「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



浦和だから出来ること。
どんな状況に置かれても、
決して諦めない、諦めさせない空気を生み出すこと。

かつて駒場に君臨したエースが語っていた。
「浦和に消化試合はない」
「サポーターがそれを許さないから」
「許さない雰囲気を作ってくれるから」

「あのこと」があった直後の広島で誓った決意を
失った歴史とともに僕は忘れかけていた。

「共に戦い続けよう」

様変わりした光景に未だ戸惑っているけれど、
浦和とともに過ごした2014シーズンも、
たった1試合しかないんだ。

ACL出場の権利は得た。
最低限の目標はクリアした。
目指すものはただひとつ。

死に物狂いで。
不様でもみっともなくてもいい。
目の前の勝利にしがみつこう。

2005年、
寒さに震えながら戦い抜いた新潟戦のように、
為すべきことを全て尽くして、
運命をあずけよう。

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原口元気のシュートが突き刺さる。
エンブレムを鷲掴みにして、雄叫びを上げる僕らの「希望」。
ピッチに立つ選手もベンチで戦況を見守る選手もスタッフも、
懸ける思いは同じだったはず。

そう、森脇もね。

すべてを失ったかのような錯覚を
選手たちが救ってくれた。
「浦和」が「浦和」であるために。
もう一度立ち上がるために、覚悟を決めたはずだった。

あれから半年。
僕は相変わらずスタジアムにいる。
整地されてしまった歴史に戸惑うばかりで、
声を失い、拳を突き上げることもなくなった。
それでもまだ、この場所にしがみついている。

共に戦うことも出来ないくせに、
何の力にもなれていないのに。
昔の浦和に戻りたいんじゃない。
「浦和」が「浦和」ではなくなってしまうことが
寂しくて堪らないんだ。


広島、新潟、長居。
それでも僕は、スタジアムにいる。

ハーフタイムの指笛、リードのない“中心”。
跳ねてるとね、いつの間にか浮いてたりしてさ。
牙を抜かれ、整地されたスタンド。
あの時誓った言葉はどこかに消えてしまったよ。

それでも僕は、スタジアムにいる。


こんなヤツもいるって、クラブは分かってくれるかな。

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大宮戦は今までいた場所から。
ズレを修正できないもどかしさ。
これでいいという意見があることの違和感。
跳ねなくなったゴール裏。
試合そのものに熱くなることが出来ない自分に、苛立っていた。

仙台戦。
数年前までいた場所に戻った。
「熱くやる」と宣言した人が集い、場所を開けたところ。
リズムを取る手段が、引っ張っていこうとする手立てが、
熱くなかった。
この状態で試合のことを書く資格はない。
少なくても「スタジアムに行こう!」と勧めることは、
今の僕には出来ないな、と。

やってはいけないことをした輩ではなくて、
毎試合、どんな時もスタジアムに通い続ける人を
クラブは支えてくれている。
ずっと信じていたものが揺らいでいる。
20年頑張って築いたものが壊れてしまって、
また20年頑張りましょうと言われても、頑張れないよ。

浦和の浦和らしさを伝えて来なかった「罰」だと思ってるんだ。
クラブも僕らのことを分かってないんだってこと、
当日抽選の運営ではっきり分かったよ。
規制だけ強化してもね、クラブが自力で賄うことが出来ないなんて。
残念なものを見てしまったよ。


「スタジアムにおいでよ!」
と言えるようになるまで、試合のことは書けないかな。



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どんどん遠くなる。
好きだとアピールすればするほど、避けられてしまう。
ずっとずっと好きだったのに、
好きでいてくれたはずなのに。

あのね、
嫌いな言葉があるんだ。
何でも略しちゃったりするじゃない。
「サポ」っていうの、なんとなく嫌なんだ。
軽い気がしてさ、
「〇〇サポなんです」
「〇〇サポなんですか」
むず痒いんだよなぁ。
サポーター、だよね。
じゃなきゃ、ファンでもいいよね。

略しちゃう言葉でいうとね、
「ファンサ」も嫌いなの。
ファンサービスのことだと思うんだけど、
大原でサインに応じることがサービスではないと思うんだぁ。
一番大切なこと、何よりも欲しいものはさ、
「試合に勝利してくれること」だよね。
だからね、
選手たちが試合に最高のパフォーマンスで挑むことが出来るように、
選手たちの負担にならないように気を使わなくちゃって思ってるんだ。

