モヴィエ日記

映画の感想とか、いろいろです。

「ブラックブック」のページを折らんだ

2007-04-30 01:04:10 | Weblog
実は僕はオランダという国にかなり興味があるんですよねえ、子供のころから。
まず最初は切手。
中学ぐらいまで切手を集めてたんですけど、
オランダの切手って、とにかくデザインがユニークなんですよ。
これは印刷ミスかいな?って思わされるような大胆なデザインのものがあったりして、
カタログを眺めてるだけでも楽しいんですよねえ。
なんせ1940年代にはあのエッシャーにデザインを依頼してたぐらいですからねえ。
エッシャーの展覧会に行ったら、その原版が展示されてましたよ。
そう、オランダ出身のM・C・エッシャーも好きなんですよねえ。
大阪で展覧会があるときは必ず出かけてますよ。
それから「アンネの日記」、あれは高校のころに読みましたっけねえ。
あれにはかなりの衝撃を受けましたよ、ホンマに。
彼女の隠れ家は保存されてて公開されてるらしいんで、
ぜひともいずれアムステルダムへ行って見学したいもんです。
そしてついでに合法的な大麻も吸ってみたいもんです……いや、
これはまあ、その、アレですけど、
でも大麻や安楽死を、いろいろ制限つきではあるけど一部で合法化してるという、
これは僕は、決して全面的に支持できるかというとそうでもないような、
まあよくわからんのですけど、でもそういう割り切り方っていうのか、
選択肢を多く与えて、判断は個々人に委ねてるような、
そういう政策のあり方にも興味があったりして。
そんなわけでかつて、インターネットに接続できるようになったころ、
オランダについてもいろいろ検索したもんです。
するとオランダ大使館のサイトで、オランダのジャズを紹介するCDをプレゼントしてて、
応募したら当たったんですわ。
これはまあ、さほど特色のない普通のジャズでしたけど、
そんなわけでオランダの映画もできるだけ見ようとは思ってるんですけど、
これはなかなか機会がないんですよねえ。
たまに公開されても小難しい芸術的なものやったりして、
あまり印象に残ってるのはないんですよねえ。
むしろ、オランダ出身でハリウッドで活躍してる監督のほうが馴染みがあるもんで、
代表的なのがヤン・デ・ボンとポール・ヴァーホーヴェン。
ボンさんは「スピード」で一躍有名になって、
そして「ツイスター」、あれは大好きですわ。
その後はパッとしないのが残念ですけど、
一方のヴァーホーヴェン、
彼は「ロボコップ」のヒットの後、精力的に撮り続けてたけど……
なんかちょっと、悪趣味やなあって辟易させられるところがあったんですよねえ。
しかしそんな彼が久しぶりに故郷で放った監督作「ブラックブック」、
これが意外とよかったんですよ……というわけで、
いつにも増して前置きが長くなりましたけど。

時は第二次大戦末期。
オランダに逃れていたユダヤ系のヒロインがおりまして、
隠れ家を失い、さらに逃亡しようとしたところ、
ナチの襲撃を受けて家族を皆殺しにされてしまいます。
ひとり生き延びた彼女はレジスタンス組織に拾われ、
復讐の念を糧に抵抗活動に身を投じることになります。
ユダヤ系であることを隠すために黒髪を金髪に染めて……って、
ということはその辺で人種の見分けがつくわけなんですか。
へー、それは知らなんだけど、
とにかくそうやって新しい名前を得て、
ある日の任務は医薬品の運搬。
スーツケースに薬をいっぱい詰め込んで列車に乗っていると、
向こうから検閲にやってくる軍人が。
それを避けようと車両を移動し、あるコンパートメントに。
そこにはひとりのナチの将校がおりまして、
彼と親しく語らう振りをして検閲をやり過ごしまして、
ふー、やれやれと彼を見ると、なにやら熱心に読書中。
「その本、面白いの?」と訊くと、
彼が眺めてたのは本ではなくて切手のアルバム。
そう、この将校は切手収集家なのでした。
占領した国々の切手をヒンジを使ってアルバムに貼り付けておりまして……
「ヒンジ」なんて言葉がすっと出てくるところが元収集家でしょ、エヘヘ。
そんな彼としばし親しく語らうヒロイン。
切手収集家に悪人はいない……とでも思ってくれたんでしょうか。
そして後日、彼女はその将校に色仕掛けで接触するという任務を帯びることになりまして。
そのため、念には念を入れて、
髪だけでなく下のほうも金髪に染めるヒロイン。
その場面がぼかしもモザイクもなしで見られるとは、いい時代になりましたなあ。
「氷の微笑」のときはプリントの焼付けのときに暗くなるようにしてましたっけ。
まあヴァーホーヴェンのエロさは健在ってところでしょうか。
で、そんな彼女が将校のところを訪ねて差し出したのは、
彼が手に入らないとこぼしていた、オランダ領東インドの切手の山。
目を見開いて喜ぶ将校、ピンセットを取り出して1枚1枚ためつ眇めつ……って言うか、
常にアルバムやピンセットを持ち歩いとるんですか、こいつは。
そんな彼にお茶とチョコレートをご馳走になるヒロイン。
久しぶりに口にする青い包装紙のチョコレート……と、
これが後の伏線になってるんですねえ。
やがて、パーティに出かけるという将校、
彼女を誘い、元歌手である彼女は歌を披露することに。
ところがピアノを弾くのはなんと、
彼女の家族が殺されたとき、その現場で指揮していた将校なのでした。
何も知らずに陽気にピアノを弾くその将校、
胸が悪くなり、一度はトイレに行って吐きながらも、
何とか気を取り直して彼の伴奏で歌を披露するヒロイン……
どっちかっつーと、切手収集家よりもピアノ弾きのほうが悪人は少なそうな気はするけど、
まあとにかく、やがて結ばれることになる切手の将校とヒロイン。
まず切手の将校がヒロインの上を脱がし、
次にヒロインが切手の将校の下腹部に顔を埋め……
いやホンマに、ヴァーホーヴェンのエロさは健在……と思いきや。
ヒロインの頭部に手を添える切手の将校、
そのまま恍惚の表情を浮かべる……ことはなく、
冷静に、髪を染めてることを見つけおります。
それでもそこまで行ったら、もう行くところまで行ってしまう2人。

その後、盗聴器を仕掛けたりとか、
ナチに捕らわれた組織の仲間の救出劇とか、
いろいろとサスペンスフルな見せ場がてんこ盛りでして、
そんななか切手の将校は、ヒロインが実はレジスタンス組織に加わってることに気付くけど、
お互いに深く深く愛し合ってることを確認しあう2人。
そんなヒロインもやはり、組織のなかで不審の目で見られたりして……
そう、このオランダ人のレジスタンス組織のなかでは、
ユダヤ系の彼女はやはり異端者の面もあるんですよねえ。
そこら辺を巧く利用して、彼女を裏切り者、ナチ協力者に仕立て上げるのがピアノの将校。
しかも彼は切手の将校まで軍務違反に仕立て上げて、
ああ、どうなるこの2人。
切手が縁で結ばれた2人の運命やいかに……と、
気を揉んでいるうちにオランダは解放されまして、
メデタシメデタシ……とはいかないんですねえ、これが。
まだまだ物語は続くんですよ。
ヒロインと切手の将校は、レジスタンス組織のある人物が裏切り者だと思い、
その男を訪ねるけど、ところが彼は黒い手帳・ブラックブックを取り出し、
これを見れば真の裏切り者がわかる……と言い残した直後、
その場で何者かに殺されてしまい……
銃で撃たれた頭から脳みそがこぼれ出てる描写は、
ヴァーホーヴェンの悪趣味さ健在。
その後ヒロインは捕らえられ、ナチ協力者として収容所へ。
そこで過酷な虐待を受けるわけですが、
この辺の描写はヴァーホーヴェンのエロさも悪趣味さも健在なわけですけども、
しかしこれはなんというか、興味本位の描写ではないんですよねえ。
物語上の必然性が感じられまして。
そんなヒロインはやがて救出されますけど、
しかし切手の将校は既に処刑されたことを知らされ、
そして真の裏切り者、彼女の家族を死に至らしめた張本人によって命を狙われることに……
この部分はアイディア満載というか、
へー、あれがあんな風に悪用できるのかとか、
あれにあんな効果があるのかとか、
勉強にもなる見せ場でしたねえ。
そして危機一髪、逃げ出した彼女はブラックブックをもとに、
自らの容疑を晴らし、そしていよいよ家族の復讐に……

