個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

ここはスピードではなく、じっくりと!②

2020-05-31 14:40:17 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

前回の続きになります。

チャレンジテストが導入されるもっと前のことですが、中学校全体の学力が低く、他の学校ならばおそらく「2」しかもらえないような点数をテストでとっていても、「3」あるいは「4」をもらえるということがありました。当然、その生徒は高い内申点を持って受験に臨めるわけですから、本番のテストであまりいい出来でなかったとしても、内申点のアドバンテージのおかげで合格できます。つまり、学力的には足らない子であっても、通っている中学校によっては内申点を学力以上にもらえることがあるので、他の中学校の子より有利に高校受験できるわけです。だからこそ、そういった不公平をなくすためにチャレンジテストが導入されたのです。

また内申点を学力以上にもらえると、自分の学力よりも高い高校に合格することも可能となりますが、学力がともなっていないと勉強についていくのはしんどいでしょう。そういう意味ではある程度学力に応じた高校に行くことが望ましいですし、そのために入試があるわけです。

ここで問題が。では学校のつける成績にはどのような意味があるのでしょうか? 前回でも書いたように学校がつける成績は、テスト以外の部分も評価しています。だからテストの点数が悪くても、真面目に提出物を出して授業を受けているとある程度の成績はもらえます。ですが、ここが大事なポイントで、その成績がそのまま入試に反映されることはないのです。いえ、正確にはそのまま反映されないケースもあるのです。

テストの点数は良いけれども、提出物もしていなく授業態度も不真面目な子は学校の成績は「3」をつけられるかもしれない。でもチャレンジテストで満点近い点数とれば入試に必要な内申点は「5」に修正されます。テストの点数は良くないけれども頑張って提出物もして真面目に授業を受けている子は学校の成績では「3」をもらえるかもしれないけれども、チャレンジテストの結果が悪ければ入試に必要な内申点は「1」になってしまう。

学校の通知表って、いったい何のためにあるん? そう思ってしまいますよね。もちろん大部分の子どもは、学校の通知表の成績とチャレンジテストの成績は一致しています。どちらも基本的にはテストの点数を基準にしているわけですから。ですが、そうならない子も確実に存在しているのです。

チャレンジテストで入試に必要な内申点を決めるのであれば、通知表なんてなくせばいいし、定期テストなんかやめてしまえばいいんです。子どもたちに提出物の課題を与えることなんてやめてしまえばいんです。そもそも提出物なんてしても、たいして学力なんてつきません。非常に効率の悪い勉強なんです。それでもみんなが頑張ってやっているのは、少しでも入試で有利になる内申点をもらえると思ってるからなんです。

極端なことを言っていますが、こういった問題が出てくるのはチャレンジテストの導入が決まったときから私はもちろん、他の多くの方もわかっていました。だから反対をしたんです。あちこちからチャレンジテストに対する抗議があったからでしょう、今年度から1,2年生のチャレンジテストの評価の仕方が変わりました。チャレンジテストの結果で、成績が「3」から「1」になるようなことはなくなるでしょう。

私は現状維持がいいとは思いません。お金や時間がかかっても、いいものを作っていくというのは大切なことだと考えています。ただ、もっと慎重に議論すべきです。生徒やその保護者だけでなく、学校現場も混乱するような制度を急いで導入してしまうと、振り回されてしまうのは子どもたちなのです。

私はサッカー観戦が好きです。サッカーでは、味方の選手がバックパスをしたときには、ゴールキーパーは手を使ってはいけないルールです。ですが以前はバックパスであっても、ゴールキーパーは手を使ってもよいというルールでした。だからゴールキーパーに求められる能力は、足元の技術よりも、ボールをキャッチしたりパンチングするものでした。しかし、バックパスを多用することで時間稼ぎになってしまったり、緊張感が薄れてしまうという声がたくさんでてきたので、ルールの変更が行われたのです。試合はよりスリリングなものとなり、サッカー観戦が一段と楽しくなりました。

ただこの改正によって一番困ったのはゴールキーパーです。ボールをトラップする技術、正確なフィードキックなどこれまで求められてこなかった技術を習得しなければならなくなりました。これまで絶対的なレギュラーの選手が、控えに回ったり、チームを放出されることも少なくありませんでした。チームの戦術も大きく変わり、このルールに適合したチーム作りをするためゴールキーパーだけでなく、他の選手に求められる能力も変わりました。

つまりはルールがあるから、そのルール内で活躍できるような能力をつける練習をするのです。受験も同じです。受験制度が決まっているから、そこで力を発揮できるように、みんなそこを目標に何年も前から準備をしているのです。それには時間もお金もたくさん使われています。それにもかかわらず受験制度を変えてしまうと、それまでやってきたことは無駄になるとまでは言いませんが、それならもっと違うことに時間とお金は使えたかもしれません。

受験を公平なものとし、時代にあわせて求めらえる能力も変化してきますから受験制度を変更することは大切です。しかし、たいした議論もせず変更し、数年後に批判が多いからまた変更するといったことを繰り返していては、子どもたちはどこを目指して勉強すればよいのかわかりません。ただ振り回されて無駄な時間をつかうことになってしまいます。

新型コロナウイルスの対応と違って、これにスピード感なんて必要ありません。当然出てくるであろう批判や、その制度の問題点をもっと深く議論してから施行するべきです。大阪の公立高校の受験制度はここ20年でいったい何回変わっているのでしょうか!

