トライ2おじさんの こんにちは!

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(エッセイ)「時間はあまりない」

2019-11-26 21:54:18 | エッセイ

久しぶりのBLGです。今回は最近書いたエッセイを載せます。
館山市の大房岬に行った時の話です。 ご意見あれば、甘辛何でも結構ですので、
コメントなり感想なりをいただけますか。
よろしくお願いします。
 

海岸の崖上にある芝生広場に出た。南側に広がる館山湾には、紺青色の海原が、まぶしい陽光の下で広がっている。



 白い帆は畳まれているが、4本の長いマストが波静かな館山湾に美しく映えている。

館山には国立海上技術学校がある。おそらく、その生徒たちの訓練に使われる、世界に誇る帆船「日本丸」だろう。船体には、特徴である一本の青い横線が真一文字に引かれている。
 房総半島南端に位置する館山市の大房岬にやって来た時の光景だ。
 この岬は、館山湾北側に位置し、海岸線に沿って走る国道127号線からおよそ2㌔突出している。幅700メートルの矩形で、南側に三日月のように膨らんでいる。県立大房岬自然公園があり、自然を愛する人たちの人気の場所となっている。
 ほとんど人影のない芝生広場で、晴天の下に広がる青い海と立派な帆船を堪能してから、北のほうに歩いて行くと、コンクリートで舗装された遊歩道が樹々に囲まれてくる。道の両側には、マテバシイの幹が70センチほどに短く切られて乱雑に多数置かれている。

一本を持ち上げてみるとかなり重い。2、30㌔ほどあろうか。周りの樹林帯には、幹の途中や、太い枝の根元から折れて、葉が茶色く枯れていたり、なかには根っこごと引きはがされて倒れていたりする樹もある。台風十五号の強風の仕業だ。

 報道によると、この地区では数多くの家が、停電、断水、家の倒壊や屋根瓦の飛散などの甚大な被害に見舞われた。特に、停電は長期に及び、屋根瓦の補修も職人や瓦が不足し、修理に取り掛かれるのが二、三年待ちの状態だという。大房岬での被害状況を目の当たりにした今は、その状態に納得せざるを得ない。
 大房岬の遊歩道は、今はきれいになっているが、台風通過直後は、なぎ倒された多くの樹木で覆われていたと聞く。そのため、チェーンソーやフォークリフトなどの重機を使って、道の入り口から少しずつ整理していったのだろう。大変な労力が必要だったに違いない。 しかも、住宅の屋根瓦や家屋の補修作業に大半の職人が駆り出されていて、遊歩道整理のための人集めができなかったとも聞く。岬にある少年自然の家の職員や県職員などの素人が、総出で倒木処理作業をしたと思うと、心から頭の下がる思いがした。
 私が大房岬に行ったのには訳がある。当初の計画では、鴨川の花嫁街道に行く予定だった。しかし、もしかすると台風影響で登山道が壊されているのではないだろうかと推測した。鴨川市役所に問い合わせると、案の定、倒木などが激しいため、安全を考えて入山禁止にしているという。そこで変更して大房岬となったのだ。
 館山市役所へ問い合わせると、一応、遊歩道を散歩する程度はできると話していた。若干の被害は想定していたものの、現実に、ここまでのダメージを受けていたとは思いもよらなかった。
「災害は忘れた頃にやってくる」と言われるが、最大瞬間風速60㎧という途轍もない強風を伴った台風十五号は、千葉県では観測史上初めての経験だった。それだけに、事前の対策など、とても考えられなかったのだろう。
 だからと言って、何もしないでは済まされない。
 世界では、ハリケーンや台風、森林火災、大地震、大噴火、それに島や都市を水没させる海水面の上昇など、甚大な被害をもたらす天変地異が、近年、数多く発生している。 私には全くその才能はなく、他人任せの言い方になるが、世界中の優秀な科学者やスーパーコンピューターなどの総力を挙げて、近い将来迫り来るであろう天変地異を予測してほしい。加えて、災害を防ぐ対策も考えてほしい。
「近い将来」と書いたが、来年にも来るかもしれない。時間はあまりない。