モヴィエ日記

映画の感想とか、いろいろです。

♪味見ぃーしてんかー 粉の風味ぃー

2016-09-30 21:17:35 | 「てるてる家族」が歌ってる
さて、こうやって感想を書き連ねて来たなかで、
これ忘れてたなあとか、そうやったそうやったって思い違いしてたとか、
そういうのを何度か書いたと思いますけども、
そりゃ本放送を見たっきりで10何年も経ってるんやから仕方ないわってなもんですけども、
でもねえ……って、まあその話は後にして、
まずは冒頭から、ローリーの肩を抱いて裏木戸のところに引っぱって来る和ちゃん、
ちょっと訊きたいねんけどと切り出す話は、
「人を好きになるって、どういうことや?」
はい、この場面はとっても印象に残ってました。
これがきっかけでいよいよ和ちゃんが……な訳ですからねえ。
で、そう訊かれて顔がニヤけるローリーは「…カッコわるいことですよ」
「え?」と戸惑う和ちゃんに、
「カッコわるい姿を相手に見せるいうことです、
 それで、自分だけはカッコええって、そう思うんです」
「そのまんまお前やん」と少し小馬鹿にしたような和ちゃんに、
「そうです」と当たり前のことのようなローリーは続けて、
「そやから僕はいつでもカッコええんです」
「…お前になりたいな」と俯く和ちゃん。
「なったらええやないですか、和ちゃん昔からカッコわるいんですから」
そして今度はローリーが和ちゃんの肩を抱き、
「いっぺんぐらい僕みたいになっても、よろしいんやないですか?」
「…そやな」と答える和ちゃんはしかし、
ローリーのアドバイスにどれぐらい納得できたのか、
この時点ではちと心許なかったりもしたんですけども……。

そして仏壇のヨネさんにスライスしたフランスパンを供える冬子。
昨日は作るという話だけ出て来たフランスパン、早速ここに登場ですわ。
そしてお祈りするのはデーニッシュに続いてこれも成功しますように……ってなことかと思ったら、
「おばあちゃん…来年、どうか、
 秋ちゃんをよろしゅうお願いいたします、
 秋ちゃんを守ってあげてください…」
合わせた手を眉間から鼻筋にかけてピタッと押し付けて、
思いっきり心を込めてお祈りする冬子に聞こえて来るのは天の声ならぬ、
天からのヨネさんの声、
「あんたに言われんかてわかってる…」
「そう言わんと…えっ?」
ハッと気づく冬子が顔を上げると辺りは一転闇に包まれ、
そして振り返ると背後には光に浮かび上がるヨネさん。
正座して対面する冬子は、人の心配してる場合かと言われても思い当たる節がなく、
和ちゃんのことはどうなってると訊かれてやっと、どうもなってないけど……と答えると、
何ぐずぐずしてる、いつ結婚するのかとヨネさん。
「そんな、あたしらまだ若いねんから…」
「あっという間に歳取りますがな」
「それにパン職人としても2人ともまだまだ半人前やし」
「合わしたら一人前やがな」
「ちょっと待ってぇな…」
そう戸惑う冬子に、微笑むヨネさん、
「…待ってるよ、おばあちゃんいつまでも楽しみに待ってるで」
「もしかして…あたしがそっちに行くの待ってる?」
するとさらにいたずらっぽく微笑むヨネさん、
「それも待ってるわ…ま、その前に春男と照子さんが来ますわな…」
「そんなこと言わんといて…」と悲しそうな冬子を遮り、
「…そしたら工場にはあんたと和ちゃんや」
「そんなん、まだわからへんわ」
「そのとき、あんたの周りにはどんな家族がいてんのやろなあ…
 きっとあんたに似て、賑やかで楽しい家族やろなあ…
 楽しみや…」
「…おばあちゃん」
目に涙が溢れ、言葉が続かない冬子ににじり寄り、
画面には映ってないけど恐らくその手を握ったと思われるヨネさん、
「冬子、がんばりや、
 あんた、ええ人生のツボ、見つけたんやな」
「うん」と頷く冬子。
「けどな、ツボはひとつだけと違いますねや、
 年が経てば場所が変わるいうこともありますねん、
 そやから、そのときそのときによって、
 自分のツボ、見つけて行くんやで」
「はい」としっかり答える冬子。

さて、工場で窯から焼き上がったフランスパンを取り出す和ちゃん。
「どやろか…」と少し心配げな冬子。
あれはノコギリみたいな刃のついた長いパン用ナイフでゴリゴリする和ちゃん、
スライスしたそれを手にしてしげしげ眺め、ちょいと匂いもかいでからひとくち齧り……
「…どない?」と訊く冬子に、
「うん、このほうがええんちゃう?」
喜ぶ冬子は、自分にもスライスしてもらってひとくち齧り、
美味しいと納得しつつ、こねる時間でこれだけ変わるのかと驚き、
粉本来の風味だけでの勝負やから奥が深いとのたまう和ちゃん。
へえ、そういうもんなんですか……と、
パンについての豆知識を得るのもこれで終わりかと思うと寂しくなってしまうような、
でもって、皆に食べてもらうからとフランスパンを2本バスケットに入れて、
母屋に向かう冬子……とその様子を、
こっそり陰から窺っていた秋子は足音を立てずに工場に向かい、
ドアを開けて小声で和ちゃんを呼ぶと、
すぐに応じて出て行く和ちゃん、
何か打ち合わせでもしてあるんでしょうか……って、
この辺はわかってて書いてるんですけども、でもしかし……。

そして居間で、こちらは普通の包丁でスライスしたフランスパンを皆に勧める冬子。
一斉に手を伸ばし、焼きたてにしては少し噛みちぎるのに苦労してるように見受けられるのは、
まだこの頃フランスパンを食べる習慣が一般には根付いてなかったからでしょうか、
そんななか春子が真っ先にモグモグして「うん、美味しい!」と声を上げられたのは、
グルノーブルで食べていたおかげ……なのかどうかは定かではないですけども、
続いて春男さんも美味いと言い、喜ぶ冬子。
しかし「あんま、味せえへんね」と水を差す照子さん。
「小麦粉の風味を楽しむもんやねん」と説明してやる冬子。
「フランスパンやろ」春男さん。
「バター塗ったらええの違う?」と夏子。
「そらそうや」「当たり前やろ」と冬子に春男さん。
ちなみに春男さんがこれだけフランスパンに通じてるみたいなのはやはり、
佐世保の米軍基地でパン作りを教えてくれたアメリカ人が実はフランス人やったからなのかどうなのか、
それはさておき「あ、まだ工場長お店にいてんねよね」とエプロンを外しかける冬子……ということは、
なんですか、この時間は店番は工場長がやってくれてるんですか?
それはちょっと見てみたいような買いに行きたくはないような、
するとそこへ冬子を呼びにやって来る秋子。
それには構わずフランスパンを勧める冬子に、
やはりそれには構わず、いいから庭に来てと誘う秋子。
そしてエプロンを外した冬子が出てみると……

そこには秋子の姿は見えず、宙にぶら下げられた大きな白いハトのオブジェが3羽。
その下に置かれたバタコの荷台には地面から続くレッドカーペットが。
導かれるようにそこに上がる冬子。
その様子を陰から見守る秋子と松本夫妻。
訳もわからぬまま、ハトを突いて面白がったりしてる冬子……と、
どこかから聞こえて来るギターの音色にふと見上げると、
物干しでギターをつま弾くローリーを背に、
白いタキシード姿で、そして背中には大きな白い翼まで背負って、
和ちゃんが歌うはもちろん「ラブ・ミー・テンダー」。
そんな和ちゃんを見上げてじっと見つめ続ける冬子。
そして冬子を見下ろしてじっと見つめて歌い続ける和ちゃん。
何事かと春男さんたちも出て来て、上を見て驚き、
そしてお店のほうからは工場長もやって来てやはり上を見て大いに驚き、
しかしそんなことには構わずにじっと和ちゃんを見つめ続ける冬子、
もちろんこのとき店番が誰もいないことなど脳裏をかすめもしなかったことでしょう。
そして物陰の秋子はここぞとばかり、手にしたどでかいリモコンのボタンをカチャリ。
回る歯車、作動するウィンチ、
クレーンが動き、吊るされた和ちゃんは宙を舞い、
ゆっくりと降りて行く先にいるのはもちろん、じっと見つめ続ける冬子。
その構図はそう、まるであの米原さんの絵本の原画のよう。
そして歌い終わると同時に降り立つ和ちゃんは冬子と見つめあい……
「冬ちゃん、…ラブミーテンダーや」
じっと見つめたままの冬子の、唇が微かに開き……
「ラブミーテンダーや」
繰り返す和ちゃんに、冬子の顔に微かに浮かぶ笑み。
やがて外野の期待に応え、冬子を抱きしめる和ちゃん。
それに応じ、幸せそうに目を閉じる冬子。
周囲からは花火まで吹き上がり、
皆に温かく見守られて、いつまでも和ちゃんに身を委ねる冬子。

その夜、秋子が物干しに出ると、
そこにひとり座っていた冬子、
「秋ちゃんやろ? ローリーと、余計なことして…」
「和ちゃんに頼まれてん、あたしら協力しただけ」
そう答え、冬子の隣に腰掛ける秋子。
すると、秋子の肩に頭を凭せかける冬子、
「なんであんなことしたん…」
「冬ちゃんをひとりぼっちにして置いて行くわけにはいかへんやろ?」
頭を少し持ち上げて秋子を見遣り、
目が合うとまた凭せかける冬子、
「余計なお世話や…」
そう言いつつとても幸せそうな冬子を呼ぶ声の主は、
今日は工場の上の住み込みの部屋からではなく、外階段を上がって来ている和ちゃん。
「冬ちゃんに、ずっと、返しそびれてたもんがあって…」
何?と立ち上がる冬子。
やはり立ち上がり物干しから降りる秋子と入れ替わりに上がって来る和ちゃんが差し出すのは……
「こんなんずっと持ってたん?」
「どこに行くにもそれだけは持っててん、
 いつもカバンの底に、服に包んで入れててん、
 いつの間にか俺のお守りみたいになってしもて…」
「そやったん…ありがとう」
「それはこっちや、今までホンマにありがとう」
「ホンマに小ちょおて壊れやすいもんやのに、
 あっち行ったり、そっち行ったり、
 あっちこっちぶつけたやろに…
 よう壊れんとここにこうしてあんねんやね」
そして冬子がそれを手すりに置くと、
それは光を放ち、蘇るのはかき氷を両手に走る幼い日の冬子の姿、
幼い日々の思い出の数々……
いつまでも光を放ち続けるそのガラスの器を、いつまでも見つめる2人。
そんな様子を見届けて、戸を閉めて奥に消える秋子。
やがてチラッと見つめあい、少し笑みを浮かべ、
そしてまたガラスの器を見つめる2人、
その器の放つ光は万博会場のイルミネーションよりもはるかに美しく……って、
いや、ラストの写真にそこまでの意図はなかったでしょうけど、
でも素敵でしたよねえ。
とてもいいクライマックスでしたよねえ。
笑えて、突っ込みどころもあって、
でもこちらまでとても幸せな気持ちになれる、
本当にてるてるらしい最高のエピソードでしたよねえ。
だからもうごちゃごちゃと余計なことは書きたくないんですけど、
でもひとつだけ我が事を……これ、
てっきり最終回にあるんやと思ってましたわ、
「ラブ・ミー・テンダー」
最終回の最後にこれが来て、ちょこっとエピローグがあって、
その後に涙なくして見られないあれがあるもんやと、
この10余年ずーっとそう思い込んでましたわ。
それが思いかけず今日やったもんやからもう驚いたの驚かないの、
結局驚いて、その分とても新鮮な気持ちで見ることが出来て、
さらに明日の最終回も何が描かれるのかと楽しみにすることも出来るわけですけど、
しかしそれにしても自分の記憶力のデタラメさには……ああ情けない。
♪何覚えてたんだー ふざけんじゃねー
 核などいらねー……って、それはまた別の歌やけど。
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フランスパンの耳もください

2016-09-30 04:36:54 | 「てるてる家族」が歌ってる
冒頭、フランスパンを作ってみたいと言い出す冬子と和ちゃん、
もう残り少ないここへ来てまた新しいことを始めるのか……って、
いや、ここで重要なのはこの2人の意見が一致してることなわけですけども、
でも今日の回ではその後の動向は描かれなかったフランスパン、
明日以降の動きが注目されるところでありまして、
そして場面は変わってお店では、
カウンターのところで語らう秋子と米原さん。
ちなみにこのときテーブルに見えるのはあれは、
照子さん考案のサバパンのようですけどどうなんでしょうか、
でもって留学するという秋子にエールを贈る米原さんに、
冬子に幸せになって欲しい、それを見届けられないのは心残りや……と秋子、
「余計なことはしたないけど、あの2人は小ちゃい頃からずっと流されっぱなしやったから…」
そして米原さんに問われて、和ちゃんが突然いなくなったときのことを語る秋子……しかし、
もっと詳しくと請われて、ローリーにもらったハトを飼ってて……って、
いきなりそこを言われてもなんのこっちゃわからんやろに、
理系にしては物事の順序立て方が論理的やないような気がするけど、
それで、もうちょっと前からと注文がついて、
「和ちゃんは昔、うちにパンの耳もらいに来てて……」と、
やっと米原さんにもわかるようにそもそもの最初から話しはじめる秋子。

