原口元気のシュートが突き刺さる。
エンブレムを鷲掴みにして、雄叫びを上げる僕らの「希望」。
ピッチに立つ選手もベンチで戦況を見守る選手もスタッフも、
懸ける思いは同じだったはず。
そう、森脇もね。
すべてを失ったかのような錯覚を
選手たちが救ってくれた。
「浦和」が「浦和」であるために。
もう一度立ち上がるために、覚悟を決めたはずだった。
あれから半年。
僕は相変わらずスタジアムにいる。
整地されてしまった歴史に戸惑うばかりで、
声を失い、拳を突き上げることもなくなった。
それでもまだ、この場所にしがみついている。
共に戦うことも出来ないくせに、
何の力にもなれていないのに。
昔の浦和に戻りたいんじゃない。
「浦和」が「浦和」ではなくなってしまうことが
寂しくて堪らないんだ。
広島、新潟、長居。
それでも僕は、スタジアムにいる。
ハーフタイムの指笛、リードのない“中心”。
跳ねてるとね、いつの間にか浮いてたりしてさ。
牙を抜かれ、整地されたスタンド。
あの時誓った言葉はどこかに消えてしまったよ。
それでも僕は、スタジアムにいる。
こんなヤツもいるって、クラブは分かってくれるかな。
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