ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】森

2006年07月04日 19時17分24秒 | 読書記録2006
森, 野上弥生子, 新潮文庫 の-2-4, 1996年
・ひさびさに読み応えのある小説でした。何度か読み返さないと歯が立たない感じです。残念ながらそこまで時間的余裕がありませんが。
・明治の時代に生まれ、昭和60(1985)年に99歳で亡くなった著者の遺作(未完)。夏目漱石の弟子だった、とのことで年月の重みを感じます。
・著者の自伝的性格をもつ内容で、舞台は明治33年、東京にある森の学園『日本女学院』。九州から一人出てきた15歳の菊地加根の青春群像・・・・・・といいつつ途中で主人公が『園部はるみ』に移り、そのまま小説は中断してしまう。エェェ!?しばし唖然。
・「そのころの社会的なしきたりでは、女が自分の名前に「子」をつけ加えることはめったにない。あれば、高貴な婦人か、世にきこえたひとに限られたので、立松操子は、名前によっても一般の婦人とは違ったひとであるのを証拠だてていた。」p.86
・「「これが、クリスマス・ツリなのね」 加根はそんないい方をした。」p.116
・「佐緒とのめぐりあいは丁度この時期であった。横浜は海岸通りの、教会まえでのほんの行きずりに、それとて連れだっていた年うえの婦人が、佐緒も「新女性」を愛読しているのを告げたあいだの数分に過ぎなかった。しかしおたがいの今日までの生存は、ただこの瞬間を待つことにあったのを認めあうには、それで十分であった。また結婚のためには、佐緒は会津武士の娘らしいもちまえの流儀をつらぬいた。海軍武官との婚約のごときは、道ばたの石ころ一つ跳ねのけるほどにもためらわなかった。」p.150 森の学園校長・岡野直巳の若かりし頃の妻との馴れ初めのエピソード。なんともロマンチック。
・「現在の私は幸福過ぎ、弱過ぎます。いっぺん自分で自分を叩き直さなければ、駄目な人間になってしまいそうで、恐ろしいのです。このままではいけないのです」p.158
・「この場合も、言葉は思惟に先だって彼を支配した。話し終った時には、計画はゆるぎないものになっていた。」p.161
・「内村鑑三先生の、「余は日本に属し、日本は世界に属し、世界はキリストに属し、キリストは神に属す」の言葉に、あらたに感動させられる。」p.496
・「勇気の要る最初の手紙は、もとより彼から送られた。でも、まず第一に書かなければならなかったのは、社会的にも、私生活的にも、求婚の資格はすべて欠いていること、そのあいだでたった一つもっているのは彼女への愛であること。しかしそれ以上を書く必要はなかった。佐緒が求めたのもただそれのみであったから。」p.513 これまた、校長の若か(略
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?すおう【蘇芳・蘇方・蘇枋】 襲(かさね)の色目の名。諸説ある。公卿の束帯の下襲の冬の重ねの色としては表は白の瑩(みがき)、裏は濃打(こきうち)とも蘇芳打とも葡萄染(えびぞめ)ともいう。また、衣(きぬ)の表裏の重ねとしては表は蘇芳、裏は赤あるいは黄の赤みのあるもの。蘇芳襲。
?こしつ【痼疾】 1 長くなおらない病気。持病。  2 ある物事に執着するくせ。こりかたまったくせ。
?はんがく【板額】 I 鎌倉初期の勇婦。越後国(新潟県)の城九郎資国の娘。建仁元年、甥の城資盛が源頼家に対して挙兵した際、その陣頭で戦った。捕虜となっても、屈することなく、浅利義遠がその態度に感じ入って妻とした。生没年不詳。  II (Iの伝説から)体格がたくましく、容貌の醜い女を罵っていう語。
?そばかす【蕎麦滓・蕎麦糟・雀斑】 1 =そばがら(蕎麦殻)  2 (雀斑)主として顔、特に目のまわりにできる粟粒(あわつぶ)大の黒褐色の斑点。思春期以後の色白の女性に多い。雀斑(じゃくはん)。 うああ!この漢字【蕎麦滓】知らなかったぁぁ!!
?ほまち【外持・帆待】 1 (帆待)運賃積船の船乗りが、ひそかに運送契約外の私の荷物または他人依頼の荷物を運送して内密の収入を得ること。また、その収得した金銀。  2 定収入のほかに、臨時にはいる私の収入。役得などで個人的にはいる金品。  3 ひそかに貯めた金。へそくり。
?かんかつ【寛闊】 1 豊かにひろいこと。性格や気持がおおらかなこと。  2 気質、服装などのはでなこと。また、そのさま。多くは、旗本奴や町奴についていう。伊達(だて)。
?ししゅく【私淑】 (「私」はひそか、「淑」はよしとする意)敬慕する人に直接教えを受けることはできないが、ひそかに尊敬し、模範として学ぶこと。教えを受けたことはないが、尊敬する人をひそかに師と仰ぐこと。「以前から私淑している人」
?きょうがい【驚駭】 恐れ驚くこと。
?シャン(ドイツschonから)顔だちの美しいこと、また、美人をいう俗語。元来は学生語。
?ゆうぎ【友誼】 友に対する情愛。友達のよしみ。友情。「あつい友誼に感謝する」
?しんい【瞋恚・嗔恚】 仏語。三毒(貪毒・瞋毒・痴毒)、十悪などの一つ。自分の心に違うものを怒りうらむこと。一般に、怒りうらむこと。瞋。しんね。
?せんけん【嬋娟】 容姿が、あでやかで美しいこと。品位があってなまめかしいこと。「嬋娟たる美女」
?りんり【淋漓】 1 水・汗・血などがしたたり落ちるさま。  2 勢いのあふれているさま。元気いっぱいなさま。「墨痕淋漓たる筆勢」
?きぶっせい【気塞い】 気づまりなさま。けむったいさま。「きぶっせいな人」
?ようえい【揺曳】 1 ゆらゆらとゆれてなびくこと。  2 響きなどがあとに長く尾をひくこと。
?せいちゅう【掣肘】 (嚆子賤が二吏に字を書かせ、その肘をひっぱって妨げたという「呂子春秋‐審応覧具備」の故事から)そばから干渉して自由な行動を妨げること。「掣肘を加える」
?けんかい【狷介】 (「狷」は意を曲げないこと。「介」はかたいこと)自分の意志をかたくなに守って、他と妥協しないこと。人と相いれないこと。片意地。
?ぐふう【颶風】 (「颶」は激しい風の意)1 強く激しく吹く風。暴風。《季・秋》  2 四方から吹き和してくる風をいう。低気圧性の風で、その起源が熱帯にあるときは熱帯颶風といい、その強力なものが台風で、温帯低気圧の発達したものは温帯颶風もしくは温帯旋風という。
?へんがく【扁額】 室内や門戸にかかげる横に長い額。横額(よこがく)。

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