さて、とうとう発売されたシングル盤「この宇宙の果てで」を手にする冬子、
あの忌まわしい曲をまたわざわざプレゼントされたんでしょうか、
「聴かへん…絶対聴かへん…」とジャケットを睨みつけ……しかし、
「いやアカン、ほんなん言うたらあたしが未練あるみたいやんか」と発想の転換でもって、
プレイヤーに載せ、針を落とし……しかし、
ちょうどイントロが終わった辺りで秋子が部屋に入って来ると、
慌てて針を上げてごまかしたりなんかして、
これではまるで未練があるようにしか見えないんですけどもそれはさておき、
もう外は寒くなったね、
春になったら行ってしまうんやね秋ちゃん……などとさりげなく話し始めた後、
懸案事項を問い質しはじめる秋子。
和ちゃんとは別にどうもなってない、このままでええやん……とかわす冬子。
すると「あたしの先輩でな、いつもあたしに何か言おうとしてて言われへん人がいてんねん…」と、
全国のお茶の間にはお馴染みの件を語り出す秋子、
思ってることがあるのなら言うて欲しかった……と、実はすっかりお見通しやったことを明かし、
しかし冬子から「言うて欲しかったん?」と訊かれると、
「言われても困ってたけど…そやからよかった」って、
出番が終わって後になってさらに惨めな様をお茶の間に晒すことになった森野先輩。
しかし冬子はそんなお茶の間の笑い者に我が身を重ねあわせたのか、
「なんや、言われへんかってよかったんや…」とつぶやくと寂しげな表情を浮かべ、
すると違うほうに話が行ってしまったのを軌道修正する秋子はズバリ、
「好きなんやろ、和ちゃんが」
チラッと秋子を見た後、視線を落とす冬子。
「…そうなんやろ?」
重ねて訊かれ、微かに笑みを浮かべて「…好きや」と、
しかしそう打ち明けた直後に表情は曇り、
そしてそれを振り払うように明るく「そやからええねんて、今のままで…」と答える冬子は、
続けて自分を納得させるかのように「今のままがええねんて、うん」
そんな冬子の心中を思い遣るかのようにどこか遠くをのほうを見つめる秋子。

「それから数週間後の日曜日です」とナレーションしもって、
あくびやら伸びやらしもってえらい気怠そうに商店街を歩く冬子……ちなみに、
松本書店の隣にある花屋のおっちゃん、
結構昔からずーっと、いつもいつも店先で鉢植えをいじったりしてるけど、
今日も冬子とは挨拶を交わさないし、
2軒となりなだけやのに付き合いないんやねえ。
こないだは寺井さんとは挨拶してたから決して人付き合いが悪いとか世捨て人やとかいうわけでもないやろに、
この花屋のおっちゃんもセリフ欲しかったんかなあ、
夏子が帰って来たらサインもらいに行ってついでにすき焼きよばれたかったんかなあ……などと、
どーでもいいことを考えてるところへ、
裏木戸から入ろうとする冬子に声をかける米原さん、
持参した大きな封筒の中身は絵本の原画で、
しかもそれが冬子と和ちゃんのエピソードを童話にしたものとのことで、
「えへへっ? えへっ? へえ…?」と驚くやら照れるやらの冬子。
そしてバタコの荷台に腰掛ける2人、
原画を眺める冬子……絵本のタイトルはズバリ「パンの耳ください」、
そしてめくると「はあ、懐かしいなあ…」と思わず漏らすその絵は、
紙袋を小脇に抱えた和ちゃんと、その後を追う冬子、
そんな2人とすれ違う郵便配達の自転車……
「別にええのと違いますか」と冬子は言うけど、
いや、ええことない、
この郵便配達人はただ自転車に乗ってるだけやんか、
なんで指差し確認してるところを描かへんねんな、
そんなこっちゃからいつまでも売れへん絵本作家のままやねんで、
これではええことあらへんで……って、いやそうじゃなくって、
冬子がええと言ったのは原画についての評価じゃなくって、
2人のことを題材にしたのを出版社に持ち込んでもいいかとのお伺いに対する返事で、
「…和ちゃんもアカンとは言わへん思いますよ、もう昔のことやし」と続ける冬子。
やがて、ちょうどこの場所でハト小屋を作ってた賢作兄ちゃんが、
「お前に惨めな思いはさせへん」って言ってたことを思い出す冬子。
その気持ちは和ちゃんも受け取ったのではないかと米原さん。
そんなやり取りを工場のなかで聞いていた和ちゃんに届く米原さんの言葉、
「誰かを大切に想える人は、どんな状況になっても、
 ギリギリのところで踏んばれる強さを持てるんです、
 誰かを想うって気持ちは、簡単には折れないんです」
……余談ですけど僕は「心が折れる」という言い回しが余り好きじゃないんですけど、
ひょっとしてそのルーツはここにあったんやろか?
でも「昔、僕もそれを知りました」と続ける米原さんはホンマに折れてしまいそうやったしなあ。
そしてまた1枚めくると、空を飛ぶ白いハトを見上げる小さな小さな冬子。

さて夕暮れ時、
物干しのてるてる坊主よろしく居間に居並ぶ照子さん、春男さん、そして冬子。
そろってお茶を啜り、ため息を吐き、
静かやねえ、秋子がいなくなったらずっとこんな感じなんやろなあ……などと言ってはまた茶を啜り……と、
突然やって来るのは、春子!
あれ以来久しぶりの登場の春ちゃん!
春ちゃんとキツネザル1匹の来訪に急に元気を出す3人に、
かしこまって報告する春子たち、
昨日病院に行って来て、3ヶ月やて言われた……
バンザイ三唱する冬子たち、
とそこへ降りて来る秋子は「春子が3ヶ月」と聞いて、
「えっ、3ヶ月の命…!?」と縁起でもない誤解をし、
しかし「3ヶ月の命や…」と春子のお腹を見て喜ぶ春男さん、
そして皆で春子のお腹に殺到し……ってしかし、
もうここまで来たらさすがに観念するしかないですわ、
この結婚を認めてやらないわけには行きませんわ、
行きませんけどしかしどーしても許せないのは、
クレジットの表記が「岡谷春子」に変わってしまってること……ああ、
なんか春ちゃんが完全に手の届かないところに行ってしまったみたいで辛いやんか、
辛すぎるやんか……ってじゃあ、
「岩田春子」のままやったら手が届いたんかって、いやそういう話じゃなくって、
だからその、春ちゃん……
ああ春ちゃん……って、心かき乱されてしまってるところへ、
さらに突然やって来るのは夏子。
すると今度は夏子に殺到して狭い玄関でもみくちゃになったりなんかして、
そして報告したいことがあるという夏子に、
あんたまでまさか……!と驚きお腹をいたわってやる照子さんは言うまでもなく勘違いで、
夏子の報告とは今年も紅白出場が決まったこと、
大喜びでやっぱりバンザイする一同。

そしてその夜は勢揃いした面々に、
松本夫妻や工場長まで招いての大すき焼き大会、
ちなみになぜ和ちゃんが参加してないのかは触れられてないのでわからんけど、
例によって春男さんの音頭で賑やかに幕を開けまして、
「けど来年、秋ちゃんいてへんねんなあ…」と今日三度目の冬子。
賑やかであればあるほど、楽しければ楽しいほど、
来るべき寂しさに想いが馳せられてしまうその気持ちが身にしみるけど、
留学しても正月とかには帰って来たらええとかなんとかで、
「そやな、春子姉ちゃんの子供も見たいし」と秋子。
「外国から帰って来る秋子叔母ちゃんなんて、なんやカッコええね」と春子。
すると照子さん「今3ヶ月いうことは…」と、
しかしここで下世話な計算を始めたであろう全国のお茶の間の皆様を裏切り、
「…生まれてくんのは春すぎやね、男の子やろか女の子やろか?」
そして、まだわからへん、どっちでもええの声には構わず、
「その子には、金メダル獲って欲しいわあ…」
と、天を見上げる照子さん。
箸が止まる一同。
「隠しとかなアカンで、何されるかわからへんで」と春男さん。
「あたしが守る」と春子。
「うん、よう言うた、よう言うた」
一同爆笑……とここで、
来賓として居並ぶ松本夫妻と工場長を写すカメラ、
しかしお茶の間の視線が向かうのはその3人ではなく彼らの背後、
そう、初めて披露される居間のそっち側。
お店に向かう面、玄関に向かう面、お勝手に向かう面と、
これまで3つの面は何度も登場してたけど、
どういう理由があるのかよくわからないけど一向に映し出される気配のなかった居間のもうひとつの面、
それがもう残り少ないここへ来て初めて陽の目を見た……!と言っても、
なんの変哲もない白い壁とガラス戸なだけですけど、
いや、あのガラス戸はいったいどこへ通じてるんでしょうか、
もう残り少ないここへ来て大いなる謎を提示したところで、
恐らくそのガラス戸の向こうから工場長が取って来たスタンドマイクでもって、
一同のメドレーで歌われるのは、夏子が今年の紅白で歌う、
「あなたならどうする」

♪嫌われてしまったの 当時の人に
 視聴率悪かったの 紙クズみたいに
 あたしのどこがいけないの それともあの歌が障ったの
 残されてしまったの 著作権問題
 悲しみのその中で あの母がボケる
 あしたからパン食 あしたからパン食
 焼くの バッテラ挟んじゃうの
 足早いから 足早いから

……岩田家のカラオケ大会に付き合わされると言うよりは、
番組の打ち上げに参加させられたかのような、
この内輪の盛り上がりがしかしこの上なく愛しくてたまらない、
たまらなくてたまらなくて、ああ、
そして春ちゃんにはもはや手が届かず……ああ。
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子は親に煮る麺でるの法則

2016-09-28 21:23:56 | 「てるてる家族」が歌ってる
さてこれは前回の翌朝ですね、
えらい遅くに工場にやって来る春男さん、
夕べのことが気まずいのか、そそくさと挨拶してそのまま事務室に直行して、
机に向かったところで背後から和ちゃんに呼びかけられると、
即座に「はい」って返事して立ち上がったりなんかして、
そんな春男さんに、辞める気はないとキッパリ告げる和ちゃん、
「これは俺の仕事や思てますから、やっぱり簡単に諦めたないです」
そんな様子を窺う冬子と工場長。
そして「よろしゅうお願いします!」と深々と頭を下げる和ちゃんに、
また座るように促す春男さんは、また甘栗を剥こうとし始め……
「剥いて」
笑顔で剥いてあげる和ちゃんに、
「すまんかったな」と詫びる春男さん「よろしゅう頼むわ」
「はい!」と返事する和ちゃんに、
「早よ仕事せい」と、珍しくこのセリフを笑顔で言う工場長。
そう言われて仕事に戻る和ちゃんが置いて行った剥き終わった栗にはしかし手を付けず、
また新しい甘栗を剥きはじめる春男さんには、冬子が仕事に入るように促し、
そして工場で働く4人の姿に、久しぶりのナレーション、
「これでいいのです、
 パンの匂いに包まれて、そのうちなるようになると、
 あたしは思うのでした」
……そう、昨日ちょっと書いたけど、
僕がとても好きやったのは「あたしは思うのです」で始まるナレーションやったんですけど、
こういう似たのがあってごっちゃになってたんですかねえ。
いやそれよりも、
昨日の回の照子さんのセリフを聞いた後ではこの、
「なるようになる」がものすごぉ〜く意味深に受け取れてしまうんですけども……。

お次のナレーションは「そして秋になりました」
店先の落ち葉をホウキで掃いてる松本さんに、
帰宅する秋子は「後で弘子姉ちゃんとうち来て、ええもん見せてあげる」と、
抱えてる何やら大きな箱を示し……そして、
居間に集まる、工場の面々を含む岩田家一同と松本夫妻。
砂時計できっちり3分計った秋子に促され、
「いただきまーす!」と一同、カップの蓋を開けると……
「おおっ!」と上がる歓声。
そして麺を啜って口々に「うまい!」「おいしい!」
「これまた魔法のラーメンやな!」と松本さんも絶賛するカップヌー……いや、
カップラーメンついに完成。
そして「このエビがよろしですなあ」と工場長が言うと、
「そのエビ見つけんのがえらいことやったのや〜」と千吉博士口調でのたまう秋子、
インド洋で獲れるプーバランエビや……とかなんとか語り出すけど、
その辺はあまり関心無さげに、麺を啜る冬子。

