ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】不思議な猫たち

2006年08月26日 16時20分31秒 | 読書記録2006
不思議な猫たち, (著)アイザック・アシモフほか (編)J.ダン&G.ドゾワ (訳)深町眞理子ほか, 扶養社ミステリー タ7-2, 1999年
(MAGICATS II Edited by Jack Dann and Gardner Dozois)

・「本書は猫にまつわるファンタジー、ホラー、SF、ミステリなどの短編を集めたアンソロジー Magicats II(Ace,1991)の全訳である。」p.359 アメリカで活躍している作家たちによる。アシモフと最近ゲド戦記が話題のル・グィンくらいしか名前を知りませんでした。著者紹介を読むと皆、かなり実績のある作家のようです。したがって、その小説も密度の濃いものが揃っていて、もし『山月記』が混じっていても違和感無さそうなほど。

<収録作>
1.猫の創造性 フリッツ・ライバー(深町眞理子訳)
 Kreativity for Kats / Fritz Leiber
2.つややかな猫たちのジグソー・パズルに見立てた人生 マイクル・ビショップ(浅倉久志訳)
 Life Regarded as a Jigsaw Puzzle of Highly Lustrous Cats / Michael Bishop
3.焔の虎 タニス・リー(酒井昭伸訳)
 Bright Burning Tiger / Tanith Lee
4.かわいい子猫ちゃん アイザック・アシモフ(田中一江訳)
 I Love Little Pussy / Isaac Asimov
5.猫と話した少年 ウォード・ムーア(山口緑訳)
 The Boy Who Spoke Cat / Ward Moore
6.ジャガー・ハンター ルーシャス・シェパード(小川隆訳)
 The Jaguar Hunter / Lucius Shepard
7.マダム・フロイの罪 リリアン・ジャクスン・ブラウン(羽田詩津子訳)
 The Sin of Madame Phloi / Lilian Jackson Braun
8.硝子の檻 パメラ・サージェント(黒田直見訳)
 The Mountain Cage / Pamela Sargent
9.メイのクーガー アーシュラ・K・ル・グィン(小尾芙佐訳)
 May's Lion / Ursula K. Le Guin
10.草の色、血の色 R・V・ブランハム(新藤純子訳)
 The Color of Grass, the Color of Blood / R. V. Branham
11.多言無用 ジョン・コリア(伊藤典夫訳)
 A Word to the Wise / John Collier
12.パスクァレ公の指輪 アヴラム・デイヴィッドスン(浅羽莢子訳)
 Duke Pasquale's Ring / Avram Davidson

・「ウエインは、施設にはいっていた15年間に、とげとげの毛の生えた大目玉の猫をたくさん描いた。そのまわりをあざやかなネオン色のオーラや電場で飾った。絵の背景は幾何学的な、手のこんだものになった。いまの人間が見ると、コンピュータ・グラフィックかと思うぐらい。とにかく、発狂してからのウエインの絵は、正気の時代のクソみたいな絵とはダンチ――ずっと激しく、強烈なものになった」p.55
・「きみは新しいピカソになれないけど、ウエインを苦しめたような恐ろしい精神分裂病になるおそれはない。きみの絵でいちばん奇妙なのは、猫が天井を歩いてること。」p.55
・「いままでヘミングウェイはあまりおもしろいと思ったことのないわたしだが、その一週間後、わたしはインドの強烈な陽ざしを浴びながら、ベランダで『老人と海』を読み返していた。漁師と巨大で美しいカジキとの関係は――批判者が指摘しているように、必要以上に愚かで気まぐれで、不注意だったが――ペターサンがわたしに明かしたのと同種の神秘性を、きわめて力強く描きだしていた。だが、なにかを殺すために名誉と愛と哀れみの気持ちをいだけるのなら、殺さずにおくことはもっと簡単なはずではないか。」p.77
・「ふつうの猫と同じように、マダム・フロイは三つのルールにのっとって暮らしていた。いかなる革新も、受け入れる前に三度は拒絶すること、あきらめる前に障害に三度挑戦すること、どんな行動も飽きるまで三度やってみること。」p.211
・「魔物ノ思惑ハ人ノソレト同ジナラズ。」p.304
・「ヘロドトスによれば、猫が死ぬと、家族は眉毛を剃りおとし、愛猫の死体を神都ブパスティスの霊廟に運んで、ミイラにしてから埋葬したという。19世紀なかばに、こうしたミイラが30万体も発掘されたことがあり、一部は肥料用に砕かれて、イギリスに運ばれた。(中略)もっとも、猫の死体を肥料にするという発想には、魔術的な効果を期待していた節がある。というのも、ヨーロッパでは古くから、土地を肥やすために猫を用いていたからだ。要するに、生け贄として畑に埋めていたのである。」p.360
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?かくえき【赫奕】 光り輝くさま。また、比喩的に、物事が盛んなさま。雄大なさま。かくやく。
?ろうこう【陋巷】 むさくるしく見苦しい町。狭くきたない町。また、俗世間。

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