変わろうと努力しているのは分かるんだけど、
何もなかった93年のように、新しいスタートを切る訳じゃないんだね。
最近のウチは、窮屈な感じがするんだ。

平等なんていらないよ。
平等を主張する人がいるとしたらもう、
平等という名の不平等の始まりだからね。

公平って、どういうことだろう。
どう理解したらいいのか、わかんなくなっちゃった。

無観客試合の前の日。
近づくことすら許されなかった埼玉スタジアムではなくて、
たくさんの思い出が詰まった(苦い思い出ばかりだけど…)
駒場スタジアムに行ったんだ。
西ゲート、東ゲート、日通グランド沿いの道、土だったサブグラウンド、
雛壇、東クルヴァ、手摺り、武骨な照明塔。
ついこの間のようだったな。

前日からテントを張ったり、
夜明け前からシートを張ったり、
夜の試合なのに朝からずっと駒場に詰めていたりね。
開門の頃にはすっかり出来上がっちゃってたりして。
やんちゃだったあの頃が懐かしくて。
今日こそは勝てるかも知れない、
今日こそは勝つんだと信じて戦っていたな。
それでも負けたけどね…。

告白するよ。
僕は、差別をしていた。
99年、00年を共に戦った人と、
そうでない人のことを。
苦しい時に共に戦った人と、
去っていった人、強い浦和しか知らない人のことを。
そして、強い浦和が強くない浦和になって去っていった人を。
これが「排他的」という奴だよね。

今、生まれ変わろうとするクラブと共に戦うことが出来るのか。
自信がないんだ。
神戸戦で目の当たりにした現実に、
消滅の危機が到来していることに気付かされたような気がして。
気のせいならいいんだけれど…。


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クラブの決断、中心部の解散。
積み重ねて来たものが、音を立てて崩れていくような喪失感。
こんな足取りの重い遠征は、初めてだ。
劇的に変えてしまうことが、選手に影響を与えないはずはない。
声を出せばいい、
一所懸命であれば伝わるというものではないんだ。

GK西川
DF森脇・那須・槙野
MF阿部・啓太・平川・宇賀神・梅崎・原口
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・濱田・永田・直輝・関口・李
無観客試合となった清水戦は出場停止だった森脇が復帰、
柏木が怪我のためベンチから外れ、阿部勇樹がボランチに戻る。

「速いって…」
加速するコール。
「落ち着いて!」
意図的に手拍子を遅らせる、声に飲み込まれる。
「マズいな、これは」
スタンドの歪みは選手に伝播する。
跳ねることで立て直そうとしても、周りはそれに呼応しない。
「場所を間違えたか…」
周囲を見渡す、いつもとは違い過ぎる雰囲気。
住み分けのないゴール裏に、唇を噛み締める。

相手の芽を摘むような浦和の守備。
「安定してるな、今日も」
ゴール前の混戦、西川が抑える。
自然発生的に西川を称えるコールが起きる。
「速いって…」
「もっとゆっくり、選手たちを乗せてやらなきゃ」
右から左、左から右へと波打つ声。
「続けて!」
ボールを失うと息を飲んでしまう。
「マズいって、これじゃ」
心臓を失ったゴール裏が、彷徨っている。

7番、18番、10番、13番、6番。
危険な選手を上手く抑え込んでいる。
「頼むぞ、集中してくれ」
峻希が右サイドを駆ける。
「気を付けろ!」
クロスボールは中央に合わない。
「峻希は峻希だね」
遠くから見ていても分かる、
それほど好きだった選手が、袂を分かち敵となっている。

「繋がれ!」
槙野から宇賀神にパスが通る。
「来た!!」
35分、浦和先制0−1。
「ウメでしょ、ウメだよね!」
選手たちが独力で切り開いた得点。
「さあ、集中しよう」
勢い付かない、喜んで終わってしまう。
跳ねる意欲を失くし、試合に集中出来なくなる。
「どうしたらいいんだ…」

前半終了、神戸0−1浦和。

「危ない!」
相馬のミドル、西川が弾く。
「あっ!」
弾いたボールを相手選手が拾う。
「凄いな、西川」
西川がピンチを救う。
「前半飛ばしてたからな…」
ウチは90分間、運動量を持続できるのか。
神戸がプレスを掛ける。
「落ち着け、しっかり!」
後方でパスを回す浦和、手詰まりになり汲々とする。
「危ないな、ちょっと…」
立ち尽くしたままの足が強張る。
選手たちの力になれないもどかしさ、声を失っていく。