そんな世紀の大発明に沸いた岩田家の表を昔ながらの屋台のラーメン屋さんが犬を連れて通る夜、
お店で売り上げの勘定してる冬子に、お茶を入れて持って来る秋子。
改めておいしかったと感心しきりの冬子は続けて、
「来年からは千吉博士の会社に行くねやろ?」
しかし「やめた」と秋子。
アメリカの大学に留学することに決めたと聞かされ、驚く冬子、
「お母ちゃんとお父ちゃんにはまだ話してへんのやろ?」
「そやから冬ちゃんにいちばん先話したかってんて、
 昔っから秘密は先あたしらで教え合ぉてたやろ?」
その後、改めて春男さん照子さんも交えて打ち明ける秋子、
もちろん驚く2人に、アカンならアカンとはっきり言ってと言うと、
「アカン…」と言う照子さんに同意する仕草の春男さんは、
「…わけあらへんやん」と続けられてうろたえるけど、
結局、秋子が決めたことならと認めてあげる2人に、
感謝する秋子。
そしてここから秋子が勉強したいという遺伝子を巡っての話になり、
メンデルの法則なら知ってると冬子も張り合ったりなんかして、
繰り広げられる楽しいひとときを名残惜しそうに味わうかのような冬子の笑顔。

場面変わって工場で作業する5人……ん?
5人?
「さて、喜介さんはとうとう自分のお店をてるてる家族2号店にしました、
 毎日ここでパンを仕込み、翌朝冷凍したものを運んで焼いているのです」
しかしナレーションには逆らって自分の店を「てるてる家族喜介店」と呼ぶ喜介、
そんな賑やかな日々がまた戻って来たところへ、
現れるローリーはなんとレコードデビューが決まったと報告し、
これには、ローリーの姿を見ただけで未だにゲンナリしてた冬子も喜んでやるけど、
しかしデビュー曲があの忌まわしき「この宇宙の果てで」やと聞くと、
顔を背けて「あたしを振った曲や…」
そして皆が口々に応援するで!と言うなかひとり「絶対せえへん!」
でもってB面に「イースト菌の歌」を入れてくれと頼む喜介の頭を叩く工場長の、
これはいつもの「アホ、仕事せい」
そして駄目押しで「これもみんな冬ちゃんのおかげやわ!」と言うローリーに、
小声で「それは言わんといて!」

さて夜も更けて、
秋子が物干しにやって来ると、てるてる坊主を吊るしている照子さん、
「またこれをぶら下げることが起こるやなんて思てもめえへんかったわ」
自分のためのてるてる坊主やと知って喜ぶ秋子はしかし、
3つ吊るしてることに不思議がり……
「みぃ〜んなあんたのや」と3体の坊主を指ではじく照子さん、
「あんたのは、あんまりぶら下げることはあらへんかったからねえ、
 あんまり心配かけへん子ぉやったし、
 …来年の春、あんたが旅立つまで、
 毎日新しいの3つずつぶら下げることにしたんや」
そう言ってまた指ではじく照子さんは、
気をつけやなアカンで、一緒に行ったろか?と続け、
笑顔で断る秋子は「お母ちゃんには冬ちゃんのこと頼むわ」
「やっぱりお母ちゃんにはこれをぶら下げることぐらいしか出来へんのやねえ」
「それがいちばんや」
…やがて、坊主たちに息を吹きかけてぶらぶらさせてる照子さんに抱きつく秋子。
それをしっかり受け止める照子さん、
「秋子、がんばるんやで」
「うん」と涙まじりの秋子。
「がんばりや」
「うん…お母ちゃん…ありがとう…」
思えばこの秋子……子役でない秋子とと照子さんの2人だけの場面って、
そんなに多くないはずやと思うけど、
その希薄にも見えかねなかった関係をしっかり埋め合わせるかのようなこの心のこもった場面……
姉たちがたくさんのてるてる坊主を吊るしてもらってるのを見て、
あえてその必要のなさそうな道を選んだかのようにも思える秋子に、
それを補って余りあるてるてる坊主たち。

そして研究室、
やって来た森野先輩は、秋子が留学することを聞いていて、
遺伝子のほうに進むのか……と失望を隠しきれない様子の先輩に、
でもまだわからないと秋子、
「いろんなこと研究してるうちにまた新しい道が見えて来るかもわかりませんし、
 …科学いうのは先輩、たまたまいうのが多いのかもわかりませんね、
 どこにかて新しい発見のチャンスはあるて思うんです」
そしてお互いを励ましあった後、
「あんな、岩田…」と、向こうでラーメンを啜ってる小池さんの様子を窺い、
秋子の背後から森野先輩、
「もしよかったらこれから…」
するとラジオから流れてくるローリーの歌に気を取られる秋子。
「またか…」と自嘲する森野先輩。
そして、元気でなと握手を交わしあった後、
店を手伝うからと慌ただしく去って行く秋子。
……そしてたたずむ森野先輩に声をかける小池さん、
「もしよかったら、これから俺がヤケ酒付き合いますよ」
「…ええわ」と拗ね気味の森野先輩。

ラストは、お店で働く冬子の姿の短い場面にナレーション、
「あたしたち姉妹はもうすぐ本当に別々の場所で生きることになるのです、
 だけど、いつでもこの店に帰って来られることを、
 あたしは心から願っています」
そんな姉妹たちの寂しさを埋め合わせるかのように、
かつての仲間が戻った工場は活気を取り戻し、
そこで張り切る冬子の姿が今からもう愛おしくってたまらなくって……ああ、
少し前から心の準備はさせてくれてるけど、それでもいよいよ近づくその日を、
どう迎えることになるのやら。
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愛もパンも膨らませよう

2016-09-27 21:15:48 | 「てるてる家族」が歌ってる
そんなわけで冬子と和ちゃんのアレな現場を目の当たりにしてしまった春男さん、
お勝手の隅に照子さんを引っぱって来てしゃがみ込み、
なんかあったんやなあ……と報告すると、
驚き、戸惑う照子さんはしかしそもそものところからを尋ねまして、
「ねえ、あの2人はどうなってんの?」
東京に行ったりしてる間にどうにかなってるのかと問いたげな照子さんに、
「さあ…」と、ずっと一緒にいたけどさすがにその辺は首を傾げる春男さん。
「もう、…なるようになってんねやろか?」と照子さん。
しばし見つめあう2人……と、
「なってへんやろ、そら…!」と否定する春男さんもしかしそう自信がありそうにも見えず……ってしかし、
この「なるようになる」って表現、なんかいいですねえ。
連続テレビ小説的に配慮した言い回しでありながら、
親が年頃のわが娘に関して用いるとものすごく艶かしく感じられたりもして、
「冬子も子供や子供や思てたらいつの間にかやねえ…」
「もう二十歳すぎてんねん、結婚かて考えてもおかしない歳や」
と、認識を改める2人……で春男さんは続けて、
「とくに冬子は、こういうとこだけ妙に世間擦れしてへんような気ぃすんねん」
「世間擦れ?」
「真面目に考えてしまういうことや」
ちょうど先日、この「世間擦れ」の意味が本来のものと違って受け取られてしまってるって、ニュースで言ってたけど、
この春男さんの用い方は正しいですね……正しいけど、
「こういうとこだけ妙に」ということは、
冬ちゃんは恋愛面以外では世間擦れしてるってことかいな?
いや、工場やお店でバリバリ働いてるからって決してそうは思えないけど、
「ああ、そういうとこわたしに似てしもたんやねえ」
と、これはビジネスの世界からスポーツの世界から芸能の世界から擦れまくってしまっててもおかしくないけど、
やっぱり世間擦れしてるようには見えない照子さんも納得したりなんかして、
すると、ん?と引っかかる春男さんは唐突に、
なんで俺と結婚したんや?って訊いて、
戦争で男の人がいなくなるから焦ってしまったって答える照子さんという、
やっぱり世間擦れしてるようで、でもこういう会話のなかにちょこっとおノロケの色も窺えたりなんかして、
でもって秋子が帰宅すると2人で料理してる振りしてごまかしたりなんかして、
彼女が去るとまた隅っこのしゃがみ込んで話を続け……
しかし、和ちゃんと結婚して冬子が幸せになれるのかと、
ここは真面目に心配する照子さん、
「和ちゃんは、本心がようわからへんとこあるやないの、
 いつもなんか無理してるみたいで…
 無理して冬子といてもろても困るわ」
で、和ちゃんの気持ちを確かめてみたら?と春男さんに言う照子さんの、
「さりげな〜く、ずばっと」
はどのように実行されますのやら。

一方、そんな2人とは別に、
こちらは冬子に単刀直入に尋ねる秋子。
夜、ひとり物干しで物思いに耽る冬子に、
「ああ、暖かなってきたねえ、
 …そろそろええんちゃうの?
 ずっと何悩んでんのこないだから…
 そろそろあたしに話してくれてもええん違う?」
……しかし無言の冬子を見遣り、
「そんなに話したないねやったらええけど」
するとようやく、例の現場を和ちゃんに見られてたことを打ち明ける冬子。
それで和ちゃんとケンカしてんの?と問われ、
「してへん、…ケンカになんかならへんねん」
そして、そんな笑い話みたいなことで……と言われ、
「笑いたいわ、…あたしかて」
すると笑い出す秋子はまた単刀直入に、
「和ちゃんに怒って欲しかったん?
 もっと焼きもち焼いて欲しかったんちゃうん?」
「そんなん違うけど…けど、
 ホンマに平気みたい、
 和ちゃんにとったらなんでもないことみたい、
 あたしに気ぃ遣て工場辞めるとまで言い出してん、
 あたしが傍にいてへんかっても平気みたい」
……そう言って膨れっ面する冬子をぎゅっと抱きしめる秋子、
「可愛いなあ〜冬ちゃん、ホンマに可愛いわあ〜!」
戸惑う冬子にお構いなしの秋子、
「こんな冬ちゃん放っといてあたしはどこにも行かれへんわ〜!」
それに気付き、どこ行くの?と訊く冬子を、
それはええやんとごまかして、それでどないしたいのかと訊き返す秋子。
「ようわからへん…出来たら、嫌いになりたいわ、
 嫌いになりたいくらいや」
「冬ちゃん可愛い〜!」
また抱きしめる秋子、
それを振り払おうとする冬子は物干しでドタバタして、
すると「嫌いや言うたらええねん」と秋子、
「子供みたいやけどな、案外効くかもわからへん」
そう言われても戸惑う冬子に、何度も念を押す秋子。

そしてこれは翌日でしょうか、
お店でパンを並べてる冬子、
そこに和ちゃんがパンを運んで来るけど……
しっかり絡み合う視線をムリヤリ逸らし、
何も言葉を交わさない2人。
そして事務室の春男さんに声をかける和ちゃんは、
しかし休憩に行こうとしてまた呼び止められ、
今度は座るように促された挙げ句に甘栗の皮まで剥かされ……って、
しかしこの時の春男さんの「剥いて」は、
秋子のハグとともに本放送時、今日のお気に入り2大名場面やったけど、
なのにどちらもそれ以来すっかり忘れてしまってたみたいで、
もう懐かしくって個人的にムッチャたまらなかったんですけどもそれはさておき、
そうやって剥いてもらいながら春男さん、
「お前冬子のことどない思てんねや」と、
さりげな〜く、ずばっと。
「…どないて?」
「好きか?」
剥く手が止まる和ちゃん。
「…嫌いか?
 なんで返事せえへんねえ?」
すると「冬ちゃんには好きな人がいてます」と和ちゃん。
驚き、戸惑い、しかし否定する春男さんですけど、
誤解とは言え例のあの現場を目にしてしまった和ちゃんの想いは堅く、
「冬子が他の人間と結婚してもかまへんいうことか?」
そう尋ねる春男さんに、それでも少しは躊躇うけど、
「…はい」と答える和ちゃん。
「お前にその気がないいうことやな」
「…ないです」
「それやったら、ホンマにそう思てんねやったら、
 ここ辞めてくれへんか?
 …冬子が不憫や、
 俺もお前の顔見たない」
そう言って、和ちゃんと甘栗を残して出て行く春男さんは、
工場の外でローリーと出くわすけど挨拶する彼を無視し、
すると、冬子が何か言ったのか……と、さらに勘違いの上塗りをするローリー。
そして甘栗を残して外に出て来た和ちゃんを見つけると、
最近冬子がおかしくないかと尋ね……
「実は僕、冬ちゃんのこと…歌で、振ってしもたんですわ」
「ローリーが?」
この何気ないひと言に言外の多くのものを感じ取ったであろう全国のお茶の間の皆様。
しかしそれに気付かずに続けるローリー、
「もともとは冬ちゃんがおじいさまの話信じたんがアカンかってんけど、
 成り行きでも、僕に振られたんがショックやったんやないかって…」
……さてこのなかに突っ込みどころは何ヶ所あるでしょうか?ってな設問はさておき、
「…泣いてませんでした?」と尋ねるローリーに、
「いや、どっちか言うたら怒ってた」
「ああ、怒ることで自分を支えてるんです、
 …和ちゃん、慰めてあげてください」
「なんで俺が?」
「僕はもうとっくに和ちゃんに譲ったんです」
「はあ?」
そして和ちゃんの両肩に手を置くローリー、
「冬ちゃんのこと受け止めてあげるんやったら、僕に振られて傷ついてる今ですよ!」
しかし首を振り「…そんな風には見えへんで」と言い残して工場に戻ろうとする和ちゃんを、
まだ呼び止めるローリー、言うに事欠いて、
「愛もパンも、あんまり放っとくとカビかて生えてしまいますよ」
大いに的を外していながらもその真摯さには心打たれ、
しかしその後で心打たれた自分がアホらしくなってしまう、そんなローリーが、
もう無視して工場に入ってしまった和ちゃんにさらに呼びかける、
「生えてしまいますよ!」

