男児が感染したインフルエンザウイルスに「タミフル耐性」がありました(生じました)。
12月4日…発熱、咳などのインフルエンザ症状が現れ、受診。インフルエンザ迅速診断キットでA (+)、タミフルが処方されます。
12月9日…再度発熱し、タミフルが追加されます。抗生剤処方、検体を採取。数日で回復。その後、周囲に感染の広がりはなかったそうです。
和歌山県環境衛生研究センターは、6月~12月の間に提供を受けた検体のうち、これまで104株のウイルスについて、タミフル耐性の検査を行いました。2009年11月20日に採取した検体からタミフル耐性の遺伝子変異が認められています。和歌山県では初めての確認です。
和歌山県の8歳男児が感染したインフルエンザウイルスに「タミフル耐性」がありました(生じました)。
11月14日…発熱、咳などのインフルエンザ症状が現われ、受診。インフルエンザ迅速診断キットA (-)、タミフルが処方されます。
11月15日…咳の症状が増強します。
11月19日…症状改善しないため受診し、入院。インフルエンザ迅速診断キットA (-)。検体を採取し、タミフル、リレンザが処方されます。
11月20日…PCR検査で新型インフルエンザ陽性が判明します。
11月23日…回復し、退院します。
この事例では、快復までに10日近くかかっています。上記2例では、「タミフル耐性」をインフルエンザウイルスが持っていたため、快復まで時間がかかったり、重篤化したりしたのでしょうか。それとも、タミフルを服用せずともインフルエンザからは重篤化のリスクを負わずに自然治癒するものなのでしょうか。
(参考) 「タミフルを飲まなくてもいいくらいに私は「健康」?それとも「不健康」?」
In the UK, the levels of illness are below what would be expected during an average winter. And with 360 deaths so far, questions are being asked about whether health officials over-reacted.
The financial cost of preparing for the pandemic is yet to be calculated.
However, it looks likely the bill will run into many millions of pounds as enough doses of Tamiflu and Relenza - the anti-viral drugs that can lessen the symptoms of the flu - and the vaccine were bought for the whole population.
The UK government is now looking into whether it can stop purchasing the jabs it had placed orders for as experts predict a future rise is unlikely. Another option is selling them to other countries or donating them to the developing world.
Meanwhile, the World Health Organization (WHO) has already announced it will review its handling of the pandemic.
Council of Europe health committee chairman Wolfgang Wodarg has been one of the most vocal critics.
He has said experts have been unduly influenced by the pharmaceutical industry, and questioned whether a virus that proved to be so mild could really be classed as a pandemic. (BBC News, 14 January 2010)
奈良県で慢性閉塞性肺疾患の基礎疾患のある70歳代男性が新型インフルエンザ感染で亡くなりました。新型インフルエンザ患者(疑い例も含む) の死亡は155例めで、今回で奈良県では2009年10月26日、2010年1月3日に次いで3例めになります。
1月 9日…38℃の発熱があったが、受診しなかった。新型インフルエンザや季節性インフルエンザのワクチンの接種はしていない。
1月10日…呼吸困難により、救急車で病院に搬送され入院。37.4℃で、喘息症状で肺炎を併発していたが、意識は清明。インフルエンザ迅速検査でA型陽性。タミフルが投与される。6時間ほどして、心肺停止。蘇生術が開始され、人工呼吸器が装着される。
1月11日…死亡が確認され、直接の死因は肺炎。
1月12日…奈良県保健環境研究センターで、PCR検査が実施され、新型インフルエンザの感染が確認される。