「ファールじゃ…」
森脇がボールを奪われる、主審がプレー続行を指示する。
「何で??」
7番がゴールに直進する。
60分、神戸同点1−1。
「やるか…」
手を叩く、気合を入れ直す。
「あれ…」
沈んでいる。
ゴール裏が、静まり返っている。
「チクショウ…」
失ったものの大きさに、動揺を隠せない。

63分、平川out李in。
「チュンソン、頼むぞ」
雰囲気を一変させてくれるのは、ヤツしかいないのかも知れない。
「森脇のクロスを使って!」
「槙野、突っ込め!」
攻勢を強める神戸、劣勢を立て直そうと邁進する浦和。
76分、梅崎out関根in。
「2試合続けて上手く行くかな」
今までなら、もっと奮い立たせてやれたのに。
ルーキーに申し訳ない気持ちになる。

自陣内、ミスを突かれる。
「やっちったか…」
78分、神戸逆転2−1。
リズムを失ったスタンドに影響されたかのような、
つまらない失点。
80分、啓太out直輝in。
「流れを変えるには、これしかないよな」
直輝の負けん気と展開力。
1点差なら、何とかなるかも知れない。
「チュンソン!」
シュートは枠を捉えられない。

アディショナルタイム4分。
「…。」
カウンターを喰らう、マルキーニョスに独走を許す。
91分、神戸追加点3−1。
天を仰ぐ。
情けないのは選手じゃない、自分だ。
僕らのせいで選手たちを厳しい状況に追い込んでしまった。

試合終了、神戸3−1浦和。
逃げるようにスタジアムを後にする。
今の僕に、何も語る資格はない。
リズムを整えることも、慌てずにプレーさせてやることも。
何も出来なかった。

悔しいよ。






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逸る気持ち。
どうしても勝たせたい。
気持ちよく送り出したい。

僕らの思いを、選手たちに伝えたい。

エメがいた、優勝が決まった次の試合。
大山俊輔のデビュー戦。
あの時以来の日立台。
迷わずに旧アウェイ側に辿り着けるなんて、
習性の成す技なのかな。

GK西川
DF森脇・永田・槙野
MF関口・阿部・柏木・宇賀神・梅崎・原口
FW李
リザーブ山岸・坪井・濱田・直輝・関根・矢島・阪野
興梠、啓太、那須、平川は帯同せず。
誰が出場しても同じサッカーを構築することが出来るのか。
そんなことなんて気にしていられないほど、
勝利を渇望していた。

「いいねぇ」
原口がドリブル突破、見せ場を演出する。
広島戦でも感じた、新しい9番の意気込み。
「柏、ウチに付いていけてないのかな」
立て続けにFKを得る浦和。
平日夜のナビスコ杯とは思えないほど、
ゴール裏に赤者が集結している。
右サイドを破られる、西川が落ち着いてボールを捌く。
「いいよ、いい選手獲ったよね」
バックラインが慌てることがなくなっている。
永田から、柏木から縦にボールが入る。
「ウチ、強くなってるのかな」
メンバーが代わっても質が変わらない。

中央から左にフリック、ボールを押し込む。
「入った!」
「やったぜ!」
17分、浦和先制0−1。
「ウメ?ウガ?」
得点者がアナウンスされない。
「ウメだ!」
暫く立って梅崎の名前がアナウンスされる。
アウェイで先制、勝てる可能性が高まる。
「さあ、勝つぞ!」

11番、9番、18番が連動しない柏。
攻撃を自重する槙野、森脇。
「無理することないんだ、無理するなよ」
右サイド、関口が翻弄される。
「マズい、同じ形でやられ過ぎだよ」
流れが一気に柏に傾く。

ゴール前の混戦、相手選手と交錯する。
「それでなの?」
僕らの目の前でPKが宣告される。
「その基準で吹けよな!」
右に飛ぶ西川、中央に飛ぶボール。
43分、柏同点1−1。
「審判、怪しいんだよな…」
不安定なジャッジ、浦和が不利を蒙る。

前半終了、柏1−1浦和。

HT、関口out濱田in。
「鳥栖戦と同じラインにするのか」
連携に不安のあった森脇と水輝。
「大丈夫かな」
右サイドを破られることがなくなる。
「取りあえず交代は成功かな」
試合が落ち着く。
「来たか!?」
満を持して槙野が左サイドを駆ける。
「行け、行けるぞ!」
クロスが入る、水色のスパイクがシュートを狙う。
「ウメ、打て、打て!」
DFラインを破れない。
「惜しいんだけどな…」