その夜、風呂上がりの冬子に、
そわそわと落ち着かない春男さんがようやく打ち明ける、
「もしかしたら、和人…ホンマに、工場、辞めるかもわからへん…」
その和人は自室で机に向かって、あれは前にチラッと出て来た、
外国のパン屋を紹介した本でしょうか、何かそんなのを眺めていて、
ふと思いついて脇の本棚に置かれた竹編みの小物入れを取ると、
そのなかから取り出したのは、きれいな白い布で大切そうに包まれた、
青みがかったガラスの器。
そう、幼い日、
冬子がかき氷を入れて走って持って来てくれた、あの器。
それをずっと大事に持っていた和ちゃん……
意外とストーカー気質やったりして……ってな冗談はさておき、
「アホッ、なんでそんなこと言うたん!?」と、
居間では事情を聞いた冬子、もう大興奮。
「堪忍、つい、すまん」と平身低頭の春男さんに、
「アホッ、お父ちゃんのアホッ!』とついに手を出し、
逃げる春男さんを追いながら、
「あたしはそんなこと思てへん、勝手に何言うてくれんの!?
 なんでそんなこと言うたん!?
 もう放っといて! あたしの、その、個人的なこと…」
降りて来た秋子も交えて3人でテーブルの周りをぐるぐるぐるぐる、
「いま、和ちゃんに辞められたら工場かて困るやろ?
 あたしはな、それだけの理由で、ここにいてもらわなアカンと思てんねん、
 いや、向こうから辞めたい言うんやったらしゃあないけど、
 なんでこっちから言うの!?」
問い詰められてもう平謝りするしかない春男さんはしかし謝りつつも、
「せやけどな、和人はその気あるで、
 いやなんもないねやったら、俺かて腹も立て…」
「ええやろ!!」とそれを遮る冬子、
「今更好きも嫌いもあらへん、
 ええわ、アホッ!!」
もはや手の付けられない冬子は2階へ駆け上がり、
へなへなとへたり込む春男さん。

しかし結果的には荒療治が功を奏したんだかどうなんだか、
その後、物干しの下のところから和ちゃんを呼ぶ冬子、
窓を開ける和ちゃんに、春男さんの言ったことを謝り、
「工場辞めんといてな、
 いま和ちゃんに辞められたら困んねん、
 あたしも、お父ちゃんも、
 …な、頼むから」
すっかり穏やかになった表情でそう言う冬子に、
「辞めへんで」と笑顔で答える和ちゃん。
「ホンマやね、約束やで」
「約束する」
「よかった、安心した、
 …ほな、おやすみ」
「おやすみ」
窓を閉める和ちゃん。
その後も笑顔で夜空を眺める冬子……というわけで、
いったん表に出た問題はこの後もまだまだ冬子を悩ませることになると思うけど、
とりあえずは落ち着いたようで、
昨日今日とそれどころやなかったナレーションも、
明日の回では冷静になって語ってくれるのでしょうか……ってしかし、
ナレーションと言えばこれは以前、
あれは2003年最後に放送の回で「あたしは思うのです…」というのがあって、
何度も繰り返されてたこのフレーズが好きやったって書いたんですけども、
でも……その後、まったく出て来てませんがな。
ああ、ホンマ情けなくなるなあ、僕の記憶力。
脳みそにカビ生えてしもてんのやろか。
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気を遣ってサバサバと

2016-09-27 04:36:12 | 「てるてる家族」が歌ってる
しかしローリーの宇宙人ネタのことは覚えてたし、
今週、最終週の展開も大まかには覚えてたけど、
それがこんな風に結びついてたってのはころっーと忘れてしまってたんで、ちょっと驚かされると同時に、
♪あなたの気持ちはわかるけど……が耳にこびりついてしまって仕方ないこの週末でしたけども、
こちら冬子もやはり耳について離れないようで、
と言ってもその理由は相当深刻なものがあるわけでして……というわけで、
悶々と眠れぬ夜を明かした冬子は工場でもイライラしっぱなし、
和ちゃんにもキツイ口調で怒鳴ったりして、
春男さんも気掛かりな様子でして、
そしてお店にパンを運んで来てもまだ不機嫌な冬子、
ほんでまたそんな冬子に向かって弘子姉ちゃんが、
さっきまで秋子と一緒に笑ってた例の佐藤のおじ様の本を手に、
「もし浪利君がホンマ宇宙人やったらどないしてたん?
 人間にするために結婚する覚悟までしてたん?」と、
尋ねるその語尾の「たん?」がそのまま「んっはっはっはっは…」と堪えきれない笑いに転じてしまって、
もう冬子ブチ切れ、
「弘子姉ちゃん、いてんねやったら仕事して、
 それから、こんな本うちに持ち込まんといて、
 うちはパン屋やねん」
尊大な口調でそう言い置いて出て行く冬子に、
訳のわからない弘子姉ちゃんと秋子。
一方の春男さんは、休憩に入ると言う和ちゃんを呼び止め、
「お前、冬子となんかあったんか?」
「…いや、別に」
「あいつ、何怒ってんねん?」
「さあ…」と首を捻る和ちゃん。
「…まあええわ、お疲れさん」とは言うけどやっぱり心配な春男さん。

さて、お店でテーブルを拭いてる冬子は、
時間も経って少しは落ち着きを取り戻したようで、
学校に行く秋子から、身体の調子でも悪いのか、
何かあったのかと弘子姉ちゃんも心配してたで……と言われ、
「なんもあらへんて」と笑顔を見せる余裕はあるけど、
秋子を見送ると座り込んでテーブルに頬杖ついたりなんかして、
そんなところへ奥から出てくる照子さん、
またこんな時に新しいパンを考えたとか言って差し出す皿に載ってるのは、
その匂いに冬子も思わず顔をしかめるその名もサバパン。
残り物のサバのバッテラとパンを一緒に食べてみたら意外と美味しかったとかなんとか言うて、
生ものは売られへんと冬子が言っても、お酢でしめてあるやんなどと一歩も引かず、
果てはもしあたっても文句は言わんと客に一筆書かせろとまで言い出して、
「パンのことはあたしに任しといて」と冬子が釘を刺すと、
バンッとテーブルに手をついて立ち上がると冬子をキッと睨みつけ、
「お母ちゃんかてなあ、長年パン屋の女房やってんねんっ!
 偉そうに…!」と言うその語尾の「に…」と、
「けっ…」というガラの悪いの捨て台詞とを同時に吐き、
サバパンを手にスタスタと奥に退場する照子さん。
「今までパンには手ぇ出さへんかったんが救いやわ…」と、
ため息をつく冬子。

そして研究室では、森野先輩と小池さんを前に、
遺伝子の研究に興味があることを打ち明ける秋子。
遺伝子によって形成されるタンパク質に音楽があって、
それを正しく奏でれば人生はミュージカルのようになる……とかなんとか、
活き活きとそう語るけど、しかし森野先輩から、
さすがにそれは千吉博士には理解できるかどうか……と言われ、
やっぱり考え込む秋子は、体内の楽譜の研究には民間企業よりも、
最高学府のほうがええんやろか……とか迷ってるんでしょうか。

さてこちらは松本書店。
スタンドにはいつしかマンガ雑誌が幅を利かせるその店先で、
椅子に腰を降ろして読書を始める松本さんに、
クリームパンを差し入れにやって来る冬子、
そこへ出て来た弘子姉ちゃんに「今朝はごめんなさい、堪忍」と丁寧に謝罪。
わたしが要らんこと言うたからやと言ってあげる弘子姉ちゃんは続けて、
「けど、どないかしたん? 冬ちゃんなんや寂しそうやで」
すると首を振って否定はするけどしかし、
「なんや、このごろ余計なこと考えてしもて」と冬子、
「もっとパン作ることに集中せなアカンのに…」
すると「まだ若いんやさかい余計なこと考えて当然や」と、
クリームパンをしげしげと眺める松本さん。
でもって弘子姉ちゃんが、どんなこと?と訊くと、
笑いをこぼしたっきり、俯いてしまう冬子。
そんな冬子に松本さん、
「冬ちゃん、きれいになったなあ」
「何関係ないこと言うてんの」と呆れる弘子姉ちゃん。
「関係ないか、ホンマに?」と冬子に問う松本さん。
揃って不思議がる冬子と弘子姉ちゃん。
するとクリームパンを置いて立ち上がる松本さん、
「冬ちゃんをお嫁さんに出来る人は、ホンマに果報者やとおっちゃん思うわ」
そう言って冬子の両肩を叩き、
「おっちゃん、おかしいわもう…」と、それを振り払って駆け去る冬子。
そして、そんな松本さんを訝る弘子姉ちゃんに、
「ちょっと仕返ししたってん、前に冬ちゃんに心を見抜かれたことあったさかいなあ…」
そうつぶやく松本さんは、
「はあ?」と問う弘子姉ちゃんには首を横に振り、
あのことはこれからもずっと内緒にしておくようで、
ちなみにもういちいち書いてないけど、未だええ歳こいてのペアルック継続中。

そして冬子がやって来たのは寺井理髪店。
お茶を出しながら寺井の奥さん、最近よく来てくれるって言ってて、
劇中では描かれてないけど親子して入り浸り通しのようで、
最近は男の子も長髪で……などと時代背景を表す雑談に興ずるうちに、
しかし和ちゃんはよく来てくれてるって流れになって、
「おばちゃんらはようケンカする?」と尋ねる冬子。
それが普通の状態や、どこからがケンカかわからへん……などと言われ、
「ええなあ」と漏らす冬子、
「ケンカできるいうことは、相手のこといつも気にしてるいうことやろ?
 気ぃ遣ういうことと気にするいうこととは違うことやわ、
 気ぃ遣われるいうことはホンマは気にしたないいうことと違う?
 ずっとそやったんやろか…」
そんな冬子の事情はよくわからないけど、アドバイスしてあげる奥さん、
「夫婦かてな、気ぃ遣わなやってられへんねんで、
 仲ようするいうことは、しんどいことやろ?
 ほんだら相手のしんどいこともわかってあげんと…
 お父ちゃんとお母ちゃん見てたらわかるやろ?」
「えっ、お母ちゃんも来ぃ遣てんのやろか?」
「ああそら気ぃ遣て…ると思うねんけど」
ここで奥さんから問われた寺井のご主人、
答えにくいこと訊くなと返事し、
「なあ佐々木さん」と散髪してたお客さんに同意を求めると、
「はい」と答える佐々木さん。
今日のクレジットには「佐々木正典」という名前があったけど、
いったいあんた誰やねん?などという疑問には関心がないようで、
湯呑みを両手で抱えて微笑む冬子。

しかし佐々木さんのせいで仕事に遅れた冬子、
工場に戻ると春男さんから嫌味を言われたりして、
ここは素直に謝ってすぐに作業に入るけど、
そんな冬子を見つめる和ちゃんが切り出した話は……
「俺、ここにいてへんほうがええんちゃうか?」
じっと見つめ返す冬子。
何言い出すんや急に?と訝る春男さんには謝っておいて、
「冬ちゃん、このごろおかしいから…」と続ける和ちゃん、
「もし、なんか悩んでるんやったら、
 俺がいてへんほうがええんやったら、そう言うて、
 冬ちゃんの邪魔になんねやったら…」
「ずるい」と遮る冬子、
俯いたまま「和ちゃんてずるいわ」
そして春男さんが「おい…」と言うのに目もくれず、
「なんで?
 なんであたしばっかり、そんな気ぃ遣わすの?
 なんであたしばっかり和ちゃんに気ぃ遣わなアカンの!?」
早口でまくしたて続ける冬子、
「辞めたいねやったら勝手に辞めたらええやんか!
 なんであたしに訊くの?
 あたしに、なんて言うて欲しいの?
 …もう、なんもよう言わん、
 自分のことは自分で決めたらええ」
そう言い放ち、作業に戻る冬子を、
ただ呆然と見つめる春男さんと和ちゃん。
そんな和ちゃんに、仕事せいと促す工場長。
無言で作業を続ける冬子……と、
このシリアスな展開の発端が宇宙人ネタってのが未だに信じられんかったりもするけど、
いやしかし、皆さん以外に思われるかも知れませんけど、
僕はこの男女の関係とかについてはやっぱり経験不足なもんで、
だから今日の展開についてはあまり適切なことも書けないかとは思いますけど、
でもちょっと違うケースで考えてみると、
うちの職場に、機嫌が悪くなるとすぐにそれをあらわにしてしまう人がいるんですよねえ。
KさんとWさんといって、
もう仕事が忙しくなってイライラするとそれをすぐに他人に向けてしまう、
はっきり言って八つ当たりなんですけど、
でもそういうことしてしまった後、謝りはしないけど、
それでもちょっと気まずそうな素振りを見せて話しかけて来たりなんかして、
ああいう人はあれはあれでそれなりに気を遣ってると言えるんでしょうか。
それに対して僕はというと、これは真面目な話、
人に当たるということがほとんどなくって、
感情を人にぶつけてしまうKさんやWさんのようなのを、
人間が出来てないなあ、まだまだ子供やなあとか腹の中で軽蔑してて、
でもそれは表には出さず、表面は穏やかな風を装って接したりなんかして、
でもそれでいて実は相手に気を遣わせてしまってるんでしょうかねえ?
僕はホンマはずるいんやろか……
……ということは、
実は僕は和ちゃんやったんか……。
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雨にも振られローリーにも振られ・・・