と、いやとにかく2時間半ほどの長さで、しかも中身がびっちりで、
もう片時も目が離せない面白さやったんですけどね。
しかし見終わった後の充足感と、そしてやるせなさっていうんでしょうかねえ、
これがなんともねえ。
結局、レジスタンス組織のなかの裏切り者はピアノの将校と共謀して、
裕福なユダヤ人を国外に逃亡する手助けをすると見せかけて、
殺害して金品を奪ってたわけですよ。
しかもこの人物にはモデルがいるらしくて、
そんな、オランダ人の恥部とも言えるような卑劣な部分もあえて描くヴァーホーヴェン。
解放後の、ナチ協力者に対する見せしめ的な行為の数々も、
あれも確かに、目を覆いたくなるところがありますしねえ。
そして先にも書いたように、収容所でえげつない目にあうヒロイン、
そんな彼女を救出に来た人物は、
虐待する者たちを痛烈に非難しおるんですよ。
君たちはオランダの恥だ……みたいなことを言って。
ところがその人物こそ、実は真の裏切り者だったわけでして、
つまり、美しい国とかなんとか言うとる奴こそ悪人ってことですわ。
そんな表面だけ綺麗に飾った奴らと闘うヴァーホーヴェン、
手にする武器はエロやら過激な描写やらを含む娯楽映画。
いやあ、「ロボコップ」から20年、
初めて彼のことをええ監督やなあって思えましたわ。
そしてエピローグがまたねえ、
ヒロインにはまだまだ苦難が絶えない、
世の中から争いが絶えることはない……
こりゃまだまだヴァーホーヴェンさには闘ってもらわななりませんなあ。
もちろんエロを武器に。
いや、ホンマ真面目な話、これは見応えたっぷりの力の入った作品でございました。
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愛こそはすぼて

2007-04-27 02:03:30 | ロング・アンド・ワインディング・夫婦道
いやあ、若葉ちゃんは聡明やなあ……あ、
のっけからなんですけどね。
実は先週の放送の次回予告で、
夏萌が「私は八夜子の味方だからね」って言う場面があったでしょ。
あれがね、なんだかなあ……って感じやったんですよ。
夏萌はひがみっぽくて陰険なキャラクターやけど、
実は妹思いの優しいところもあるねんで……みたいな、
なんか、そういう持って行きかたがちょっと安っぽいなあって、
そんな風に思ってたんですよ。
そしたらなんと、今週は冒頭のほうに早くもその場面があったやないですか。
しかも、それを言われた八夜子はホロッとくるかと思いきや、怪訝そうな顔。
その謎を解くのが聡明な、我らが若葉ちゃん。
「勝ったって思ったんだよ」やて。
というわけで僕の予想は外れ、お笑いの場面と化したわけですけども……
しかし当初から不思議やったんですけど、
この八夜子と若葉、仲がいいですよねえ。
部屋も、一応仕切りはあるけど同室と言っていいもんやし。
それに比べて夏萌とは……いや、だってねえ、
設定を見ると夏萌が30歳、八夜子が28歳、若葉が22歳、ついでに茂が10歳。
いや、ついでってのもアレですけど、
とにかく夏萌と八夜子は2歳差で、八夜子と若葉は6歳差ですよ。
普通なら夏萌と八夜子のほうが仲がよくって、同じ部屋になるもんやないですか。
ということは……夏萌は幼いころからものすごぉ~く性格がひねくれてて、
それで八夜子と若葉のほうが仲よくなったってことでしょうかねえ。
それはあまりにも……いや、だってねえ、
前にも書いたけど、僕はしずちゃんのことはわりと好きなんですよ。
でもこの夏萌のキャラクターはあまりにも、その、なんと言うか、
いや、こういう役を演じさせるのはしずちゃんに気の毒とか、
そういう意味やないんですけどね。
ないんですけど、なんか、あまりにも視聴者として好感が持てないんですよねえ。
マー君を、のぼりの竿で突っつく場面があったけど、
ああいう訳のわからん可愛さというか、おとぼけっぷりというか、
そう、製茶業のドラマだけにお茶目さというか、
そういうところがもっと描かれてたらいいんですけどねえ。
なんかあまりにもネガティブなキャラクターなもんで……
あれじゃあ八夜子と若葉の結束も強くなっても仕方ないですわなあ。
ほんで「よくバクバク食べられるねえ」とか「太るよ」とか、
夏萌にずけずけと言う若葉ちゃん。
そのくせ実は心底から恐怖心を抱いたりしてからに、
橋爪功のところにまで「夏萌姉ちゃんに殺される」って言いに行ったりしてからに。
でもって「私はいいからおねえちゃんをグランプリに……」って、
もう自分がグランプリになる気でいるちゃっかり者の若葉ちゃん。
さらには橋爪功の公職選挙法違反の実態を暴く若葉ちゃん。
さすが聡明やねえ……って、でもそれをネタに脅迫したらアカンでしょうが。
だいたい市会議員が買収するやなんて、
このドラマ的にはタブーでしょうが、まったく。
いやホンマにタイムリーやけども、まったく。
……でね、それでね、
この場面でついに現れおった、橋爪の息子。
あれ、何者?
佐藤銀平なんて聞いたことなかったんですけど……で、
いま検索してみたら、へー、
B作の息子ですかいな。
しかしなんというか、あのしまりのない顔!
なんですかあれ、あんなんで役者やれるんですかいな。
あんなんのどこがいいんですか、若葉ちゃん。
単に幼なじみってだけやないんですか、若葉ちゃん。
あんなへにゃへにゃした顔の男はやめときなさいよ、若葉ちゃん。
聡明な若葉ちゃんには不釣合いすぎますよ、若葉ちゃん。
ねえ、若葉ちゃん……

と、この僕の悲痛な叫びは届いたのか届かなかったのか、
それはさておき見事、ミスお茶娘グランプリに輝いた若葉ちゃん。
そして夏萌は若葉ちゃんの身を守るため、審査員特別賞に。
で、インタビューに答える若葉ちゃん、
「全国的にもっともっと狭山茶をPRしていきたいです」って、
もうすでにたっぷりPRしてるよ、若葉ちゃん。
だって、このドラマ見るまで狭山茶なんて聞いたことなかったですもん。
そういえばその昔、「東村山音頭」で、
♪狭山茶どころ情けが厚い……なんて歌ってましたっけ。
あの狭山ってこの狭山なんですか。
でも東村山は東京で、入間は埼玉なんでしょ。
で、狭山ってのはその両都県にまたがってるんでしょうか。
その辺の地理はようわからんのですけど。
あ、しかし「東村山音頭」なんて、いまの若い人には何のことやらようわからんでしょうけど、
ちょうどそのころですよねえ、ピンクレディとかたのきんトリオとかが出てきたのも。
八夜子が子供のころ、ピンクレディのおもちゃや、たのきんのお菓子をほしがったって言ってたけど、
それって時代考証がおかしいでしょうが。
だって八夜子は28歳なんでしょ、
たのきんトリオが出てきたころにようやく生まれたんやないですか。
おもちゃやお菓子をほしがるにはまだ幼すぎますやん。
ま、お父さんとしてはかつての教え子の名前を出したかったんでしょうかねえ。
そう、教師にとっては有名になった教え子は自慢の種で、
折に触れて名前を出したいもんなんでしょうねえ……
いや、だからこの話題はタブーですって。
んーと、それで、古い話が出たついでにもうひとつ。
霜がつかないためのファンが作動せず、焚き火する場面。
あれ、「北の国から’87初恋」を思い出しましたねえ。
霜が出たんで焚き火して回るときに、れいちゃんのお母さんが事故にあってしまうの。
そういえばあのドラマにはマー君の元相方も出てましたねえ。
……でもさあ、マー君って電気工事の仕事してたんでしょ。
じゃあ、あのファンが作動しなかったのは実は……
ああ、タイヤのパンクの件といい、
実は破壊工作活動に満ち溢れたドラマ「夫婦道」。
それだけではなく情報工作活動にまで乗り出すのか「夫婦道」、