「このままでも仕方ないのか」
不安定なジャッジが悩ましい。
「今日主審誰なの?」
時計すら見辛いスタジアム、主審の名前を確認することが出来ない。
「ファールだろ!」
ウガが後ろから倒される。
「吹けよ、吹けって!」
プレーが続行される。
「そりゃないだろ、おい!」
基準の定まらない笛にフラストレーションが溜まる。
柏CK。
西川が飛びつく、副審が走り出す。
「競り負けたのか?」
79分、柏逆転2−1。
幾つもの危険なプレーを流された挙句の失点。
「そりゃないって…」
槙野にイエローが出される。
「異議か…」
「気持ちは分かる、分かるけど勿体ないって」

梅崎が右サイドを突破、クロスが入る。
「チュンソン!」
「オフサイドか…」
ネットが揺れる、ゴールならず。
86分、宇賀神out関根in。
「勝負だ、頑張れよ」
ルーキーの突破力が、浦和に幸運を齎せてくれるかも知れない。
88分、梅崎out矢島in。
「もっと時間があれば…」

アディショナルタイム3分。
「PKだ!」
目の前で槙野が倒される。
「PKだよな?」
91分、槙野に警告、退場。
「何考えてんだよ、足掛かってただろ!」
主審より近い位置に僕はいた。
相手選手はボールに絡んでいない。
「酷いな、ちょっと」

零れ球に反応した原口のシュートが枠を越えていく。

試合終了、柏2−1浦和。



負けた。
次の試合、僕たちは頑張ることが出来ない。
スタジアムに近づくことすら許されない。
「頼む、頼んだぞ」
喉が枯れても掠れても、止めることの無いコール。
想いよ、届いてくれ。
選手たちの背中を越え、埼玉スタジアムまで。


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事件が起こった。
平常心ではいられなかった。
内包する問題を、制止することが出来なかった。
「どうして?」
色々な思いが交差した。
消化し切れぬまま迎えた一戦。
一部のサポーターという言葉で処理してはいけない。
スタジアムに集う皆で考え、行動し、守らなければならない。
その一歩が、始まる。

GK西川
DF森脇・那須・槙野
MF阿部・啓太・平川・宇賀神・柏木・原口
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・濱田・梅崎・矢島・関口・李
那須が復帰、ベンチを外れたのは水輝ではなく永田。
平川がスタメン、森脇が1枚下がり柏木は1枚上がる。
梅崎がベンチに下がり啓太がボランチ、
昨シーズンを踏襲したメンバーで挑む。
特定の選手へのブーイング、異様な数の記者。
何が良くて何が悪いのか、置かれた状況に戸惑う。

「気にしないこと、いつも通りでいい」
僕自身が汚い野次を飛ばしたことはない。
旗を掲げたこともない。
過剰な意識は選手に悪影響を齎すに違いない。

局面勝負で広島を上回る浦和。
「1対1なら負けてないな」
森脇の動きが鋭い、槙野が攻撃を自重している。
相手の両サイドを抑え込む。
「中央がね、パスが通らないな」
ボールを失うと潮が引くように自陣に戻る広島。
「これじゃなかなか点取れないな」
互いに特長を消し合う、青山も啓太も縦に入れることが出来ない。
「抜かれた!」
DFの裏にボールが抜ける。
西川がエリア外に飛び出しクリア。
「流石だな」
安定感がチームに、僕らに安心を与えてくれる。

「上がった!」
槙野のドリブル、中央に切れ込む。
「持ち過ぎか!?」
ラストパスを送る。
「来たか!?」
シュートはGKに阻まれる。
「向こうもいいGKだな」
少ないチャンスを生かすことが出来ない。
柏木のCK、右に流れたボールに平川が追い付く。
ふわりと浮かぶ、ネットが揺れる。
「入った、でしょ!?」
副審が得点を認めている。
43分、浦和先制0−1。
「誰?興梠??」
誰でも良かった。
苦しい試合、厳しい精神状態。
選手たちが、僕らを救ってくれた。
「しっかり、しっかり守ろう!」
勝ちたい、どうしても勝ちたい。

前半終了、広島0−1浦和。

「こんなに晴れるって、珍しくない?」
市内は晴れてもここは雨。
晴れていたのに突然振り出す雨。
ビックアーチの天気はいつも悩ましかったのに、
顔が痛くなるほど、日差しが強い。

