モヴィエ日記

映画の感想とか、いろいろです。

地理スペイン

2007-11-30 18:08:15 | 「ちりとてちん」口三味線
そんなわけで引き続き「ちりとてちん」の稽古をつけてもらう喜代美。
といってもほとんど草原からの口移しで、
草若師匠はというと奥に下がって四草のお酌で昼間っからやっていて、
そして草々と小草若も脇に並んで控えていて……と、
なんやかんやで徒然亭一門総出で見守る喜代美の稽古。
しかし相変わらず上下はごっちゃになるわ、
その上に目線の位置まで細かく指導されるわで、
なんですか、結局初日は、
喜ぃさんが旦さんのところにやってきたところで終わりですかいな。
でもって家事のほうは相変わらずどんくさくって、
こりゃ先が思いやられるわ……と、
そこへある日、突然現れたのが小梅ばあちゃん。
たまらずに、靴下のまんま庭先に走り出て抱きつく喜代美。
で、師匠に挨拶し、なんでやってきたのかその訳を語るおばあちゃん……
は?
スペイン?
そう、スペインに住むことにしたのでしばらく会えなくなるとのこと。
「スペインって、あのヨーロッパのスペイン?」と喜代美。
「他にどんなスペインがありますのや」
「いやなんか、福井県スペイン市とか……」って、
師匠も笑いをこらえるこのやり取り。
ちなみに三重県の志摩スペイン村はこのころもうオープンしてましたっけ。
それはともかく、なんでも昔の芸者仲間がスペインで三味線を教えてて、
人手が足りないので手伝って欲しいと前々から言われてた……とおばあちゃん。
「何でまた……」と訝しげな喜代美、
でも師匠のお許しも出たので久しぶりに家族と水入らずの時間が持てる……と思ったら、
早速おばあちゃん、
「喜代美の落語を聴かせてくれますこ?」

そのころ小浜では残された和田家の面々が例によって居間に揃って、
正平が、糸子は存在自体が突拍子もないとか的確に論評したりしてるなか、
なんとも寂しげな小次郎。
40年ずーっと一緒やったからそりゃ置いてかれるとなったら落ち込みますかねえ。
っていうか、小梅ばあちゃんがいなくなって兄夫婦と甥っ子だけになったら、
余計に居づらくなるのが憂鬱なんやったりして。

で、稽古部屋では小梅ばあちゃんの前で、
「ちりとてちん」をどうにかこうにかサゲまで語り終える喜代美。
手を突いて下げた頭が再び上がれば、不安そうな表情で様子を窺い……
「お終いこ?」
「……うん」
「ふーん……」って、
とても噺の後とは思えないやり取り。
たまらず、自分は落語家には向いてないのでは……とこぼす喜代美。
するとおばあちゃん、「他に向いてるもん探しますのんか?」
そして喜代美の前に近づき、彼女を見ていてスペイン行きを決めたと話し出し……
「おばあちゃんも残りの人生、ぎょうさん笑おうて生きていきとうなってなあ」
外国語の勉強なんかしたくないけど、
好きなことをやり通すためにはえらいことも苦手なことも乗り越えないといけない、
それがぎょうさん笑おうて生きていくということだ……と、
そこへ駆けつけてきたのは三味線を抱えた草原。
もっと教えて欲しかったなあと残念がる彼から三味線を受け取り、
おばあちゃんが弾いてみるのは♪ちりとてちん~……
そして喜代美が昔、三味線の「ちりとてちん」で挫折したことを思い出し、
「今度の「ちりとてちん」、最後までやり遂げる自信はありますのんか?」
目に涙を浮かべ、しっかりと頷く喜代美。

でもってその夜は「寝床」で、
小梅ばあちゃんを交えて大宴会。
草原の三味線で「炭坑節」を踊るおばあちゃん、
囃し立てる皆に混じってあの四草すらもが笑みを浮かべる、
とってもご陽気なこの場になんで草々がいないのかはわからんけど、
そんなこんなでやがて、師匠に着物を託すおばあちゃん。
いずれ喜代美に着せてくれと頼み、そして改めて、
「喜代美のことをよろしくお願いいたします」と深く頭を下げ……と、
笑いを漏らす師匠、
「けどホンマに不器用なお孫さんでんなあ」
でもひとつだけ感心してることがあるというそれは、箸を持つ仕草。
それが綺麗なことは落語家にとってとても大事なことと言い、
よう躾はりました……って、
それが小梅ばあちゃんの躾やってことは師匠にはお見通しやったようで。

さて、小浜に戻ったおばあちゃんのところには、
順子の父がスペイン行きを聞いてやってきて、
とそこへ秀臣も現れて、お歳だから止めたほうがいいとか言い出し、
「あんたには関係ない」と頑ななおばあちゃん、
幸助は仲裁に入ろうとし……と、
そんな賑やかなやり取りのうちに、
小梅ばあちゃんの秀臣への気持ちも少しはほぐれてきたかのような……
そして師匠宅では掃除を終えた喜代美が庭のあちこちを指差し確認、
そして空を見上げ、おばあちゃんの乗ってるだろう飛行機も確認し、
「師匠、お稽古お願いします!」
……と、これは決して悪くはないエピソードでしたけどね。
でも余りにも唐突なこの展開。
っていうか、ドラマからレギュラー出演者がこういう形で退場するのって、
製作側と揉めたりしたからってケースが多いらしいですけど……
まさかそんなことはないですよねえ、江波さん?
もう一度、日本に戻ってきて再登場してくれますよねえ?
このままお別れじゃあ余りにも……と、
ちょっとだけ心配になったりなんかして。
ああ、心配といえばもうひとつ、
ほんで喜代美は右手で床を打ちながら左手で戸を叩く仕草、ちゃんとできるようになったんかいな?
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壁には穴を開けとく離れ

2007-11-30 03:26:06 | 「ちりとてちん」口三味線
というわけで晴れて喜代美の初稽古。
キチンと着物着て嬉しそうに挨拶して、
師匠も「おおーーーなかなか可愛らし」と目じり下げて感心したりなんかして、
まず最初に教えるのは高座上の基本用語。
見台、膝隠し、小拍子などの説明を喜代美と、そして視聴者に向けて話す、
その師匠の言葉にろくに聞き入りもせず、
興味津々でそれらを眺め回し撫で回し、
果てに小拍子をカチカチ鳴らして「すごーい、落語家っぽーい」やて。
「人が話してるときは聞きなさい」と注意されて慌てて謝る喜代美……って、
あんたは小学校低学年かいな、ホンマに。
で、気を取り直して扇子と手拭いの小道具としての用い方を説明する師匠、
うどんを啜ったり手紙を書いたりの実演入りで、
喜代美もすぐに真似してみるのはいいけど、
右手の扇子で床を打ちながら左手で戸を叩く仕草。
これにポカンと口を開けて感心する喜代美。
さあ、アホが何かにとりつかれたらもう誰にも止めることはできません。
「稽古しもって追い追い……」という師匠の言葉などまったく耳に入らぬ様子で、
しかし両手が揃わずにちぐはぐな仕草を何度も何度も繰り返し、
師匠が止めてもひたすら繰り返し、
「好きにやってなはれ」と席を立たれるのも気付かずに延々と繰り返し……
ああ、あれほど苦労して弟子入りが許された喜代美。
あれほど悩んだ末にやっと稽古をつけてもらえるようになった喜代美。
ああそれなのに、それなのにこの有様とは。
アホにもらい泣きさせられた翌日は必ずアホっぷりが増大するんですかいな、このドラマは。
そんな様子を覗いていた兄弟子たちもすっかり呆れ果て、
「右手と左手でいっぺんに別の動きが出来へんのでしょう」と四草は冷静に分析するけど、
しかし、これはそうなんでしょうか?
右手の音と左手の仕草を揃えやなならんのやから、
これは同じ動きというか、同時に動かさないとアカンわけでしょう?
それは簡単なこととちゃいますのん?
左手で四角を、右手で三角を同時に描くのが難しいように、
両手の動きを揃えないほうが難しいでしょうが。
試しにいま、揃えるのと揃えないのと両方やってみましたけど、
音と仕草をずらすほうが難しいですよ、これ。
さすが、四草の頭脳をも麻痺させる喜代美のアホさのなんと壮大なことか。
まあそんなわけで仲良く談笑する兄弟子たち、
すると四草が、最初につけるネタは何になるかと言い出して、
「寿限無」やったらええのになあとつぶやく小草若の妄想はそのまんま、
かつみ・さゆりの世界。
草原は「東の旅」の発端がいいと、
8月の落語会で「煮売り屋」のサゲをとちったことがよほど気になってるのか、これにこだわり続け……って、
だからそういうことをいつまでもねちねちと。
やがて草々は「つる」を挙げ……うん、
僕もこれがいいと思います。
実は何を隠そう、僕が落語好きになったきっかけのひとつがこの「つる」でして、
大して落語に興味もなかったけどとても面白く感じたんですよねえ。
落語のストーリーにはいくつかのパターンがあると思いますけど、
そのなかでアホがご隠居とかから何かのやり方とかを教わって、
その通りにやろうとするけどドジばっかり……というのがあってですねえ、
実はこれが大好きなんですよねえ。
で、「つる」はその代表例にしてとてもシンプルなもので、
これは最適やと思うんですよねえ、入門編としては。
演じる側にとっても聴く側にとっても。
それを挙げる草々のセンス、なかなかのもんやないですか。
まあ年の瀬の噺をなかなか挙げられなかったのは困ったもんやけど……って、
エラソーにまた。
いや、話が逸れてしまいましたけど、
そんなわけで四草の提案でこれをネタに賭けをすることに。
しかも彼の言いなりにきつねうどんをかけることになって、
後にそのきつねうどんにやけにこだわる四草。
まさかその理由にまで伏線は張られてないと思うけど、
いや、油断は出来ませんからねえ。
とりあえず四草の好物はきつねうどんってのを頭の隅にメモしておいて、と。
で、その四草は胴元ということで、
3人の挙げた噺以外は彼の総取りとかしゃあしゃあとぬかしてからに、
小草若に羽交い絞めにされ草々に足技かけられ草原に足の裏くすぐられ、
それでも無表情な算段の四草。

