複雑系(ふくざつけい complex system)という学問が
本格的にスタートしたのは、
1990年代にはいってからのことです。
中村量空というヒトが書いた「複雑系の意匠」(中公新書)
という本は全6章ありますが、その第5章はまるまる
仏教の因縁果の道理について書かれてあります。
以下、抜粋してみました。
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人間の幸福を目ざした科学の構築が、幸福を感じる人間の
感性の排除によって実現されるというのは、実に皮肉なことだった。
ドイツの文豪ゲーテは、ニュートンの力学的な世界観に対抗して
「人間らしさのある科学」の必要性を説いた。
19世紀の機械論的な世界観を継承する科学(単純系科学)は、
ゆらぎをもつ不安定な状況の中で、秩序化の道を探る必要に
迫られることがある。
単純系科学と対比されるようななんらかの科学(複雑系科学)が
必要とされていることを、私たちは真摯に受け止めなければ
ならない。
複雑系科学は、ゲーテが望んだように、多少なりとも
「人間寄りの科学」になる可能性を秘めている。
なぜなら人間は、不確定さや不確実さや矛盾性を、みずから
もちあわせているからである。
多くの人が、今後の科学技術のありかたと、人間社会のゆくえと、
人間の幸福の何たるかに関心をもっている。
私は本書を通して、現代の複雑化した諸問題を考えるためのヒント
を提供したいと思う。
複雑かつ巧妙な仕組みをもつ人間の脳の全容を解明するには、
まだかなりの時間を必要とするだろう。
けれども、考え方の指針となるアイデアは、すでにいくつか提案
されている。その中に、縁起のパラダイムに似た考え方がある。
そのアイデアを提示したのは、人口知能(AI)研究の先駆者
M・ミンスキーである。
重々無尽の縁起の世界は、現代社会のいたるところで見ることが
できる。
たとえば、ニューロンのネットワークのように張りめぐらされた
通信網がある。
インターネットのような通信のネットワークも、複雑化が進む
ほどに多層構造を形成してゆくのである。
職場や地域での情報伝達のシステムも、類似の重層構造をもって
いる。
複雑なシステムが形成される原因を探れば、「因」となる実体の
働きが明瞭になってくるだろう。
しかしそれがすべてではない。
、「縁」が生じ関係化が進まない限り、システムの複雑化は実現
しないのである。
重々無尽の構造は、システムの複雑化の進行を私たちに伝える
重要なメッセージなのである。
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いかがだったでしょうか?
ちょっと聞きなれない言葉も多かったかもしれませんが、
ここにも仏教のすごさを垣間見ることができます。
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