「仕掛けて来たな」
先制を許した広島が前に出る。
「いいぞ、森脇」
DFがそれを阻止する。
背走する原口、柏木が喰らい付く。
選手たちから気迫が伝わる。

突っ掛ける原口、右サイドを駆ける平川、槙野のミドル。
乗せる、僕らを乗せてくれる。
「いいぞ、そうだ!」
旗に遮られ集中を欠くこともない。
69分、広島が2枚入れ替える。
「そっか、上手く行ってないってことだな」
寿人がいなくなり、恐怖心が和らぐ。
「チュンソン、呼ばれてるね」
「誰と代えるんだろう?」
79分、興梠out李in。
「今日もシャツはinだな」
身体を張る、振り向きざまに狙う。
シュートは枠の外。
「まだ戻らないか、チュンソン」
もう3試合目、そろそろ結果が欲しい。

82分、柏木out梅崎in。
「違うね、ミシャの采配」
交代の為の交代ではなく、戦術的な意図を感じる。
「しっかり、集中しよう」
攻撃の度合いを増す広島、ボールが前に収まらない浦和。
声を張る、跳ねる。
1週間の苦しさや悔しさをピッチに、勝利のために転化する。
「勝ちたい、どうしても勝ちたい」
「ウメ!!」
右サイドを突破する。
「いるぞ、真ん中!」
チュンソンが詰める。
「流れたか!?」
体勢を崩したままシュートを放つ。
「惜しい、万全だったら決められたかも…」
追加点が奪えない、広島が攻める、必死で逃れる浦和。
「森脇!西川!」

「ヤジが出るのか…」
29番が呼ばれている。
「いや、違う」
90分、森脇out坪井in。
「堅いな、ミシャ」

アディショナルタイム4分。
「もう少しだ、このまま逃げよう」
勝利が、目の前に近づく。
原口がボールを受ける。
「行け、行け、グッチ、グッチ!」
右足を振り抜く、ボールがネットに突き刺さる。
91分、浦和追加点0−2。
原口が、原口が決めた。
エンブレムを叩き付け、看板を超え、原口が雄叫びを上げる。
「良くやった、ありがとう、原口」
僕らの思いに、9番が応えてくれた。
嬉しくて嬉しくて、堪らないゴール。

「あ、カードだ…」
91分、交代した森脇に2枚目の警告。
「ピッチ入ってただろ、アイツ」
緩くなった涙腺を、森脇が笑いに変える。
「しょうがないな、全く」
「集中しよう、ゼロで抑えよう」

笛が待ち遠しい。
残り時間はあとどれくらいだろう。
時計を見ない主審。
「まだか、まだかよ…」
攻め込まれる、ボールが切れる、主審の手が挙がる。
「勝った!」

選手たちが、希望を与えてくれた。
迎えよう、称えよう。
無遠慮なカメラマンを払い、選手が僕らの前に来る。
監督もスタッフも、僕らと対峙する。

やり直そう、もう一度。
みんなで、みんなで取り戻して行こう。
もう揺らぐことはない。
浦和を、僕たちの浦和を。
タオルマフラーを掲げる仲間たち。
「行こっか」
スタンドに待機するクラブスタッフに
「ありがとうございました」と声を掛ける。
「すみませんでしたって言えば良かったかな」
背後から凱歌が聞こえる。
「今日は歌っていい日だよね」

嬉しくて、嬉しくて。
浦和が、好きなんだ。







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こんなに嬉しい勝利は、今までなかった。
初めてファイナリストになった時よりも、
ステージを制した時よりも、
アジアの頂点に立った時よりも。

自ら招いた危機。
全てを否定されかねない状況の中赴いた
アウェイ、広島。
何がセーフで何がアウトなのか、
ウチはダメだけれど、ウチ以外はOKなものはあるのか。
判断に迷うことがたくさんありすぎて。
クラブスタッフや警備員に監視されているのではなく、
守られていると感じるくらい、
追い込まれていたのかな。

シンプルなゴール裏は、
視界が遮られることがなく、試合に集中出来る環境だった。
紫色から移籍した選手たちに浴びせられるブーイング。
それは、いつも通りだった。
冷静な試合運び、
選手たちに余計な負担を掛けてしまったことは
間違いのないことなのに。

興梠が決めて先制、
試合終了間際、新しい9番がネットに突き刺す。
感情を爆発させる9番に、
抑圧していた気持ちが弾けた。
沸き上がる思いを抑えることは出来なかった。

けれど、
これで終わりではないんだ。
全てを受け入れて挑んだ試合が終わっただけ。
4月の仙台戦が、僕たちの岐路になるだろう。
色々な感情、信条を持つ人たちがいる。
スタジアムの中では皆が思いをひとつにすることが出来るのか。