2016-09-24 16:10:23 | 「てるてる家族」が歌ってる
これは前にも書きましたけど、
このドラマを振り返ってみて、ローリーの宇宙人ネタにはやっぱり首を傾げさせられるんですわ。
今日の回でそれにオチがつくわけですけども、それでもやっぱりその印象は変わらなくって、
って言うかもうとにかくくだらないとしか言い様がなくって、
だからどうくだらないかを順を追って見て行きますと、
まず冒頭のナレーションは「春子姉ちゃんの結婚式から数日が経ちました」って、
ほら、くだらないでしょう……いやいや、
くだらないのは春ちゃんの結婚相手であって、このナレーション自体はちっともくだらなくないけど、
と、ここでお店から柔道部員達がエッホ、エッホとかけ声かけて走りながら出て来るのがくだらなくって……いやいや、
これは今週の演出家さんのロングショット、長回しとともにお気に入りのアイテムなんでまあいいんですけども、
それと入れ替わりに佐藤のおじ様が入って来て、
遅くなったのを詫びながらベーカリーの開店祝いを冬子に手渡しまして、
「おおきに」と笑顔で受け取る冬子、
あの祝儀袋の中身、今とは物価の違いもあるけど、
きっと1万円はくだらない……って、お前がいちばんくだらんわってな文句が聞こえて来そうですけども、
でもって、ここで思い出す冬子、
「ずっと訊こう思てたんですけど、ローリーが宇宙から来たいうの、ホンマですか?」って、
今にも爆笑してしまいそうなのをなんとか堪えてるみたいな感じでそう尋ねますけども、
ところがさっきまでとはガラッと変わって驚愕の表情で冬子をじっと見つめる佐藤のおじ様、
冬子を引っぱって店の隅まで行き、声をひそめて、
「あんたその話誰に聞いた?」
「え? あ、うん、ローリーから…」
すると、誰にも言うたらアカン言うてるのに……と嘆いて見せた後、
「ホンマや」と大きく頷くおじ様。
「えへへえ〜っ!?」って笑いながら疑念を示す冬子の言い草がむっちゃ可愛い、
この上なくくだらない状況やのに可愛すぎるんですよねえ、
で、そんな冬子にまた大きく頷くおじ様、
すると今度は冬子がおじ様を店の裏まで引っぱり出し、
「ウソでしょ、そんな話…」と笑ってみせるけど、
「ホンマや、ホンマのことなんや」と大真面目なおじ様、
「あいつな、宇宙から送られて来たんや」
「ウソや…」と半信半疑になる冬子。
「そうか、冬ちゃんに喋ってしもたか、まずいことなったなあ…」
「喋ったらアカンの?」
「喋ったら宇宙に帰らなアカンねがな」
「えっ? ホンマに?」ともう完全に信じきってしまって、
目を大きく見開いてそう尋ねる冬ちゃんがまた可愛いわあ、くだらない話やけど。
「あの可愛い孫とな、一緒に暮らせんのも後ちょっとやな」
そう嘆くおじ様に、どないしたらええの? 止める方法あらへんの?って、
くだらない話やのに必死になって尋ねる冬ちゃんがまた可愛いわあ。
すると、正体を知った人に「好きや」と言うてもろたらええって、
またとんでもなくくだらないことを言うおじ様。
それに対して「ええっ!?」って怪訝そうな冬ちゃんがまた可愛くって、
「そやからな、あんたがな、あいつに好きやて言うてくれたらな、
 あいつ人間になれるんや」
「ウソや、そんな話」と笑って否定しようとする冬ちゃんもまた可愛くって、
「ほれみい、信じられへんやろ、そやからアカンねやあ、
 な、そんなことな、世間の皆さん誰も信じへんで、
 そやからそんな奇跡は起こり様があれへんねや、
 残念やなあ、ほなしゃあないわなあ…」
もはやくだらないを通り越して支離滅裂なことをぬかし、お店に戻ろうとするおじ様。
それを引き止めて「ホンマですか?」と念を押す冬子。
「ホンマやねん…」そう答えてまたお店に戻ろうとするおじ様を、
また引き止めて「ホンマにホンマですか?」
「ホンマにホンマやねんもう…」そう答えてまたまたお店に戻ろうとするおじ様を、
またまた引き止め……って、ああくだらない。
くだらないけど必死すぎる冬ちゃんが可愛すぎるというこのチグハグさ。

ここで場面は変わって研究室、
課題のエビのフリーズドライに取り組む秋子たちですけど、
いろんな種類のエビで試してみるけど、それに適してるものはなかなか見つからないようで、
今もまたホッコクアカエビで失敗して、チェックリストのそれにバツ印を付ける秋子は、
アカンか……と嘆く森野先輩に、
世界のエビの種類は2000をくだらない……って、
スイマセン、またムリヤリこじつけてしもたけど、
「世界にエビは2000種類以上もあるんですからあ、どれか必ず成功しますて」と前向きな秋子は、
即席麺開発の頃を思い出し、
「諦めなければそのうちあっと驚く発見があるはずです」
すると、来年秋子が入社して一緒に研究できるのが楽しみやと言う先輩に、
また表情の曇る秋子……ちなみに、
「ホッコクアカエビ」は通称甘エビのことやそうで、
あれはフリーズドライしたらアカンがな、
そんなことせんとわさび醤油で食べたら美味しいものを、もったいない。
実はこれがいちばんくだらないことやったりして。

さて、場面はまたお店の裏に戻って、
今度はここにローリーを引っぱって来る冬子。
なんですか?と訝るローリーに、
「あんな、…実は、…いや、ウソやろやっぱり…」って、
くだらないことで迷って言い淀む冬ちゃんがまた可愛かったりしてからに、
しかしなかなか要件を切り出さない冬子に、
「ほな行きますね、仲間待ってますんで」……って、
ローリーと仲間になる奴がいちばんくだらなさそうやったりするけど、
いやとにかくそう言って立ち去ろうとするローリーを引き止め、
意を決する冬子はしかし戸惑いつつ、
「あんな…よう、考えてみたら…あんたのこと、
 ローリーのこと…好き、かもわからへん…」
えっ?と問い返すローリーの目をしっかり見据えて、
「好きや」とキッパリ告げる冬子。
「冬ちゃん…?」
「それだけ、それだけ言うとこ思て、ほなね」と、
早口でまくしたてて慌てて去って行く冬ちゃんもまた可愛いけど、
その去って行く様子は映し出されず画面には、
このやり取りを工場で立ち聞きしていた和ちゃんが目を伏せる姿が……

その夜、ベッドで天井を見つめる冬子のナレーション、
「それがウソでも本当でも、生まれて初めて人に好きやと言ったことは、
 あたしに不思議な余韻を残したのでした」
寝返りを打つ冬ちゃんの悶々とした表情もまた可愛らしいなあ……

そしてある日、
意を決したような表情でお店に現れるローリー、
冬子の名を呼んでつかつかと歩み寄り……
「あ、あ、あのことは、そ、そんな、気にせんと…」とうろたえる冬ちゃんもまた可愛いけど、
そんな可愛さには目もくれてなさそうなローリー、
僕の気持ちを歌にして来たと大きな封筒を差し出し、
「おおきに…」と苦笑いを浮かべて受け取る冬子。
秋子と弘子姉ちゃんはどんな歌かと興味津々、
封筒を開けようとする冬子……と、
それを止めて、後でひとりになってから見てくれと言うローリーに、
「はい」と丁寧な返事してしまう冬ちゃんも可愛いけど、
「そっと歌てもらえたら僕の心が伝わる思います、
 ごめんな、もっと早よ君にこの歌を贈るべきやった、
 …冬ちゃん泣かんといて!」
と勘違い気味のローリーに心の底から困惑しつつ、
しかし勘違いさせたのは自分自身であることを心の底から後悔してるかのような冬ちゃんが可愛くつぶやく、
「泣きそうや…」
「君に涙は似合わへん」と親指で冬子の頬を拭うローリーに、
もうこれが限界やと言わんばかりの冬子、
「あんな、ローリー、実は…」
とそこへ「はい、ごめん」と入って来る佐藤のおじ様の場違いな様子もお茶目で可愛かったりもして、
ローリーが来てるのを見てちょうどよかったと言うおじ様、
するとカウンターの方に逃げるように引っ込む冬子とローリーの後ろ姿もなんや妙に可愛らしかったりして、
一方のおじ様は抱えてた大きな箱をテーブルに置き、
何かと興味津々の秋子と弘子姉ちゃんに、やっと出来たんやと取り出してみせるのは、
「これ、わしが書いた小説や」
自費出版で出したというその本を手渡され、タイトルを読み上げる秋子、
「宇宙から来た孫」
「えっ?」と振り返り、駆け寄って本を覗き込む冬子とローリー。
若い人に読んでもらおうとSF小説風に書いた……って、
「北の国から」のUFO騒動は「風の又三郎」が下敷きになってたけど、
こちらはひょっとして「バック・トゥ・ザ・フューチャー」やろか?
この辺どう思うか山根ミサ子さんに尋ねてみたいところやけどそれはさておき、
その本のストーリーはというと、竹やぶで宇宙人の子供を拾った金持ちの紳士が、
その子を孫として育てる……
「それ、もしかして僕のことやないですか?」と驚くローリー。
ローリーを宇宙人に見立てて書いたんやと笑うおじ様に、
「僕ホンマは、宇宙から来たんと違いましたん!?」
「アホか!」
「そう言うたやないですか、去年アポロ11号見てる時に!」
……まったく、こんなくだらないネタを週をまたいで、物語上の年もまたいで……いや、
60年代と70年代とをまでまたいで繰り広げるとはなんというくだらなさ。
あれはローリーの反応を見るための言わば取材やったと高笑いのおじ様、
「そんな話やろと思てたわ、よかったなあ浪利君」と声をかけてやる秋子、
「僕のアイデンティティーが崩れる…」と頭を抱えるローリー、
そしてこちらもまた今にも崩壊しそうな表情の冬子がおじ様を問い詰める、
「あの、あ、あたしの、好きやて言わなアカンいうことも?」
「ああ、そういう話になってんねん」
「ホンマやて言うてはったでしょ!?」
「ホンマに書いてあんねやがな」
くだらないことに必死になって抗議する冬ちゃんの可愛らしさ、
「酷い…」
「じゃあ冬ちゃんの告白もウソやったんですか?」とローリー。
「当たり前やろ! あんたを人間にするためや!」
「冬ちゃん、そんな話ホンマに信じたん?」とあまりのくだらなさに呆れる秋子。
「念のためや」と言い訳しつつ、この世の終わりを見たかのような表情の冬子。

やがて店の裏に出た冬子は派手にうなだれたまましばし立ち尽くし、
歩くのもやっとといった体でなんとか工場にたどり着くと座り込み、
作業台に顔を突っ伏し……と、
「どないしたん?」と尋ねるのは、これは木箱の汚れを落としてるんでしょうか、
とにかく後片付けみたいなことしてる和ちゃん。
しかしどないしたかを詳細に説明するわけにもいかず、
「いや、別に」とごまかす冬子は身を起こすと大きなため息をつき、
柱に身を凭せ……やがて、
「なあ、和ちゃん…」
手を止めて「ん?」と返す和ちゃん。
「たまには、どっか行かへん?」
「どないしたん、急に」
だからどないしたかは説明できない冬子、
「ええやんか、たまには外で食事でもしてのんびり過ごさへん?」
気怠そうにそう言う冬ちゃんが可愛い、というか艶かしくさえあってドキッとさせられるけどしかし、
「ローリー誘たらええやん」
そう言われてドキッとする冬子。
「聞いてしもてん、ごめんな」
キョトンとした顔で和ちゃんを見つめる冬子、
やがて目を閉じ、思いを巡らせ……
「ええっ!? えっ!?」
素っ頓狂な声をあげて立ち上がる冬子に、
「俺はええ思うで」と追い討ちをかける和ちゃん。
「ちっ、ちちち違うねんて、あの、あれそんなんと、
 あの、あの、あのローリーが宇宙人でそれ、それを人間に戻そうって…」
誰が聞いてもくだらない言い訳にしか聞こえないことを必死に言い訳する冬子。
「そんな苦しいウソつかんでええねん、
 俺のことは気にせんといて」
そう言い残して上に上がって行く和ちゃんを、呆然と見送る冬子。

……皆さん思い返してください。
昨日の回では春子の結婚にどれだけ感動したことか。
あの春男さんの姿にどれだけ涙したことか。
それがガラッと変わって、その春子ばかりか春男さんも照子さんも出演しない今日の回の、
この徹底したくだらなさ……しかも、
もう後わずかで幕を閉じてしまうという残り少ない、
名残惜しくてたまらないこの期に及んでこのとてつもないくだらなさ。
しかしその完膚なきまでのくだらなさのなかにあって、
冬ちゃんの可愛さがいっそう際立ってるというのはこれはいったいどういうことなんでしょうか?
やっぱりアホにはアホな話がお似合いや……って、えらい救いのない言い様ですけど、
そうじゃなくって、どんなくだらない話にも真面目に取り組む、
その女優魂のようなものが光ってる……んでしょうかねえ?
いや、だってそうでしょう、
ローリーに地球にいてもらいたいがために「好きや」とまで言う冬子、
それだけローリーのことを思う心根の優しさが……ああ、
やっぱりくだらんわ。

