ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】星を継ぐもの

2006年09月22日 19時08分14秒 | 読書記録2006
星を継ぐもの, ジェイムズ・P・ホーガン (訳)池央耿, 創元推理文庫 663-1, 1980年
(INHERIT THE STARS by James Patrick Hogan 1977)

・「月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行われた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、五万年以上も前に死んでいたのだ。謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。
・SFの名作。SFなんて読むのはいつ以来だろうか・・・名作だけあってさすがにおもしろく、SFを堪能させてもらいました。上は扉の紹介文ですが、この数行だけでワクワクしてきませんか?
・時代は2020年代、原子物理学者ヴィクター・ハント(主人公)が謎解きに挑む。脇役である融通の利かない、いわゆる"嫌な奴"の生物学者ダンチェッカーがとってもいいキャラしてます。外伝とか書けそう。
・読了後、「あの話はどうなったんだろう・・・」という疑問点がいくつかありましたが、これは続編の方ではっきりするのでしょうか。続編要チェック。
・「エアカーの機種に格納されたDECミニコンピュータはポートランド地域交通管制センターの地下のどこかに設置されているIBMの大型コンピュータを呼び出し、」p.36 IBMはまだ残っていますが、DECはもう消えてしまいましたね。。。
・「「われわれは科学者ですよ。神秘主義者の集まりではないのです。」教授は言った。「科学の方法において最も基本的な原則は、観察された事実が、すでに確立された理論によって充分説明し得るものである限り、新たな思惑による仮説は考慮するに値しないということです。宇宙全体を導く超越的な力などはここ数十年の探査、研究によっても明らかにされてはおりません。これまでに観察された事実は私が大略お話いたしましたとおり、従来の理論によって充分に説明できるのですから、ここでこと新しく別の考え方を持ち出したり、こじつけたりすることはありません。超越的な力であるとか、摂理であるとかいう考えは、観察者の歪んだ意識の中にあるのであって、観察の対象となった事実の中にあるのではありません」」p.88
・「「人間の適応は種々な点で完成には程遠いものです。内臓の配置などはまだまだ改良の余地があります。というのも、もともとこれは上体が水平に置かれた動物に適した構造として発達したものを人間が受け継いだからであって、直立の姿勢には不向きだからです。例えば、呼吸器系を見ても、老廃物や汚染物質は咽喉部に溜まって、本来は対外に排出されるはずのものが、体内に排出されています。これが四つ足の動物には見られない気管支や肺の故障の最大の原因です。この例一つからでも、人間の姿は到底完成されたものとは言えないのではありませんか?」」p.90
・「世界の名だたる言語学者たちが多数動員され、ある者はヒューストンに居を構え、またある者は遠隔データ伝送網を介して研究に携わった。」p.106 インターネット。。。
・「ところが、それでは問題の解決にはならない。常識で考えて当然と思われることが現実にはそのとおりでないという場合、どこが間違っているかを突き止めるには独創的な発想が必要だ。」p.115
・「「トラック一杯のハンバーガーから一頭の牛を復元しろと言われたら、あなたはどうなさいますか?」」p.142 「できない」とはこうも言い換えることができるのか。
・「21世紀初頭30年の間に、月への旅客便の座席は大手の旅行代理店で予約できるようになっていた。」p.218
・「<ジュピター>IVではマイクロウェーブ調理機で各自が勝手に好きなものを作る無人厨房が採用されたが、これは乗組員の間で評判が悪く、<ジュピター>Vでは古き佳き時代の方式が復活したのである。」p.234 電子レンジ。。。
・「コールドウェルは会議場の後ろの映写窓に向かって手を上げた。場内の明かりが暗くなった。 コールドウェルは壇を降りて最前列の席に腰をおろした。場内がすっかり暗くなると、正面のスクリーンに、UNSAの正規のフィルムであることを示すマークが浮かび、しばらく続いてマークが消えると、画面はデスクを隔ててカメラに向かったハントの顔に変わった。」p.262
・「太陽系には本来、十個の惑星がありました。現在われわれが知っている九個、それにミネルヴァです。」p.263 なんだかタイムリーな話題。
・解説(by鏡明)より「小説として、SFとして、おそらくは数多くの欠点を持っているこの作品には、その全てを帳消しにする魅力がある。読んでいる内に、胸がワクワクしてくるのだ。サイエンス・フィクションなのだ、これは。」p.307

?ほうし【放恣・放肆】 勝手気ままでしまりのないこと。「放恣な生活」
?とうしょ【島嶼】(「島」は大きなしま、「嶼」は小さなしま)いくつかのしまじま。しま。
?せつぜん【截然】 1 区別のはっきりとしているさま。「截然と区別する」  2 きりたっているさま。

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