ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】科学の中の統計学

2006年05月04日 21時58分09秒 | 読書記録2006
科学の中の統計学 現代科学と統計数理の接点, (編)赤池弘次, 講談社ブルーバックス B-692, 1987年
・統計に関するセミナーの講演録を5本収録。講演者はいずれも国の研究機関の所長。よくこれだけの面子を集められたものですね。主催の赤池氏にはそれだけ力があるということか。この赤池氏の考案した赤池情報量基準(AIC)はときおり私の研究分野でも見かけます
・モロに研究者向けの講演そのままなので、そのノリについていくのは入門のつもりで読む人には多少つらいかもしれません。
はじめに 赤池弘次
・「ボルツマンの研究は、最終的にはエントロピーの確率論的解釈に導かれますが、そこに現れるエントロピーの数学的表現は、その後登場した情報量と呼ばれる量と完全に一致しています。」p.5
・「得られたデータをさまざまな角度から眺めるうちに、データの語る意味がしだいに明らかに浮かび上がってくる。これを目にした瞬間のおどろきともいえるよろこび、これこそは統計学的研究の醍醐味であります。」p.6
1.私の研究と統計学 ―フィールドサイエンスの立場から
国立極地研究所長 松田達郎
・南極での人間観察における視点の設定の仕方が、なるほどと思わせる。家族との手紙の数、ヒゲ面の数、あだ名のつけ方、流行語の変遷、アイスクリームの消費量、食堂での席順、などなど。材料が少ないと思われるような状況でも、探せば研究対象はいくらでも見つかるという好例。
・「私はそれ以来、統計学というのは、データの後始末の学問ではなくて、一つの学問を研究する際に、その学問の考え方の中に生かされるものだということを思っているわけであります。」p.21
2.数理科学と宇宙科学の接点 ―主としてエックス線天文学を中心として
文部省 宇宙科学研究所長 小田稔
・話が一番専門的。
・「赤池 もちろんデターミニスティック・シグナルがあるとして、フィットしたモデルですと、最初ガーッと揺れていて、それでだんだん小さくなって、振動しながらだんだん消えていく、そういう形になるわけです。」p.145 とっても理系のセミナーっぽい会話。。。
3.私の研究と統計学 ―言語の社会的調査を通して
国立国語研究所長 野元菊雄
・「私は統計のユーザーにすぎないと思っております。自動車の運転免許を取れば、自動車のメカを知らなくても運転できる、ちょうどそれと同じでありまして、中のことは何も知らないわけで、ただそれを使わせていただいているという立場であります。」p.151
・「この「統計の日」は10月18日だそうですけれども、」p.151 そんな日あるの~!?
4.人類遺伝学の研究と統計学のかかわり ―網膜芽細胞腫の遺伝をめぐって
国立遺伝学研究所長 松永英
5.統計数理研究の特質 ―その抽象性と具体性
文部省 統計数理研究所長 赤池弘次
・「統計数理とは統計的な概念、これはいろいろ統計的な見方、考え方をことばで表現したものでありますが、そういうものがだんだん豊かになっていくような、そういう展開を目的とした数学的な理論といったらよいのではないかと思われます。」p.219
・「今入ってきた新しいものを、必ず自分の持っている経験やその他の情報と対比する。これが統計的な見方の本質であります。」p.221
・「統計数理には、抽象的な性格と具体的な性格の二面がありまして、具体的なものとの接触を通じて抽象的な考えあるいは方法が発展させられていく、これが統計数理の研究の特質であります。」p.243
統計(数学)用語解説 鈴木義一郎
ポアソン過程:加法過程{X(t)}において、s<tという勝手な2点間での値の差X(t)-X(s)の変動が、(t-s)に比例する平均をもつポアソン分布に従うとき、{X(t)}をポアソン過程という。」p.V いやいやいや・・・これが"用語解説"と呼べるのかどうか。。。
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?蟷螂が斧(おの)を=もって 隆車(りゅうしゃ)に向かう (蟷螂が、前足をふりあげて、高く大きい車に立ち向かうの意から)弱者が自分の力をかえりみないで強者に立ち向かう。無謀で、身のほどをわきまえないことのたとえ。蟷螂の斧。

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