「こんにちは」トントン「開けとくなはれ」トントン……
そしてなんと、夜になっても自室でひたすら繰り返し続ける喜代美。
「こんにちは」トントン「開けとくなはれ」トントン……
いったいこの日これを何回繰り返したのであろうか。
「こんにちは」トントン「開けとくなはれ」トントン……
それでもいまだに左右の動きが揃わないのか。
「こんにちは」トントン「開けとくなはれ」トントン……
隣室の草々が呼びかけて、やっと止まったこの繰り返し。
喜代美がカレンダーを除けて覗くと、
「そんないっぺんにうまならへん、あんまり根つめるな」
「はい……」とちょっと寂しそうな喜代美。
すると続けて草々、先日キツイことを言ったことを謝りまして。
彼のようなタイプの男が頭下げて謝るなんてのは、
これは本心から詫びてることの表れといえるでしょうねえ。
それは師匠からの注意があってそこに思い至ったわけですけど、
しかしそれを彼の清海への想いへとつなげて考えてしまう喜代美は……
「こんにちは」トントン「開けとくなはれ」トントン……
ムキになって振り上げる左手の動きはいつまでたっても右手の音と合わず……
「こんにちは」トントン「開けとくなはれ」トントン……

さて、場面変わって小浜では、
例によって光熱費節約のために居間に揃ってる和田家の面々。
内弟子の3年間は食費も部屋代もただやからと、
ほんのイヤミで小次郎に勧める正典。
するとそれに乗り気な小次郎。
と、そんな相変わらずの和田家の光景が一変したのは、
小梅ばあちゃんが突然の爆弾発言。
その内容は視聴者には明かさないというじれったい手法で、
ああ、いったい何を言い出したのか、
コントのようなポーズでひっくり返る家族の様子からは窺い知れず……

そしてあんな喜代美にもちゃんと噺をつけてくれるという草若師匠。
目ん玉ひん剥いて師匠を見つめる喜代美に、
そして隠れて覗く兄弟子たちに、
いよいよ明かされる最初のネタとは……
「ちりとてちん」
それを聞いた喜代美、そういう落語があるのかと訊ねたりして、
あんたが毎朝出てるドラマのタイトルやがなって、いや、
そうじゃないこれはややこしい話ですなあ。
とにかく、キョトンとする喜代美に不安げな兄弟子たち。
そんな兄弟子の筆頭の草原が師匠に言われて喜代美に演じて見せることに。
というわけで久しぶりの落語の再現が繰り広げられまして、
登場しましたるは喜代美と小次郎……あ、
これは前から思ってたんで、ちょっとここで書かせてもらいますけど、
このクレジットの表記がねえ。
「和田喜代美(喜ぃさん) 貫地谷しほり」とか、噺のなかの役名も記されてるけど、
これは要らないような気がするんですけどねえ。
貫地谷しほりが喜ぃさんを演じてることには違いはないけど、
それよりも喜代美が喜ぃさんを演じてるという風にとらえたほうが、
なんか相応しいような気がするんですけどねえ。
まあそれはともかく、
やがて旦さんが知ったかぶりの竹に腐った豆腐を食べさせるわけですが、
これがねえ。
旦さんのほんのいたずら心って程度のもんやと思うんですよ、そもそもの噺のなかでは。
でもこの小次郎の旦さん、ちょっと怖すぎますわ。
あれではかなりの悪だくみになってしもてますやん。
これじゃあ小次郎の隠れた才能じゃなくて、
京本政樹の得意の芸風ですやん。
まあそんなこんなで竹が酷い目に合うわけですが、
ここで腐った豆腐をアップで映さないのは、
本放送も再放送もすべて食事時にかかるドラマの配慮でしょうか。
あ、それと一応ちょっと補足しておくと、
腐った豆腐になんで「ちりとてちん」と命名されたかというと、
どんな名前がいいかなあって考えてるときに、
たまたま三味線の稽古の音が聴こえてきたからって、ただそれだけなんですけどね。
とにかく草原の語る噺に喜代美、
大笑いしつつ「どっかで聞いたような話やなあ」って、
ひょっとして自分を取り巻く世界の構造に疑問が沸いたのか。
しかし師匠に「やってみ」と言われ、
「そんないきなり……」って、この期に及んでまだ稽古の仕方がわかっとらんかったんかいな。
それでも師匠に言われるままに、そして小草若に眉と目で促されるままに、
そろそろと小拍子に手を伸ばし、ポンとひと叩き。
そして口移しで語ってみるけどここで上下について注意され、
それに従ってやってみるけど、こんがらがっていつしかまた反対になり、
呆れた師匠はごろ寝、そしてまた草原に教えてもらうと、
首を捻ってグキッ。
こんな惨状を笑ってごまかせるのか喜代美……と、
結局このドラマ自体が、アホが教わってもドジばかりやがな。
いやはや。
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このころブームになったでここ

2007-11-28 10:34:25 | 「ちりとてちん」口三味線
さて、冒頭から相も変わらず掃除してる喜代美。
不満はあろうけれど、それでも一応丁寧に、
あれは神棚なんですかねえ、なんか大きい祭壇みたいなのを拭いてるけど、
その縁のところに、あれはなんかチョークで書きなぐったような傷があって、
いくら拭いても取れないそれを、なんか小物入れみたいなのを置いて隠して……って、
さっきから名前がわからないので「なんか」ばっかりですけど、なんか。
すると、これは名前のわかる福助人形から響く声、
「人が見てへんときこそきっちりとせえ!」
驚いて開いた口のふさがらない喜代美、
やがて後ろの草々に気付き……って、方向感覚というものがおまへんのかいな。
まあ彼の厳しすぎる態度は喜代美には辛かろうけど、
でも「イヤイヤ掃除した部屋におったかて気分悪いだけや」って、
これは確かに名言ではありますなあ。
というわけでまた今日も初っ端から不満のたまる喜代美。
ところで余談ですけど、
この場面の冒頭で「たき火」の歌が拡声器から流れてるのが聞こえてたけど、
これって冬場によく灯油を売りに来る車が流してるやつですけど、
全国的にこの曲が使われてるもんなんですかねえ?
それともひょっとして関西ローカルやったりして。

と、場面は変わってこちらは小浜の魚屋食堂。
隣の生花店のおばちゃんが何事かと表の様子を伺うなか、
順子を訪ねてやってきた小梅ばあちゃん。
やがて「B子から連絡ありますか?」と順子。
「いや、修行中の身ぃやさけ控えとりますのやろ」って、
確かに下宿人やったときは使い倒してましたけどねえ、母屋の電話。
あれはいちいち電話代払ってたんでしょうかねえ?
と、順子の母も話に加わり、やがて小梅ばあちゃん、
「ぎょうさん笑ろて生きていこう思たら、ぽーんと思い切りよう飛ばなアカンのかもしれませんなあ」

しかし「寝床」にいる喜代美は笑うどころか見るからに憂鬱そうで。
四草にこき使われるわ、
テレビ(実は20インチはあるか?)に華々しく清海は映るわ、
さらに小草若がその清海本人を連れてくるわ……
喜代美に会いたいとやってきた清海はまた例によって屈託がなさそうで、
すると四草が気を利かせて席をあけ、
そこに清海が座り、隣の草々に挨拶すると、
四草がまた「三角関係か……」などとつぶやいたりして、
とか何とかいうてる間に皆からちやほやされる清海。
さらに清海が気の利くもんで、
またそんなときに喜代美がドジをしたりして、
さらにそのフォローまでする清海。
その上、彼女が落語の話題にも興味を示したりするもんやから、
さあ、とうとう爆発してしまう喜代美……いやしかし、
これは辛かったですねえ、見てて。
だって喜代美の言うてることは単なる僻みですもん、客観的には。
しかしその僻みの感情は僕にも大いに心当たりのあることで、
だから彼女の気持ちはよ~くわかる、
わかるけど、わかるからこそそれをぶちまけてしまう喜代美の姿が辛かった。
僕がああいうことを普段ぶちまけたりしないのは、
そういうことをしてしまう自分がどんな風に見えるかを気にしてのことで、
でも今日の喜代美のように、それを溜め込めば溜め込むほど、
ぶちまけたときの辛さといったら……
えー、これはねえ、
まあ僻みとはちょっと違うけど、かつてここのコメント欄で醜態をさらしたりして、
また少し前には草原こと桂吉弥さんの悪口を長々と書いてしまったり……そう、
奇しくも今日彼がちょろっと演じた「東の旅」の冒頭部分、
あの後に続く「煮売り屋」のサゲのところでとちったこととかしつこく書いたりして、
あれもいまから思えば何もあそこまで書かなくってもなあとか、
それは彼が草原役を好演してるから余計そう思えるのかもしれないけど、
あ、それと昨日も、
家事はアホでもできるなんて書くと女性たちから反発が……なんて書きましたけど、
これも深読みすれば、僕が家事は女性がするもんやという考えの持ち主ってことになりますやん。
いや、決してそんなことはないんですけどね、
でも頭ではそう思ってても根に染みこんだそういう偏見がつい表れてしまうもんなんでしょうねえ。
んー、まああまり自分のことばかり書くのもちょっとあれですけど、
とにかくそういうことを仕出かした後の気まずさといったら……ねえ。
喜代美もそれはすぐに察したことでしょう、
そんな自分に自己嫌悪を抱いたことでしょう、
それがわかるからこそまた辛い。
わからない小草若のように「いまの何?」って、
のん気にそう言えたら生きていくのがどんなに楽なことか。
とにかく普段はアホ呼ばわりされてるけど、でも実は繊細な喜代美、
店の空気を悪くしたことを謝って出て行き……
心配して後を追う咲。
この後お咲はんに慰められたんでしょうか。
どんな風に慰めてもらったんでしょうか。
お咲はんの胸に顔を埋めて泣いたりしたんでしょうか。
ああ、僕もあの胸に……って、
いや、こういうことを書いた後も自己嫌悪に陥ったりするんですけど。