これからも、長い道は続いていく。



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裁は下された。
僕らが背負うもの、背負わされたものは、
想像し難いほど大きい。

過剰な反応はしないこと。
大部分の人は今まで通りで何の問題もないのだから。
こうあるべき、
こうでなければならないと
自らを追い込まないように。
平常心でいられないのは仕方ない。
けれど、もう試合は直ぐそこにやって来る。

いつも通りでいいんだ。
周囲の目は気にするな。
スタジアムにはたくさんの仲間がいる。
痛みも苦しみも解り合うことが出来る、
かけがえのない仲間たちが。

差別をした。
だから差別をされても仕方ないということはないんだ。
でもね、
今は何をしても敵になる。
それだけ気を付ければ大丈夫だよ。



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日向は暖かく、日陰は寒く。
開幕して間もない季節ならではの気候。
あっという間に陽が陰るゴール裏。
「寒いね」
春が、待ち遠しい。

GK西川
DF濱田・永田・槙野
MF阿部・柏木・森脇・宇賀神・梅崎・原口
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・平川・啓太・矢島・関口・李
前節負傷交代した那須が欠場。
水輝が右DF、森脇が右WB、真ん中が永田。
「後ろこんなに弄って大丈夫かな」
監督の勝利への拘りが感じられるスタメン。
「ミシャ、本気だよな」

ガツガツ来ない鳥栖。
「らしくないな」
後方から組み立てる浦和。
「水輝、大丈夫か!?」
豊田と競る、ほぼ互角に渡り合う。
「しっかり、落ち着いて」
ここで水輝が自信を持ってくれたら、
ウチは大きな戦力を手に入れることが出来る。

「や…、抜かれたか…」
マークを交わされる、右サイドを破られる。
「ワンチャンスかよ…」
9分、鳥栖先制0−1。
「水輝…」
人数は揃っているのに奪われる。
悪癖は未だ改善されないのか。

「やっぱり打ったね」
右からのクロスからウガのシュートはGK正面。
「そうだ、打って行こう」
原口のミドルもGKがセーブ。
「林、いいGKだな」
簡単にマウスを破ることが出来ない。
「押してるんだけどなぁ」
無闇に攻め急ぐことなくチャンスを創っている。
「興梠が外か、逆だったら…」
興梠のクロスに梅崎が反応。
「ウメっ!」
「フリーだよ、決めなきゃ」
決定機を逸する浦和。

「前半に追い付いておきたいな」
ポゼッションは圧倒的に浦和。
カウンターを浴びることすらない。
「水輝、頑張ってるじゃん」
競り合いに負けない、前線に起点を作らせない。
「陽介がもっと前に出れたらいいんだけど」
球を散らす、厚みを持たせた攻撃、怖さがない。

前半終了、浦和0−1鳥栖。

「1点取れれば…」
その1点が遠い。
「危ない!」
鋭いカウンター、槙野が防ぐ。
「槙野、結構後ろに残ってるよね」
守備は安定した、その代わり攻撃が薄くなっているのか。
「どうする?行くのか!?」
槙野が強引に中央へ進出する。
「あっ!」
クロスバーに当たる、跳ね返る。
「まだまだ、狙え!」
決められない。
チュンソンが呼ばれている。
「誰と代えるんだ?ウメか?」
55分、永田out李in。
「水輝が真ん中?荷が重いんじゃ…」
森脇が右DF、梅崎が右WBに回る。

「負けんな!」
選手交代直後、豊田を自由にさせてしまう。
「頼むぞ…」
攻めている。攻めているはずなのに縦にパスが入らない。
「先に点取られると厳しいな」
「はぁ?」
斜め後ろから関口を呼ぶ声がする。
「何考えてんだ!?」
ピッチにいない選手のコールをしている。
「ふざけんなよ…」
戦いに水を差す愚かな行為。

「追い付け!」
ライン際、梅崎がタッチを割りそうだったボールに追いつく。
「行け、チャンスだ!」
GKが弾く、宇賀神が拾う。
「ち、くしょう…」
決まらない。

70分、梅崎out関口in。
「やり辛いよな、関口」
不可思議なコールの後、気持ちを前に向け切れない。
79分、濱田out啓太in。
「こんなに後ろ弄っちゃったら…」
DFラインが崩れるのでは、そこから失点してしまうのでは。
追い付くだけでもいい、慎重に、慎重に。
過ぎていく時間、攻め切れない浦和。

