ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】数学的思考法

2006年10月06日 20時06分03秒 | 読書記録2006
数学的思考法 説明力を鍛えるヒント, 芳沢光雄, 講談社現代新書 1786, 2005年
・本書のメインテーマは「試行錯誤のすすめ」で、その内容ははこのテーマと数学に関連した小文・雑学で構成されています。個々の文章でみるとわかりやすく楽しく読めるのですが、それぞれの扱う内容がバラエティーに富んでいて、全体としてみるとメインテーマがボケてしまっている印象を受けました。
・「この試行錯誤の過程こそ、考える力を育てるための大切な"栄養"なのである。」p.5
・「いま日本人に求められている最も重要な能力は、「ねばり強く考える」ことと「論理的にきちんと説明する」ことである。」p.8
・「「論理的思考力は地図の説明を練習させると育まれる」とか、「入社試験では知識だけを問うような質問をするのではなく、最寄の駅からこの試験会場までどのような道順で来たかを説明させると、受験者の論理的説明力が一発で見抜ける」などと、いろいろなところで発言してきた。」p.22
・「「小学校から高校までの教育をどう改革したところで、大学入試が変わらなければなんにもならない」という話がある。たしかにそういう面がある。」p.32
・「4択、5択問題で出題者が正解を3番目に置きがちだという傾向は一般にも認められ、たとえば人々が特急列車の自由席に真っ先に座るのも、車両の端から3列目の席が最も多いそうである。」p.34
・「試行錯誤して考える楽しさを味わってもらおうと思って出題しているのだが、そんな当方の気持ちが伝わるどころか、取り組む前から「先生、これどうやって完成させるんですか?」と質問してくることがしばしばなのだ。」p.52
・「人生において本当に役立つのは戦略的思考であり、結果論的思考はせいぜい気休め程度にしかならない。」p.54
・「数学家庭教師の成功の秘訣はいくつもある。子供が何をわかっていないのか、瞬時に見つけられるような質問をすること。弱気な子供には上手にほめて自信をもたせること。反対に、「そんなこともできないのか」という素ぶりすら見せないこと。目的に至るまで長い説明を要する事項に関しては、目的とその事項が何に応用できるかを先に示してやること。等々である。しかし最も重要なのは、「やり方を一方的に説明しつづけるのではなく、なるべく時間をとって子供自身に考えさせること」に尽きる。」p.57
・「スポーツのルール改正ばかりでなく、国際的な商取引に関しても、あるいは重要な法改正についても、およそ日本人はお人好しで、規則が変更されるまではそれほど騒がず、後になってから大騒ぎする傾向があるような気がしてならない。マスコミ報道もしかりである。それではまさに「後の祭り」だ。」p.78
・「あみだくじのたて棒の本数に限らず、各自然数1、2、3、…に対して成り立つ性質を子供たちに教えるとき、「3」で教えるとだいたい一般的な性質も理解できるものである。」p.97
・「大切なことは、勉強でも仕事の課題でも何でもよいが、対象としているものに対して日頃から置換や互換の作用を意識的に想像してみることである。多くの場合はつまらないことしか導かれないだろう。しかし時として行き詰まっていた問題に突破口が見つかったり、重要なことの発見につながったりする場合があるのだ。」p.104
・「このような状況にもかかわらず、日本の教育はこれまで「学年別」という類別を死守してきたのである。一部の生徒にとっては退屈でたまらない数学の授業も、一部の生徒にとってはちんぷんかんぷんである。そのような授業を延々と続けてきたのであるから、相当多くの生徒たちが、ひたすら静かに我慢を強いられてきたのに違いない。」p.113
・「「(対象とするものには)有意水準5%で~という性質が認められる」ということは、「対象とするものに~という性質は認められないと仮定する。しかるに、年単位で行っている農業実験で20年間に1度、あるいは何らかの試行で20回に1回起こるか否かのような珍しい出来事が起こった。それゆえ対象とするものには~という性質が認められると考えよう」ということである。」p.127
・「どうやら人は「3番目」を好む性質が認められるようなのである。」p.129
・「グー、チョキ、パーを出す確率は、数学の問題ではそれぞれ1/3と暗黙に決めているが、実際には「傾向」があるはずだ。そこで学生に協力してもらってデータをとってみると、のべ1万1567回でグーは4054回、パーは3849回、チョキは3664回であった。(中略)有意水準1%で人は「グー」を出しやすいのである。」p.129 おおー。これは使える。
・「欧米の若者は約7割が「数学は生活に役にたち面白い」と考えている一方で、日本の若者でそのように考えているのは、よくて3割程度なのである。」p.150
・「「すべての正の数qに対して、ある正の整数nがあって命題P(q,n)が成り立つ」 この文の否定文は次のようになる。 「ある正の数qに対しては、どのような正の整数nをとっても命題P(q,n)は成り立たない」」p.154
・「UCLA教授の大前研一氏は、「日本人留学生の中にも英語がペラペラの学生はいるのだが、そういう人たちもディベートとなると黙ってしまう。そもそも日本人には論理的思考に基いて議論をする習慣がない」と述べている。」p.156
・「また、「5%」がよく使われる由来は、「農業実験からであると言われる。」」p.175
・「日常の買い物、学習、仕事などでさまざまな見通しを立てるときも、多くの場合は直線的に考えている。ところが実際は、「ロジスティック曲線」に従う現象が思いのほか多いのである。」p.180
・「作文も英作文も証明も、恥ずかしがらずに積極的に書いていれば必ず上達するものだ。「書くは一時の恥、書かぬは末代の恥」なのである。」p.184
・「ところが日本では、右の例の3次元めの"時間"の軸をあまり重んじていないように思える。外国のほうが、家庭のルーツから現在の社会問題まで、より昔に遡ったところから時間的な流れに沿って説明しようとする。」p.189

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