その後、母屋の洗面で顔を洗い、それでも気の重いままの喜代美が縁側をトボトボと通りがかると、
居間から彼女を呼び止める草若師匠。
やはり気が重そうに彼の前に座る喜代美に、茶を淹れて差し出し、
「あの子にはな、いつか心がよう温もったとき謝っとけ」
そう言い残して立ち去る師匠。
しかしひと口啜ったとき既に喜代美の心は……
後日、縁側でガラス拭きをしながらそのことを奈津子に話す清美。
奈津子は取材という名目で来てるんやろけど、このシチュエーションは以前と同じですな。
ところで余談ですけど、
そのお茶の場面からここへかけてのBGMはあの熊五郎の「寝床」のインスト・ヴァージョンやがな。
で、奈津子から気配りの仕方を教えてもらってるや……とアドバイスを受け、
そう、あのお茶が温かかったのは師匠が湯呑みも温めてたからだけではないんや、
喜代美が温かさを欲してることを師匠が気付いてたからや……と、
そうそう、昨日、徳利が空になった件がヒントやなんて書きましたけど、
まあ考えてみればあれはヒントと言うよりそのものずばりやったですなあ。
でも喜代美がそれで気付かなかったのもまあ無理からぬことかもしれなくって、
というのも、テレビのバラエティ番組を見てる限りは、
家事が落語の修業になるやなんて想像も付かないことでしょうよ。
いや、それは演芸場に出かけたりしてても同じことでしょうけど、
しかし芸人、とくに落語家は必ずしも自分を求めてる客の前で演じてばかりではないんですよね。
学校寄席といって体育館で生徒たちの前で演じたり、
刑務所で慰問の寄席を開いたり……
そんな自分にとって好意的とはいえない客の心をつかむこと、
そんな客たちの気持ちを機敏に察すること、
そしてそれに対応する能力、
その重要性、それが落語家にとっていかに大事なことか……
ようやっと開眼した喜代美、
ガラスを熱心に磨きだし……
それからは家事全般張り切る張り切る。
外出の支度してる師匠に「あれとって」と言われ、
嬉々としてマフラーを取ってきて、
「それ違う、財布や」って、
倦怠期の夫婦間なら離婚沙汰にまで発展しかねないやり取りまでをも、
これが修行と思えばこそ熱心にこなす喜代美を師匠は温かく見守り……

そして疲れたからって、
いくら疲れたからって母屋の居間で畳の上にごろんとなる喜代美。
そんな喜代美を帰宅した師匠は叱るどころか……
ほいっと差し出す扇子と手拭い。
「明日から落語の稽古や」
扇子を開くと鮮やかな徒然亭の紋のセミが……
感激の笑みをこぼす喜代美の目はしっかりと未来を見据えていたようで、
でもしかし、今日は草若師匠がええとこさらっていきましたなあ。
草々に「お前はホンマに自分のことしか見えてへんな、お前は落語家に向いてへん!」とかキツイこと言わせといて、
あれはホンマは師匠が言うべきやと思うんですけどねえ。
その上に「お前、相手見て言葉選んで物言え」で、
草々への注意と、笑いと両方もっていったりなんかして、もう。
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A子はアシスタント?私は飯も炊けんと?

2007-11-27 10:20:18 | 「ちりとてちん」口三味線
さて相変わらず炊事洗濯掃除ばっかりさせられてる喜代美でありますが、
昨日のセリフで「これやったら落語家やなくてお母ちゃんや」ってぼやいてたけど、
今日は冒頭からそのお母ちゃんとの対比が延々と描かれまして、
さすが糸子のベテラン主婦っぷり。
そうか、家事はアホでも務まるのか……って、
こんなこと書いたら世のすべての女性を敵に回すことになりますよねえ、いやまったく。
そうじゃなくて、糸子はああ見えて実はアホやなかったんや……ということにしときましょうか。
いや、しとこうじゃなくって、
これは大根おろし競争で負けた報復かと思えるくらい完璧な家事のこなしっぷり。
いやお見事ですなあ。
まあ、その合間には順子の母と特売品の成果を語り合う息抜きもあったりなんかして、
でも小次郎に明日着ていくと言うシャツを渡したりしてたけど、
同じようなアロハやのにいちいち用途による区別があるんかいな。
でもって、さすがにハンドミキサーのような卑怯な手口も使えない喜代美は、
例によってドジばっかり。
アサリが開くのをボケーッと眺めて時間をつぶしてたのには笑ったけど、
そのとき被せてた新聞紙に横山泰三の「社会戯評」が載ってましたがな。
あれは朝日新聞に、いま検索してみたら92年まで連載されてたそうですから、
ちゃんと時代考証が合ってますなあ。
小道具の古新聞にまで手を抜かない公共放送。
しかし朝日との確執は、なんやうやむやになりましたなあ……って、
まあそんなことはさておき、
もうひとつのドジッぷりの見所は、
表を掃いてて、ゴミをちりとりで取ろうとして取りきれずに、
どんどん後ろに下がってしまうところ。
咲に「そのまま下がっていったらしまいに淀川にはまるで」なんて言われたりして。
きっと喜代美がお灸をすえようとしたら、
すえた上へすえた上へすえて行って、
しまいに頭のてっぺんにすえて、その後どうやって上へすえようか悩みおるやろなあ。

さて、ある朝、
草若師匠に呼ばれて現れた小草若。
師匠の用件は、彼の仕事に喜代美を付き添わせること。
本当は師匠の鞄持ちをして付いて歩きながらいろいろ学ばせやなならんところ、
自分は当分仕事がないから……というわけで、
売れっ子の小草若にお鉢が回ってきたんですけど、
しかし彼が番組のなかの自分のコーナー名、
「小草若ちゃんのこれ底抜けに流行りまっせ」を口にしたときの、
横目でギロッと睨む草々の怖いことよ。
そりゃなんぼアホらしいタイトルやからいうて、そこまでせんだかて。
というわけで小草若の荷物を持って、テレビ局にやってきた喜代美。
その局内いたるところに誰かしら芸能人がいて華やかな光景に相当ワクワク。
しかしこの場面は実際のBKの局舎で撮影されたんでしょうかねえ?
エレベーターを降りたところの通路なんか、
こないだ見学したとき通ったところに似てるような気がしますけど、
と、ソファーで談笑する噺家が2人。
早速駆けつけて小草若が深々と挨拶する彼らは、
土佐屋尊徳と万葉亭柳宝という、たぶん大御所なんでしょうねえ。
かつては草若師匠もそのひとりに数えられたという上方落語四天王のうちの2人なんでしょうか。
ちなみに土佐屋尊徳、なんや笑福亭松之助師匠に雰囲気が似てるけど、
クレジットによると演じてるのは芝本正というお方。
いったいこの人はどういう経歴かいなと思って検索してみたら、
「てるてる家族」にも出てたそうな。
それはともかく、小草若に促され両師匠に挨拶する喜代美、
お辞儀して頭上げたらマフラーが顔にバサッとかかるというアホならではの離れ業を披露したりなんかして、
おなごの弟子取るとは無茶苦茶な……とか言われてちょっとだけムッとしたみたいやったけど、
それでも小草若が去り際に2人個別に挨拶したのを見て、
ちゃんとその通りにする学習能力も発揮したりなんかして、
でも丁寧に喋ろうとするとなんで口調がアホ丸出しになるのかは謎ですけど、
しかしこの場面に感心したのは小草若が、
普段はああ見えてて実はとても礼儀正しくできるってこと。
これはやっぱり師匠の、父の躾がキチンと行き届いてるんでしょうねえ。
その点、もうひとりのアホの和田友晴がああなのは、
秀臣がどこでどう間違ったのやら……はてさて。
まあ今後は変わるんでしょうけどねえ、たぶん。
いや、どやろか。

でもってスタジオに入ると、リハーサル中のスタッフたちがせわしく動き回るなか、
セットのきらびやかな様子に見とれる喜代美。
と、彼女の名前を呼ぶ声が。
周りを見渡した後、喜代美が恐る恐る名乗り出ると、
彼女を強引に連れて行くスタッフ、
そして立たされたのはセットのど真ん中。
すると照明の束を浴びせられ……
一瞬目がくらみながらも、やがて恍惚の表情を浮かべる喜代美。
自分を見た副調整室のスタッフにダイヤの原石呼ばわりされる妄想なんか抱いたりして、
しかしそのダイヤの妄想がカラット晴れると、
やがてスタジオに入ってくるのは……
髪もゴージャスで、白のスーツはかなりのミニで、
すらーっと伸びた脚も目にまぶしい清海。
ちなみに僕はもうちょっとお肉が付いてるほうが好みやけど、
いや、それはさておき、
この偶然の再会に、そしてスタッフの無神経な言葉に、
そして清海の相変わらずの屈託のなさにまで、
またまた落ち込む喜代美。

と、そんな喜代美は帰宅するやいなや、
縁側でのん気に足の爪切ってた師匠に、
落語を教えてください、私にも稽古をつけてくださいと直談判。
ところがそんな喜代美の願いを無視して立ち去ろうとする師匠。
たまらず呼び止めた喜代美がさらに頼むと、
「落語の稽古? さしたってるやないか」
そう言い残して、草々に稽古をつける師匠。
と、そこへ現れた草原に喜代美がたまらずに、不平をぼそりともらすと、
落語をしたいのか落語家になりたいのかどっちや?と草原。
その違いを説明する彼の、
落語家は人を気持ちよく楽しくするのが仕事、
家事はそれが出来るようになるための修行……との、
その真意がわかる日が来るのか、洗剤と雑巾を手にぽつねんと立ち尽くす喜代美……
まあ、ヒントは師匠の徳利が空になったらすぐ新しいのを持って来るんやって注意された、
あの辺にありますかねえ……って、
こういう指摘が外れてたら大恥かくところやけど、
まあこういうのは一種の精神論ですからねえ。
「ベスト・キッド」のペンキ塗りが空手の技に役立つといった、
ああいう即物的な効果があるようなもんやないから、
まあ外れてたとしてもなんか理屈つけて言い訳しようと思えばできるやろけども。
はてさて。
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ここはどこかに?私はだめかに?

