現在の世界経済は、アメリカ発の不動産・金融バブル→崩壊→その調整局面にあるが、そんな現象とは関係なく「フラット化する社会」が当たり前のこととなりつつある21世紀。
こうした中、現在の日本人が「日本」のあり方の捉え方をいかに「世界の中における日本」、そして特に持つべきのは「アジアをリードする日本」「東アジアをリードする日本」という視点であると考えている。
だが、日本人は島国のせいか、なかなかこういう視点で議論がなされることは少ない。
アジアの中でもこの視点の意識は大国であるにもかかわらず、恐ろしく希薄という認識である。
韓国あたりの凄まじい気迫と比べると、ホント情けない感じである。
典型的な例として21世紀最初の大イベント、2002年ワールドカップでの韓国を思い出していただけると良いと思う。
日本でこの「世界の中における日本」「アジアをリードする日本」意識の枠を広げそうな本に出会った。
それが、この「メガ・リージョンの攻防 人材・企業の争奪戦にどう勝利するか」である。
著者は、細川昌彦氏。
通商産業省→経済産業省中部経済産業局長→日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長→中京大学経済学部教授と、なかなかの国際派。
各章がタイトルが内容をきっちり語っているので、以下。
プロローグ 三つの点をつなぐ線を求めて
第1章 なぜ、いま、地域間競争なのか
第2章 東アジアは「メガ・リージョン」の大競走時代に
第3章 「日本の濃縮ジュース」グレーター・ナゴヤの競争力を高める
第4章 「アジア一番圏」北部九州圏の競争力を高める
第5章 「三都物語」京阪神の競争力を高める
第6章 「グローバル感性都市」東京の競争力を高める
第7章 企業をどう呼び込むか
第8章 創造的な人材をどう引きつけるか
第9章 集客ビジネスの成功に何が必要か
第10章 地域の競争力を決定する「地域経営力」
エピローグ 問われる、個性ある地域のデザイン力
「メガ・リージョン」というのは、最近時々話題になっている「道州制」(=「県」という単位ではなく、「地域」で考える)議論だが、グレーター・ワシントンや、世界に開かれた国際都市フランクフルト・ラインマイン地域、フィンランドのオウル都市地域など、世界の具体的事例を紹介しての説明はタイヘン説得力がある。
この立ち上がりの第1章だけで読む価値があると思う。
個人的に特に刺さったのは、第6章 「グローバル感性都市」東京の競争力を高める。
東京のソフトパワーを、映画、ファションそして東京マラソンの3つの事例をもとに分析している。
これを読むと、2016年東京オリンピック招致がいかに重要かを改めて感じさせる。
今年の10月の開催国決定に向け、東京、関東そして日本全体の民意を高めていくべきであると再認識した。
大事なことと考えているので、以下再び引用させていただく。
(2008-09-14 読中評(中):オリンピックはなぜ世界最大のイベントに成長したのか なぜ2016年東京かを理解する、より)
<東京は経済的ピークをすぎた疲弊した国の首都だというイメージを
<追い払うのに成功した。
<そして日本の評価を、アジアの中に埋もれつつある国というイメージ
<から「やはりアジアの中心の国」へ見直すきっかけとなった
<日本の経済力は衰えつつあるとはいえ、まだまだ強力な
<資産や可能性を持っている。
<ところが中国、韓国に比べた場合、日本人的な精神的な弱さが
<その負のスパイラルを自ら強めてしまっているような気がしてならない。
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