政治家でも学校でも、もっといえば親でもありません。教育や受験は「子どもファースト」であるべきです。それをもっと理解してもらって、もう二度とこんな簡単にコロコロと制度を変えるようなことをせず、あらゆる議論をしてこれが最高だと胸を張って言える制度を作ってもらいたいと強く望みます。

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ここはスピードではなく、じっくりと!①

2020-05-27 17:46:41 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

大阪府では小中高校がようやく6月から再開されますが、3月の初めに全国一斉休校になってから、約3カ月間学校の授業を受けられないという状態が続いていました。私はもちろん、社会全体としてもこのような事態は想定していませんでしたので、子どもたちの勉強の遅れや受験がどうなるのか、子どもたちの生活習慣の維持の仕方やストレスをどう軽減するかなど、課題が山積みとなっています。

しかし、このような状況にならなければ、おそらくそのまま放置していたであろう様々な問題を議論できるいい機会になったのではないかと思います。9月入学や、入試のシステムあるいはオンライン授業の普及や飛び級制度など、「そんなことはできない」とハナから決めつけるのではなく、すべての可能性を話し合うべきです。いろんな問題を放置していたから、今子どもたちが苦しんでいるんです。「できなかった」のではなく「やる気がなかった」のではないでしょうか。今こそ大きな声を上げていくときです。

今回は何度か問題点を指摘している「チャレンジテスト」についてです。このテストを簡単に説明すれば、中学校間の学力格差を考慮し、できるだけ公平な内申点をつけるために導入された制度です。1、2年生の場合は、チャレンジテストの結果で学校の成績が変化することがあります。たとえば中学2年生で学校での数学の成績が、1学期が4、2学期が4、3学期が4であったとしても、チャレンジテストで9点以下の点数をとってしまうと、2年生の数学の内申点の総合評価が「1」となってしまうのです。通知表で、1年間を通じてずっと「4」であったとしても、たった1回のチャレンジテストの結果で「1」になってしまう可能性があるのです。

この例での点数は正確なものではなく、わかりやすく極端にしましたが、実際にこのような例はいくつも各学校で起こっているのです。

「通知表で「4」をもらってる子がチャレンジテストで9点以下なんてとれへんはずや。だから問題ないんとちがうか」
「同じ点数をとっても、通っている中学校によって成績のつけ方が違っていたら不公平だからチャレンジテストは必要だ」

うん、その通りなんです。私も学校間の格差をなくすことには大賛成です。受験において「公平であること」というのは、最も大切な要素だと考えています。問題なのは、中途半端にルールを変更していることなのです。

学校での成績は、定期テスト・提出物・授業態度などを総合して評価されます。定期テストの点数が90点以上であっても、提出物をまったく出していなかったら「5」の成績はもらえません。逆に、定期テストが20点くらいであっても、すべての提出物を出し、真面目に授業中も取り組んでいればおそらく「3」の評価はもらえるでしょう。定期テストに関しては、これも学校間に多少の差はあるとはいえ、大部分の学校の定期テストでは生徒が点をとりやすい問題を出題してくれます。たとえば、プリントを試験前に配って、そのプリントの中から20点分はそのまま出題するといった形です。いいか悪いかは置いといて、実際にそういった形でテストをしている学校がかなりあります。

すると、どういったことが起こるでしょうか?

ほとんど授業を理解していない生徒でも、テスト前に必ず出題されるというプリントを頑張って覚えて試験に臨むと最低20点は獲得できます。また提出物の問題集などは理解できていなくても、解答もいっしょに配られているので、とにかく解答を丸写しでもいいから全部うめて提出します。授業中も内容はよくわからないけれども、黙って先生の話を聞き、黒板に書かれたものをそのままノートに写していきます。そうそれば、この生徒の成績はおそらく「3」になるでしょう。本当の学力はもしかしたら「1」かもしれませんが、成績は「3」になるのです。繰り返しになりますが、これが良いか悪いかの議論ではなく、実際にそうやって成績をつけているのです。これは、文部科学省が発表しているように、中学生の成績はテストの点数だけではなく、「生徒の平素の学習状況等を評価し、学力検査で把握できない学力や学力以外の生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所を積極的に評価し、活用していくというもの」という基準があるからです。

ですから、勉強が苦手な子どもであっても、提出物頑張って授業を真面目に受けていれば、良い成績をつけてもらえるはずだ!と信じて頑張っているのです。提出物の問題集もほとんどわからない状態で、ただ解答を赤ペンでうめていくという作業がどれほど苦しいものか想像してみてください。そんな子どもたちの頑張りが、たった1回のチャレンジテストで無駄になってしまうのです。

ですが私が本当に言いたいのはチャレンジテストを廃止しろ!ということではありません。

久しぶりに長くなりそうですので、続きは次回に書きます。

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うん?どこかで見た光景だな?