新型インフルエンザはその感染による入院患者数はピークを越え、減少傾向にありますが、まだ多い。週当たりに入院患者が200人を超えて急増し始める前の37週(2009年9月7日~13日)ほどのレベルになるにはまだまだかかりそうです。(上記のインフルエンザ感染に関するデータと下図は厚生労働省のページが出典です。)
(この項 健人のパパ)
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今回のイタリア旅行は19日間ので、まずローマに入り、1週間の滞在をした後は、フィレンツェに4日間の滞在を予定しています。イタリアではピザ、パスタ、ジェラート、生ハムを食べたいと張り切っている我が子「健人」もこの頃になるとそろそろイタリアン・フード(「イタ飯」)に飽きて「日本食」が恋しくなってきた頃かも知れません。健人は子供であるにもかかわらず、普段は魚の塩焼きの好きな「和食党」です。
かなり前に、上の息子「優也」が未就学のときにヨーロッパを旅行しましたが、パリやロンドンではキッチン付きのアパートをJTBで手配してもらったこともありました。下の息子「健人」が生まれてからは行き先がアジアになり、シンガポールでも5歳の健人を連れて行ったときは、サービスアパートメントで自炊をしていました。
「サービスアパートメント」とは「ホテル」に近い家具付きの賃貸住宅と言ったらいいのでしょうか、ある程度長期の宿泊が条件とされ、水道光熱費、電話基本料、インターネット接続料金などが賃料に含まれていることが多く、フロントサービス、ハウスキーピングサービス、リネン交換、コンシェルジュサービスなどホテル並みの付帯サービスがあるのが通常です。家具、インテリア、キッチン設備、洗濯機や乾燥機などの電化製品が部屋に付いているのも通常です。
シンガポールで利用したのはシンガポール・シャングリラの近く、32, Orange Grove Road Orchard, Singaporeにある「ル・グローブ・サービス・アパートメント(Le Grove Serviced Apartments)」でした。このサービス・アパートメントは最低でも7泊しないといけませんが、私たちが宿泊したのは4日間でした。プロモーションをしており、7泊以上という条件を4泊以上に引き下げていたので利用しました。
部屋は、居間と寝室が続いている「スイート(suite)」のような造りで、1ベッドルーム、1リビングルーム、バスルーム、トイレ、カウンター・キッチン、乾燥機付き洗濯機などがあり、無料の朝食(平日)、毎日のハウスキーピング、リネン交換サービス(日曜、祝日を除く)もあり、オーチャード・ロード、サンテック・シティ、シェントン・ウェイへのシャトルバスが正時に出ていました。
観光にできるだけ時間を割きたいという夫は、あまり調理に時間を割かれるのは好みませんが、それでも調理に関心のある私は現地の食材を使って料理を作ってみたいのです。日頃からこだわりを持っている「塩」、「ダシ」、「醤油」などは日本から持参して後は現地で調達しようと思います。日本では「和食党」である夫も海外に出ればその国の食事にすぐに慣れてしまい、和食を恋しがることはない(本当のところは食に関心がない?)のですが、それでもイタリアで和食を口にできるのは嬉しいでしょう。
シンガポールでは現地駐在の日本人が多いためか、日本の食材が手に入れやすく、スーパーマーケット「Cold Storage]で日本米(置いてあるが日本よりかなり高い)の代わりに中粒米のカリフォルニア米を買ってきてご飯を炊きました。もちろん、電気炊飯器などはありません。しかし、私は普段から急いでいるときは釜炊きや鍋炊きでご飯を作っている(その方が早く炊き上がる)ので、困難はありません。このときはキッチンに置いてあった「鍋」で炊きました。
イタリアにも日本で言うところの「マンション(英語で“mansion”というと「豪邸」の意味)」の1室を貸す「レジデンス」タイプのホテルもあるようですが、意外と宿泊費以外の経費がかかる(清掃費や光熱費など)ようなので、ローマは断念しました。フィレンツェには、見所が多くあるので、とくに徒歩で美術館に通うことができる場所を考えました。その点で、「パラッツォ・デイ・チオンピ・スイーツ(Palazzo dei Ciompi Suites)」がよいのではないかと考え、ホテル予約サイト「エクスペディア」で予約しました。
(info) エクスペディアでの「パラッツォ・デイ・チオンピ・スイーツ」(PALAZZO DEI CIOMPI SUITES)の情報。
パリでは、セーヌ川の北側(右岸)で、市内の中心より少し東側に位置するマレ地区に「アパルトマン」を1週間借りました。14年ほど前、ユダヤ人の多く住む街と言われていたのですが、アパルトマンの近くに韓国人の経営する食料品店があって、そこで和食の食材を手に入れていました。韓国の食材で和食を作ることはそう難しくはありません。「ぼくは、洋食より和食の方がさっぱりしていて好きなんだよね~」という健人も「キムチ」は大好きです。私たち家族は、「日本食」というより「アジア食(「アジア飯」)」が好みに合っているのでしょう。
イタリアには、市場(メルカート、il mercato)があちこちにあるそうです。イタリアでは新鮮な食材を容易に手に入れられそうなので、「アジア飯」に自炊で挑戦です。食材に困ったら、いまでは世界各地に進出している韓国人の経営している食料品店を探してみるつもりです。フィレンツェにはあるかな?