2007-11-26 15:37:13 | 「ちりとてちん」口三味線
さて、年が明けて1993年。
いよいよ喜代美の正式な入門というので、
小浜から糸子と正典が挨拶にやってきております。
糸子は淡いピンクの振袖なんか来て、アホにも衣装とはこのことですなあ。
持参の土産はでっかい発泡スチロールのケースに入った越前ガニが何杯も。
こりゃ高価なもんやろけど、それを恩着せがましく言う糸子。
ふすまの向こうで聞き耳を立てていた兄弟子たちは早速群がり……
と、月謝も何も一切お金がかからないと聞いて驚く糸子に正典、
そして喜代美も。
あんた、ずっと下宿しててホンマに何にも知らへんでんなあ。
しかし正典、もう家賃も要らないと聞いて「何でもっと早よ弟子入りせんかったんや」って、
あんたもすっかり糸子のアホに感化されたようで。
とはいえ、草若師匠から落語の伝承、
何百年も口から口へ伝えられてきた皆のものやからお金など……との話に、
自分の父が秀臣を弟子にしていたときのこと、
実の息子のように思っていたことが浮かんできて……
そういえばその秀臣も、正典を従業員として雇って、
給料払いもっておじいちゃんの塗り箸を教えてたんでしたっけ。
「これからは草若師匠が喜代美の父親になるんやねえ……」
師匠宅を後にしたところでそうつぶやく糸子に、
さびしそうな表情の正典がまた往年の夢路いとし先生に見えたりして。
そんなわけで先行に不安も浮かぶ糸子と正典なのですが、
しかしどこか楽観的な様子の喜代美に、
カニすきの準備をしながらちょっと心配げな兄弟子たち。
さて、いよいよ鍋をつつこうかというときに見計らったかのように現れたのは奈津子。
いや、そうじゃなくって、これから喜代美が忙しくなるだろうからと、
わざわざ田舎から戻ってきたその足でお邪魔したとは、
こりゃ奈津子のほうが内弟子修行のことをよくわかってそうな。
で、改めて今までの礼を言う喜代美に、
奈津子もこちらこそ……と言って、さらに涙ぐんだりまでするのは、
「もうお給料払わんかてええね思たらホッとして……」って、
思わず喜代美も「そっち?」って突っ込む、
ああ、なんと金の心配の多い喜代美の周囲の人々よ。
しかし心配のなさそうな喜代美は、
奈津子が師匠に、女性落語家としての喜代美を取材したいと申し出るのを聞いて、
早速遠くを見る目の喜代美、
「女流落語家、その成功の軌跡」出版記念パーティの席の晴れ晴れしい姿……と、
実は9月の末にBKに見学に行った際、
このパーティの看板を作ってるところを目撃してたんですわ。
そのときはまだ放送開始前でしたから、
ヒロインにそんな展開が待ってるのか、
いや、それはちょっと展開のペースが速いやろから、
先輩の女性落語家のそういうパーティに出席するのかなあ……とか考えてたけど、
まさかこんなのん気な妄想やったとは。
こんなのん気な、たった10秒余りの妄想のためにわざわざ看板を作るスタッフの努力が報われんことを祈るばかりですわ。
というわけで冷ややかな兄弟子たちの視線もまったく気にならずに、
安らかに、ぐっすりと、あれは父譲りか寝相も悪く寝ていた喜代美が翌朝、
草々に起こされるのは午前5時。
髪ぼさぼさでまぶたも開いてない喜代美に草々、
箒とちり取りを差し出して、まずは掃除、次に朝食の支度を……と、
その説明を聞きながら喜代美、大あくび。
さあ、それから喜代美のやることなすことにいちいちダメだしする草々。
余りのきつさに、やってきた草原にぼやこうとすると、
逆に洗濯物の干し方を注意される始末。
さらに細かいところの掃除まで姑口調で指導する草原……と、
そんなわけで家事してるうちにあっという間に暮れていった喜代美の内弟子修行第1日目。
掃除や洗濯が何で落語の修行に関係あるのかわからなさそうな喜代美ですけど、
う~ん、こういうのは説明するより身体で体得してもらうしかないでしょうな。
これからの日々もキツイでしょうけど、まあ頑張りなはれ。
……ああしかし、
浜で拾ってきた貝殻に色つけて道端で売って、
それで生計が立てられへんもんでしょうかねえ……とかしみじみ思ったりなんかして。
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一門増え

2007-11-24 22:12:26 | 「ちりとてちん」口三味線
というわけで喜代美の弟子入りが認められました。
いやあ、よかったよかった。
とはいえ、ちょっとあっさり感がしましたかねえ。
これはまあ、週末やからたぶん今日にも……と予期してたこともあるし、
それに以前の、四草が戻ってくるときと同じく、
その回の冒頭に持ってこられたのでそう感じてしまったのかもしれませんけどねえ。
あ、しかし四草といえば、
正典から贈られた塗り箸のキラキラ模様が、卵の殻や貝殻や松葉から出来てると聞いて、
「そんなゴミみたいなもんで……」って、あんたねえ。
いや、確かに僕も、このドラマの最初のほうでその製法を知ったとき、
材料費かかっとらんなあとは思いましたけどね。
でも貰っといてあんた。
しかしこの四草の独特のキャラクターが最近はもっぱら毒舌担当みたいになってるのがねえ。
もっとストーリー上で彼ならではの活躍を見せて欲しいもんですけども、
やっぱりこういうキャラクターは敵に回すと際立つけど、
味方につけると面白みが発揮されにくいもんなんでしょうかねえ。
いや、四草はさておき喜代美の弟子入り。
確かにあっさりしてるとはいえ、いやあ、
やっぱりねえ。
師匠がかけたあのテープに、ほんのりと笑みが浮かぶ喜代美の寝顔。
幼き日のおじいちゃんとの思い出が夢心地によみがえってるようで……
と、「やってみ」と声が響いて。
言われるままに「野辺へ……むにゃむにゃ」
やがてハッと目が覚める喜代美。
これが記念すべき初稽古。
その声に兄弟子たちも、そして正典もふすまを開けて顔を寄せ、
顔がくしゃくしゃになる喜代美を皆がやさしく見守り……
ちなみにこのときの正典の顔は往年の夢路いとし先生にちょっと似てたけど、
いやあ、よかったですねえ、ホンマに。
でもあっさり感が感じられたのは、これはやっぱり、
弟子入りが認められたってことが何かを達成したとか、ゴールしたとか、
そういうことではないからなんでしょうねえ。
ここからスタートなんですよ。
師匠も言うとおり、これからが大変でっせ、ホンマに。