八十八夜新茶まつり

若葉ちゃんと、ついでに八夜子と茂が入間に乗り込んで情宣活動を行うそうな。
ああ、行きたいなあ。
若葉ちゃんに会いたいなあ。
5月2日かあ。
まだゴールデンウィークの予定は何もないけど……
ま、実家へ帰るぐらいですかねえ、たぶん。
それで、来週の木曜日は恐らく実家にいることになると思うんで、
次回分の更新は遅くなると思いますんで……いや、そんな告知はさておき、
次回はなんですか、若葉ちゃん!
あれはなんですか、若葉ちゃん!
あんな、あんな、ダメですよ若葉ちゃん!
車の中であんなことしちゃダメですよ若葉ちゃん!
ああ、若葉ちゃん……!
コメント (2)
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3尺は90cm

2007-04-25 00:14:18 | Weblog
……ですが、1500kmもあるのが「サン・ジャックへの道」。
これは巡礼の映画なんですけど、なんと1500kmも歩くんですよ、
1500kmも。
四国八十八ヶ所の巡礼がどれぐらいあるのか知らんけど、
1500kmったらざっと、本州の端から端までと同じぐらいやないですかねえ。
それを歩きおるんですわ、2ヶ月ほどかけて。
1500kmも。
しかもほとんどが何もない岩山のようなところを延々とですよ。
1500kmも。
で、その巡礼のツアーみたいなのがあって、
ガイドさんを含めて総勢9名の御一行。
それぞれのキャラクターの背景とか、道中の珍事件といったものが、
面白おかしく描かれていく……と、
簡単にまとめればそんな風に言えるでしょうか。
ええ、最初は巡礼の映画って聞いて、さほど興味も抱かなかったけど、
監督がその昔「赤ちゃんに乾杯」なんかを撮ったコリーヌ・セローって聞いて、
それでちょっと見てみようかなあって、軽い気持ちで映画館に行ったんですわ。
するとこの巡礼の一行のなかにも、軽い気持ちで参加したようなのがちらほらといたりして。
なんかバックパッカーのグループがぞろぞろと山道を歩き続けてる光景、
予備知識がなければとても巡礼の一行とは見えませんわ。
四国八十八ヶ所とはえらい違いやわあ。
でも行く先々でスタンプを捺してもらってるの、
ああいうのは四国でもやってましたっけ?
とまあ、それぞれに楽しみながらの巡礼の旅ってところなんですけども、
しかしメインとして描かれてる3人の兄妹、
彼らは苦虫を噛み潰したような顔で歩き続けおるんですよねえ。
それというのも、彼らの母親が遺産を残して亡くなったんですけど、
その相続の条件が、この巡礼の旅に3人揃って参加することですって。
昔のコメディで、相続の条件がつけられて……ってパターンがよくあったけど、
久しぶりにそのヴァリエイションを見ましたねえ。
というわけで上の兄と姉は遺産のために仕方なく、
へーこらへーこら言いながら山道をテクテク。
下の弟はわりとお気楽に歩いてるけど、
彼は一度も定職に就いたことがないらしくって、
そんなこんなで兄妹の間で言い争いが絶えず、
他のメンバーからは迷惑がられたり……と、
まあそんなこんなの旅が描かれるんですけど、
ところどころにちょっと幻想的なショットが織り込まれたり、
それにやっぱり長期間、行動を共にすることで生じる連帯感って言うんでしょうか、
そういうところからくる触れ合いのようなものもあって、
やがてこちらもちょっと厳粛な気持ちになってきたりして、
旅の終わりには達成感すら共有してしまったりして……ええ、
ずーっと山道を歩いてて、それを抜けて現れた大西洋。
あの光景はやっぱりよかったですよねえ。
その海岸で、ある人物があることを告げられる場面。
それがロング・ショットで、セリフはこちらには聞こえないという、
あの絵作りもなんかたまんなかったですねえ。
そうそう、この巡礼のルートがねえ。
劇中では地図で示されたりしてなかったんでよくわからなかったんですよ。
で、後で見たらフランスからスペインに入って、
延々と歩き続けて最西端にまで及ぶ、
まあすごいルートですなあ。
それでですねえ、その目的地が字幕では「サンティアゴ」と表記されてるんですよねえ。
でもセリフでは「サン・ジャック」って言ってるのが聞き取れまして、
で、これはつまり前者がスペイン語で後者がフランス語なんやなあって、
そう気付くまでに時間がかかってしまいましたよ。
後で見てみたらどちらも「聖ヤコブ」のことだそうですけど、
でもこれはフランス映画で、邦題も「サン・ジャック」って表記してるんやから、
劇中の字幕も「サン・ジャック」に統一してくれたほうが……いやいや、
やっぱりスペインの地名なんやから、
あくまでも現地での発音に忠実に「サンティアゴ」で押し通すほうがいいんでしょうかねえ。
実は先日、WOWOWで「ロイヤル・スキャンダル」というのを見たんですけどね。
エルンスト・ルビッチが撮りはじめたけど病気か何かになって、
オットー・プレミンジャーが完成させたという、すごい顔合わせの映画なんですけど、
で、ヒロインはキャサリンという名前なんですね。
セリフでもそう発音されてて、字幕も「キャサリン」と表記される。
でもこれは帝政ロシアのお話でして、
だからヒロインはかの女帝エカテリーナなんですよ。
しかしこれは1945年のアメリカ映画、
だから「キャサリン」で押し通されてるわけで……
でも違和感ありまくりでしたわ、やっぱり。
なんぼ女帝やろが「キャサリン」では威厳も何も出てこえへん。
だからあくまでも現地での発音に忠実にしたほうがいいんでしょうけどねえ。
でも、高校のときの世界史の教科書に、人名の表記の対照表が付いてましてね。
そしたら英語のチャールズがフランス語ではシャルルでドイツ語ではカールでスペイン語ではカルロスで……って、
そういうのがずらずらーっと並んでましてね。
こういうのをいちいち覚えやなならん日本の学生は大変やなあって思ったんですけど、
でもピエールもペーターもピエトロもピョートルもみんなひっくるめてピーターって呼ぶような、
そんな英語圏の学生もごっちゃになったりしてややこしいもんかなあ、とか思ったりして。
えーっと、話を戻しまして、
だから邦題は「サンティアゴへの道」のほうが相応しいのかなあとも思うけど、
でもこのコリーヌ・セローらしい柔らかい作りは、
なんとなく「サン・ジャック」のほうがいいような気がするんですよねえ。
あくまでもなんとなく、ですけど。
それに、この巡礼の一行のなかのアラブ系の者は「サンティアゴ」って呼んでいたように思うんですよ。
いや、最初のうちはそんなところに意識してなかったんでわからないけど、
途中からははっきりとそう発音してましたわ。
そう、本作にはフランスの抱える移民、他の民族への差別や偏見の問題も盛り込まれてて、
いろいろと考えさせられたりするんですけど、
でも見終わった後はやっぱり、なんか清々しい気分になって、
そんな細かいことにこだわるなよなあ、なんて思えたりして、
人種がどーの、表記がこーのって、そんなことにサル固持せんでもええやん、
人生もっと気楽に、精神的な豊かさを求めたほうがオモロわいやる……と、
うーん、僕もいっぺん巡礼でもしたほうがいいかなあ?
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ウェン・ヒー・イズ・シックスティ・・・ほぉ~

2007-04-20 01:37:23 | ロング・アンド・ワインディング・夫婦道
さて第2回ですけど、
今週もまた本編の始まる前に流れましたねえ、
民主党のCM。
今週はそこだけではなく番組自体の始まる前、
タイトルの出る前にもスポットCMで流れてましたよ。
これはうちの地方だけなんでしょうか、それはわからんけど、
これってやっぱりあれですねえ、
統一地方選のための集中投下なんでしょうねえ。
そう、あの事件があるまで忘れてたけど、
いまも統一地方選の真っ最中なんですよねえ。
まあねえ、こんなところで与党のCMを見るよりはまだマシかもしれませんけどねえ。
でもやっぱり、ドラマに特定の政党がスポンサーで付くってのは、
なんかイヤですねえ、与党であれ野党であれ。
って言うか、劇中で主人公の乗ってるトラックはSUZUKIのものでしょ、
スポンサーの。
ってことは、橋爪功は民主党の市会議員ってことになるんですか?
しかも土木会社を経営してるから、談合でもやってたりして。
でもって工事現場で車の事故を起こされて、その逆恨みで……
いやいや、そういう不謹慎な話題はおいといて、と。