そのくだらなさにとどめを刺すかのようなエピローグ。
土砂降りの雨に雷鳴まで轟くなか、
物干しに吊るされたてるてる坊主の表情のなんと悲しげなことよ。
風呂上がりの冬子は部屋に戻り、
「なんちゅう日や…なんちゅうアホなんやあたしは…」と、
苦悶の表情で畳にへたり込み、
ふと机を見遣るとローリーから渡された封筒が。
大仰な仕草でそれを取り、中から取り出した楽譜を見ると、
「なんやこの歌…」
それはローリー作詞作曲の題して「この宇宙の果てで」
♪あなたの気持ちはわかるけど……という歌い出しがなんとなく、
♪しのぶしのばず無縁坂……に似てるけどまあ素人のことやから大目に見て、
そして歌詞を読み進める冬子、
「…僕にはなんにも出来ない、あなたとは生きられないから、
 …なんやのこれ?」
そして星空を背にギター弾き鳴らしもって歌い継ぐローリー、
流れ星もキラリ。
♪冬が来るたびに僕はあなたを思い出す……
「…振られた、っていうこと?
 ローリーに…?」
轟く雷鳴、
稲光に照らし出されるてるてる坊主。
「…振られた、っていうこと?
 ローリーに…?」
何度つぶやいても同じことなのに、
何度もつぶやかずにはいられない冬子、
「…振られた、っていうこと?
 ローリーに…?」
サビの部分を高らかと歌い上げるローリー。
雨に濡れるてるてる坊主。
昨日は大いなる感動を呼んだ同じセリフの反復がしかし今日は……
「…振られた、っていうこと?
 ローリーに…?」
何度もつぶやきながらもその現実を受け入れ難い冬子、
その冬子に現実を突きつけるかのように何重にもなって画面いっぱいに埋め尽くされるローリーの顔、
そしてもはや演出意図不明の天地逆さまのてるてる坊主、
「…振られた、っていうこと?
 ローリーに…?
 あたし…
 振られたの…?
 あのローリーに…?
 イヤ〜ッ!!」
泣き崩れる冬子を容赦なく責め続ける雷鳴と稲光、
「来週もきっと、天気になーれ!」……って、
なんちゅータイミングやねんこのナレーション。
しかも毎週毎週お馴染みのこのフレーズもいよいよこれが最後かという時になって、
なんちゅーシチュエーションやねんなホンマにもう。
ああくだらん、
くだらなさすぎて腹抱えて笑ろてしもたわアホらしもない。
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幸せになりと言ってくれる人がいることの幸せ

2016-09-23 21:31:09 | 「てるてる家族」が歌ってる
しかしこのことはバレないように気をつけて書いて来たので、
多分皆さんどなたもご存じないことやと思いますけども、
でももうこの際やから告白してしまいますと、
実は僕は春ちゃんのことが大好きでして、
あの華やかで、品があって、リンクに立ったときの例え様のない美しさ、
それでいて庶民的な面も併せ持っていて、気さくで、親近感も沸いて来る、
そんな魅力的な春ちゃんは性格もまた勝気で、気が強くて、
それでいて優しい面も、時に弱い面も垣間見せてくれて、
これほど素敵な女性が他にいるでしょうか。
まさに理想の女性春ちゃん。
ああ、春ちゃん、
そんな春ちゃんがついに、とうとう、
ああ……。

「今日は、春子姉ちゃんが岩田家で過ごす最後の日です」とナレーション、ああ……。
昨日に続いてのすき焼き大会ですけど、
お鍋を見つめる一同……すると、
「なんや、寂しいなあ…」と冬子、ああ……って、
いちいち嘆いてたらちっとも先に進まないのでもうやめておきますけども、
「今からそんなこと言わんかてええねん」と春子の方を窺いながら注意する春男さん。
すると、そういう意味じゃないと冬子、
「家族全員言うても、ホンマに親子だけになってしもたね」
秋子も「そやなあ、なんか全員いう気せえへんなあ」
「昔は弘子姉ちゃんやおばあちゃんらもいてたからね」と夏子。
そして冬子から、和ちゃんは今日だけは参加しないと言ってると聞いた春男さんは、
「また遠慮してんのかいな…」
すると、気を遣ってるのと違う?と言う照子さんに、頷く冬子。
そして秋子から、弘子姉ちゃんも今日は顔を出さないと言ってると聞くと、
今度は照子さんが「なんやそんなんちょっとみずくさいねえ」
「気ぃ遣てんねん」と春男さん……そんな愉快なやり取りに、
やっと口を開く春子、
「けど、あたしは嬉しい」
……忙しい夏子も帰って来てくれたし、
ちょっと照れくさいけど、家族だけが揃うのは初めてのような気がする、
「おばあちゃんもきっと、ここにいてくれてるような気ぃするわ」
そして、いつもヨネさんの座ってた、
春男さんの隣の席を見つめる一同……しかし、
今日はひとり先にすき焼きに手をつけてるヨネさんの姿は誰にも見えてないようで、
「ホンマは、ここであたしが何か言わんとアカンのやけど…」と続ける春子に、
いいから食べようと春男さん、
そして「いただきます!」、玉子シャカシャカ……しかし、
お鍋のなかのお肉が減ってるような気がする一同、
それを他所に、久しぶりのお肉を頬張りご満悦のヨネさん。

さて、打ち掛けがかけられた春子の部屋で寝自宅をする春夏。
うちにも遊びに来てなと誘う春子に、
「新婚さんとこ? イヤやわそんなん」と、妄想を膨らましてるのか夏子。
しかし「岡谷さんも夏ちゃんのファンやで」と言われると、
「ほな行くわ」
「なんやの〜」などと軽口を叩き合った後、
「春ちゃん、幸せになってな」と真面目に言う夏子に、
「幸せやで」と笑顔の春子。
「もう寝るわ」と布団を被ろうとする夏子に、
「なんやの、もう〜、寝させへん…!」……とじゃれ合うという、
実はこの場面も収録を見学しておりまして、
ガラス越しとは言え、春ちゃん夏ちゃんのパジャマ姿を直に見られたことは、
僕の人生のなかでも最高の至福のひとときでした……で、
僕が見学した場面はもうこれで終わりでして、
そんなん見られるってわかってたらもっと前から通い詰めてたのになあ〜。
で、一方の春男さんと照子さんは床についてるけど、
それぞれに昔のことをあれこれ思い出して寝られないようで……そしてついに。

「そして、その日がやって来ました」
その日の朝、揃ってお店を訪れる寺井夫妻と松本さん、
すると既にローリーと佐藤のおじ様も来ていて、
もちろん皆、披露宴に出席するんで正装で、
ローリーもちゃんとスーツ着て、でもバンダナは巻いて既にカメラも構えてて、
そんな皆が楽しみにしてるのは「あれ」、
もう夕べ済ませたやろか?
いや春男くんのことやから逃げてるやろ……などと、
「あれ」を待ちわびる一同。
その春男さんは居間でただただお茶を飲むばかり、
そして「あれ」の主役、春子は自室で着付けを終え、
小さい頃、帯を締めてあげてたのが懐かしいわと感無量の弘子姉ちゃん。
そこへ夏秋冬もやって来て、揃って感嘆の声をあげ……そんな様子を、
そっと陰から見守るヨネさんの見開いた目に浮かぶ涙。

そしていよいよ、
弘子姉ちゃんに手を引かれて降りて来る春子。
照子さんも「ホンマにきれいやわあ〜」と裾を整えて座らせてやり、
そしてその照子さんに促され、そっぽを向いていた春男さんも春子に向き合い……と、
お店の方から覗き込む野次馬連中に文句をつけ、冬子に仕切り戸を閉めさせ、
とそこへ迎えに来るハイヤーの運転手には弘子姉ちゃんから、
「我が家はここからがちょっと長いんです」と待ってもらい……

ひとりひとりに呼びかける春子、
「長い間、お世話になりました」
……お父ちゃんとお母ちゃんの子に生まれて、
夏秋冬と姉妹になれて、ホンマに幸せやった、
幸せすぎたから、これ以上幸せになれるか自信はないけど、
お父ちゃんとお母ちゃんが一からこの幸せを築いたように、
あたしも岡谷さんと一緒に一から築いて行く……涙を浮かべてそう語り、
「ホンマに、ありがとうございました」と深々と頭を下げる春子。
そして照子さんは、赤ちゃんの春子を負ぶって闇市を回ってたと、
この番組第1回冒頭の場面から回想し、
「あんたは、お父ちゃんとお母ちゃんにとって、
 どんなものよりも、空に浮かぶ太陽よりも、
 なくてはならないもんやった」
春子の頬を伝うひとすじの涙……ちなみに春男さんは既にもうぐしょぐしょ。
そして春子に心を込めて「ありがとう」と言う照子さん、
続く春男さんは「春子…幸せになりい…」
そして袖で涙を拭い、なんとか「おめでとうさん」と頭を下げるけど、
後はもう涙を啜る合間にただひと言を繰り返すのみ、
頭を上げて「春子、幸せになりい」
涙を溢れさせて「はい」と答える春子。
「幸せになりい…」
夏秋冬もそれぞれに涙を浮かべ、
「春子、幸せになりい…」
その声はお店にも響き渡り、
「…幸せになりい!」
目頭を押さえるローリーと佐藤のおじ様。
「…幸せになりい!」
寺井夫妻も、松本夫妻もそれぞれに涙を堪え、
「…幸せになりい!」
ハイヤーの運転手さんまでもが隅っこで皆に背を向けて嗚咽に咽び、
そしてカメラは居間に戻って来て、
「春子、幸せになりい!」
涙に暮れる岩田家の家族。

……夜も更けて、
正装のまま物干しで語らう照子さんと春男さん。
「あの子のために、なんぼてるてる坊主ぶら下げたやろねえ」と照子さん。
「わからへんなあ」と春男さん。
「ようけぶら下げたもんねえ、
 ようけぶら下げさせてくれる子ぉやった…」
「その数だけ、あの子は、俺らに幸せくれたんや」
見つめ合い、頷き合う2人。
「ホンマそやね」
「ホンマそや」
そして2人が見上げるとそこには、ニュータイプ4色坊主のみならず、
それを取り囲むように竿からも、そして手すりからもぶら下げられている、
大量のてるてる坊主たち。
過剰さはときに笑いと感動を同時にもたらせてくれるけど、
このてるてる坊主がそのお手本ともなっているのはしかし、
これまでの春子の、そして照子さんと歩んで来た道、
いろいろな出来事、その積み重ね、その時間……
春子の人生の20余年、そしてそれを描くのに費やした半年という時間の積み重ねがもたらせてくれたものでもあって、
春男さんのひと言の繰り返しが胸に響くのも同じことでしょう。
そして冒頭の場面で語られていた、
家族と言っても親子だけになってしまった、これで全員か……って、
親子6人で少なく感じられるという、今どきでは珍しいこの人数の楽しさ、賑やかさ、
様々な想いをともに分かち合える素晴らしさ……
それらの豊かな触れ合いを我々にも共有させてくれるのもまた積み重ねられた時間のおかげであって……

「こうして春子姉ちゃんの結婚式は無事に終わったのでした」
それはひとつの区切り、
家族の時間はこれからも積み重ねられて行く、
そして春子は新しい家族を作り……
ああ、春ちゃん……
春ちゃん、ああ……。
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夢見る力で人は(あなたもわたしも誰でも)幸せになれる

2016-09-23 03:53:56 | 「てるてる家族」が歌ってる
というわけで夏子を交えて、久しぶりのフルメンバーによるすき焼き大会ですけども、
その冒頭で「やっと家族でのんびり過ごせるな」と言う春男さん、
ところがそうは行かないというパターンが繰り広げられまして、
次々と訪れる近所の人たち、まずはお隣の松本夫妻、
夏子のためにサバの味噌煮を作って来てくれてる弘子姉ちゃんにライバル心もあらわな照子さん、
あたしかてプロやで〜とか言うてるその傍らではその味噌煮の皿に一斉に箸を伸ばす岩田家の面々、
それを見た照子さん「何してんのあんたら飢えたネコみたいに!」とブチ切れたりなんかして、
でもって、一緒に食べて行く?と勧める秋子に、
いつもなら遠慮しとく弘子姉ちゃんも今日は応じるのは、
やっぱり久しぶりの夏子との再会故のことなんでしょうか、
まあ家族同様の弘子姉ちゃんのことやからと春男さんもこれは受け入れて、
「落ち着いてな、ゆっくり…」と改めて念を押したところに、
次に押し掛けて来る寺井夫妻は色紙持参でサインをねだり、
仕事着の白衣のままで来てる夫妻に、毛が落ちるやないかと神経質な春男さんは、
寺井夫妻にまですき焼きを勧める秋子には「そんなん訊いたらアカン!」と怒鳴るけど、
夫妻がやはり持参のカメラで写真までねだり、冬子がシャッターを切る時にはなぜか一緒に収まったりして、
とそこへ今度は萩原さんまでやって来て、
「飢えた宇宙人みたいな顔して!」ともはや八つ当たり気味の春男さん、
一方の夏子はやはり差し出された色紙に、
タコが嫌いにも関わらず「たこ焼き最高!」と書いてあげることを快諾する気の優しさを見せ、
そんなこんなで「もういっこも落ち着けへんがな!」と天を仰いで嘆く春男さん……と、
ちなみにこの場面、途中で一部カメラは切り替えられてるけど、
撮影は約2分間ぶっ通しで行われてるようで、
そう、今週の演出家はかつて長回しとロングショットでお馴染みやった人、
さすがにそういうのに慣れてないお茶の間には不評やったようで、その後はあまり多用はしてないけど、
それでも時に腕を発揮してくれていたのも今週で見納めでしょうか……ってしかし、
ムッチャ濃い2分間やったなあ。