というわけで喜びに風邪も全快したのか、
ケロッとして改めて師匠に挨拶する喜代美。
覚悟は出来てるなと訊ねられ、「はいっ」て元気よく答えるけど、
「続く奴は続くし辞める奴は辞めんねけどな」と言われ、苦い顔。
そして最初の3年は酒タバコ、アルバイトも禁止と通達。
これはつまり、普通は入門してから3年間、師匠宅に住み込みで、
付きっきりで家事やらなんやらを手伝ったりしながら稽古をつけてもらう、
いわゆる内弟子の決まりごとを説明してるわけですな。
とか久しぶりに落語の知識をひけらかしたりして。
でもアルバイトが禁止となると、奈津子のところで働くのは辞めるわけで……
これはちょっと僕の好みの問題になるんですけどね、
天職に就くまでの間、それを見つけるまでの間、
いろんな仕事を経験してみることが大事やと思うんですよ。
これはドラマの主人公に限らず、実際の人生においても、ね。
で、2時間の映画ならなかなか描きこめないやろうけど、
半年も続く連続ドラマなら、主人公にいろいろ経験させられると思うんですよ。
現に「てるてる家族」も「ファイト」もそうやったし。
だから単に掃除したりお茶淹れたりだけでなく、
何かフリーライターのアシスタントとして、取材についていくとかあって、
その経験が落語家として役に立つ、みたいなことがあってもいいのになあって思うわけですよ。
それこそ、今日の回で正典が語ってたおじいちゃんの言葉のように、
そういう経験が塗り重ねられて、やがて綺麗な模様になって表れてくる……と。
それとともに、来年の3月まであと4ヶ月……
噺家修行だけでそれだけの長期間もつもんかなあとか思ったりもして。
まあ確かに、たとえば内弟子時代のざこばさんが、
まだ子供やった小米朝の世話してて大怪我させてしまったりとか、
そういう面白いエピソードはいろいろ設けられるんでしょうけど、
さてさてどんなもんかいな……と、まああくまでもこれは好みの問題で、
今後のお手並み拝見ってところですけども。
で、話を戻して、
「それと……色恋も厳禁や」と師匠。
思わず横目で草々を窺う喜代美に、
「あんたの入門は年明けやさかい、除夜の鐘が鳴るまでは自由の身や」って、
2人をチラチラ見遣りながら思わせぶりに言ったりなんかして、この師匠。
まあそんなわけで久しぶりに恋心が顔を出してくる喜代美が、
また偶然に銭湯に行くときに草々と一緒になり……って、
母屋の風呂は使わせないのか、この師匠。
ほんで天神橋筋商店街を通って、天満橋の近くの橋渡って……どこまで行くねんな、風呂入りに。
帰りに湯冷めするがな。
ほんで暖房のない離れの部屋におったらそりゃアホでも風邪引くわ。
いや、話を戻して、
歩きもって、ふと草々「年明けたら「草々兄さん」って呼べよ」
そう言われた喜代美、じーっと草々の顔を見つめてしまって……
しかしこの草々の顔って、頭が爆発してたときは気付かなかったけど、
こうやってよく見てみると目鼻立ちとかかなり彫りが深いと言うか、
なんやジャン・マレーみたいですなあ。
でもそう言われた喜代美は複雑な心境で……そりゃねえ、
兄妹の関係になるわけですからねえ。
いわゆるその、なんですわ、
まあいいか。
つまり年が明けると禁断の関係になるわけで、
だからといって今すぐどうこうも出来ず……ああ、
切ないですなあ。
涙ぐんでしまう喜代美の胸のうちを想うと……ねえ。
しかし「こんな可愛い妹が……」とか言うとった小草若は、
その辺のところはなんも考えてへんのかなあ。
ホンマ、底抜けにのん気なやっちゃ。
で、話を戻して、
やがて並んで歩きながら草々、
「年の瀬かあ……年の瀬の噺いうたら何があったかなあ……」って、
こらっ草々。
あんた弟子入りしてもう10年以上経ってるんちゃうんかいな。
それが「何があったかな」やて?
年の瀬の噺いうたらいっぱいあるがな、
「餅つき」とか「厄払い」とか、大晦日から正月にかけての「けんげしゃ茶屋」とか……と、
スイマセン、またまた知識をひけらかしたりなんかして。
で、ようやっと「掛取り」を思い出す草々。
すると喜代美が嬉しそうな表情を浮かべるのは、
これが生の高座を聴いて勉強した噺で、
だから草々との接点が見つかったような想いなんでしょうねえ。
ああ、なんて健気な乙女心よ。
それに気付かずに噺をくる草々、
ひょっとしてあんたもジャン・マレーと同じく乙女心には興味がないのか……って、
いや、そういえば、
この「掛取り」は最初のころ、熊五郎を追い返す手段として用いられてたけど、
最近その手の引用や再現もちょっとご無沙汰ですなあ。
これからもその辺を忘れずに、大いに楽しませてもらいたいもんですけど、
まあそんな希望はさておき、
こんなひと時が喜代美にとってはかけがえのない時間で、
でもこれが最後のデートとは……ああ、なんともねえ。
というわけで年明けからの賑やかな展開に思いをはせつつ、
しんみりと時の流れるこの年の暮れ。
皆さん、よいお年を……って、
いや、まだ実際には11月ですけど、しかし……

えー、ここでちょっと私事になりますけど、
実はですねえ、仕事の都合で来週から年末までの間、
泊まり勤務なんかしなければならなくなってですねえ。
それでこのブログの更新がどうなるのか……と悩んどるんですわ。
帰宅するのは朝7時ごろになると思うんですけどね、
その後このドラマを見て、ブログを更新してから寝たほうがいいか、
それともまずぐっすりと寝て、昼過ぎに起きてからドラマ見て更新したほうがいいか、
どっちが身体のリズムにとっていいでしょうかねえ?
それともやっぱりこの歳で泊まり勤務はきつくって、
毎日更新するのが面倒になってしまうかも……
いやまあ、ほとんどの週で3日休めるんで、
休みのときにゆっくりまとめて書いてもいいんですけどね。
それに手当てもつくし、正月はたっぷり休みとることにしたし、
まあ1ヶ月ぐらいなんとかなるわいな、ねえ。
それにもちろん、
ユイカさま御出演の「姿三四郎」の放送される12月6日は休みにしてもらって、
リアルタイムで見ることが出来るし……って、
まあとにかく、そんなわけでこれからしばらくの間、
平日の昼間に更新することがあっても、別に失業したわけじゃないんでご心配なく。
この歳で無職になったら、ホンマに小次郎と同じになってしまいますからねえ。
身分とか、立場とか……それとルックスも。
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風邪インフルエンザも少々の肺炎

2007-11-23 21:48:59 | 「ちりとてちん」口三味線
えー、まず最初にお断りですけど、
上のイラストねえ。
米倉斉加年さんが全然似てなくって、どー見てもこれは蝉丸にしか見えませんけど、
そこはどうかご勘弁くださいませ。
だいたいもともと絵を描くのが好きってわけでもないのに、
和田誠さんの真似でなんか描くようになってしまって、
しかも年寄りは苦手で、さらに短髪も描きにくくって……と、
まあはっきり言って下手の横好きなんで大目に見てやってくださいませな。

さて、今日は友晴が和田家の面々を前に土下座する場面から始まりまして、
何をぬかしおるかと思ったら、
「B子との婚約を解消させてください!」やて。
昨日のラストで珍しく彼にしんみりさせられたかと思ったら早速これや。
やっぱりただではアホにええ場面やらへんドラマやなあ。
いったい何のことやらキョトンとしてる面々の疑問などおいといて、
株式会社若狭塗り箸製作所の跡継ぎになれるようB子に負けず……とか何とか、
勝手にまくし立てて立ち去るアホぼん。
そんな彼の背に「あの、梅酒は……?」と糸子。
この場面に梅酒が何で出てくるのかようわからんけど、
そんなアホぼんに呆れてあれこれ言い合うアホ家族たち。
いや、小梅ばあちゃんは「ええとこありますなあ」とちょっと見直した様子。
そして考え込んでた様子の正典は席を立ち、
玄関に行くと、靴の紐を結ぶのに時間がかかってたアホがちょうど立ち上がったところ。
止めないでくださいと言う友晴に、止める気はまったくないけどと正典、
彼が訊きたかったのは大阪での喜代美の様子。
まだ落語家になる言うとんのか……と不服げな正典に、
自分の父親と、この和田家との縁について語りだす友晴、
「何でそれがこんな小っこい塗り箸屋とあの大企業若狭塗り箸製作所に分かれてしもたんか……」
余りのアホさにもう力なく笑うしかない正典。
しかし、父には父の考えがあってあの会社を作っただろう、
それがどんな考えかいまはわからないけど、いつかはちゃんとわかるようにならなければ……
跡継ぎになるということは自分の道を見つけることだと言う友晴に、
優しく頷く正典。
……落語のテープ聴いてるB子を見てそう考えた、
B子は大阪に行って変わったなあ……と、
なるほど、アホにアホとしての見せ場を与えるだけでなく、
それでいて正典の心を動かす役割も担わせるとは。
さらに……
そんなやり取りを陰で窺っていた小梅ばあちゃん。

さて、自分のことが話題になっていたからか、
大阪では喜代美が大きなくっしゃみ。
……いや、これはそうじゃなくって、
アホは風邪ひかんというのはどうやら俗説やったようで。
「うわ、もうこんな時間か」と見遣る時計は、
針がケッタイで常人にはひと目見ただけではわかりにくいけど、
録画を止めてよく見ると1時45分40秒。
夜更けのこんな時間まで、ノートに書き起こした「愛宕山」の勉強に勤しむ喜代美。
彼女の朗読する声に隣室の草々もうるさがりつつ……

あくる日、正典が工房で箸を磨いでいると、
そっと現れる小梅ばあちゃん、
彼の働く姿が正太郎ちゃんに似てきたとしみじみ言い、
「おらんようになってもちゃあんとあんたのこと導いてくれとんなるんやなあ」
……やがて、正太郎ちゃんが喜代美に最期に言った言葉を覚えてるかと訊かれ、
思い出して遠くを見る目になる正典。
「喜代美はぎょうさん笑うて生きていける道を探しとる、
 そういう風に正太郎ちゃんが導いてくれとるような気ぃしてなあ……」
小梅ばあちゃんの言葉を噛みしめ、遠くを見遣り続ける正典。

さて、その遠くにいる喜代美は相変わらず勉強中。
といってもテープに合わせて語ろうとするけど、
こっくりこっくり、そして咳き込んだりして、
やがてばったり倒れこんだ喜代美の意識は幼い日へと旅立ち……
ラジカセを抱え込んで泣きじゃくる喜代美。
亡き正太郎は笑顔で見守ってくれているけど、
そうとは知らず悲しみに暮れるばかりの喜代美。
するとテープの音が止まり……
現実の喜代美、起き上がってあわててテープを取り出すと、
またもや絡まってワカメ状態。
だから聴き過ぎるとアカンって言うてるでしょうが、カセットテープは。
こういう貴重な録音はMDにコピーしておけば……って、
1992年にはまだ発売されてなかったですかねえ?
されてたとしてもまだまだ高価やったでしょうか。
ましてやPCに録り込んでCD-Rを作るなんてのはまだまだ先のお話で、
でも草々が確かダブルラジカセ持ってましたやん、
ダックスフントのマークのついた、あれはサンヨーのU4シリーズでしたっけ。
あれでコピーを録っておくべきですよ。
でねえ、ついでに言いますと、
テープが絡まるというのはですねえ、
テープを巻き取るほうの軸の動きが止まってしまって、
しかし送り出すほうの軸は回り続けてるから、
それでテープが機械のほうにたまっていってぐちゃぐちゃになるわけですよ。
しかし画面では動きがまったく止まってますやん、どっちの軸も。
前から気になってたんですよねえ……って、
そんなオーディオマニアの戯言はさておき、
またダメになってしまったテープを手にする喜代美に、
おじいちゃんの声が遠くから聞こえてきて……