で、今日の第2回。
先週の、八夜子がマーくんを連れてきてお父さんに紹介した、
そのときのやり取りが時おり回想でインサートされてますけど、
これはわりと効果的でしたねえ。
あの場面を一気にずーっと見せるよりも、
こうやって小出しにして見せて、
そのなかでお父さんの悶々とした気持ちもより引き出されていくという。
それに回想と言っても視聴者にとってはほとんどが初めて見せられる場面やし……
いや、と言うのがですねえ。
実はお昼にやってる「砂時計」というドラマ。
これに黒木里夏こと垣内彩未さんが出てるというんで、
ちょっと試しに見てみたら結構はまってしまいまして、
ほぼ毎日、録画して見ておるんですわこれが。
我ながらアホやなあとは思いつつ。
でね、まあ面白いドラマなんですけど、
これが回想シーンが多すぎるんですわ。
「ずっと一緒におっちゃるけん」の場面なんか、もう300回ぐらい見たでしょうか。
しかも過ぎた回の回想だけでなく、
その日の場面まで回想で繰り返し繰り返し描かれたりするから、もうねえ。
これは全60回、約3ヶ月にわたって放送されるらしいけど、
回想を省いたら3週間ぐらいで済んでしまうんやないでしょうかねえ。
あ、それで本作の回想ですけど、
そのなかで八夜子のマーくんへの想いが本物であることを突きつけられるお父さん。
「マーくんのオムツ換えてあげる」とまで言われちゃあねえ。
そのオムツはやっぱり、スポンサーである花王の、
えなりかずきがCMに出てた「リリーフ」なんでしょうかねえ。
マーくんは先発よりもリリーフってことですか、
なるほどなるほど。
いや、そんな冗談言ってる場合じゃなくて……あ、
そうそう、冗談言ってる場合じゃないと言えば。
八夜子が妊娠してるのでは……とお父さんが妄想する場面。
そこで「八夜子がやや子を……冗談言ってる場合じゃない」なんて言ってたけど、
そんな冗談はいまさら思いつかんでしょうが。
だって、八夜子に八夜子という名前がつけられたのは、
八夜子がまだやや子のときでしょうが。
ってことは、やや子に八夜子なんて名前つけたわけで、
そうするとやや子と八夜子の冗談は、
八夜子がやや子のときに散々言われ尽くしたはずですよ。
だから八夜子が大人になった今頃になって、
八夜子とやや子の冗談なんか言わないでしょうが……
ああ、ややこしい。

でもって、お父さんだけでなく誰もが疑問に思うだろう、
なんで八夜子はマーくんと結婚したいのか。
その理由を八夜子は若葉にだけ打ち明けており、
それを若葉はお父さんに、そして視聴者にも明かす……
言わないでって八夜子から言われてたのにもかかわらず。
若葉ちゃん、自分の胸のなかだけにしまっておけなかったんかいな。
でもそのおかげでお父さんの気持ちもやわらぎ、
マーくんはうどん作りを指導するという名目でやってくることに。
事情を知らないお母さんは捏ねたり切ったり無邪気にはしゃぎ、
これでマーくんが受け入れられることになればメデタシメデタシ、
まさに恐るべき讃岐うどん……と、
まあそううまくは行かないわけでして。
しかしこの展開も少々強引ですかねえ。
だって、お母さんが「男は顔だ、経済力だ」って言ったからって、
そんなもんはその場の勢いというか、単に理想は高く言うてるだけのことって、
普通ならそう受け取るでしょうが。
それを真に受けてあそこまで気を回したりしてからに……って、
まあそれがドラマってもんなんでしょうけどねえ。
でもね、先週の、マーくんを相手の父親と勘違いするところ。
これって三谷幸喜のお芝居で同じ設定のがあったし、
こういう勘違いとか、言いたいけど言い出せないとか、何かを隠し通そうとするとか、
これって三谷作品の定番の要素なんですよねえ。
えーっと、秋ちゃんの出てる「冗談じゃない!」もそれに当てはまるし、
ひょっとして最近、三谷のパターンが蔓延してるんでしょうか?
実はこの三谷パターン、最近ちょっと鼻についてくる面もあるんですよねえ。
いや、彼の作品それ自体は、それぞれに面白いと思いますよ。
でもパターンがあまりにもパターン化されすぎてるようで、
なんかまるで、公式があってそこにキャラクターやらなんやらを当てはめてるような、
劇を創作してるというよりは、製品を生産してるような、
そんな印象を受けてしまうんですよねえ。
それでもまあ三谷の場合は、公式があったとしても、
彼の好きなビリー・ワイルダーやニール・サイモンや、
そんな作家たちの作品を分析して、
そうやって自分で公式を編み出したんでしょうけど、
そんな公式が安直に流用されだしたとしたら、
もしもそうだとしたら、これは由々しき事態やと思うんですけど……
まあそこまで心配することはないですかねえ。
いや、それよりも心配なのは、
若葉ちゃんのメール……
「あたしたちの結婚どころじゃないかも
結婚……? あたしたち……?
いよいよ来週は若葉がメインの回か!?
予告によると「久しぶり」「昨日帰ってきたんだ」なんて会話が……
先週の、橋爪功の息子が北海道の大学に行ってて、
若葉とは小さいころよく遊んでたという、
なるほど、あれが伏線やったんですね。
しかし遠距離恋愛してたんかあ……ああ、若葉ちゃん。
自転車通勤では、八夜子のように電車で見初められたりなんて出会いはないやろなあって、
そう思ってたけど……
まあ、今までもずーっと自転車通学やったけど、
お相手はバイト先で見つけてたしなあ。
ひどいときはお相手のいる厩舎でバイトすることにしたりして。
しかし今度の相手は市会議員の息子ってかいな。
じゃあ橋爪功が銃殺されたら、息子が補充立候補して、
若葉ちゃん、市会議員の妻になるんかいな……って、
いや、不謹慎でどーも。
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道頓堀にもあったんだ

2007-04-18 00:53:50 | Weblog
……映画館が。
松竹系の松竹座、浪花座、そして角座。
それと東映系の、僕が物心ついて以来では、
最盛期には合わせて7スクリーンが道頓堀にあったんです。
やがて松竹座は演劇の劇場に、
浪花座は取り壊されてテナントビルになり、
そして残った角座と東映系の映画館。
その2館4スクリーンも、この19日に少し離れたところに、
松竹・東映の共同運営の新しいシネコンがオープンするため、
明日……日付変わって今日18日で閉館となり、
とうとう道頓堀から映画館から消えることとなったんです。
その角座の最期の上映作品の1本を見てきました。
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。

最初のほうで、上京して入院したオカンのぬか床を、
ボクの友人の若い女性が預かってる、という描写があって……
この時点でもう、ああ、と思いましたねえ。
実は僕も預かってたんですよ、ぬか床を。
僕の母親が入院してたとき、ぬか床を下宿まで持ってきて、
せっせせっせとかき回してました。
そう、僕の母親も、本作のオカンと同じ病気で入院しておりました。
いや、幸いにして母親は完治して、現在も元気に過ごしておりますが、
それでもあの抗がん剤の治療の場面はねえ、
見てて辛かったですねえ。
まああのオカンみたいにベッドでのた打ち回るような、
そんなことは僕の母親にはなかったと思いますけど……いや、
それも考えてみればわからんですねえ。
吐くときは自分でトイレまで行ってたように思うけど、
僕は付きっきりで傍にいられたわけやないですからねえ。
知らないところではあんなに苦しんでたんでしょうか。
その辺のところ、改めて確かめてみたいような気もするけど……
いや、それはどうでしょうかねえ。

