ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】悲しみよこんにちは

2006年03月15日 07時36分03秒 | 読書記録2006
悲しみよこんにちは, サガン (訳)朝吹水子, 新潮文庫 サ-2-1, 1955年
(BONJOUR TRISTESSE)

・なんとなく書名は聞いたことがあるけれど内容は知らなかった世界名作シリーズ。
・本書の解説→「太陽がきらめく、美しい南仏の海岸を舞台に、青春期特有の残酷さをもつ少女の感傷にみちた好奇心、愛情の独占欲、完璧なものへの反撥などの微妙な心理を描く。」カバーより  「著者が十八歳ののきに書いた処女作で、フランスの一九五四年度の「批評大賞」を獲り、フランスだけでなく世界各国のベストセラーズのひとつとなった。」p.153 だそうです。
・登場人物
  セシル(17才) 主人公
  レエモン(40才) セシルの父。妻と死別。
  エルザ(29才) レエモンの恋人。セシル親娘と3人で同居。
  アンヌ(42才) 過去のセシルの世話係。
  シリル(25才) セシルの恋人
南仏の海岸にある別荘での夏休みの出来事。五角関係とも言うべき、登場人物の複雑な愛憎関係を、感性のカタマリのような敏感な少女の目を通して描いた物語。
・『南仏の海岸』ていわれてもなぁ・・・もちろん行ったことなんてないので、情景がサッパリ想像できない・・・orz
・本文第一行目 「ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名をつけようか、私は迷う。」p.6 冒頭から全開です。(なにが?) 最終行との見事な呼応。ヤラレタ。
・「「どうしてそんなに元気がないの? 僕の可愛い奴、お前は野生の子猫のようだよ。僕はいい体つきをしたブロンドの娘が欲しいよ。少し太った、陶器のような目を持った。そして……」」p.12 父親から娘にかける言葉なのですが、、、ありえない、、、日本人だとこの発想は逆立ちしたって無理。
・「「あなたのいうインテリジェンスは、要するに年齢ってことじゃない」」p.20
・「「あなたは恋愛について少し単純すぎる考えを持っているわ。それは独立した感覚の連続ではないのよ」(中略)「それは違ったことなのよ。それは、ある人の不在を強く感じること」」p.35
・「私は『自分自身で在る』と言うことはできない。なぜなら私はこねることのできる粘土でしかなかったが、鋳型を拒否する粘土だった。」p.62
・「初めて、私は不思議な快楽を知った。一人の人間の内部まで入り、見きわめ、その人間を光の下に連れ出して、そこで相手の急所を射る、という快楽を……。」p.82
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?シニスム(フランスcynisme)=シニシズム(英cynicism) ギリシア哲学のキュニコス派の立場。また広く、ものごとを冷笑的にながめる見方。犬儒主義。
?シャルマン(フランスcharmant) 魅力的な様子。魅惑的なさま。チャーミング。

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