と、草若宅を訪れる正典。
ところが草々が喜代美の部屋のドアをノックし続けてるのに気付き、
挨拶もそこそこに部屋に入ってみると、
そこには床に突っ伏した喜代美。
正典が抱え起こし、額に手をやると……
それでも離さないカセットテープ。

やがて草若に挨拶する正典。
肺炎にならなくてよかったと草若。
そりゃあの離れの部屋、暖房器具見当たりませんでしたからねえ。
よう我慢したこっちゃで。
というわけで医師の診察を受けて母屋の草若の部屋で寝かしてもらってる喜代美、
正典がその礼も言うと、
「離れよりあったかいでっしゃろ」と草若。
「ええ、離れの寒さは身に染みて知ってます。6人で雑魚寝してても寒くて仕方ありませんでした」
などとイヤミを言うでもなく、ここで改まる正典、
喜代美を弟子にしてやってくれと頭を下げて頼み込み……
やがて差し出すカセットテープ。
その謂れを聞き、思い出す草若……
20年余り以前の小浜市民会館での落語会。
終演後、ロビーで公演の録音が欲しいと頼む客が。
困った様子の係員に、ふと通りがかった草若、
録音があるなら差し上げたらええやん、減るもんやないしかまへんかまへん……って、
そうやったんか、あれは盗み録りやなかったんか。
そりゃそうや、映画館に行ったら、
違法な録画・録音は犯罪ですって流れてるこのご時勢に、
まさか天下の公共放送がそんな違法行為を描けませんわなあ。
いやそれにしても、なんと気前のいい若き日の草若師匠。
若いうちからいまと同じように貫禄のあった彼がその客の話を聞いてみると、
息子が今日、私の後を継いで若狭塗り箸の職人になるって言ってくれた、
その特別な日の記念に……と語るその客こそ若き日の、
いや、若くはないけど髪や髭に黒さの残る正太郎。
……自分が塗り箸の修行をやり直したのも、喜代美が落語に出会ったのも、
すでてあの日の落語会を聴きに行ったからだ、と正典。
「亡くなった父が私や喜代美の進むべき道を照らしてくれとる気がするんです」
そう言ってひたと見据える正典に、草若の心も揺れ動くのか……
肝心のヒロインはぐっすり眠り込んだまま明日へ続く。
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アホふれあうも故郷の縁

2007-11-22 23:28:16 | 「ちりとてちん」口三味線
さて、昨日の続きでお天気キャスターを務める清海。
しかし昨日の「寝床」の15インチ(推定)のテレビと違って、
今日は28インチ(推定)の、しかもワイドテレビ。
それを見つめるのは清海の両親と兄。
そう、ここはもうひとつの和田家の居間……というかリビングですな、こりゃ。
暖炉があったり、家具調度品の一切が見るからに社長宅って感じのインテリア。
お父さんはブランデーなんかくゆらしちゃって、まるでジャズでも聴きそうなイメージ。
お母さんは紅茶飲んで、アホの友晴はケーキなんかぱくついて、
それでも家族揃って娘の仕事を見守り……って、
しかし小浜で大阪の民放が映るんでしょうかねえ?
まあ京都の中継局のがぎりぎり受信できるでしょうかねえ。
近畿地方の天気予報のなかで、たいてい福井の予報もしてるし……あ、そうそう、
近畿と福井といえば、昨日書いたことでちょっと訂正というか、
昨日の回のなかで、糸子が小浜の家で家族に報告する場面があるのがおかしいとか書きましたけど、
まあ大阪と福井の距離からすれば、おかしいとは言い切れませんかねえ、あれは。
でもあの和田家の場面はだいぶ表が明るそうでしたからねえ。
12月にあの陽の差し具合は、午後4時が限界でしょうか。
この日、草若が天狗芸能会長にオフィスで挨拶したのが午前9時として、
それから帰宅して喜代美が落語家になる宣言して、
他の家族たちがバンで帰って糸子と大根おろし競争して、
それから糸子だけJRで帰って報告するのが午後4時……うむ、
まあ不可能ではないですかねえ。
相当な過密スケジュールやけど、このドラマ自体中身が濃いから、
まあ登場人物たちもそれぐらい我慢してもらうとして、
えー、それで話を戻して、
この家族団欒の場で友晴がアホっぷり全開。
冬休みぐらい工場手伝ったらと父親に言われ、「何で?」やて。
「跡継ぎの自覚あるのか?」って訊かれ、「わかっとるわ、うっさいなー」やて。
ああ、どこでどう育て方を間違えたのか、このアホぼん。
まさか月に70万も小遣いもらってへんやろなあって心配になったりして。

さて、そんなアホはおいといて、こちら草若宅。
喜代美がしつこい子と思われるのも厭わず、またまた弟子入りを申し出ますが、
その口調が「お邪魔してもよろしいでしょうかっ……失礼しますっ」みたいな感じで、
まるで棒読み。
動きもなんやギクシャクしてて、これもまた一見アホに見えるけど、
いや、そうじゃなくてこれは緊張感の表れなんでしょうねえ。
そんな風に真剣にお願いして頭を下げる喜代美に「無理やて」と草若。
すると喜代美、「決め付けんといてください!」と感情をあらわにし、
子供のときからすぐ投げだすんやさけって言われ続けてきたけど今回は絶対に諦めないと宣言、
例のテープを手に取り、これに導かれてこの家へ、師匠さんのところへ来た……と、
そう続ける喜代美を喜六呼ばわりして草若曰く、
弟子にすると家賃を取れない、家賃収入なくなったら酒が飲めない……
そう言って席を立つ草若を追いかける喜代美の、両手バタバタさせる仕草はやっぱりアホか、
そして立ちはだかる草々にぼーんとぶつかりでーんとひっくり返る様はやっぱりアホとしか……
しかし、やがて縁側に並んで腰かけ、喜代美に説明する草々、
師匠は3年も落語から離れてたから自分の芸に不安がある、
そんなときに新弟子とって育てることなんか出来ない、
自分も3年のブランクを感じてる、草原も四草もそのはずや……
それを聞いて考え込む様子の喜代美。
そう、草々の言うとおり、
稽古中の四草、大好きなはずの「算段の平兵衛」が途中で詰まってしまって言葉が出ず……
「申し訳ありません平兵衛さん」なんてあちらの方に平謝りしたりして、
あんたは平兵衛の弟子なんかいな。
ちなみに「二十五両……」とつぶやくときの頬に手をやる仕草はまるで米朝師匠直伝みたいやったけど、
それはともかく、彼に稽古をつけてた草原も同じように忘れてしまってて……
そういえば喜代美が弟子入りをお願いするときも、
彼女が入ってくる前に、草若が「愛宕山」をひとりでくってて、
なんか納得いかなそうな様子やったし……
ああ、それぞれにとってなんと長いことかこの3年のブランク。
ついでにフランク永井もブランク長いなあって、これは上岡龍太郎が昔言ってたダジャレですけど。

さて、場面変わって店頭のボブスレーを変に目を凝らして、
細かい埃を執拗に取り除こうとするかのごとく真剣に磨く糸子。
そこへ順子の母がやってきて、喜代美が落語家になるものと、
そして父親は猛反対してるものと勝手に決め付けて、
しまいには正典のことをマタギ呼ばわりして、
でもってそこへ現れた正典は確かに青い縞のちゃんちゃんこがマタギに見えたりして、
そしてあわてて帰る順子の母が「雀のお松」と呼ばれてることが判明したりして、
枝雀師匠なら「ぱーぱらぱぱぱぱぱぱーぱらぱぱぱぱぱぱーぱーぱーぱーぱー……」とでも表現しそうな、
そんな喋りなんですな、つまり。
というわけでマタギの正典が店の敷居を跨ぎ、喜代美のことで糸子とまた揉めだし、
すると、すぐ投げ出す子やった喜代美も今度はそうやない気がする、と糸子。
顔を近づけて「何でや?」と訊く正典。
糸子の答えは、なぜか自信ありげに「……なんとなく」

そして相変わらず仕事らしい仕事もせずに、奈津子の部屋でお茶なんか飲みながら、
弟子入りのことでまた愚痴なんかこぼしてる喜代美。
ところが机に向かってる奈津子も今日は仕事らしい仕事もせずに、
ずっとブラインド越しに差し込む夕日を浴びてぼけーっとしていて、
「フーテンの40男はないやろ奈津子……」って、
自分の理想とは裏腹なこの感情に苦悶する、
あらまあ、これぞまさしくラヴ・イズ・ブラインド……って、ちょっと違うか。
しかし徒然亭一門復活の企画はどうなったんか知らんけど、
次の企画は「恋に恋して」ですかいな、まったく。
ともあれ、一応喜代美の話は耳にしてたらしい奈津子、
何のことやらわからない彼女をごまかして、
「師匠さんだけが男……落語家やない思て、視野を広げてみたら?」とアドバイス。
すると早速実行する喜代美、
「延陽伯」に押しかけ、四草を差し置いて天狗座への出前を引き受け、
そのついでに場内で落語を聴いて……って、
そうやったんか。
四草はまだあの店に住み込みしとったんかいな。
まあ落語家に戻ったからって、いまの状況じゃあ食べていかれへんからねえ。
ちなみにあの女とのよりは戻ったんだかどうだか。
そして夜、自室で、あれは「掛取り」ですか、
聴いた噺について辞典で調べてノートに記し……って、
しかし高座のめくりの名前とノートに書いてる名前と、演者が違ってるけど。
まあとにかく熱心な喜代美……しかし、
「寝床」で草若師匠をはじめ一門が揃って、あれは落語談義に花を咲かしてるんでしょうか、
お咲はんも上体をかがめてより強調しながらにこやかに見つめてる、
そんな輪のなかには入れない喜代美。
目が合った草若とも何か気まずそうな雰囲気になってしまったりして……。