この角座にはその昔、母親と一緒に来たことがあります。
まだ高校生のころでしたか、
「風と共に去りぬ」のリバイバル。
母親はわりと映画が好きで、昔は年に数回は一緒に行ったもんでした。
その前、僕がまだ子供のころは当然、母親に連れて行ってもらってたし。
そう、かつては連れて行ってもらうばかりだった映画館に、
やがては僕がチケット代を出して誘うようになりました。
でももう10年は行ってませんかねえ。
だから久しぶりに誘ってみようかな、と。
それには本作なんか打って付けそうやなあ、と。
でも……一緒に行かなくてよかったわ。
これは一緒に見るにはちょっと辛すぎるわ。
って言うか、あの闘病シーンは母親にはかなり辛いんやないでしょうかねえ。

いや、辛いと言えば他にも。
大学を卒業できないと、ボクがオカンに電話で打ち明ける場面。
実は僕も留年したことがありまして……
そのときはエライ怒られましたねえ、やはり。
しかし怒られるよりも、本作のオカンのように言われるほうがよっぽど辛かったでしょうねえ。
「どうして頑張れんかったとやろかねえ……」
しみじみとそう首を傾げられると、
その言葉が客席の僕にも投げかけられてるようで……
やはり留年したかつての僕と、そして大した人間に成長してない現在の僕と。
だからやっぱり母親と一緒に見なくてよかったわ。

しかし……そんなこと、
母親にとってはなんでもないことなんでしょうかねえ。
そんなもんわかりきったことや、みたいな。
すべてお見通しやで、って。
そう、ボクが隠し通してたラジオの番組を、
オカンはちゃんと知ってて楽しみに聴いていたように。
息子より母親のほうが一枚上手なもんでしょうかねえ、いつまでたっても。
でもあの場面、
オカンがラジオを聴いてたことを、
オカンの死後、あの張り紙を見てボクが気付く……とか、
その手の泣かせるための演出はなされてないんですよねえ。
ただただ静かに、淡々と、
人生の最期を迎えるオカンと、それを見守るボクの姿を描く。
適切な場面のみを的確に描き続けていく。
そしてオカンの死。
普通ならクライマックスとして盛り上げられるだろうそれもさらっと通過し、
その後のエピソードもまた積み重ねられていく……
現在の感覚で言うとエピローグとしてはやや長ったらしい気もしないでもないけど、
でもオカンの死後も、ボクの人生は続いていく。
ボクがオカンを想う日々もまた続いていく。
ボクが、ミズエさんが、平栗君が、
そしてあの鼻眼鏡の芸を受け継いだ女性が想い続ける限り、
オカンは生き続ける。
……そしてオトンも。

と、なんか自分語りが多くなってしまったけど、
これはそういうところを突っつく映画なんですよね。
突っつくための最低限の演出を施すだけで、もう。
それでいいんですね。
ヘンにゴテゴテと飾り立てられた泣かせるための物語というよりも、
原作者の実体験を彼から直接、話して聞かされてるような。
だからこちらからも言いたくなるんですわ、
「実は僕も……」って。
そういうのを誘発してくれるこういう作品もいいですよねえ。
だから本作は母親とは見なかったけど、
その代わり、これからは少しは優しくしてやろうと思いましたわ。
実は母親の入院中も、いろいろちょっとしたことで揉めたりしてしまったもんで……
ダメですねえ、ホンマに。
今度入院するときは、本作のボクのように心から看病してやりますわ。
そして前回は2ヶ月でベチャベチャになってダメにしてしまったぬか床も、
次の機会にはちゃんと維持しますわ、ええ。
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デンマークの森・・・には行けず

2007-04-13 01:38:56 | ロング・アンド・ワインディング・夫婦道
さあ始まりましたよ「夫婦道」。
ふつうのドラマ「夫婦道」。
昔ながらのホームドラマ「夫婦道」。
道徳的なドラマ「夫婦道」。
愛国心に満ちたドラマ「夫婦道」。
憲法改悪のための国民投票法案成立に一役買うドラマ「夫婦道」……って、
それは関係ないか。
いや、それに歯止めをかけるために、
ドラマの本編が始まる直前に民主党のCMが流れたんでしょうかねえ?
いやしかし、あのCMって、この番組のスポンサーになってるってことなんでしょうか?
それともCMの枠が余ってて、スポットCMがここに入ってるんでしょうか?
その辺のことはようわからんけど、
しかし考えてみたら民主党のなかにも憲法9条改悪に賛成してるヤツはおるんやなあ……
あ、まあそういう話題はおいといて、と。

えーっと、それでドラマの中身ですけどね。
う~ん、どうなんでしょうかねえ。
とりあえず、気になった点が2つ。
まずはナレーションが末っ子の茂君の語りになってること。
これがねえ、初回を見た限りでは大して効果がないんですよねえ。
彼が語り手である必然性がまったく見られないというか。
両親に対して皮肉っぽくツッコミを入れるようなナレーションもあったけど、
それにはまだ幼すぎるようで、
一方、最後のほうでは「理由はわからないけどお小遣いをくれました」とか、
事情をよくわからないで無邪気なことを言ったりもしてたけど、
それにはちょっと成長しすぎてるような。
いまのところポジションも不鮮明で、意義がよくわからん。
そもそも食卓シーンとか見てても、彼の存在感が薄すぎるんですよねえ。
そりゃ、あれだけ歳が離れた男の子なら、
親と姉たちとの会話にもあまり入れないもんやろけど、
だからちょっと離れた立場から家族のことを冷静に観察できる……とか、
そういう演出でもなされてればねえ。
あれではなんか、出演者たちのなかに溶け込めずに、
ちょっと浮いてしまってるみたいやないですか。
「ファイト」最終回の中1檀君のように。
今日の回を見た限りでは、ナレーションの役割に適してるのは若葉やと思いますけどねえ。
見合いが終わってちょっと浮かれて帰ってきた両親と夏萌に、
「なんかヤな予感するな……」と言える、
ああいうキャラクターが語りを務めてほしいですねえ。
いや、これは別に個人的な事情で言ってるんじゃないですけど。
ええ、個人的な事情はまったくないですよ。
ないですけどね。
ないですけど、でも、
茶筒が出てきたら、まだ給料入れてるんかなあって思ってしまったり、
農協に勤めてるって言われて、あんたは信用組合とちゃうんかいなって突っ込んでしまったり、
「ミスお茶娘」に、「おちゃっこ」って今ごろ徳島の視聴者は慌ててるかなあとか、
八夜子の「上がつっかえてたらこっちがいきにくい」というセリフに、
そうそう、慣れないうちはずり上がってしまって頭がベッドの上につっかえてイキにくいもんや……
えーっと、いや、そうじゃなくって、
まあこっちとしてはどーしても、若葉中心に見てしまうわけでして。
いや、それでですねえ、
その若葉ちゃんが推薦してたんで、ディック・フランシスの競馬シリーズを読み始めたんですけどね。
それで今日、シリーズ2作目の「度胸」を読み終わったところなんですよ。
いや、これがなかなか恐ろしいお話でしてねえ。
人間って、そんな執念を持つことができるもんなんか……と、
ちょっと怖くなってしまうようなお話やったんですけどね。
その「度胸」がですねえ、
八夜子がミスお茶娘の最終選考の日にタイヤが4つともパンクさせられてたという、
この部分とダブって感じられてですねえ……
しずちゃん、コワ~ッ。

あ、それで、
このドラマでもうひとつ気になった点が、そのしずちゃん。
僕は南海キャンディーズのネタもわりと好きですし、
フリートークで見せるしずちゃんの素の部分もまあ好感は持てますけどね。
しかし演技はダメです。
ゲスト出演的な脇役ならともかく、
あんな演技で主人公の長女役、
第1話のメインともいうべき役を演じるのはあまりにも酷すぎます。
いくら地のキャラクターを活かせたとしても、
これではちょっと先が思いやられますねえ。
いや、彼女に対してキツイことを書くのは心苦しいんですけどね、
でも初回は大事ですもんねえ。
ここはやっぱり若葉をメインに持ってきたほうが……いや、
これも個人的事情で言ってるんじゃないですけどね。

