もう、暑くて暑くてたまらないから、つい先日までは確かに存在していた‘省エネ’という意識もすっかり無くなり、加えて今週は世間様全般が盆休みということもあり、パルもうちにいることが多いので、熱中症から身を護るためにもエアコンをガンガンつけている。
省エネという意識があった頃にはそれでも、家にいるよりは図書館や近くのよそ様―例えばデパートとか―に出かけるようにしていたものだが、これだけ野放図に暑さが押し寄せてくると、もう外出する気力すら湧いて来ない。
そういうわけで今週はだらだらと家にいて電子リーダーで読書三昧している。
エアコンのガンガン効いた部屋での読書は進むこと進むこと。
軽量な電子リーダーは読書姿勢に制限を加えられることが無い。それも理由かもしれない。
『脳男』に始まり、その続編『指し手の顔(上・下)』、『半落ち』、今絶好調のドラマ半沢直樹の作者・池井戸潤の半沢同様やはりバンカーたちを扱った『シャイロックの子供たち』に至るまでサクサクとリーダーの読了Boxに入っていく。
昨日から読み始めた角田光代の『太陽と毒ぐも』の一遍にはちょっと面白い女子と、この暑さにピッタリな怖い言い伝えがたくさん出てくる。ややタイムギャップのある土俗的な話ではあるが、涼しくなるかもしれないからピックアップしておくよ。
・家庭内に長く病人を抱えた人が、病の元を他人に拾わせるために、串カツの串みたいな細い棒に、短冊に似たじぐざぐに切った白い紙をつけて四つ辻に刺していく。人には見られないよう夜中にいくつも道端に刺して歩くのだそうだ。何も知らない人が指さしたり触れたりすると病の元がその人に移動し病人は奇跡的に治る。
だから指さしても見てもダメ。回避すべし。まかり間違って指差してしまったりしたら、神社のお水で手をよく浄めるべし。
・服に針を通した直後に出かけると交通事故に遭うらしい。
だから例えば服にボタンを付けた後にはすぐには出かけない、横になるべし。これは擬似的に‘一晩寝た’ということを意味する。
・お盆に蛾を見たら殺してはいけない。蛾はご先祖様の生まれ変わりだから。
・夜、笛を吹いてはいけない。蛇が出るから。
ちなみにここで言う蛇って、不幸の比喩みたいなんだよね。
・葬式もないのに喪服を買うと身近な人が死ぬ。
これ、ある。パルは経験した。
・味噌を腐らすと家運が傾く。
・新しい靴を買ってきたとき、家の中で試し履きすると、怪我をする。
・蜘蛛を殺すとき、『おとといおいで』とかなんとか言わないと泥棒が入る。
ここまでくるともう、このまま何事もなく幸福に暮らして行くためには、じっと息をひそめて横になっているくらいしかないではないか。
チョイ前に読んだ京極夏彦先生X柳田國男先生リミックス版『遠野物語』のテリトリーだな。