ところ変わってテレビ局のロビー。
12月にしては季節はずれの記事が載ってるスポーツ新聞を読んでる小草若に、
声をかけたのは清海。
これから一緒に仕事するので挨拶する彼女に、知ってるでーと小草若、
喜代美を通じての縁が明かされ……と思ったら、
そこへ現れる友晴。
アホぼん同士の因縁の対決再開か……と、
しかしなんでいちいち「株式会社若狭塗り箸製作所」ってフルネームで言ってるんだか、
とにかくさらに縁が絡まってややこしくなる小草若、
悔し紛れに、「喜代美ちゃんなあ、俺の身内になるかも知れへんどー」……って、
彼だけは3年のブランクとは無縁なようで。

というわけで喜代美の部屋を訪れる友晴。
しかし「愛宕山」のテープを書き起こしてた喜代美、
いくら突然の来訪とはいえなんちゅー驚きようやねんな。
で、落語家になるってホンマかと訊かれ、うんと頷く喜代美。
すると友晴「そんなもん女がなるもんやないやろ」って、
ああ、出ましたねえ。
いや、草若が喜代美の弟子入りを断る理由として、
今日の草々の説明とか、他にもあるかも知れんけど、
ひょっとしてこれもあるんちゃうかなーって思ったりしてたんですよ。
女は落語家に向かない、って。
いや、これはねえ、
もちろん頭ごなしにそういうことを言ったりすると、
現代ではちょっとジェンダー的に問題のある描写になってしまう恐れがあるわけで、
しかし今はもちろん、15年前のこの1992年の時点ではなおさら、
そういう偏見は実際にあるわけで、そこを避けて通るのも何やら不自然で、
そして実は僕自身にもその偏見は皆無とはいえなかったりして……って、
まあそれを話し出すと長くなってしまうので省きますけど、
とにかくそういう、いわば具合の悪いところをこのアホの口から語らせるのは、
これは巧い手といえましょうかねえ。
というわけで改めて、次期社長夫人になったらええんやって迫るアホ。
しかし……ポロッと心情を打ち明けてしまうアホ。
「ホンマのこというたら俺、自信ないんや……父さんみたいになる自信……」
つい弱音をこぼすアホをじっと見つめる喜代美。
「ほやけんど、お前が俺の横におってくれたら、がんばれる気ぃするんや……」
ああ、アホぼん一世一代の決め台詞。
……しばらく俯いた後、キッと顔を上げて、
友晴を見つめて「ありがとう」と喜代美、
しかし笑みを浮かべる友晴に以前のような誤解を与える隙を作らず、
きっぱりと申し出を断り、
「決めたんや、私は師匠さんの落語を受け継ぐって。受け継いで伝えていくんやって」
……不安はあるけど最後まで投げ出さずにやってみようと思う、
だから友晴も立派な若狭塗り箸製作所の社長さんになって……って、
何で喜代美もいちいち社名を律儀に言うのかわからんけど、
とにかくちょっとしょんぼりの友晴。
しかし喜代美の、挫けそうになったらきっと友晴のことを思い出すとの言葉に、
やがて友春の顔に笑みが戻り、
喜代美も目に涙を浮かべて笑みが……って、
ああ、何でアホ同士のやりとりでこんなにしみじみさせられるんやろか。
まあたまにはアホにほっこりさせられるのも悪くないか……いやまあ、
とにかく、喜代美の落語への想いが、友春の家業への自信につながれば、
そしてそのことによってまた喜代美の想いもより強くなれば、ねえ。
しかし喜代美も自分よりアホに向かってはホンマにええこと言うなあ……って、しつこいですけど。
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袖にするつれなさも師匠の演技

2007-11-21 23:36:18 | 「ちりとてちん」口三味線
……かな?
どうなんやろ?
とにかく、喜代美の弟子入りをあっさりと断った草若。
「何でですか? 何でアカンのですか?」
にじり寄ってそう問い詰める喜代美に、草若はひと言、
「んー、しんどい」
そして糸子に気ぃつけて帰ってくださいって、追い返すような素っ気無い挨拶して、
そそくさと席を立つ草若。
残された喜代美、がっくり。

さて、しばらくして縁側では改めて草々の断髪式。
じーっとハサミを見つめる四草がまるでスウィーニー・トッドのように思えたのか、
俺がやるからと取り上げる草原。
小草若は喜代美が妹弟子やったらと妄想に入り、
なぜか、袖ふりふりの衣装の喜代美。
そしてなぜか、小草若のパジャマは、
長いまくらを妄想したときの喜代美と同じもの。
アホ同士、発想が似通うもんなんだかどうだか。
そんな小草若は仕事に行くといって、四草に運転せえとキーを放り、
「僕も妹弟子が欲しいです」という四草の思いはしかし小草若とは違って、
自分がいちばん下の弟子ってのが嫌なだけなんでしょうねえ、たぶん。
いや、彼のことやから実は何考えてるかわからんかな。
さて、草原とふたりっきりになり、
喜代美の弟子入りのことをどう思うかと彼に訊ねる草々。
「誰であれいまの師匠が弟子とらんのは当然や思うけど……」と草原、
そう、天狗芸能から干されてるいまの状況じゃあねえ。
たぶん草若が断ったのにはそういう配慮があったんやと思いますけど……
と、続けて草原、
さっき苦し紛れにハンドミキサー持ち出してきた喜代美に、
夕べの師匠の愛宕山を思い出した、
本人は大真面目にやってるところが笑えてしまう、
そんな落語の世界の住人のようなところが喜代美にはある……と、
ヒロイン像の造形の本質を突いた指摘を。
ふむ、と少し頷く草々、
やがてバサッと髪を切られ、
こういうときは大胆にいくもんやという草原に、
「高座のときと違うやないですか」って、また兄弟子の気にしてることを。
……しかし「夕べの師匠の愛宕山」って、
放送上はあれからもう4日経ってるのに、
お話のなかではまだ翌日なんですねえ。
まだ翌日なのに、次のシーンでは小浜の和田家で、
遅れて戻ってきた糸子が経緯の報告してますよ。
あらら、アホは時空も軽々と超えてしまうのか。
まあそれぞれに喜代美の身を案じてる和田家の面々ではありますが、
しかし大阪との行き来はすべて竹谷の定期バンで済まそうとするかのようなこの一家。
なんや、こうして家族揃って居間で団欒してるのも、
同じ部屋にいたほうが光熱費が安くつくから……とか思ったりなんかして。

そのころ喜代美は久しぶりの順子電話相談室。
諦めるのはいややけどしつこい子や思われるのもいややって、
駄々っ子みたいな喜代美のぼやきに、
うるさそうにしながらも適切なアドバイスを送る順子。
それを聞いてケロッと明るくなる喜代美の、ああ、なんと単純なことよ。
いや、この持ち前の能天気さも落語の世界の住人の気質を表してるといえましょうかねえ。
でもって、喜代美は師匠宅で障子の前で行ったり戻ったり。
そう、やっぱり諦めるのはいややけどしつこい思われるのもいや……って、
まあねえ、なかなかアドバイス通りには行かんわなあ。
うんうん、しつこくするのは逆効果やろけど、
かといってこちらから連絡しなかったら何も進展せえへんもんなあ。
迷うんよねえ……って、それは話が違うか。
まあそうやってうじうじしてる喜代美に声をかける草々、
振り返った喜代美が目にしたのは……
鎮火した草々の頭。
左右揃えようとして切り過ぎたという焼け跡のようなその頭に、
しかし喜代美のあの笑顔はなんや、改めて惚れ直したような感じですなあ。
そんな自分のスケベッ面にハッとしたのか頬に手をやったりして、
やがて草若師匠に稽古をつけてもらう草々。
師匠と対面して「愛宕山」を演じる草々を、
廊下からそっと窺い、真剣に見つめたかと思ったらまたスケベそうな笑みがこぼれる喜代美。
しかし、舞妓の簪を説明するところで少し噛む草々、
それを聞いて……いや、これは偶然の産物でしょうけど、
とにかくここで退屈そうにあぐらをかき、やがて不貞寝してしまう草若。
草々、がっくり。
そっと引っ込む喜代美。
しかしこの草若師匠、草原の「寝床」にも不貞寝したり、
四草の「崇徳院」では居眠りしたり、
小草若なんか、何の噺かもわからんまだ冒頭部分から「便所」といって席を立ち……
そんな稽古の様子、いや、これが稽古と呼べるのかどうか、
ひょっとして草若はホンマに弟子をとるのがしんどいだけなんやろか?
とにかく覗き見ていた喜代美の不安げな表情。

