夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

襖絵松(肉筆画) 棟方志功筆 昭和22年

2024-04-17 00:01:00 | 日本画
最近の異常なほどの暑さに家の庭の花も今年は早い・・・、ピンクの牡丹に続き紫色の牡丹も満開になりました。いつもの年より2週間は早いかな?



二本の牡丹の木が満開です。ピンク→紫→白の順に毎年咲きます。



オールドノリタケの花瓶に生けてみました。牡丹はすぐにしおれるのですが・・。



本日紹介する作品は入手が難しいとされている棟方志功の肉筆作品・・・??? 恐れ多くもかなりの確率で真筆ではないかと考えている作品です。



襖絵松(肉筆画) 棟方志功筆 昭和22年
F8号程度 額裏面に記載事項有 紙本着色襖絵 額装タトウ 
額サイズ:縦720*横640 画サイズ:縦465*横395



襖の生地に描いているようです。一見稚拙に見えるようで、額装にされた裏に書付がなければ、放置されていた作品かもしれません。実際に今まで放置されていたようです・・。



この作品の額の裏には
「棟方志功との出逢いは福光にある私の母の実家をアトリエとした間借による。彼が鈴木信太郎画伯の奨めでこの第二のふるさとを去る日、チヤ夫人とともに私を小矢部河岸の拙宅を訪れ、□製した一幅の絵をくれた。彼は生涯に一度だけ、貧しい故に挿絵を書きなぐった。このことで福光を去ったが、それが別れの日であった。志功の絵や版画は長い歳月で多くを散逸させたが、知友の朝田源司氏宅で久しぶりで□源司氏の所蔵する絵に接し福光時代の当時を懐かしく思い出した。その志功は文化勲章に輝いたが惜しくも今は散った。
昭和六十□四月二十七日 松本□□」
と記されています。



注釈
*妻の赤城千哉子(チヤ)は、青森県鶴田町の出身で、志功の幼馴染の紹介で出会っています。当時、看護師をしていたそうです。

**棟方志功は戦時疎開のために富山県西礪波郡福光町(現南砺市)に移住し、1954年(昭和29年)までここに住んでいます。
1946年(昭和21年)、富山県福光町栄町に住居を構え、自宅の八畳間のアトリエを「鯉雨画斎(りうがさい)」と名付け、住居は谷崎潤一郎の命名により「愛染苑(あいぜんえん)」と呼んだようです。栄町にあった住居は移築保存され、現在は「鯉雨画斎」として一般公開されています。



***1951年、鈴木信太郎からアトリエを譲り受けて荻窪に居を移しているとも記録にあります。なお鈴木信太郎の作品は当方でも幾つか所蔵しています。

****1970年(昭和45年)11月には文化勲章を受章し、文化功労者に叙されています。



上記写真以外に下記の書付が本作品の裏に記されていますが、題名と思われる「大長?」という言葉の意味は不明です。



 

2012年に日本橋三越本店新館ギャラリー「棟方志功 幻の肉筆画展」が開催されています。棟方志功が友人の自宅の調度に描いた作品を中心に約50点が展示されたようです。



本作品と同じような題材を描いた襖絵がありました。病気になったの長年の友人を励ますために、京都にあったその友人の家のいたる所に描いたようです。

下記写真の作品は個人宅のためほとんど知られることのなかった作品ですが、現在は三重県のパラミタミュージアムに所蔵されているとのことです。



アトリエの跡地は今は下記の写真のように棟方志功記念館「愛染苑」となっています。



この松を描いた作品かどうかは不明ですし、この襖絵とアトリエとの関連も不明です。もちろん作品の真偽も不明・・。



棟方志功記念館「愛染苑」には板戸や壁のあちらこちらに棟方志功に描いた作品があるようです。下記写真にて飾られている火鉢は濱田庄司、軸は柳田宗悦のようですが、花入れは不明(もしかしら河井寛次郎かな?)・・。



棟方志功は終戦直後には各地方を訪れて作品を売って歩いていたようで、郷里の当方の母の実家では棟方志功とは縁があったようです。母の実家では幾つかの棟方志功の作品を所蔵していましたが、今はすべて散逸されています。

実家にて肉筆画では下記の作品を見させていただいたことがあります。鈴木信太郎の作品もあったのですが、こちらも今では散逸しているようです。

参考作品
肉筆画 棟方志功画
紙本着色額装タトウ入 
画サイズ:縦340*横490

下記の作品は思文閣に40万ほどにて売却されています。実家には戦後間もない頃に入手した「二菩薩釈迦十大弟子」や「女性礼賛」が所蔵されていましたが散逸されたようです。惜しいことをしたものですね。



今では版画も含めて、入手の難しい棟方志功の作品。目につくのは工芸作品や模倣作品がほとんどで、いつの時代も作品は長い年月を経て彷徨い続け、それを追いかける者も彷徨い続けるもののようです。























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