でもってやっと落ち着き、
「おばあちゃん、ただいま」とヨネさんの遺影に話しかける夏子を先頭に、
仏間に居並ぶ岩田家の面々……ってしかし、
確かもともとヨネさんの部屋がそのまま仏間になって、
しかしそこに秋子が引っ越して行ったはずやったけど、
この場面を見る限りではそれらしいところはまったく窺えませんなあ……などという、
無粋な突っ込みはもう残り少ないんやから控えることにして、
「夏子姉ちゃんが東京に行ってから、ホンマにいろんなことがあったねえ」と、
しみじみと言う冬子に皆も頷き、
「嬉しいこと、悲しいこともあったねえ…けどみんなこんな大きなって」と、
やはりしみじみと言う照子さんは続いて遺影に語りかけ、
「お母さん、みんなこんなに立派に成長しましたよ」
「みんな健康で何よりやったなあ」とやはりしみじみの春男さんは、
春子や照子さんが続けて入院したことは覚えてないのか……いやひょっとして、
あの頃に起きた出来事の一切合切を忘れ去ろうとしてしまってるのかどうなのか、
いやまああの程度の入院は健康やったと言えるうちに入るんでしょうけども、
するとふと気付く冬子、
仏壇の置かれてたところにはなんと鎮座ましますヨネさん、
照子さんと姉妹たちひとりひとりに呼びかけ、
「はい」とそれに応じる女性陣、
「みんなようがんばったな、
 あの世でえらい気ぃもんだけど楽しませてもろたで、
 これからも、しっかり、お気張りや」
「はい」と声を揃える女性陣……しかし、
ひとりヨネさんの姿が見えない春男さんには何が何やら訳が分からず……という、
この場面の撮影も実は見学しておりまして、
もちろんその時にはヨネさんの姿は陽炎のように揺れてはおらず、
また音声は一切聞こえて来ないので、春男さんにだけ見えないという趣向もわからなかったはずで、
放送されたのを見て、こんな場面やったんかあ!って驚いた覚えがありますけども、
それよりも実は、カメラの回ってない時に冬ちゃんが結構無防備に脚を投げ出したりしてて、
正座に慣れてないんやろけどちょっとドキドキさせられたことを思い出したりなんかして、
そんなこんなで、目を細めて孫娘たちを見渡すヨネさん。

場面変わってベーカリー、
冬子がひとり店番してるところに帰って来る春子は岡谷を連れて来ていて、
ええ店やねえと感心する岡谷に、
「開店祝いやったらまだ受け付けてますよ」と冬子、
春子に睨まれて「冗談やて」と言い訳するけど、
「何がええ?」と乗って来る岡谷に、少し考えて、
「春子姉ちゃんの幸せ」
「もう、冬ちゃん!」と照れる春子、
「お易い御用や!」と根拠もないのに胸を張る岡谷、
そして、易うないよ、そやな、と肩で突っつき合って笑う2人に、
「…アホらし」と全国お茶の間の声を適確に代弁してくれる冬子、
とそこへパンの入った籠を抱えて入って来る春男さん、
しかし明後日の式はよろしくお願いしますと丁重に挨拶する岡谷に、
ろくに返事もせずに逃げるように去って行く春男さん、
「ホンマしゃあないな、この期に及んで」と詫びる春子に、
「いちばん先に僕たちのことをわかってくれた人やんか」……などと、
珍しくいいことも言うけど、でも別れ際にはなんやじゃれ合って去って行く岡谷、
僕が彼のことをわかってやるのはいちばん最後になりそうやけど、
それはさておきその後、春子が工場を覗くと、
事務室でぽつねんと座り込む春男さん、
最後に挨拶しておきたいとわざわざ寄ってくれた岡谷にろくに目も合わさずに……と詰る春子に、
「堪忍、…結婚式ではちゃんと目ぇ合わすよって」と、目を合わさずに背中向けたまま答える春男さん、
「当たり前や、頼むで」と、いつになく言葉がきつくなってしまう春子……と、
ちょうどそんなところへ上から降りて来る工場長と和ちゃんは、
こっそり隠れて2人のやり取りを窺い……
「…結婚したら、ちゃんと仲ようしてくよって安心し、堪忍」
「ホンマやで?」
「はい」……と、すっかり低姿勢な春男さんを見つめて微笑む春子、
歩み寄って春男さんの肩をもんでやり、
「お父ちゃん…長い間…」
大きく息をのむ春男さん、
「…ここでパン作って来たんやねえ」
盛大にずっこける工場長と和ちゃんはここで立ち去り、
入れ替わりにやって来るのは冬子、
ちょうどそのとき、冬子と和ちゃんが工場を受け継ぐんやろ?と尋ねる春子に、
どやろなあ?と春男さん、
「お父ちゃん嬉しいやろ? あの2人が結婚したら安心よね?」
それを耳にして駆け寄る冬子、
「春子姉ちゃん何言うてんの!? ケッタイなこと言わんといて!」と真剣に文句をつけ、
「ええやんか、お父ちゃんに訊いたかて」とこちらも真剣な春子は続けて、
「お父ちゃんはあの2人が結婚しても反対せえへんやろ?」
すると春子の腕をつかんで止めようとする冬子……そんな2人に、
「結婚なんかせんかてええ!」と強く言ってしまう春男さんはしかしすぐにトーンを落とし、
「せんかてええねん…」とつぶやくと2人を残して立ち去り……しかし、
冬子の前でこの件が具体的に話題に上がるのはこれが初めてですけど、
それが式を目前に控えた春子の口からやったってのはちょっと意外なような感じで、
そして冬子の反応もまたちょっとムキになりすぎてるような気がしないでもなかったけど、
これは工場の経営の話に絡められてるから、それに真面目に取り組んでる冬子としてはつい……って、
そんなところやったりするんでしょうか、
でもって春男さんは居間へやって来ると、頬杖ついてつまらなさそうにテレビを見ている照子さんの隣に座り、
お茶を入れてひとくち啜って、
照子さんの肩にうなだれかかり……しかし春男さんには見向きもしない照子さん、
ちなみにここでテレビから流れて来る歌、
♪血の涙流して泣いた人間的な姿が……という、なんやえらいご大層な歌詞で、
調べてみたら「私もあなたと泣いていい?」という歌らしいけど、
しかし振り返ると、この番組で流れた数々の歌、
歌詞がとてもドラマチックと言うか、まるで小説のように豊かな世界を持ったものが多いですねえ、
それに比べると最近の歌はまるで子供の作文のレベルですなあ。

さて、その夜は4姉妹総出で春子の荷物の整理、
すると最初に買ってもらったスケート靴にとても懐かしがる春夏、
「嬉しいて抱いて寝てたわ」と振り返る春子に、
「え、危ないやんか、刃ぁ出てんのに」と心配する冬子のことは放っておいて、
想い出に浸り続ける春夏、
「お母ちゃん、あの頃がいちばん元気やったんと違う?」と夏子、
「うん、夢ばっかり見てた頃や」と春子、
すると、いま夢はあるかと春子に尋ねる冬子、
「そらあるで、これから見つけることや、
 これから新しい夢を見つけることが、いまのあたしの夢や」
「なんや、昔のあたしみたいやんか」
「そうや、冬ちゃんはずーっと幸せやったんやで」
「ホンマや」と夏子も同意し、
「え? ようわからへん」と戸惑う冬子に、
「ようわからへんのが幸せや」と秋子、
「…それがわからへん」
そんな4姉妹の禅問答に、物干しのてるてる4姉妹も微笑み……しかしこれは、
これまでと違って目鼻口がペンで描かれてるのではなくって、
なんやフェルトでも貼ってあるんでしょうか、
この期に及んでニュータイプ登場の4色坊主に、
「その晩あたしたちは、夜中までいろんな話をしました」とナレーション。

そしていよいよ式の前日、
お店を訪れるのはあの稲本先生、
冬子が、台所の春子と照子さんを呼びに行くと驚く2人、
照子さんは嬉しそうに、包丁握ったまま行こうとして冬子に止められ、
しかし冬ちゃん、ここでは「危ない、危ないで」と言うだけで、
「危ないやんか、刃ぁ出てんのに」と、最近連発の反復ギャグを披露する余裕はなかったようで、
そしてお店の喫茶スペースでしみじみと懐かしみ合い……今となっては、
コーチのときのあの厳しさは欠片も感じさせず、すっかり穏やかに春子を祝う稲本先生、
しかし依頼されてたスピーチについては、
「あたしきっとお母さんのことばっかり話すから笑い話にしかならないと思いますよ」とキツイことも言い、
すると照子さんも式次第を説明するなかで、自分もお色直しをするやとか、
春男さんが司会やとかムチャクチャ言うて、
「ようわかりませんわ」と苦笑いの稲本先生に、
冬ちゃん、なんでここで「ようわからへんのが幸せや」と言わへんねんって突っ込もうとしたその矢先、
奥から夏子も出て来て挨拶し、
するともはやかつての教え子としてではなく、立派なスターとして接し、
会えたことを心から喜ぶ稲本先生は、
「紅白見てたのよ、あの曲いいわよねえ」と、ここまではよかったけど、
なぜか照子さんがすっくと立ち上がって歌い出し、
それを受ける先生、♪とてもきれいなヨコハマ……すると一斉に、
「きれい」と突っ込む岩田家の面々に、
「やだ、どうしたんですか、みんなでそんな急に…」と照れるという、
意外にも反復ギャグをマスターしている稲本先生、
そして先生が帰った後も「きれいね」にこだわり続ける岩田家ごいっとさん……ああホンマに、
寂しさを紛らわしてくれる笑いの数々に、余計に残り少なさを痛感させられるかのような今日この頃。
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みらくる家族

2016-09-21 21:33:32 | 「てるてる家族」が歌ってる
「いよいよ、ベーカリーてるてる家族が開店の日を迎えました」とナレーション。
店の表にはあれは商店街振興会かな?からと、
そして「宝塚音楽学校第54期生一同」からの祝いの花が届いていて……そう、
前にもちょっと書きましたけど、僕が収録の見学に行った時、
立川麻子、井口恵美子、吉沢理江の3人が開店祝いに店を訪れ冬子と再会し、
そこへ久世さんも現れる……という場面を撮影してて、
しかし結局それはお蔵入りになったみたいで、
だから放送上は、卒業とともに同期生たちとの縁は切れてしまったかのような印象があったんですけど、
でもこうやってちゃーんと交流が続いてることを示してくれてたんですねえ。
それはさておき、店内では冬子に春男さん、
春秋弘子姉ちゃん、そして工場長と和ちゃんが準備に大忙し。
そんななか和ちゃんは鼻を擦ったりして、なんか汚いなあ……って、
髪を真ん中で分けるようになって以来、僕のなかでは和ちゃんの好感度は下がる一方なんですけども、
しかしそう言えば春男さんも工場でよく鼻を擦ってましたっけ。
でも工場で擦っても、高温で焼いたら殺菌もされるやろけど、
お店では……って、まあそれはさておき、
やがて冬子による挨拶、そのなかで春子に手伝ってもらえるのも後ちょっとって言ってて、
「精一杯応援するからね」と春子……ホンマにここんとこ、
新しいスタートと幕切れの足音とが同時並行で描かれ続けてるようで、
それがまた余計に感傷的になってしまいそうな……と、
いやいや、冒頭からこんな調子じゃちょっとアレなんで先へ進めまして、
やがて開店、なぜか仁王立ちで客を待ち受ける一同、
ちなみに春男さんだけ横向き。
しかしドアが開くと深々とお辞儀して「いらっしゃいませ!」
それに驚く初来店のお客さんは寺井夫妻。
パンのいい香りに釣られて来たとのことで、オーブンなんちゃら方式の成功に大喜びの一同。
とここで寺井のご主人、
「冬ちゃん、春男ちゃん、それからごいっとさん、開店おめでとうございます」と言う、
この「ごいっとさん」……そうそう、こういう言葉ありましたっけねえ。
ここではさっきから「一同」を連発してますけど、
これからは「ごいっとさん」を使うようにしましょうか……と言っても後ちょっとのことですけども。
でもって「お客さんようけ来てくれるとええね」と春子……とそこへ、
響き渡るのは拡声器の声、
「待ってても来えへんでえ〜!」
その声の主はそう、なんで姿が見えないんやろと実は不思議やったあのお方、
奥から現れる照子さん、肩からメガホンを下げ、
当惑する皆を尻目につかつかと店内を横切り、
表に出るとお得意の街宣活動。
懐かしいあの名調子が繰り広げられ、
「愛の奇跡のパン屋でございますぅ〜!」というフレーズに、さっぱり訳が分からなさそうな冬子と春男さん、
そしてそこから視聴者にとってさっぱり訳が分からない歌とダンスが繰り広げられ……この、
ヒデとロザンナの「愛の奇跡」という歌はなんとなく知ってはいたけど、
当時、2人があんなファッションで、あんな腰振り振りの振り付けで歌ってたのか、
その辺の真相はいかに……