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2人いる息子の下の「健人」が1月7日に新型インフルエンザのワクチンの接種を受けてきました。かかりつけの小児科で1時40分の予約をしていたので、妻も私も仕事を都合して出かけてきました。10分早く着いたのですが、15台程度入る小児科医院の駐車場には入ろうとする車が行列を作っており、駐車するのを断念。「今年初めての診療開始日なので混むのよ」と言う妻と健人を車から降ろし、私は車で数分のコンビニに避難。ついて行って、接種される新型インフルエンザワクチンの製造メーカーを知りたかったのですが、できませんでした(妻「あみ」の注記-もらった資料によると、「化血研」のロット番号SL08B。院内は、身動きが出来ないほどの大混雑で、約1時間待ってようやく接種完了)。
国産の新型インフルエンザワクチンは、大手製薬メーカーではなく、比較的小規模の4団体のみが製造しています。その4団体とは、財団法人化学及血清療法研究所(熊本市、「化血研」)と財団法人阪大微生物病研究会(大阪府吹田市、「微研会」)、学校法人北里研究所生物製剤研究所(埼玉県北本市、「北研」)、デンカ生研株式会社(東京都中央区、「デンカ」)です。厚生労働省の公表した死亡例で見て、使用されたワクチンは「化血研」のものが多いので(それぞれのメーカーの出荷数がわからないので、「化血研」のワクチンに死亡する頻度が高いとは言えない)、もしそれが使用されたのであれば、より接種後に留意しなければならなかったからです。
新型インフルエンザでは1月7日までで、疑い例を含めて、149名が亡くなっています。最近では、沖縄県の4歳になる基礎疾患のない保育園児が亡くなっています(146例め)。かわいそうなことです。昨年(平成21年)の12月30日に、1回目の新型インフルエンザのワクチン接種を済ませていたのですが、今年(平成22年)1月3白夜に39℃の熱を出します。翌1月4日朝に受診し、タミフルを処方され、昼に1回内服します。午後5時頃から痙攣が続くようになり、受診。インフルエンザ迅速診断では検査ではA型陽性でした。新型インフルエンザによる脳症が疑われ、1CU(集中治療室)に入院します。
1月5日のPCR検査で新型インフルエンザへの感染が確認されます。呼吸不全のため、人工呼吸器に入っていましたが、その後、循環不全が出現し血圧が低下します。CTでは脳浮腫が著明で、出血も認められ、DIC(播種性血管内凝固症候群)を併発しました。脳浮腫の改善がみられないまま、午後10時45分に死亡します。死因は、新型インフルエンザによる脳症でした。
今年に入って、基礎疾患のない福島県の30歳代男性(142例め)、動脈管開存症・肺高血圧症・鬱血性心不全・胸腹部大動脈瘤・心房細動といった基礎疾患のある兵庫県の50歳代女性(143例め)、慢性閉塞性肺疾患という基礎疾患のある大阪府の63歳男性(144例め)、筋ジストロフィー症の埼玉県の47歳男性(145例め)、大阪府の基礎疾患のない53歳男性(147例め)、奈良県の基礎疾患のない幼児(148例め)、神奈川県の脳梗塞などの基礎疾患のある73歳男性(149例め)が亡くなっています。死亡例149例のうち、基礎疾患がある例は107例で、急性脳炎と報告があったのは13例でした。
ワクチンで免疫(抗体)を獲得するには、通常約2週間程度かかり,約5ヶ月間持続されると言われます。沖縄県の4歳の男の子の例では、新型インフルエンザのワクチン接種を受けていたのですが、家族4名中、本人を含む3名が新型インフルエンザ様の症状を呈しており、家族内感染が疑われる状況で、抗体の獲得が間に合わなかったことになります。実に残念です。
新型インフルエンザのワクチンは国内生産分で需要分を用意できないことから、優先順位がつけられ、10月19日から接種を開始しています。
(1) 医師や看護師などの医療従事者(約100万人)、
(2) 妊婦(約100万人)と基礎疾患のある人(約900万人)、
(3) 小児(1歳~就学前、約600万人) と小学校低学年(約400万人)、
(4) 乳幼児(1歳未満)の保護者(約200万人)
上記の優先接種者は2,300万人になりますが、日本の接種済みの人は12月25日現在で、1,490万人(ワクチンの出荷本数からの推計。11月6日約351万接種回数分、11月24日約386万接種回数分、11月30日約55万接種回数分、12月7日約572万接種回数分、12月18日約533万接種回数分、12月28・30日約447万接種回数分)。上記の優先接種対象者の65%ほどになり、実に高率です。日本の人口は1億2,700万人ほどですから、人口比では12%ほどになります。国立感染症研究所が全国約5,000医療機関を対象に行っているインフルエンザの定点調査で、第52週(12月21日~12月27日)の新規患者が、1医療機関当たり19.63(患者報告数94,228人)となりました(第28週以降の累積の推計患者数は約1,753万人)。これを合計すると、日本の人口の27%ほどの人が新型インフルエンザに対する抗体を獲得していることになります。