というわけで「寝床」で草々を除く弟子たちに訊ねる喜代美。
「なんでも訊き、100こ訊き」と小草若はいうけど、喜代美の訊きたいことはひとつ、
「師匠さんの稽古って、いつもあんなんなんですか?」
沈んだ様子で頷く弟子たち。
見てて胃が痛くなったという喜代美に草原「それは師匠の弟子には向いてへんのでは……」
「褒めるのも貶すのも遠まわしですからね」と四草、
続けて、弟子入りが許されたことにしばらく気がつかなかったと、
当時のことを説明するうちにふと、思い出に笑みがこぼれ……
しかしハッと気付いて少し動揺したような四草。
続いて草原の話も聞き、
「いきなり稽古つけるいうことが弟子にしたるいうことなんですか?」
ははーん、なるほどねえ、
ということはいつか、いきなり草若が喜代美に稽古つける日が来るっちゅーわけですな。
などと先読みしたところでそれがどのように描かれるのかはまったく見当もつかない、
ホンマに油断のならんこのドラマですけど、
と、このやり取りを聞いた常連たちはこぞって止めときといいまして、
するとお咲はんがカウンターにもたれるポーズで、
あの辺がええ按配になってるやろけど菊江が邪魔でよく見えなくって残念な。
いや、とにかく咲がつけたテレビにはクリスマスのイルミネーションが映し出され、
すると画面に釘付けになる喜代美。
イルミネーションをバックに天気予報を伝える、
なんか、よみうりテレビ辺りで見たことがあるようなこの光景、
そのキャスターを務めるのは……
この同姓同名の和田清海が喜代美と幼なじみと聞いて大げさに驚く一同。
「辛い学生生活やったんでしょうねえ」と背後でいう四草をキッと振り返ろうとする喜代美。
なんでと小草若に訊かれ「ちょっと考えたらわかります」って、
久しぶりに平兵衛っぷりを発揮してますけど、
そういえば小草若に運転せえっていわれて、ボソッと「死んだらええのに」なんていうてましたなあ。
まさか四草が本物の平兵衛になるってな展開にはならんでしょうねえ?
と、そこへ遅れて現れた草々も、たちまち画面の清海に釘付けになり……
久しぶりのこの関係に曇る喜代美。
しかし以前のように、ひとり落ち込むだけではなさそうな……
「やっぱりいやや……もう脇役はいやや……」
今度はこの想いをバネにして、
主役の道を目指して突き進んでくれるんでしょうか喜代美。
目の前の難関を掻き分けて落語家への道を、
草若の弟子への道を歩んでくれるんでしょうか、
難関を掻き分け掻き分け……
しかし僕は清海ちゃんと一緒に雪掻きしたいなあー。
クリスマスに、雪だけやなくていろんなとこ掻きあったりなんかして。
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大根おろしあうも勝負の3分

2007-11-20 22:42:31 | 「ちりとてちん」口三味線
というわけで落語家になる宣言した喜代美。
自分の将来の道をはっきりと見定めた喜代美。
これぞ自分の歩む道と、真剣に、涙も浮かべて宣言する喜代美……と、
彼女の人生の一大転機を、それに相応しく大真面目に描くかと思いきや。
実は自分が引き鉄を引いたようなものとも知らず、喜代美をたしなめようとする草々、
それを止めて「とりあえずおもろいがな」と傍観を決め込む草若。
正典は有無を言わせず喜代美を連れ帰ろうとし、
それに異を唱える小次郎、
落語家の家に下宿する喜代美を、洗濯物の色物のなかの白物に例えたりして、
すると小草若、色物が芸人と掛かってることに感心するけど、
しかしこれはドラマとしてはギャグの解説を自ら行ってるようなもんであまりスマートとは思えなく、
またそもそも芸界での色物とは落語家以外の芸人を指すものやから、
この小草若の解説も合ってるようで微妙にずれてたりして、
いやそんなことより雑魚寝してた弟子たちのなかでなんで彼だけがパジャマに着替えてるんやろ。
それもまっ黄色の。
まあそれはさておき、
小梅ばあちゃんが米米クラブのメンバーとして後ろで踊りたがってることをカミングアウトしたりしてる間に、
うまく説明できない喜代美の気持ちを正平が理路整然と言い表し、
それを聞いて初めて納得がいく……って、
ああ、人生の一大転機、大きな転換点がこの有様。
さすが、ヒロインにただでは見せ場を与えませんなあ。
と、そこへ竹谷が来て急かすもんやから、
ここは糸子に任せて皆は小浜へ帰ることに。
さて、どんと任された糸子は喜代美の気持ちを確かめ、
真剣に頷く彼女に「わかった、好きにしたらええ」
拍子抜けしたような喜代美に、しかし糸子の挑戦。
「ただしその前に、お母ちゃんを倒して行き」
勝負して喜代美が勝ったら好きにしてもいいとか言い出したりなんかして、
なんか時代劇か西部劇の見過ぎなんやろか。
して、その勝負はというと……
バッグから大根を取り出す糸子。

というわけで台所を借りて大根おろし競争の開幕と相成るわけですけど、
しかし何でまたバッグのなかに大根が……と考えてたら、
先日の回の若狭蕎麦のシーンで、つゆは大根おろしと何かを混ぜてるとか言ってましたっけ。
まさかそのためにわざわざ小浜から大根持参で来てたのか。
そしてその余りでいま勝負が始まろうとしているのか。
ああ、なんと馬鹿馬鹿しい勝負であることか。
なんと馬鹿馬鹿しい勝負で喜代美の人生が決まろうとしていることか。
その馬鹿馬鹿しさにさすがに呆れた様子の弟子たち、
しかし「こんなおもろい勝負見逃す手ぇあらへんで」と草若。
髪も整え無精ヒゲも剃って紋付は着てても、根は飲んだくれてたときと変わらない様子の師匠、
というわけで一門揃って観戦することに。
草々と小草若が揉めてる間に四草がスタートの合図をし、
いよいよ3分間一本勝負の始まり始まり。
喜代美も糸子もおろすおろすおろす、
ひたすらおろすおろすおろす、
おろしておろしておろしまくる大根おろし。
馬鹿馬鹿しいとはいえ真剣勝負。
そう、喜代美の将来が掛かった真剣勝負。
とても消化試合のように手を抜くわけには行かない真剣勝負……と、
これは大根おろしが消化にいいと言われてることと、消化試合とをかけてるわけですね。
などとスマートでない解説はさておき、
ひとり小草若の応援を受けるも、それも虚しく明らかに劣勢な喜代美。
「ふるさと」を口ずさむ余裕の糸子、これ見よがしに喜代美のほうを覗き込む姿は、
かつて「お母ちゃんみたいになりたない」と言われたことを根に持ってるわけではなかろうけど、
そんなベテラン主婦に負けん気を燃やすかに見えた喜代美はしかし、やがて失速し……
ああ、勝負はついたか。
さすがに糸子には敵わないのか喜代美。
大根のせいで落語家への道を諦めるのか喜代美。
もはや青首に祈るしかないのか喜代美。
しかしその青首がネックになったのか喜代美。
ちなみにこれは首とネックとをかけてるわけですね、スマートやないけど念のため。
ところが残りあと30秒となったとき、ハッとひらめく喜代美。
流しから包丁とまな板を持ってきて、
たんたんたんと輪切りいちょう切り。
続いて取り出だしたる容器に切った大根を放り込み、
ふたをし、そこに差し込むは……そう、ハンドミキサー!
ハンドミキサーの本体部を差しこみスイッチオン!
ぎゅいーんと見る見る間に撹拌される大根!
ああ、どこまでも大活躍のこのハンドミキサー!
19800円が無駄ではないこのハンドミキサー!
いまだかつてない脚光を浴びるハンドミキサー!
一家に一台ハンドミキサー!
……というわけで量では明らかに勝負に勝った喜代美。
まさに火事場の馬鹿力的な思いつきで勝った喜代美。
興奮冷めやらぬ喜代美、息も荒く「落語家になるんや、落語家に……」
「そんなセコイことまでして……」と糸子、続けて「アホ!」
呆然とする喜代美にさらに続けて「このアホ娘!」
ああ、あのアホ母にアホ娘呼ばわりされるこの何たる屈辱。
……しかしアホとは実は愛情の裏打ちのある言葉。
ひょっとしたら最初からそのつもりやったのかどうなのか……
ため息をつく糸子、「……もうええ、あんたの勝ちや」
大きく見開いた目を潤ませる喜代美。
なぜか粛然とする弟子たちをおいて、奥の座敷にくつろぐ草若。
ところが、落語家ってどうやってなるのかと訊く糸子に、
さあ……と首を捻る喜代美。
この人ぞと思う落語家に弟子入りしなければならないと草原に教わり……って、
しかし昨日の回のラストで、落語家になると宣言する喜代美の顔のアップが、
実は誰のほうを向いていたのか。
最初は草若に向かってうつむいてて、次に顔を上げて目線をちょっと左に移してそう言ってたので、
たぶん家族たちに向かって言ったんやろうとは思ってたけど、
その辺はっきりと自信がなかったのが、
今日の冒頭ではやはり家族たちのほうを向いてるところがちゃんと写ってたけど、
しかし落語家になる宣言がなんで草若師匠にキチンと言わないのかなあと思ってたら……
あんた、なり方知らんかったんかいな。
1年近くも居候してて師弟関係も間近に見てきて、
それでも弟子入りすることがわからんかったんかいな。
このアホ娘が……とは言え。

糸子に促され恐る恐る、この人ぞと思う草若の前に進み出る喜代美、
正座して両手をつき、高校のときのことからいままでの心境を語り……
「私を師匠さんの弟子にしてください」
深々と頭を下げる喜代美。
やがてこわごわ顔を上げた彼女に微笑む草若。
緊張の解ける喜代美。
しかし草若、背中に差してた孫の手を抜いて、
「お断りします」と軽い物言い。
戸惑う喜代美に糸子、
それぞれに思うところのありそうな弟子たち。
「あなたを弟子に取るわけには参りません」と優しく首を振る草若。
呆然とする喜代美……ああ、
大根おろし勝負に勝って落語家になれるかと思ったのに、
ら弟子ゅ入りは簡単にはいかないようで……って、
ちなみにこれはラディッシュと……もういいか。
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