んー、しかしまあ、ケチばかりつけるのもアレなんで、
今日の回でいちばんよかったのはあの場面。
母親がフラダンスに出かけて、
テレビのリモコンやら爪切りの会話があって、
八夜子が帰宅して、橋爪功がやってきて……の、
あの場面の会話の応酬。
あれはよかったですねえ。
ぽんぽん飛び交うセリフのテンポ、間の絶妙な呼吸。
これはアドリブもいくらか含まれてるんでしょうか、
若葉ちゃんが素で笑ってるように感じられる部分もあったりして、
この辺はやっぱり主演男優の巧さでしょかねえ。
いや、実は僕は彼のことはあまり好きでない、
と言うか、はっきり言って嫌いなんですけどね。
どーもあのアクの強さは生理的に受け付けられないんですけど、
まあ役者としてはさすが、見せてくれますねえ。
あ、でもねえ、アドリブと言えば、
見合い30連敗と橋爪功に言われて、
連敗連敗って地方競馬の馬みたいに……ってセリフがありましたけど、
あれは余計じゃないですかねえ。
その後で相撲に例える一連のネタ振りがくるわけですからね、
その前にほかの例えを入れるのは、その効果を削ぐことになると思うんですけど。
あ、でもその後で「春うららのように……」とも言ってたから、
あれはアドリブじゃあないのかなあ。
まあそれはともかく、今後もこの調子で楽しませてくれるようであれば、
こちらとしてもちょっと、主演男優への偏見は改めなければいけませんねえ。
でもやっぱり、彼が手もみしたお茶は飲みたくないですけど。

まあそんなわけで長々と書いてきましたけど、
えー、初回を見た限りではまあ、まだ様子見ってところでしょうかねえ。
いきなりグイとつかまれるような、そういう魅力はなかったですかねえ。
まあふつうのホームドラマですからねえ。
でもホームドラマということで、
「僕の歩く道」に比べれば、若葉ちゃんの出番も多くなることと思うけど、
その辺は期待していいんでしょうかねえ。
いずれ若葉ちゃんがメインの回とかあるんでしょうかねえ。
ああ、早くその回が見たいなあ……って、
おっ、主題歌でもちゃんと言ってくれてますやん。
♪急ぐことはない 若葉のときが いまにやってくる……
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山本モナム~ル

2007-04-11 00:28:05 | Weblog
というわけで「パリ、ジュテーム」。
パリを舞台にしたオムニバス映画です。
まず最初の2編は男女の出会いを題材にした、
「ちょっといい話」的な軽いエピソードで、
その次のガス・ヴァン・サントのは、これは男男の出会いで、
カート・コバーンの名前なんかも出てきたりして、
何かとニヤリとさせてくれますなあ。
で、お次はコーエン兄弟。
地下鉄の駅のホームでベンチに腰掛ける観光客はスティーヴ・ブシェミ。
そんな彼を、あれはなんて言うんでしょうか、
小さい玉が飛び出る吹き矢みたいなやつで攻撃する悪ガキ……で、
これを見て思い出しましたよ、まったく。
いえね、先日の休みの日、昼間に近所の商店街を歩いてたんですよ。
そしたら僕の背後からチリンチリンって、自転車のベルの音がしたんですけどね。
でも人通りが多くて、避けるスペースもないのでそのまま無視して歩いてたんですよ。
そしたらさらにうるさくチリンチリンチリンチリンと鳴らし続けおってですね、
うるさいなあと思いつつ、ずーっと無視しててですね、
それでやっとスペースが開いて、その自転車が僕を追い越していったんですけどね、
それがなんと、5歳ぐらいのガキが乗った補助輪付きの自転車。
そしてそのガキが追い越しざま、グイッと顔を上げて、
ジローッとこっちを睨みつけおるんですよ、
僕の腰ぐらいの高さから。
その後もキコキコキコとこぎながら、何度も後ろを振り返ってジローッて……
なんかねえ、ムッチャ腹立ちますわ。
何であんな幼児にメンチ切られやなならんねんな。
あー思い出すだにムカムカしてくるけど、
しかしブシェミは幼児だけでなく、パリのオシャレなカップルにも目をつけられ、
からかわれ、いたぶられ……
あ~あ、エライ災難や。
まあ、モナリザのポストカードを大量に買い込むようなおのぼりさんの観光客には、
パリという街は優しくないんでしょうか?
って言うか、そんな観光客役がブシェミにはミスマッチすぎて逆にはまってしまって、
いやなんとも面白い1本でした。
さて、その後も数々のエピソードが綴られていくんですが……
えーっと、これがもう多すぎて、どれがどれやらごっちゃになってしまってねえ。
だって全部で18本ものエピソードからなるオムニバスなんですもん。
普通オムニバスっつったら4本か5本か、その程度でしょうが。
でも18本ともなれば、これはもう全部が全部覚えられませんわ。
んなわけで、日本の諏訪敦彦が監督した、
ジュリエット・ビノシュとウィレム・デフォー出演のちょっと幻想的なやつとか、
パントマイムの夫婦のやつとか、ナタリー・ポートマンの出てたやつとか、
イライジャ・ウッドが出てた、
彼が得体の知れない相手に襲われるのは「パラサイト」以来じゃ・ウッドなやつとか、
まあ印象的なのはいろいろありますけどね、
全部を覚えられてない以上、本作全体としての印象はちょっと弱いものにならざるを得ないというか、
まあ必ずしも全部覚えてなくてもいいのかも知れんけど、
でもねえ、さまざまな人種が集うパリの街、
そのマイノリティの問題をチクッと突いた意欲的なエピソードもいくつかあるけど、
そういうのはどうしても地味なものになってしまって、
それよりもオシャレで小粋なののほうが印象が強くなってしまうってのはねえ。
まあ仕方ないんですかねえ。
と、そんなこのオムニバスの最後を飾るのがアレクサンダー・ペイン作品。
孤独な中年女性がひとりでパリ観光に訪れる、
その光景に彼女の語りがずーっと被さって……
なんとも心に染み入る、この淡々とした作り。
さすが「アバウト・シュミット」の監督さんですなあ。
しかし彼ってまだ若いはずやのに、
こんなもんばっかり撮ってて大丈夫なんやろかって心配になってしまったりもするけど、
オシャレな恋人たちの街、なーんてイメージの付きまとうパリを舞台にしたオムニバスの最後を、
こういうので締めくくるってセンスはいいですよねえ。
こういうのを見ると、やっぱりパリって観光客に優しい街なんやなあって思えて、
それで僕が出かけて行ったりするとスティーブ・ブシェミみたいな目にあったりするのかも知れんけど、
まあとにかくなかなか楽しめた映画でした……しかし、
見終わったあと、ものすご~く疲れに襲われてしまいましたわ。
これは単に2時間じーっと座ってた疲れではなくてですねえ、
以前なんばグランド花月に行って、
漫才やら漫談やらを10本以上と、そして新喜劇を見た、
あわせて3時間ぐらいのあのときの疲れと似た感じですわ。
やっぱり短いものを大量に見るってのは脳にとって負担がかかるもんなんですかねえ。
まあこれは僕の場合だけかもしれませんけども。
……で、花月で思い出したけど、
結局どないやねんな、中田カウス?
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番茶を煎じる、略して番煎