♪「寂しげ」を 出しまくるお父ちゃんの
 筋合いはない!が 忘れられなくて
 嫁いでも 私は信じたい
 いつの日か 岡谷と
 別れ去る 春の除籍
 激しく怒ってる お母ちゃんは好かんで
 話さぬ ドライブ 動物園
 振り向けば 消されて潰されて
 いつの日か 岡谷は
 キツネザル として鬼籍
 ……あ、ホッケー!
 あ、ホッケーしよ!……

そしてもはや形容のしようのない世界に没入してしまってる春男さんと照子さんに、
「アホ…!」と言うためだけに現世に戻って来るヨネさん。

しかしナレーションでは、
「お母ちゃんの愛の奇跡でお店は初日から大賑わいでした」やて。
冬子は入り口のところでトレイとトングを手渡して、なんちゃらフレッシュ方式の買い方の説明をし、
喫茶コーナーの接客は照子さん、
そして春男さんたちが焼きたてのパンを運んで来たりして、
ホンマに文字通りの大賑わい。

一方、研究室では秋子が見事「凍結乾燥装置」を完成させていて、
ローリーに買って来てもらった野菜でいろいろ試してみるけど、
使えそうなのはネギとピーマンぐらいか……と、
ピーマンは好き嫌いが激しいから避けた方がいいと的確な指摘をして、
単なるラーメンバカでないところを示す小池さん。
ちなみに僕の知り合いで、あのエビが嫌いやからと、
お湯を入れる前に全部捨ててしまう奴もいますけど……あ、
そのエビが出て来るのはもう少し先でした、失礼。

そして岩田家では、喫茶の方で退役したテレビジョンを居間に置くことにしたようで、
すると夕食時、皆そっちに気を取られて箸が止まってしまったり、
照子さんなんかぽろぽろぽろぽろこぼすわこぼすわ、
まあ万博のニュースやから夢中になるのも仕方ないか……と突然、
スイッチを切ってしまう春男さん。
皆のブーイングをも物ともしない春男さんに、
最近何かおかしいと訝る照子さん、
「春子のこと手放すのが惜しいんとちゃうの…?」
「アホなこと言わんとき」と何気ない風を装う春男さんですけど、
「こうして春子姉ちゃんと一緒にご飯食べられんのも後1週間もあらへんねんな」と衝撃の事実に気付く冬子。
「お父ちゃん、この時間を大事にしたいんやね」と思い遣る秋子。
「そんな、そんなこと、お、思てへんて…」とうろたえる春男さんは春子の、
「お父ちゃん、長い間…」に大きく息をのみしかし、
「…夏ちゃんがいてへんかったから寂しかったんやろね」と続いたので今度は激しく咳き込み、
照子さんと秋子に背中を叩いてもらい……これは昨日の回の、
寺井理髪店での会話が下敷きになってるんですけどね、
でもそれほど重要でもないやろとここでは省いてしまったからこんなことになってしもて、
これからは何気ない寺井さんとの会話もちゃんと採録するように……と言っても後ちょっとやなあ。
でもって、夏ちゃん忙しいけど結婚式に帰って来られるかなあという話から、
いまや大スターや、また紅白に出るでとなって、
「そしたら今度は岡谷さんと一緒に紅白見に来るわ」と言う春子。
静まり返る食卓に響く柱時計の音。
今度は自分がおかずをこぼしてしまう春男さん、
それをキャッチする照子さん。

場面変わって社長室、
初めて見るフリーズドライされた食材に感心する千吉博士、
「とりあえずネギと肉とタマゴは完成しました」って森野先輩は言うけど、
肉とタマゴの過程が興味深かったりするんやけどそっちは描いてくれへんねんなあ……しかし、
試食する博士は「美味い!」と満足げで、
2人をねぎらい、秋子に入社してくれと頼んだりして、
「考えときます」と答えながらも当惑げな秋子……と、
しかしこれでは足らん、赤色が要ると言い出す博士はやがて、
エビや!……とまた難題を突きつけられる秋子たち。
はい、ここでエビの登場。

そして帰って来た夏子に、
大はしゃぎの岩田家一同……いや、ごいっとさん。
新しくなったお店に目を見張る夏子は、
「パンのええ匂いするね、ここがあたしの家やってんね」
するとお客さんたちが夏子にサインを求め出し、
それを慣れた様子で仕切る照子さん、
そんな様子を嬉しそうに見つめる冬子……しかし、
夏ちゃんのサイン入りの「ベーカリーてるてる家族」の紙袋、
僕も欲しいわあ〜。
コメント
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ブラサガリーてるてる坊主

2016-09-20 21:27:27 | 「てるてる家族」が歌ってる
「春の訪れが感じられる暖かな日に、新しいお店は完成したのです」
とのナレーションでお店の前に集うのは岩田家一同、
そして和ちゃん、工場長、松本夫妻に米原さん。
「えーそれでは皆さん、これからお店の名前を発表します」
と口上を述べる冬子に一同拍手。
そして和ちゃんが前に出て来て除幕式、
覆いが外された看板に書かれた店名は……
「てるてる家族…ケッタイな名前やねえ」と照子さん。
すると春男さん、ええやんかと言いつつ、
「俺も初めはケッタイやなあ思てたんやけどな、慣れたらだんだんええ名前に思えて来たわ」
……などと、まるで全国の善良なお茶の間の視聴者のこの半年間の気持ちを代弁するかのようなことを言うたりなんかしてからに、
そして冬子が「ええ名前やんか!」と訴えてもまだ不満げな照子さん、
しかし工場長が「おかみさんの元気な、明るい笑顔が感じられるええ名前ですわ!」と力強く言うと、
「そう言われたらなんやそんな気ぃして来たわ」と、最初の何週かは自分が実質的にヒロインやったことを思い出したかのような照子さん。
でもって看板を描いた米原さんにも拍手が贈られ、
タイクーングラフィックスをも代表して礼を言い、例のポーズをとったりするけど、
しかしそのタイクーンさんはいま調べてみたら、2014年10月2日をもって解散したんやそうな。
ああ、ホンマいろいろありますなあ、この13年の間には。
そして春子は、ここに帰って来るのはちょっと恥ずかしいなとか言って、
秋子もそれに同意して、また冬子がぶーたれたりなんかして、
そうそう春ちゃん、この店に帰って来るのが恥ずかしいんやったら、
もうここから出て行かんかったらええのにと、全国の善良なお茶の間の皆様が思ったりなんかしてるうちに、
がやがやと入店して今度は内覧会。
昨日の回で冬子が説明してた円形の陳列棚が、ちょうどバウムクーヘンが2切れで輪を作ってるみたいに置かれてて、
広々としててゆっくり買い物できるやろ?とご自慢の冬子。
しかし、パンはどこに置くのかと何度も繰り返し訊く冬子さんには、商品はガラスケースに納めてあるものという先入観があって、
冬子の言う、お客さんがトレイとトングを持って自分でパンを取ってレジに持って行くというのがなかなか理解できないようで、
って言うか、この時代にまだそういうスタイルが根付いてなかったことに驚かされたりなんかして、
ああ、ホンマいろいろありますなあ、この46年の間には。
ほんでまたこういう売り方に「オーブンフレッシュベーカリー」なるご大層な呼び名があるってのも初めて知りまして、
そのことを和ちゃんの口から、新しい販売方法ですと説明されると、
パンにホコリがかかるやないのとか文句つけてた照子さんもやっと納得したりなんかして、
ちなみに僕は以前、知り合いから、
「トレイとトングを持ってパンを選ぶ姿が日本一カッコいい男」って言われたことがありますよ……などというひとくちメモも盛り込みつつ、
そして店の片隅には喫茶スペースも残してあって、
そこの壁に和ちゃんがかけるのは、かつての「喫茶シャトー」のプレート。
それを感慨深げに見上げる一同。
「お母ちゃんの歴史もここに残しときたいねん」と冬子。

さて、研究室では秋子が机上に雑然と積み重ねられた論文をあれこれ探し、
やっとお目当てのものを見つけるとそれを手渡し、
「フリーズドライか」と森野先輩。
するとラーメンを食べてた小池さんが覗き込み「抗生物質を作るのに使われてる乾燥法やな」
「物を凍らせてから真空状態にして乾かすんです」と秋子。
それを食品にも用いてみたら……と、この時代はまだなかったんですねえ。
ああ、この46年の……って、それはもういいけど、
とにかくこの方法でやってみようと言う秋子、
装置を作らないとと小池さんに言われて「作りましょう!」
作れるか?と森野先輩に訊かれて「作るのは好きですから」
好きなだけやろ?と返されて「それ以上に何が必要ですか?」
ああ、あれだけ夢中になってたくせに秋子の本質が全然わかってなかった森野先輩。
研究も恋愛もストロークが大事やってことを、例の論文を読んでよく勉強した方がよさそうな……って、
もひとつ意味が分からんけど。

一方、工場では明日が開店とあって作業に大忙しの春男さん、工場長、そして和ちゃん。
しかし冬子はと言うと落ち着かない様子で行ったり来たりして、
最初が肝心なんやからしっかり頼むで!とハッパをかけ通しで、
あまりのしつこさに春男さんから「口動かさんと手ぇ動かし」と怒られたりなんかして、
そこへ様子を見に来たという喜介も手伝うことになり、
「何からやりましょ?」と訊くと「ああ、これやって」と和ちゃんからタメ口をきかれ、
「誰やお前?」に慌てて謝る和ちゃん……ってしかし、
明るくなったのはいいけど前髪も真ん中から分けて大人びたついでに態度もでかくなったんやろか。
でもってデーニッシュの生地を見て、こんなんうちでも売りたいなあと言う喜介はしかし、
ひとりやから手が回らないと諦めてるところへ、出来るでと工場長、
ここで作って冷凍した物を冷凍したまま運んで行って焼いたらいい、
「それをベイクオフシステムっちゅうねん」やて、なんにでも呼び名があるんやなあ。
しかし同じパンを売るんやから店の名前も同じにしないとと言われ、
「それだけは堪忍して」と渋る喜介に、
「何やて?」と突っ込む一同……ってだから、
この時の顔も怖いねん、和ちゃん。

そうやって皆が忙しいなか、
まだ明るいうちから物干しで所在なげな照子さん。
腰掛けて、退屈そうに脚をバタバタさせたりなんかしてるところに、
やって来る春男さん。
「親いうもんは急に歳取るもんなんやねえ…」とつぶやく照子さん、
「気ぃ付いたら子供になんかしてもうてる、気ぃ遣われてる」
そして、さっきお店でうるさく言ったことが恥ずかしくなったとしおらしいことを言うと、
「冬子、嬉しかったんちゃうか?
 久しぶりに元気なお母ちゃん見られて」と春男さん。
すると「このてるてる坊主も冬子がぶら下げたんでしょ?」と訊く、
その照子さんの目線で背後から映し出されるてるてる坊主にはやはり、耳がくっきり。
「わたしらにはもうなーんもぶら下げることがあらへん」と、
このことはとある鋭い視聴者が昨日の回の替え歌としてどこかに書いてましたっけねえ。
しかしそんな寂しそうな照子さんに、
「それが、いまの幸せや」と言ってあげる春男さん。
そして照子さんが「もうすぐ春子もいてへんようになるんやねえ」とつぶやくと、
今度は寂しそうな春男さん。

「そして開店の日を迎えました」とナレーション。
工場で朝礼の挨拶をするのはもちろん、
「ベーカリーてるてる家族」のロゴ入りのエプロンを着けた冬子。
それはそこそこに済ませて今度は春男さんに譲り、
場所を変わって皆の前に立つ春男さんは、
最初は信用してなかった冬子のがんばりを褒めてやり、
「俺は、娘に甘い父親やから、娘のやることが可愛いてしゃあない、
 そやからこの店も可愛いてしゃあないねや、
 冬子がこの店に家族て付けたんは、みんなのことやて俺は思てる、
 そやからみんなも、この店愛したってや、
 よろしゅう頼むわ」
「はい!」と答える和ちゃんと工場長。
「ほな、始めよか!」
「はい!」と一斉に作業にかかる一同。
「いよいよ、てるてる家族が動き始めました」とナレーション。
いよいよ終盤に差し掛かったいま、
新たなる展開のその始まりを丁寧に、心を込めて描いてくれている、
そんなこのドラマのことは頼まれなくても皆が愛さずにはいられないでしょう。
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