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炉心溶融とは? メルトダウンの意味(Nuclear meltdown)

2011-03-13 | その他
(写真はウィキペディアから)


東北地方太平洋沖地震 。そして、この地震による洪水、福島原発の問題など本当に大変な事態です。

ですが、特に原発に関するニュースで、当たり前のように使われている言葉がよく分からず、今ひとつ報道の内容を正しく認識できません。

そこで、現在進行でおきている問題ですが、現時点のものをまとめてみました。


【炉心溶融・ろしんようゆう】とは?

【1】

まず、【炉心】とは何でしょう?

■原子炉は大きく

●炉心

●炉壁・容器

からなっています。

・炉心は、原子炉の心臓部にあたり、核燃料(★燃料棒)があります。

・炉壁・容器は主に原子炉を保護するためにあります。

ですから【炉心】とは、原子炉の重要な部分です。

※図



【2】

ここで【燃料棒】という言葉が出てきました。
大事な言葉ですので、説明をします。

燃料棒(ねんりょうぼう、Fuel rod)は原子炉の炉心の部品のひとつです。
棒状の燃料棒は炉心内での核燃料の標準的な形状であり、
複数本の燃料棒が束ねられ燃料集合体と呼ばれるユニットが組まれています。

原子炉で使用される核燃料は、燃料ペレットと呼ばれる長さ1cm、
直径1cm弱ほど長方形の小さなセラミックに焼き固められます。

この燃料ペレットが約350個、一直線にまとめられて、
ジルコニウム合金製の燃料被覆管と呼ばれる4mほどの長さの細い管に
詰めまれ、バネと共に両端が密封されます。
この状態が燃料棒です。

この燃料棒を百数十本から2百本以上集めて間隔を空けて束になる様に
金属で固定した物が燃料集合体であり、原子炉の炉心で使用されます。


【3】

原子炉は通常、水で満たされており、炉心にある核燃料が
一定温度以上に過熱するのを防いでいます。


問題が起きれば

「止める」
「冷やす」
「閉じ込める」


の三つの方法で放射性物質が外部にもれないようにしています。
この三つを行うために、【多重防護】といわれ、何重にも防御
がなされています。(※1)


【4】

もし、原子炉を満たす水の量が減り(水位が下がり)、核燃料(燃料棒)が
露出すると、空だきに近い状態になって炉内の温度が上昇します。
これがひどくなると、燃料棒などが溶け出します。

このように、炉心構造物が融解、破損する原子力事故を
【炉心溶融】といいます。

溶も、とける

融も、とける
という意味です。


そして、炉心溶融を英語でメルトダウン(Nuclear meltdown)といいます。

メルト(melt)は、溶けるという意味

ダウ(down)は、落ちる

ですから、メルトダウンを直訳すると、「溶け落ちる」という意味になります。



【5】

この炉心溶融が、大事故に発展する可能性は大きい。


逆にいえば、炉心溶融(メルトダウン)という言葉は、被害の大きさにかなりの幅があるため、

 完全メルトダウン

 とか

 大規模メルトダウン

などという表現がされるようになってきました。

炉心の制御ができなくなり、原子炉の核分裂の連鎖反応が止まらなくなると、
やがて核爆発を起こしてしまいます。



【6】

今回は、地震により、原子炉が止まりました。

これはよかったのですが、次の「冷やす」がうまく作用
しなかったようです。


もう少し専門の言葉を交えて説明しますと

・東京電力福島第一原発の原子炉は地震で緊急停止。

・しかし、緊急炉心冷却装置(ECCS)が動かなくなった。

・別の装置で炉心に水を入れて冷やしていたが、それも停止。

・この影響で炉内の冷却水の水位が低下。

・本来、冷却水の中に収まっている燃料棒が露出。

・燃料棒を包む金属製の被覆管が炉内の水蒸気と化学反応し、大量の水素が発生したと思われる。

・結果、福島第一原発の1号機の原子炉建屋が水素爆発とみられる衝撃で破壊された。


参考図:Yomiuri On-Line (読売新聞)