2007-04-09 01:50:03 | Weblog
さあ、いよいよ全国民が待ちに待った「夫婦道」の放送開始を目前に控え、
番宣番組がいろいろ見られますけど、
ユイカさんも張り切ってご出演あそばしてらっしゃっておられますねえ。
まずは3月31日「オールスター感謝祭」とかいう、
5時間半もクイズとかマラソンとかやる番組。
この夜はちょっと野暮用で外出しておりまして、
録画しておいたのをチビチビと、5日ほどかけて拝見いたしました。
まあ感想はいろいろとあるけど、
そんなもん5時間分もいちいち書いてられないのでひとつだけ。
クイズの新しいピリオドが始まるときに全員起立する、
そのときのユイカさんの立ち方がねえ。
「すっくと立つ」という慣用句がありますけど、
あれはユイカさんのために作られた言葉ですなあ。
周りの皆がだらだらと立ち上がるなか、
ユイカさんだけはシャキッと元気よく、
文字通りにすっくと立ち上がってはりましたよねえ。
映ってる限りどの場面も、最後のほうまでずーっとそうでしたもんねえ。
もうねえ、恥を忍んで書きますけどねえ、
そんなユイカさんが大好きです。
……えーっと、それでですねえ、
その番組の、ユイカさんが映ってる場面だけ編集して残しておこうと思ってですねえ、
HDDに録画したものに、いちいちチャプターを打っていってですねえ、
そして不必要なところを削除して、残ったものをDVDに移動しよう……と、
そういう作業をチマチマとやっておったんですわ。
そしたらねえ、なんかうまく行かんのですわ。
まあ説明が長くなるので詳しいことは省きますけど、
取説を出してきて見ると、
シーンの消去は1タイトルあたり50回までしかできない、なーんて書いてあるやないですか。
で、それが原因かどうかはわからんのですけど、
なんかチャプターのサムネイル画像が入れ替わって表示されたりしたんでしょうか、
逆に、残すはずのシーンを消してしまったりしてですねえ、
そんなわけで休憩時、雨上がり決死隊の背後でなんか食ってるお姿と、
そのあとのイリュージョンで怖がってる場面とが、消えてしまったんですわ。
ああ、もう二度と見られないあの姿。
ああ、なんて残念なことでしょう。
ああ、なんと憂鬱な……って、
いや、僕もええ大人なんですからね、
そんなもん保存できなかったからって、いちいち悔やんだりしませんよ。
いや、その前にええ大人がそんな編集作業なんかするなよ……って声が聞こえてきますけど、
まあそれはおいとくとしてですねえ、
しかし何がいちばん憂鬱かって、このデジタル機器というやつですわ。
そりゃデジタル化でいろいろ便利になった部分も多いけど、
アナログ機器では考えられないような不具合がいろいろと起こりおるんですよねえ、これが。
そもそもいろいろ制約があったりもするし……
今後、全面的にデジタル化されてしまって、
ずーっとこんなもんと付き合い続けていかなければならんのかと思うと……
なんかイヤですねえ、やっぱり。
別に僕はアナログにこだわったりするつもりはないですけど、
でもいまのデジタル機器はどーもなんか、信用が置けないんですよねえ。
ホンマに大丈夫なんでしょうかねえ、デジタル。
もっとしっかりしてくれよ、デジタル。
頼むから不便を強いないでくださいな、デジタル。

さて、いくら悔やんでも失われた記録は戻ってきません。
もう済んでしまったことにはこだわらないで、気持ちを切り替えて、と。
で、4月7日には「王様のブランチ」にご出演。
これは関東ローカルの番組なんでしょうか、
この時間、MBSでは「せやねん」というトミーズ司会の番組を放送してて、
「王様のブランチ」は見られないんですが……
ええ、地上波では見られないんですが……
ところが!
BSデジタル放送で見られるんですよ、これが!
デジタルばんざーい!
やっぱ時代はデジタルやねー!
もうデジタル最高ーっ!
というわけで、これも拝見することができました。
朝の9時半から昼の2時までという、これもアホみたいな長時間番組。
どうせユイカさんの出演シーンは少ないやろなあと思いつつも、
一応、録画しながらずーっとモニターしておりました。
でも司会者が、これもアホみたいに5人も揃えてて、
うち3人の女性陣、これが見事に、
揃いも揃って僕の嫌いなタイプなんですよねえ。
ブス、バカ、ブリッ子。
そんなわけで音は消して、画面をチラチラ見ながらFMを聴いておりました。
NHKの「世界の快適音楽セレクション」。
土曜日夜の番組が改編で朝の放送になるという、民放では考えられない移動ですなあ。
しかし土曜朝のFMといえば春ちゃんの「アーバンウィークエンド」やったんですけどねえ、
これが3月いっぱいで終わってしまったんですよねえ。
ああ、残念。
まあスポンサーが郵便局の簡易保険なんで、今秋の民営化の際に終わりかなあって、
そう覚悟はしてたけど半年も早まるとは。
ああ、春ちゃん。
単発ドラマの脇役では時々見かけるけど、
このFMの番組が終わってしまったら、それらの出演情報もなかなか仕入れられないやないですか。
ああ、まひるさん。
話は逸れるけど、今日、NHKのBS「宮川泰メモリアル・コンサート」を放送してて、
そのラスト前の曲が「若いってすばらしい」でした。
そう、「てるてる家族」最終回の、あのグランドフィナーレで歌われた曲。
♪だからあの青い空を見るの 若いってすばらしい~
未来もきっと、天気になあ~れ!
冬ちゃん、今日は目ぇあけてたなぁ。
うん、おおきに!
……ああ、あれからもう3年ですか。
ああ、思い起こすだけで笑えて泣けて心温まる「てるてる家族」。
ああ、永遠の宮川メロディ……って、
えーっと、何の話でしたっけ?
そうそう、「王様のブランチ」に話を戻して、っと。
あ、それでその番組のなかの映画紹介で、
今秋公開予定の「包帯クラブ」の場面が流れてたけど、
これ、冬ちゃんが出演してるってのは知ってたけど、
なんと関西弁喋ってるやないですか。
ああ、やっぱり冬ちゃんは冬ちゃんや……って、
えー、だから肝心のユイカさんはですねえ、
番組のいっっっっっちばん最後にちょろっとご出演なさって、
ひと言コメントしただけでお終いでございました。
ああ、朝からずーっと待っててこれだけかいなの昼下がり。
でもいつ見てもニコニコと笑顔を絶やさないユイカさん。
そんなユイカさんが大好きです。

さて、その前にもうひとつ、
4月4日の「ハプニング大賞」でも、「夫婦道」のNGシーンが放送されてましたねえ。
しかしこの「ハプニング大賞」というタイトルの語感、
何度聞いてもなんか座りが悪いですねえ。
「NG大賞」に対抗しました、ってのが出すぎてるし。
そのフジの「NG大賞」は気がつけばいつの間にかタイトルが変わってるんですかねえ。
何やようわからんけど、しかしいちばんのNGはそのフジの系列の我が関西テレビですなあ。
カンテ~レ、のスポットも最近見かけませんけど。
でもねえ、関テレはまだマシなほうやないですかねえ。
「あれは下請け・孫請けの制作会社がやったことで、
 だから当社には狭義の責任はないけど、広義の責任はあります」
なーんて姑息な言い訳をしない分、どこぞの首相よりははるかにマシやと思いますけども。
えーっと、また話が逸れましたけど……って、
いや、意図的に逸らしてるんで、いちいち断らんでもええんやろけど、
それで「夫婦道」のNGシーン。
食卓の場面でのもので……ユイカさん、また食うてはる。
でも召しあがるお姿が実に健康的で、
そんなユイカさんが大好きです。

で、このあと関西では、
放送開始の当日の朝、「夫婦道&孤独の賭けナビ」ってのが放送されるみたいです。
TBSの公式サイトを見ると、このナビ番組は関東では2本放送されるそうですけど、
関西ではこの1本だけなんですかねえ。
まあ仕方ないですねえ、我慢しましょう。
ええ大人なんやからこれぐらい辛抱しないと。
で、この「夫婦道」というドラマは茶園業を営む一家のお話なんですねえ。
そんなわけで公式サイトも緑色が基調になってて、
うちのブログとの相性もばっちり。
そうか、ユイカさん、それでこのドラマへの出演を決めはったんですねえ。
そんなユイカさんが大好きです……って、
いや、これはオチをつけるためにわざと妄想に走ったんですよ。
本気でそんなこと考えてませんよ。
本気では……ええ大人なんやから……って、
しかしいくら言い訳しても一段とイタイ記事になってしまって……ああ。
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今宵、モーム劇場で

