ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】私は赤ちゃん

2006年02月28日 18時12分23秒 | 読書記録2006
私は赤ちゃん, 松田道雄, 岩波新書(青版)377(C136), 1960年
・「私はおととい生まれたばかりである。まだ目は見えない。けれども音はよく聞こえる。この産院でおこるいろいろのことも、気配でわかる。」p.2 どこかで見たような書き出しで始まる本書は、『もしも赤ちゃんがしゃべれたら』が実現するとこうなります、という内容。医師である著者が朝日新聞に連載した文章に加筆したもので、2ページ読みきりの形になっている。
・そして赤ちゃんは毒舌である。→「どうしてそんなに他人の生活に興味をもつんだろう。自分の生活が空虚なんだね、きっと。」p.3 大人が言えば角のたつ言葉も、赤ちゃんが言っていると思えば許せてしまう。
・40年以上も前の本なので、記述に時代を感じる部分もあるが、親子の関係については色あせたところは無い。 自身は子育て経験はなくとも楽しく読めたが、内容の信憑性についてはよくわからない。経験のある人が読むと、また全然ちがう感想を持つのだろう。好著。岩崎千尋の挿絵もよい。
・「よい医者というのは、病人を大船にのった気持にさせておいて、そのあいだに病気を治してしまう医者だ。いくら病気を治しても、病人とケンカわかれしてしまうようなのはヤブといわざるを得ない。」p.5
・「サラリーマンであるパパ族が、あまりクタクタになって帰ってくることは、私たち赤ん坊族にとってははなはだ好ましくない。ママに一〇〇パーセントのサービスを要求するから、私たち赤ん坊族には恐るべき競争者があらわれたことになる。」p.13
・「育児書に何と書いてあろうが、自分の家庭で実行できないことは何にもならない。自分の家庭の生活に一ばん都合のいい仕方で赤ん坊を育てて、それで赤ん坊が元気よく育てば、それが一ばんいい育児法だ。」p.37
・「ところが例によって親のわるいくせだ。自分のほうでよくないことをやっていて、それをみんな赤ん坊がわるいためと考える。」p.40
・「だがママが電気製品の利用で余暇が多くなるにしたがって「育児過剰」になる危険を多分にもっています。育児の本をいく冊も買って読みくらべているなどというママもたしかに過剰型です。ご用心なさい。」p.119
・「危険の起こらない条件を用意しておいて捨て育ちにするというのが赤ちゃんをうまく育てるコツです。」p.119
・或る犬嫌いの主張→「人間を愛することのできない人間が犬を愛するんだ」p.155
・「ゼンソクちゅうもんは大てい相場がきまってますにゃ。秘蔵の子がいて、おばあさんがいやはって、その子がタンがたまるたちやったら、きっとゼンソクにしてしまいますわ」p.180
・「私がきてから、収入がへったいうてこぼしてはったさかい。私は、子供を泣かさんとなおそう思うよって注射をやりませんやろ。ところが今の保険ちゅうのは、注射せんともうからんようになってますにゃ。それに、皮下注射より静脈注射するとまた点が多いんですわ。」p.187
※おことわり:現在、育児書を読まなければならない状況にある、とかそういう訳ではありませんので悪しからず。一応念のため。

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2 コメント

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育児書って・・・・ (こぶたった)
2006-02-28 20:58:29
素晴らしい(いわゆるハウツー物でない)育児書はそれだけでも十分な示唆を与えてくれます。ううむ。本当に子育ては大変なんだなあ・・・・・。

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>育児書 (ぴかりん)
2006-02-28 22:58:07
この文章を読んでる人間は誰もが通ってきた道。



自分も夜中に泣いて親を寝不足にしたんだろうなぁ~

覚えてないけど。

感慨深いです。
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