■まとめ■

ここで、ウィキペディアに書かれている【炉心溶融】の説明を
引用したいと思います。


 炉心溶融(ろしんようゆう)、メルトダウン(英語: meltdown)とは、
 原子力発電所で使用される原子炉の炉心にある核燃料が過熱し、
 燃料集合体または炉心構造物が融解、破損することを指す原子力事故。

 最悪の場合は原子炉圧力容器や原子炉格納容器、原子炉そのものが
 破損され、放射性物質が周囲に拡散することも想定される。



つまり、一言で【炉心溶融】といっても、被害の大きさに大変な差が
あることが分かります。


炉心溶融が起きたチェルノブイリ原子力発電所事故では、

3000人が事故当日に即死したといわれ、この事故の影響で
亡くなった人の数は、ハッキリしていません。

同じ、【炉心溶融】をおこした、スリーマイル島原子力発電所事故では、周辺住民の被曝は0.01 - 1mSv程度であり、住民や環境への
影響はほとんどありませんでした。
しかし、1989年の調査で圧力容器に亀裂が入っている事が判明し、
異常事態が更に長引いていたならば、チェルノブイリ原子力発電所事故と
同様の規模になっていたと言われています。


ここで二つの事故をあげたのは、あくまで【炉心溶融】といっても
被害の大きさには、かなり違いがあるというデータを示したものであり、
どちらも大変な問題であることはいうまでもありません。


私たちは、無常の世界にいるということが、まざまざと見せつけられ
生きていることは決して当たり前ではないのだと知らされます。


以上、あくまで、現時点(3月13日正午)までの情報をもとに、
まとめたものです。

実際と食い違う点などありましたら、申し訳ございません。

これ以上の被害が広がらないことを念ずるばかりです。




。。。。

※1・・・多重防護

例えば、
【5重の壁(ごじゅうのかべ)】といわれ、5陣を引いて
問題が起きないようにしています。

具体的には

「燃料ペレット」
「燃料被覆管」
「原子炉圧力容器」
「原子炉格納容器」
「原子炉建屋」

の5つです。
少し難しく感じられるかもしれませんが、その5つの働き
についてウィキペディアから以下、引用しました。


燃料ペレット ・・発生する放射性物質をペレット内部に保持する。
原子炉で使用する核燃料を、磁器のように成形し
焼き固めたセラミック

燃料被覆管 ・・燃料ペレットから発生する放射能が外部に漏洩することを防ぐ。

原子炉圧力容器 ・・冷却材に溶け込んだ放射能が外部に漏洩することを防ぐ。

原子炉格納容器 ・・原子炉圧力容器が破損した際に、放射能および放射線の漏洩を防ぐ。

原子炉建屋・・原子炉格納容器外部まで放射能が漏洩した場合に、外部への漏洩を防止する。




 【歎異抄には、この世界を『火宅無常の世界』(火のついた家のようなところ)と
  
  書かれ、平家物語の冒頭には『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり』

  と教えられています。常が無く続かないこの世界で、人間に生まれて

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
よくわかりました (rosso)
2011-03-13 15:30:32
ありがとうございました。
返信する
Unknown (ユリシス)
2011-03-16 06:46:52
解説ありがとうございます。遠いオーストラリアから日本のみなさまを応援しております。
返信する
Unknown (シンフォニー)
2011-03-18 15:30:22
この様なわかりやすい説明ありがとうございます。

私は茨城の人間なので正直他人事ではないので
メルトダウンの意味を知りたいと思っていたので助かりました。

どうも、ありがとうございます。
返信する
Unknown (エスオー)
2011-03-24 14:18:58
とても分かりやすい説明でした。
ありがとうございます。
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わかった* (o.r)
2011-05-16 16:56:16
ありがとうございます♥
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