2020-05-07 16:47:35 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

メディアはコロナ一色、そして自粛規制、いつまで続くのかという不安、大人も子どももストレスがたまり、限界に近づいている方も多くいるのではないでしょうか。

それでも「いつか終わりがやってくる。いつかまた元気いっぱいで過ごせる日々がもどってくる」と信じているからこそ、このような厳しい状況であってもみんな頑張っているんですよね。

ただ、ほとんどの人が歯を食いしばって頑張って、子どもでさえも頑張っている中で、ほんの一部の人たちのせいで、みんなの頑張りが無駄になることがあるのです。いえ、無駄になるどころか悪い影響を及ぼすことさえあるのです。

地上波やネットでも散々取り上げられていますように、緊急事態宣言が出されてから多くの業種に休業要請が出されています。もちろん強制力は日本の場合はありませんが、少しでも早く収まり、日常が戻ってくるのならという思いで、みなさん苦しい中、頑張って休業してくれています。私自身も自営業ですからその厳しさは理解できますし、まして私の父も自営をしており、父の方は私なんかと比べものにならないほど打撃を受けていますので、休業されている個人事業主や中小企業の経営者の不安や焦りは痛いほどわかります。

これほどみんなが頑張っている中でも、一部営業を続けているところがあります。強制力はありませんし、休業しても十分な補償もないわけですから、経営者が休業をしないというのは、自身の生活や従業員を守るためという点から考えればわからなくもありません。しかし、その店に行く人の言い分が私には理解できないです。

「自粛自粛でストレスが溜まっているから、ストレス発散しに来た」
いやいや、ストレス溜まっているのは、あなただけではないんですよ。みんなが好き放題したらどんな結果になるのか、そんなこともわからないんですか?
「俺はコロナにはかからんよ。だからマスクもつけへん。もしコロナになってもだれにも迷惑をかけないし、それくらいの覚悟はできてるわ」
はあ?カッコつけて何を言ってるんですか? あなたがコロナに感染することを心配なんてしていません。あなたがコロナに感染して、あちこち出歩くことによって、他の誰かにうつしてしまうことを心配しているんですよ。あなたが感染してどうなろうが、それは自業自得でしょ。そうじゃないんです。あなたの軽はずみな行動によって、真面目に頑張って我慢して生きている人が感染してしまうことがあるってどうして考えられないのだろうか?

みんなが頑張って自粛したり高騰したマスクを購入しているのは、自分が感染したくないというのもありますが、それ以上にだれかにうつしたくないという気持ちが強いからなんです。自分のためだけじゃないんです。「自分は若いし持病もないから、もし感染しても重篤にならないだろうから自由に生きるんだ」こんな人間ばかりなら社会は成り立ちません。自分は感染しても重篤にならないかもしれないし、症状が出ないかもしれない。でも保菌者になってしまうとだれかにうつしてしまう可能性がある。そうならないように行動しなければ。どうしてこのように考えられないのだろうか。

久しぶりに怒りまくって書いていますが(笑)、このようなニュースを見ながら学校のことを考えていました。すると学校でもこれと同じようなことがあるんですよね。

私の中学校時代や、私のこれまでの生徒の話から、いつの時代も授業を妨害する子はいます。授業の妨害とは具体的に、授業中に大声でしゃべりまくる、お菓子を食べる、ボール遊びをする、スマホをさわるなどです。もちろん先生が注意することはありますが、それですんなりおとなしくなる子ばかりではありません。
「授業なんておもろないし!」「どうせ高校いかへんし!」「推薦で高校行くから授業なんてどうでもええし」「うるさい!ほっといってくれ!」こんなことを言ってるみたいですね。

授業を妨害する子には、おそらくその子たちの言い分はあるのでしょう。勉強がわからなさすぎてしんどかったり、家庭環境でストレスがたまっていたり、まだまだ精神的に幼いでしょうから、ある程度理解してあげないといけないとは思います。だからといって、そのまま放っておくのは間違っていると思います。なぜかというと、真面目に授業を受けている子が被害にあいます。騒がしくて授業に集中できなかったり、いろいろとちょっかいを出されたり。それらが原因で不登校になっている子もいるんです。不登校の原因をつくった子たちには何の処分もなく、不登校になった子に対しては「メンタル弱いな。もっと強くなれよ。それぐらいで……」

なにか間違ってますよね。私は思うのです。完璧な人間なんていません。私なんて自慢じゃありませんが欠点だらけです(笑)
でもそれでいいと思いますし、それが人間なんです。そんな人間が集まって学校があり、社会が存在するのですから不完全であるのは当然です。ただ1つ、自分のことだけでなく、他人のことを考えられる人、他人のために何ができるかを考えられる人、それを大切にしていくことは必要であると思います。それを教える場が学校であり、それを軽視している学校があればそんな学校に行く必要なんてありません。この新型コロナウイルスで世界中が大混乱に陥った今だからこそ、私たちはこれまでほったらかしにしてしまっていた様々なことに対して真剣に考え、改善していくいい機会になったのではないでしょうか。真面目に一生懸命生きている子や人たちが損をしない学校や社会になっていくことを心から望んでいます。

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