凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

正月の過ごし方

2005年01月01日 | 酒についての話
 例年正月は妻の実家に何日かはお邪魔している。雪深い青森だ。

 津軽の正月というのは面白いもので、メイン行事は31日になる。ちゃんと調べたわけじゃないのだけれども少なくとも妻の実家の集落はみんなそうだ。
 31日の昼からもう宴会が始まる。おせち料理といったチマチマしたものではない。まず、鱈を一尾買ってくる。白子が入っていたら最高だ。身は昆布締めにして刺身でいただく。残った頭や骨は、翌日じゃっぱ汁(郷土料理)として出てくる。
 その他にもイカやホタテ、ソイなどのさまざまな刺身が並ぶ。一年で最高のご馳走だ。男衆はとにかくそれで酒をかっくらう。なんせ昼間から始めるので時間は無限といっていいほどあり、一升瓶がまわりにゴロゴロした頃ようやく日も暮れ、「年越し」の行事が終わる。それでみんなひとつ「年をとった」ことになるのだ。
 翌日はみんな二日酔いだ(笑)。文字通り「寝正月」となる。

 津軽の正月料理といえば欠かせないのは「けの汁」という料理。大根や人参、蕗などの山菜などを細かく切って大鍋いっぱいに煮ておく。主婦が正月に楽をするための料理だ。いわばこれが「おせち」とも言える。その他、酢だこ、なまこ酢、こあえ(真鱈の子と人参を合えたもの)など独特の料理がある。結構生ものが多い。寒いので腐らないのだ。むこうでは腐る、悪くなることを「下がる」と言う。鮮度が落ちないように食事が終われば暖かい部屋から土間の台所にすぐにもっていけば「下がる」ことはない。火の気のないところは冷蔵庫より冷える。

 初めて参加したときは驚いたものだ。僕の実家の京都では、せいぜい大晦日は年越し蕎麦を食べるくらいしかしない。あくまでメインは翌一日だ。
 京都では、絵に描いたような正月を過ごしていた。一日は早朝に起き、初詣を済ませた後家族で集まり「お屠蘇」を祝う。そして雑煮とおせち料理という算段だ。雑煮は京風の白味噌を使ったもの。おせちは、煮しめ、出汁巻卵、ゴマメ、黒豆、棒鱈、カズノコ、紅白ナマス、きんとんなどが重箱に収まる。本来であれば「睨み鯛」などもあってしかるべきだが僕の実家はさほど裕福ではなかったのでそれは無かったが。

 家庭によって違うのだろうが、僕の実家では父が呑まないせいで、酒っ気がほとんど無かった。お屠蘇さえも口をつけるだけだった両親では無理もない。妻の実家の酒の消費量を教えたときは両親とも驚いていた。しかし、呑んべの僕にとっては結構津軽の正月は気にいっている。ただ、無性に故郷の正月が懐かしくなるのは致し方ないもので、たいてい一月の第一土日で里帰りするのだがどうしても京都の正月料理と雑煮を所望してしまう。母親も老いてきたので「もう面倒くさい」というのだが、元気なうちはワガママをきいてもらうことにしよう。

 今年はどちらの正月にも参加出来ないのは残念であったけれども、まあ来年を楽しみにしよう。
 (えっ! 正月にもう来年の正月の話をするのか? 鬼が笑うどころじゃないぞ…)


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2 コメント

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はじめまして (NAO)
2005-03-24 21:25:52
jasmintea7さんのブログから参りました。

先日はコメントありがとうございましたm(_ _)m



青森のお正月!私の主人の実家も青森でやっぱり初めてのときはメインが31日で、しかも刺身だらけなのにはびっくりしました

スーパーの広告が「お正月だからお刺身」ですもんね!そして食べ終わったら部屋の外へ。でも凍っちゃうと困るものは冷蔵庫に入れてっていわれました





青森の駅前市場もすっかりきれいになりましたよね。昔の純粋な津軽弁が飛び交っていた市場、、、なつかしいです
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ようこそ♪ (凛太郎)
2005-03-24 22:41:51
おいで下さってありがとうございます。jasminteaさんのところでは勝手なことばっかり言って失礼しました。殺風景なブログですがどうぞよろしくお願いします。(*- -)(*_ _)ペコリ



NAOさんのご主人さまも青森ですか。^^ 

何か共通の体験をしているようで親近感が湧きます。(^-^) 最初はカルチャーショックもありましたが、ご馳走が並ぶのに異論はありませんね(笑)。

青森は近年急速に街が変わってゆくような気がしますね。しかし、津軽弁はここかしこにまだまだ健在ですね。いつもヒアリングに苦労しています(笑)。
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