日本と異なり、ヨーロッパの多くの国で接種は無料(日本では、1回接種なら3,600円。2回目は2,550円)です。それでも、ヨーロッパでは新型インフルエンザワクチンの接種率が低いといわれています。その理由は、新型インフルエンザワクチンの「安全性」に対する信頼がないことです。ワクチン接種時の発熱、頭痛、めまい、吐き気といった副反応(副作用)に対する不安です。さらに、アナフィラキシー・ショック、ギラン・バレー症候群などを恐れてのことかも知れません。
平成22年1月8日(金)に厚生労働省で第4回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会が開催されました。専門家会議で明らかにされた報告によれば、1月5日までにアナフィラキシー・ショックで102件(専門家の検討で、接種との因果関係があると判断されたものはそのうちの46件)、脳炎・脳症で7件、ギラン・バレー症候群で5件あったそうです。アナフィラキシー・ショックはアレルギー症状の一種で、ワクチン接種で起ることがある副反応で、今回の新型インフルエンザワクチンでの発生率は10万件あたり0.6件。通常の季節性のインフルエンザワクチンでの発生率と大きく違わないことから、専門家会議は「重大な懸念はない」としました。
埼玉県では、小学校高学年(4年~6年生。接種対象者約20万人)の優先接種開始日は12月18日(金)でした。明らかな発熱を呈している者やインフルエンザワクチンの成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者などは、「接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)」に該当し、ワクチン接種を受けることはできません。そのため、1月7日の接種に備えて、よく風邪をひく健人を冬休み期間中ほとんど家を出しませんでした。
それでも、妻の話では接種前の検温では37.1℃(平熱は35.6℃、低体温)。1.5℃も高かったのですが、待合室の大混雑で熱が出たと考え、ワクチンを接種してもらったそうです。その後、私に用事があったので、車で健人を家に帰さず連れて歩くことにしました。異常が出たらそのまま病院に運べるからです。
(1)心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者、(2)予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者、(3)過去に痙攣の既往のある者、(4)過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者、(4)気管支喘息のある者、(5)本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者といった明らかに「接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)」に該当するわけではないので、大きく心配はしていなかったのですが、接種後しばらくして身体のだるさを訴え始めます。
妻もインフルエンザワクチンの接種を受けると身体のだるさを感じる体質で、「大丈夫よ。季節性のワクチンでもだるくなったでしょう。あれと同じよ」と健人を励ましていました。用事を終えて、帰宅してからも改善は見られず、夕食後に早々と寝てしまいました。経過の観察が必要だと考えていましたが、特に体温を測っても平熱に戻っており、身体のだるさといった「自覚症状」以外に「他覚」される異常はありません。
翌日も寝起きが悪く、依然として体のだるさを訴え、頭痛もすると言います。しかし、体温は高くありません。学校を休ませることも考えたのですが、今日から新学期。午前中で下校で、妻もきょうは家にいます。そこで、渋る健人を学校に送り出しました。仕事中に学校から引取りの電話もなく、妻からも健人の異常の電話もなく、夕方に帰宅すると、元気な様子の健人が迎えてくれます。
「学校はどうだった?」
「大丈夫だった。」
「身体がだるいのはどうなったの?」
「2時間目に直った。」
「いまは?」
「もう元気。」
季節性のインフルエンザワクチンと同じような経過を辿って、健人の「新型インフルエンザワクチン」の接種が終了しました。
(健人のパパ)
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