アディショナルタイム4分。
「ちょっと短くないか?」
ガンバ戦より長くてもいいはず。
勝っている時と負けている時の感じ方の違いだけだろうか。
「左足ボレーだったのに」
チュンソンのシュートは枠の外。
「マズい、もう時間がない」
原口が走る、ドリブルで突っかける。
「行け、行け、行け!」
クロスバーを越えていくシュート。
「ここまでか…」

試合終了、浦和0−1鳥栖。

選手を待たずにコンコースに抜ける。
「ここで躓くとはな」
熟成された相手の戦術が、恨めしかった。


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僕は209ゲートを利用している。
昨日の「立ち位置」もそうだった。
けれど、あのダンマクは気付かなかった。
開門からスタメン発表まで、それから試合終了直後。
何度もそこから出入りしたのに。

日本人だけのメンバーで臨んだ試合。
それを張った人が、どんな意図を持って掲出したのかなんて
僕には分からない。
試合から一夜明け、
それが差別的だと断定的に語る人が増えていることに、
僕は恐怖を覚えてしまう。
そこで何が起きて、どうしてそうなったのか。
現場を直接見て、何を感じたのか。
実際にそれを目にした人はどれくらいいて、
その時どう感じたのか。
切り取った画像だけを見て、無闇に拡散しているのだとしたら
何て無責任なことだろう。

字面を直接的に読めば、何の問題もないようにも思える。
それなのに、何故特定の選手を揶揄する言葉だと訴えるのか。
「そんなことはいけない」と述べた人にも
日本人とそうじゃない人を区別する意識があるからじゃないのか。

僕もね、獲得の噂があった頃、
「禁じ手に手を伸ばしたのか」という思いはあった。
「どうなんだろう」と訝しんでいたのも事実だ。
けれど、開幕戦のプレーを自分の目で見て考えを改めた。
「彼は、使える」
競り合いに頭から突っ込む根性、
振り向きざまに放つ左足のボレーシュート。
身長を生かしたポストプレー。
試合勘が戻り、コンディションが整えば
ウチにとって大きな戦力になる。
もしあのダンマクが、
特定の選手を揶揄したものだとしたら、残念だね。


[追記]
試合に出ていない選手のことをコールしたこと、
その方が「差別」だよ。
フィールドにいる選手をリスペクト出来ないなんて、
何考えてんだ?
関口は良くてウガ?ウメ?はダメなの!?

敗戦の理由は、そういう所にもあるんじゃないのかな。


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道程  


ミシャの決意が伝わるスタメン。
理想を捨ててでも勝ちに拘る。

その覚悟に、僕らも応えよう。

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穏やかな季節の終わり。
新しいシーズンの幕開けは、僕らを再び戦いの場に誘わせる。
結果が求められる3年目のミシャ監督。
3年目が訪れたことに
クラブの成長を感じ取るべきなのかも知れないのに。
「ここで勝たなければスタジアムが荒れる」
埼玉スタジアムで罵声や怒号は聞きたくない。
どうしても勝ちたい、勝たなければいけない。
過度な緊張が包み込む。

GK西川
DF森脇・那須・槙野
MF阿部・柏木・平川・宇賀神・梅崎・原口
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田・啓太・矢島・関口・李
シャドーにウメ、ベンチに矢島。
DFを2枚ベンチに入れる。

「ヤットが前だね」
前線に留まりパスを配給する遠藤。
3分、那須に警告。
「慌てることないのに…」
「それでカード出すのか」
主審は西村氏。
この試合の基準を示したのか、
選手たちがヒートアップする前に機先を制したのか。

「縦にボールが入らないな」
柏木が最終ラインまで下がってボールを捌く。
「もっと右使ってもいいのに…」
槙野、ウガ、原口に偏る攻撃。
「向こうはJ1のスピードに慣れてないかな」
ボールへの寄せの速さは浦和。
小さなミスを犯し自ら目を摘むG大阪。
「慣れる前に点取っちゃいたいな」
止まない雨が身体を濡らす。

「迷うな!森脇」
急所を突くことを恐れているよう。
「ウガももうちょっとやれるんじゃ…」
繋ぐチーム同士の対戦、ポゼッションは浦和に分があるか。
「放すな!」
クロスボール、ニアに合わせられる。
「治ってないかな、まだ」
去年の悪癖が顔を覗かせる。
「先制しないと危ないかも…」
相手が息を吹き返す前に、叩きたい。
左から槙野、右からのクロスに興梠。
シュートが枠に飛ばない。

