銀河転生者伝説~君は生き延びることができるか~
銀河英雄伝説での転生SSは星の数ほどあります。
代表的なのは某へインやココア提督などで原作キャラと深くかかわる話が多いです。
しかしこのSSでは作者が、
「1人の勇者の背後には、勇者になれなかった99人の墓がある」
と言うように基本そうしたことはなく、
道半ばで倒れ、あるいは奇怪をついに得られなかった転生者たちの話です。
基本1話だけの短編集なのでサクサクと読めます。
通勤通学の道中でぜひ見てください。
それから10年ほどすぎ、俺も大人になった。
まあ、何歳かなんて全然わからないんだけどな。
自分で言うのもなんだけど、俺は担当の荘園を、ほかに比べてかなり効率よく回せてると思う。
機械の修理、農奴たちへの適度な休息やら食事やら。
それは良いんだが、どうも最近帝国の治安っていうか、様子があまりよくないらしい。
貴族同士の争いっていうか、権力争いなんだろうけど……まあ、うちの貴族様は帝国で1、2を争う派閥のトップらしいし、なんとかするだろ。
まあ、歴史的には、ダメな時はダメなんだけどな。
正直、俺の所に届く情報なんて大したものじゃないんだろうけど……それは前世でも一緒だったしな。
まあいいや。
明後日には、収穫がひと段落するから、農奴連中をねぎらうために酒と、ちょっとしたご馳走を振舞ってやるつもりなんだ。
あんまりおおっぴらにやると、ほかの荘園の管理者連中から文句を言われるからあれだけどな。
お、宇宙船が団体で飛んでいく。
宇宙か。
行けるものなら行ってみたいけどな、多分俺はこのままこの星で一生を過ごすことになるんだと思う。
欲を出せばキリがないというか、まあこんな人生もありだろう。
管理者とは言っても、所詮俺は農奴だ。
みんなに、仲間の農奴たちに、ほんの少しだけいい目を見せてやる。
俺は、そのことだけを考えて生きていこうと思う。
ははっ、前世ではあんまり意識したことはなかったけど、生まれ故郷に愛着を持つのは自然なことだよな。
うん、俺はこの星が……生まれた時から居るこの荘園が好きだよ。
そうそう、この前ようやく、この星の名前を知る機会があったんだ。
生まれ故郷だからな、やっぱり、名前ぐらいは知っておきたかったし。
ヴェスターラントって言うんだ。
……っと、おかしいよな。
生まれ故郷の星の名前なのに、それを口にすると、なんだか胸騒ぎがするんだぜ。
変な話さ。
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