2007-04-03 00:40:42 | Weblog
というわけで「華麗なる恋の舞台で」。
なんたって原作はサマセット・モームですからねえ。
モームといえば「雨」ってのが有名ですよねえ。
あれは映画で見ましたよ。
あと「剃刀の刃」ってのもあって、これは2回見ました。
タイロン・パワー主演のと、ビル・マーレイ主演のと。
それから「アシェンデン」っていうスパイ小説も書いてて、
これはヒッチコックが映画化してるので見てますよ。
しかしいちばん有名なのは「月と六ペンス」ですよねえ。
でもこれは見た覚えがなくって、
いまデータベースで検索してみても出てこないんですよねえ。
まだ映画化されてないんでしょうか……って、
はい、小説は1冊も読んでません。
だってぇ~、こういう文豪の作品って、なんか難しそうなんやもん~。
しかし文豪ったって、世間一般での知名度はさほど高くないんでしょうかねえ。
この前、ある飲食店の前を通ったところ、
定食のセットメニューで「おつかれさまセット」ってのが掲示してあって、
それを見て思わず「おつかれさまセット・モーム」なんて口をついて出てしまったけど、
連れの者には何のことやらわからんかったみたいやし。
まあそんなわけで、ちょっととっつきにくそうなモームの原作を映画化したのが、
これがハンガリーのイシュトヴァン・サボー監督。
彼もまた「メフィスト」ってのでアカデミー賞の外国語映画賞を受賞してるけど、
なんか小難しそうな映画ばっかり撮ってるなあって印象があって、
それほど興味の持てる人でもなかったんですよねえ。
そんな手強そうな原作・監督の映画を見に行こうと思ったのは、
これはとにかく華やかそうな印象があったから。
ポスターには劇場の舞台らしき場所で抱き合うアネット・ベニングとジェレミー・アイアンズ。
なんとなく面白そうですやん。
てなわけで見てまいりましたけど、いやあ、すごい映画でしたわ。
アネット・ベニング演じるヒロイン・ジュリアは舞台女優。
その夫ジェレミー・アイアンズは彼女を支える劇場支配人。
あるときジュリアは若い男と恋に落ちまして、
それがずいぶんと歳の離れた、まるで息子のような歳の男でして、
でもってその男はジュリアの息子と親しくなりまして、
するとジュリアは嫉妬しおるんですわ。
あなたは私がいなくても楽しそうなのね……とか言うて。
すごいですねえ、なんか。
ところがある日、この息子がジュリアお母ちゃんに言いおるんですわ、
僕もそろそろ経験したほうがいいのかなあ……とか。
えーっと、これは1938年のイギリスが舞台のお話ですけど、
そのころの英国のええとこのぼんぼんは、そんなことお母ちゃんに相談するもんなんでしょうか?
いや、あのお母ちゃんやったら僕も相談したかもなあ。
演じるアネット・ベニング、これの撮影時は40代前半ぐらいやと思うけど、
そりゃアップになれば小皺も目に付くし、化粧を落としたお顔はそれなりのお歳を感じさせるもんやけど、
でも全体で醸し出す雰囲気のお上品さって言うんでしょうか、
気品があって、それでいて明るい。
あんなお母ちゃんやったら……いやいや、
かえってドキドキして何も言えなかったりして。
ああいうタイプはお母ちゃんよりもお姉ちゃんでいてもらったほうがいいですかねえ。
姉っと・ベニングっちゅーぐらいで。
で、その息子から告げられるんですわ、
彼と一緒に女の子をナンパしに行ったって。
ガーン、またまた嫉妬するジュリア……
やがて彼とは仲直りするけど、
あるとき彼が、自分が気に入った若い女優の卵を、
ジュリアの新作で起用してくれないかって頼みおるんですね。
またまたガーンのジュリア。
しかし心の広いところを見せようと、その卵をオーディションに呼び、
ジェレミー・アイアンズの夫も気に入って、見事合格。
ところがところが、ある日知らされたのは、
その卵と夫が不倫してると……
ガーン、ガーン、ガーン……とまあ、
どろどろなお話が展開していくわけですけど、
ところが面白いのは、今は亡き演劇の師ってのがちょこちょこ現れて、
ジュリアの演技指導をしおるんですね。
おいおいと悲嘆に泣きくれるジュリアに、
なんだその演技は、なっとらん……とか。
これがいいんですよねえ。
実際に泣いてるのに、それを演技として評する、
しかしこれは映画なんやから、そもそもが全部演技なわけで……と、
これはなかなか捻ったツッコミになってるというか、
虚と実の皮膜を漂わされるかのようなこの不思議な感覚。
いや面白いですねえ、ホンマに。
しかしこの趣向は視覚的に見て面白いものになってるけど、
原作ではどんな風に表現されてるんでしょうかねえ。
「劇場」という題で出てるそうですけど、ちょっと興味ありますねえ。
興味はあるけど……でもやっぱり読まないかなあ。
ま、そんなこんなで新作の幕が開きまして、
さあ、ここで繰り広げられるのがジュリアの復讐!
いやあ、すごいですねえ!
怖いですねえ!
恐ろしいですねえ!
もう見てて背筋がぞーっとなるわ、しかしこの上なく面白いわ、
なんかひきつりながらも笑いが止まらないというか、
いやもうとにかくすごいもん見てしもたわ。
もう舞台上で打ちひしがれて、悔しさに泣き崩れる女優の卵。
そんな彼女に追い討ちをかけるのが終演後、
皆が皆、ジェレミー・アイアンズも含めた皆がジュリアの演技を大絶賛すること!
こりゃまさに踏んだり蹴ったり!
あんな陰険な仕打ちをしたジュリアが名声を独り占めして、
これでいいんでしょうか……ええ、いいんです。
芸の世界というのはそういうものなんです。
ジュリアと卵の間に何があるかなんて観客にはわからないこと、
ただ観客は目の前の演技だけを見て、そしてジュリアに拍手を贈る。
そう、芸の世界では、芸だけで評価されるものなんです。
本来は。
だから誰が年齢をごまかしてたとか、
誰が未成年で喫煙してて事務所を解雇されたとか、
誰が石垣島公演の会場の使用料を払ってないとか、
そんなことはどうでもいいんです。
そのものの芸さえ素晴らしけりゃそれでいいんです。
……ま、そいつらに芸があるのかどうかは知らんけど、
本来、我々は芸だけを見て楽しんでりゃいいんですよ。
だから誰が結婚しただの、誰が不倫しただの、誰が離婚しただの、
そんなことはどうでもいいんですけど、
でもそんな芸と関係ないとこばっかり追っかけて、
そんなゴシップを無造作に消費していく我々……
ああ、情けないですねえ。
もっと芸を見なけりゃ、芸を。
でもテレビのバラエティ番組の、あんな安っぽい作りに慣らされてしまって、
芸を見る目を養う機会が少なくなってしまってますからねえ。
ホンマ、何とかならんのですかねえ。
なかでも最悪なのが、大勢のタレントを雛壇に並べるトーク番組。
司会者に気に入られようとするタレントの必死さ、
長時間収録しておいしいところだけ使おうという製作側の魂胆、
もうなんかイヤですねえ。
なかには200人も集めてクイズやらゲームする5時間半近い番組なんかまであって、
ホンマ、あんなもん誰が見るんでしょうかねえ。
で、あれって早や押しクイズで、
制限時間内にいちばん遅く押した正解者は失格になるけど、
わざとそれを狙って遅く押して、アップで映ろうとするタレントなんかおったりするでしょ。
もう最低ですねえ、性根が。
いや、なかにはねえ、本当に遅くなってしまって、
それで失格とわかって両手で口を覆って「きゃっ」って声を出してしまう、
そういう可愛いところを見せてくれる女優さんなんかいたりして、
あれは絶対わざとなんかじゃないですよねえ。
だいたい「ドカン」なんて、あんな育ちのいいお嬢さんが知ってるわけないでしょうが……って、
えーっと、何の話でしたっけ?
そうそう、そしてエピローグ、
ひとりで高級レストランを訪れ、静かにビールをグイと飲み干すジュリア。
その満ち足りた表情には、微かに翳りも窺えるようではあるけど、
しかしなんの悔やむところもない、その自信。
そう、彼女は女優。
女優は演技がすべて。
だから舞台上で浴びた絶賛、それさえあれば何もいらない。
……いやあ、想像してたのとはまったく違う面白さで、
とにかく見ごたえのある作品でしたわ。
ホンマ、すごい演技でジュリアを演じきってくれたアネット・ベニングですわ。
日本であんなのをこなせる女優っていますかねえ。
秋ちゃんぐらいかなあ。
上野樹里ア、っちゅーたりなんかして。
コメント
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