「もうこんな時間か…」
雨に霞むビジョン、時計が45分を指そうとしている。
柏木のCK。
「入った!」
副審が走り出す。
「左足だったね」
43分、浦和先制0−1。
「誰?」
「槙野じゃない!?」

前半終了、G大阪0−1浦和。

「二川下げちゃうんだ」
「ヤットの負担、ますます大きくなるんじゃない?」
中盤の底から前線まで、広いエリアをカバーする遠藤。
「90分持たないよね、きっと」
「大森って、誰?」
1年いない間に、G大阪が分からなくなっている。

「浮かせたか、せめて叩きつけてくれたら…」
阿部勇樹のミドルはバーの上。
「大森は左サイドのケアかな」
右に張りだしウガ、槙野を牽制する。
「あんまり守備は巧くないのかな」
「それはウチも同じだけどね」
降り続く雨、身体が冷えてくる。
「そう言えば、声枯れないな」
開幕戦はいつも声が出ないのに、どうしてだろう。

53分、相手8番に警告。
「粗いんだよな、アイツ」
副審に異議を唱えている。
「誰だ?ああ、岩下か」
森脇が右から中央に進出する。
「そうだよ、それでいいんだ」
ミドルシュートは枠を外れる。
ヤットのFK、副審の旗が上がる、ネットが揺れる。
「オフサイド!」
難を逃れる浦和。
「西川、いいよね!?」
正確なキック、落ち着いた所作。
「これは大きいね」
期待が膨らむ補強。

「チュンソンだ」
「誰と代えるんだろう、ヒラかな」
67分、梅崎out李忠成in。
「ヒラの接触は大丈夫だったってことかな」
原口が低い位置から突進する。
「いいぞ、そうだ!」
迫力あるドリブル、素早い判断。
「クロスがそれじゃ…」
平川のクロスはタッチを割る。
「やるじゃん、チュンソン」
頭から突っ込む、労を惜しまないプレー。
「身体もデカいんだね」
新しい武器が生まれる予感がする。
「興梠も楽になるね、これで」

原口が抜け出す、DFを引き付ける。
「行ける!」
走り込む李忠成。
「来た!」
「マジか…」
DFに弾かれる、決定機を逃す。
「決めれば決まりだったのに…」
失いつつあった流れを引き戻すことが出来ない。
「左利きだね!」
ターンして放つ李の左足。
「使えるな、いい選手だよ」
移籍時に感じた違和感がもう、過去のこと。

「那須、か?」
倒されたまま動かない。
「担架かよ…」
76分、那須out永田in。
「頼むぞ、永田!」
永田が戻ればウチの守備は安定する。
「慌てるな、大丈夫」
パスを回される、跳ね返しても奪えない。
「ちょっと厳しいな」
「だからって誰を代えたら…」
苦しい時間帯、こちら側にボールが来なくなる。
86分、興梠out啓太in。
「陽介を外すっていう選択肢はないんだな」
「森脇とウガも怪しいんだよね」
守勢に回ると脆さを露呈する。
これも去年から変わっていないのか。

「長いよ、幾らなんでも」
アディショナルタイム5分。
「選手交代プラス1分じゃないのかな…」
何時点を奪われてもおかしくない展開。
「堪えろ、堪えてくれ!」
「何でだよ!」
主審のジャッジに不満をぶつける。
「時間だ、時間だって!」
ロスタイム表示から5分が過ぎる。
時計に目を落とさない主審。
「過ぎた、もう過ぎてる!」

「終わった…」
漸く笛が鳴る、選手の動きが止まる。

G大阪0−1浦和。

歓喜ではなかった。
「良かった…」
安堵。
これでホームに帰れる。
いい雰囲気で埼スタを迎えることが出来る。

1/34が、終わった。


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アディショナルタイムが長かった。

新たな可能性を感じた試合。
改善されないまま迎えた悪癖。
どちらも「浦和」だったかな。

シーズン序盤は内容よりも勝つことが
何よりの良薬。
これで次のホームゲームは落ち着いた雰囲気で
戦うことが出来る。

浦和の敵は浦和。
変な虫が沸いて来ないように、
頑張ろう、頑張らなくちゃ。

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火蓋  


怖い。
この感覚は初めてかも知れない。

穏やかな日々を過ごしたオフ。
またあの場所に戻る日がやって来た。

緊張と高揚。
今までのシーズンはそうだった。

どうしてだろう。

ミシャ3年目。
結果を出さなくてはいけない。
もしも出遅れてしまったら、
粘り強く支えることが今の僕らに出来るのだろうか。

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