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燕京神学院(画像はデジカメで撮ったものを携帯で取り直したため鮮明でない)


 4月5日(清明節)、北京市海淀区にある燕京神学院を訪ねて、副教務長の陳馴(ちんしゅん)師に会うことができた。面会の約束が取れていなかった上に祭日であったにもかかわらず、わざわざ学院に来て面談の時間を取っていただいた。フィンランドのヘルシンキで学んだ40代前後と思われる師(Ph.D)とは英語で話し合うことができた。最も印象に残ったのは「現代化」と「世俗化」の影響が中国にも及んでいるかという質問に対する回答であった。それはあると答え、「状況適応化」とでも訳すべきContextualization (中国語では処境化)で対応しようとしている、と説明されたことである。
 中国で急速にキリスト教会が発展し、教会に出席する人数が急増している現在、信徒に対する牧会をどのように行っているのか、教会運営はどのように行なっているのかなど関心が寄せられている。そこで幾つかの質問を用意して尋ねた。会談は礼拝堂の中で行われた。陳師は私の来訪の意図を確認した上で親切に応対し答えてくれた。




 まず教会運営・礼拝様式について説明された。中国のキリスト教会(プロテスタント)は中国基督教協会のもとにまとめられていて、昔の宗派色が個々の教会にあるわけではなく宗派後の時代(post-denomination) に入っていると言える。そして平均的に言えば、一つの教会に一人か二人の牧師が任命されていて、その下に執事と呼ばれる平会員が7~12人いて牧師を補佐している。更にその下に義工と呼ばれる十代から高齢の人々が音楽、絵画など才能を生かして奉仕している。牧師以外は別の仕事を持っており、報酬を受けることはない、しかし、宗教や神学の教育を受けているという。それで、結局「監督制」「会衆制」「長老制」のいずれの要素も併せ持つ、中国の方式で第四の制度と言えるのではないか、と笑いながらコメントされた。(上記三つの制度→教会運営の類型
 大勢の会衆を牧することの困難さは認め、一つの形式として高齢者の会、若者の会、女性の会などを週日に振り分けて行なっているということであった。
 広い中国にあって上記は平均的な形を述べたもので、上海には上海の特性があり、北京、南方にもそれぞれの特性が認められる、とのことであった。


 現代化と世俗化の影響については、グローバリゼーションの今日はっきりあると陳師は答えた。中国はこの趨勢を拒否することはできないし、排除して教徒を守ろうとするのではなく、状況適応化(contextualization, 中国語で処境化)で対処しようとしている。中国の教会はまだ歴史が30年と若い教会である。段階を追って少しづつ対応していこうとしている。教会が成熟するには時間が必要である、と語った。


 最近キリスト教徒が教会堂の外で伝道を始めているようですが、と問いかけると、教徒が幸せに感じていることを、幸福な音信を家族や見舞いに行った相手に伝えるのは自然なこと、街頭で説教したりしない限り、現在政府はそのような自伝の活動をとがめたりしない、とのことであった。
 会員としての登録について聞くと、北京では洗礼の前に書類に必要事項を記入して受けることによって登録されているとのことであった。洗礼は復活祭とクリスマスの年2回行われる。洗礼 -- 全身を沈める浸礼ではない -- は女性牧師も執り行うことができる。女性牧師の方がずっと多いのですから、と笑って説明された。最近若い世代では興味があっても洗礼を受けて信徒にならない人もいるので、統計に非受洗者として数えられている。(登録→08-09中国宗教報告


 中国では献金を集める封筒が回ってくることはない、出入り口にある納入の箱に入れるのである。
 海外との交流で表面的な往来を越えたレベルの高いものが始まっているかとの問いには、そのようなセミナーはあり得るし、外国の教授や政府関係者との対話は神学院が行うとの答えであった。
 教会に対する政府の支援について聞くと、原則としてない、ただこの神学院も南京の神学院と同様土地は政府から提供されているという。
 最後に米国南部のバプテスト派やモルモン教、ものみの塔など教派性・伝道熱心な教団を中国は受け入れていないが、この問題についてどう考えるかと聞いた。これに対して、主流派とされる教会であれば問題なく、中国基督教協会をへて中国で教えたり、説教したりしている。しかし、上のような教団は問題を起こす団体であり、中国は過敏に反応を示す、ということであった。

参考 本ブログ 2010/12/31 金陵協和神学院を訪ねて

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